2012年12月28日金曜日

熱電発電部品、出力10倍超、排熱を利用、実用化実験(昭和電線)

20121228日経産業新聞9面

 炉などの排熱を活用する熱電発電の実証実験を昭和電線が始める。従来品に比べて単位面積当たり出力を10倍に高めたデバイスは、15センチメートル四方で厚さが数ミリメートル、最高出力48ワット、年間発電量は340キロワット時を見込む。実証実験は三重事業所の電線製造設備の炉の壁面に熱電発電デバイスをタイル状に張り付け、出力や耐久性を試験する。13年中にも製鉄所などにサンプル出荷を始める。

無線センサーネットワーク、新型10機種追加、環境情報を見える化(セイコーインスツル)

20121228電波新聞5面

 セイコーインスツルの無線センサーネットワーク「ミスター省エネ」は、温度、湿度、照度、CO2などの各種センサーを内蔵したノード(子機)と、ノードの測定データを受信するベース(親機)、中継に使うルーターで構成されている。特定小電力無線をデータ送受に使用し配線が不要。新製品10機種を来年2月から出荷する。

2012年12月25日火曜日

タンパク質・DNAで部品、混ぜるだけで微小機械(情報通信研究機構など)

20121225日経産業新聞7面

 情報通信研究機構と東京大学は、DNAとたんぱく質を混ぜて、DNAが接着剤の役割を果たし、部品となるたんぱく質の並べる順序や間隔を調節し、分子サイズの微小機械を組み立てる技術を開発した。実際に生物の細胞でモーターの役割をしているたんぱく質を複数つないで微小機械を作り、たんぱく質が複数集まってお互いが活発化し、モーターとして能力が高まるタイプがあることが分かった。

高純度SiC微細加工、光学素子金型に応用(理研・慶大・日進工具)

20121225日刊工業新聞1面

 耐熱性が高いが非常に硬く、加工が困難だった高純度炭化ケイ素(SiC)を、高精度に微細加工する技術を、理化学研究所の片平和利研究員、慶応義塾大学の小茂鳥潤教授、日進工具が開発した。多結晶ダイヤモンドを使った直径0.2マイクロメートルの微小切削工具と、ナノメートルの精度で位置決めできる加工機の技術を組み合わせた。直径500マイクロメートル、深さ50マイクロメートルの穴を加工できる。ガラス製の微細光学素子向けの金具などへの応用が期待される。

2012年12月24日月曜日

STMicroelectronicsとPNI社のモーションセンサ:任天堂新製品Wii UTMに採用決定

海外産業動向
http://www.i-micronews.com/news/STMicroelectronics-PNI-Sensors-are-selected-Nintendo’s-Wii,9841.html
  STMicroelectronics(STM)とPNI社は任天堂の新製品Wii UTMのモーションセンサに同社の加速度センサ、地磁気センサ、信号処理ASICが採用されたことを発表した。ゲーム機の動作検出に地磁気センサが用いられたのは初めてで、さらに精度の高い動き検出が可能になる。
 任天堂の役員は言った。「さらに楽しいゲームができるような先端センサの開発をSTMと共同で行った。その結果従来にない革新的なゲームが行えるようになった」
 STMの副社長は言った。「任天堂との共同開発によりさらに画期的なゲームの開発に貢献できた」

米Qualcom社:MEMSディスプレイでシャープと提携

海外産業動向
http://www.i-micronews.com/news/Qualcomm-subsidiary-Pixtronixdisplay-agreement-Sharp,9862.html
 QualcomはMEMSディスプレイを担当する子会社PixtronixとシャープがMEMSディスプレイの商品開発で提携すると発表した。QualcomのMEMSディスプレイは高画質、低消費電力を特徴とする新しいMEMSデバイスで、これにシャープの酸化物半導体(IGZO)技術と液晶工場の活用を合わせて、MEMSディスプレイの早期事業化を図ろうとするものである。さらにQualcomはシャープに資本参加を行い、シャープの株主となる。
 Qualcomの副社長は言った、「シャープは電子技術、生産技術に優れている。MEMSディスプレイはモバイル機器向けに優れた性能をしめすので、両社にとって実ある事業になるだろう。シャープの取締役は言った「シャープはこれまでIGZOをはじめディスプレイで画期的な技術を生み出してきた。シャープはディスプレイの新技術に注力する。MEMSディスプレイとIGZOを組み合わせたディスプレイの商品化を加速させたい。

2012年12月20日木曜日

STマイクロがMEMSマイクなど新製品開発加速

20121220電波新聞8面

 MEMS応用モーションセンサーの世界トップメーカーであるSTマイクロエレクトロニクスはモバイル機器向け新製品開発を加速している。モーションセンサーの出荷は累積20億個を超え、カメラの手振れ防止とモーションを1つのデバイスで検知するジャイロセンサー、センサーの精度向上と消費電力削減、3軸加速度センサーと3軸ジャイロセンサーを一体化した6軸モーションセンサー、3軸の電子コンパスを組み合わせた9軸センサーを展開している。MEMSマイクロフォンではオムロンと協業し、センサー部はオムロン、制御回路やパッケージングはSTマイクロの技術を活用している。

体積4分の一電流センサー、電力管理向け、重さも9割減(アルプス・グリーンデバイス)

20121220日経産業新聞7面

 「GMR(巨大磁気抵抗)」素子の採用により体積を競合品の1/4とした電力管理向け電流センサーをアルプス電気子会社のアルプス・グリーンデバイスが開発した。一般的な電流センサーのホール素子は電線周囲を磁性体で囲む必要があるが、GMR素子ではU字型の溝に電線を挟んで測定する。GMR素子はハードディスク駆動装置の磁気ヘッドに使われている。住宅内の電力監視を行うHEMS向けでは20アンペアから80アンペアまで測れる品種を、産業用蓄電システム向けでは数十ミリアンペアから300アンペアまで1%未満の誤差で測定できる品種を用意する。

2012年12月14日金曜日

マイクロ流体チップ開発、ライフサイエンス分野参入(朝日ラバー)

20121214日刊工業新聞15面

 たんぱく質や血液など流体の分析に使うマイクロ流体チップを、産業用ゴム製造の朝日ラバーが開発した。既にNECのDNA解析装置し採用され、微小化学分析システム(マイクロTAS)向けに2014年量産開始を目指す。独自の分子接着技術により産業用ゴムを流路に合わせて表面改質し、接着剤なしで接合した。金型によるチップ生産に比べて試作の納期短縮ができる。

2012年12月13日木曜日

高齢者見守り、動き検知、家族にメール通知、文具市場縮小で新事業育成急ぐ(セーラー)

20121213日経産業新聞21面

 赤外線センサーを家屋に設置し、人の動きを検知して家族などの携帯電話やパソコンにメール通知する、一人暮らしの高齢者見守りサービスをセーラー万年筆が始める。

センサー、スマホ内蔵用の需要拡大、端末高機能化で新用途創出、各社、超小型・高精度品開発に力


20121213電波新聞1面

 スマートホン内蔵用のセンサー需要が拡大しており、電子部品メーカー各社はMEMS技術による開発を強化している。主要なスマホ内蔵センサーはCMOSイメージセンサー、3軸加速度センサー、電子コンパス、ジャイロセンサー、手振れ防止センサーなどで、気圧センサー、湿度センサー、紫外線センサー、RGBセンサーなど。アルプス電気は3軸地磁気センサー、湿度センサー、気圧センサー、紫外線センサー、RGBセンサー。TDKは薄膜サーミスタの温度センサー。パナソニックはMOSイメージセンサー、3軸加速度センサー。ミツミ電機は近接・照度センサー、気圧センサー、温度センサー、電流センサー。ロームは近接センサー、照度センサー、加速度・ジャイロ・地磁気を組み合わせた9軸センサー。北陸電気工業は3軸加速度センサー、気圧センサー、フォースセンサー、ガスセンサー。オムロンは気圧センサー。

2012年12月11日火曜日

LSI集積度100倍、回路に原子3個分の膜(東大など)

20121211日経産業新聞9面

 東京大学のイエ・ジャンティン特任講師と岩佐義宏教授らは理化学研究所と共同で、大規模集積回路(LSI)の集積度を100倍以上に高める技術を開発した。電子の通り道に二硫化モリブデンを用いたトランジスタを開発したが、二硫化モリブデンは電子3個分で出来た厚さ0.6ナノメートルのシートが重なった構造をしている。新材料の薄膜を使えば電極間を1ナノマイクロメートルに狭められ、LSI集積度を高められる。

2012年12月6日木曜日

セミコンジャパン開幕、半導体製造装置-立体構造対応勢ぞろい

20121206日経産業新聞7面

 セミコンジャパン2012が開幕した。海外メーカーの出展が少ないが、国内メーカーはTSVと呼ぶ回路を積み重ねて形成する3次元構造半導体向けの装置を揃えた。東京エレクトロンは、TSVで積み重ねた回路に【ビア】と呼ぶ穴を開け電極を通すためのメッキ装置を展示する。アドバンテストはTSV半導体の検査装置を試作した。ディスコはTSV半導体製造効率化に向けた「TAIKO」と呼ぶウエハの中心部を薄く削り周囲を固定することによりたわみを防ぐ技術の実用化を目指す。半導体回路の微細化の限界が近づき、半導体を重ねる3次元化により処理能力を高める技術の開発を、世界の半導体メーカーが急いでいる。3D半導体の代表的技術がTSVだが、約1千個もの穴を開けるため、従来に比べてより精密な加工が必要となる。米インテルなどは既にTSV半導体の生産を始めている。

MEMSフローセンサー、空調システムの電力消費低減(オムロン)

20121206電波新聞4面

 空調システム向けに風速と風向きを検出できるMEMS2軸フローセンサーをオムロンが開発した。風速検出範囲±1.0メートル/秒、風速精度±3%FS、風向検出範囲0‐360度、風向精度±15度、サイズは直径60ミリメートルで高さが34.7ミリメートル。無駄な方向に風が吹いていないか監視し、空調効率を最適化する。このセンサーを2台使用して90度向きを変えて計測し、3次元で計測できる。

2012年12月5日水曜日

クアルコム子会社とMEMSディスプレイの共同開発契約、出資も受け入れ(シャープ)

20121205電波新聞1面

 シャープはMEMSディスプレイの共同開発契約をクアルコム子会社ピクトロニクスと、クアルコムから最大99億円の出資を受け入れる契約を結んだ。シャープのIGZO技術とピクトロニクスのMEMSディスプレイ技術の統合を目指し、シャープ米子にある液晶パネル工場に実用化に向け開発を行う設備を導入する。MEMSディスプレイは微細加工を利用したディスプレイで、液晶を使わず、バックライトの利用効率が高く、優れた色再現性と低消費電力が特徴、また既存の生産インフラを活用できる。

2012年12月4日火曜日

振動感知装置、ビル需要開拓、建設会社と連携(富士電機)

20121204日経産業新聞13面

 MEMSによる振動感知センサーと、計測データを収集する装置で構成するビルの振動感知装置を、富士電機が建設会社と連携した販売を始める。国土交通省が2015年までにビルの耐震調査を義務化することに対応し、建設会社の揺れを診断するシステムと組み合わせてビル所有者に売り込みを図る。ビルの実証実験を進めており、収集データをもとに耐震性を診断する仕組みも開発している。これまでのビル向け振動感知センサーは20階建ての規模の場合2000万円ほどかかっていたが、富士電機のシステムは高層ビルで発生する周波数の低い振動まで感知でき、設置コストも5分の一程度。

2012年11月27日火曜日

「ナノ電車」最短で薬物運ぶ、流体でデバイスに活用(産総研等)

20121128日刊工業新聞27面

 マイクロ流体デバイスに活用できる、薬物やDNAという物質を運んで狙った場所で放出する「ナノ電車」と名付けた複合体を、産総研が大阪府立大学と共同で開発した。直径10ナノメートルのカーボンナノチューブ(CNT)の表面に、内部に物質を蓄えられるリポソームという球状分子を結合する。リポソームは温度を上げると形状が変化し内部の物質を放出する。この複合体に電圧をかけると毎秒700マイクロメートルで移動し、レーザー光を当てるとCNTが発熱して物質を放出する。今後は運搬性能を高め、目的の場所で化学反応が始まる流体デバイスを目指す。

めざせ減量、髪に結び、碁石状の活動量計、スマホ表示(エムティーアイ)

20121127日経産業新聞1面

 3次元加速センサーを搭載し、髪に結び付けて活動量を検知してスマホに近距離無線通信で送付する「マイクロタグ通信活動量計」を携帯電話サイト開発大手のエムティーアイが開発した。減量を目指す女性向け。

2012年11月26日月曜日

スマホ用デジタル気圧センサー、アルプス電気が参入

20121126電波新聞1面

 アルプス電気はこれまでの世界的に高いシェアのHDD用アナログ気圧センサーに加え、スマホ用デジタル気圧センサーに参入する。温度補正機能付きで3ミリ角。

2012年11月24日土曜日

エネルギーハーベスタ市場2017年に200億円へ(Yole)

海外産業動向
http://www.i-micronews.com/upload/pdf/ACMEMStrendsOct%202013.pdf
 エネルギーハーベスターの市場は、ここ5年の内に約200億円のレベルに成長すると考えられている。これを牽引するのはビルや工場向けのワイヤレスセンサネットワークシステム(WSN)の成長である。低消費電力の回路や通信技術の発展が従来のバッテリーをエネルギーハーベスタに置き換えることを可能にしている。ビル向けのWSNでは光発電、熱発電が主に用いられるのに対し、工場向けでは振動発電、熱発電が用いられている。タイヤ空気圧モニタ(TPMS)に関してバッテリー搭載型が当分続くであろうが、最終的にはMEMS振動型に置き換わると考えられる。
 出力が数十マイクロワットから数十ミリワットのエネルギーハーベスタの当面の市場予測がなされた。主要なアプリケーションはビル用WSNで特に配線不要のメリットを生かした既築ビルへのWSNの設置が伸びると考えられる。
エネルギーハーベスタといえども2次電池は必要である。新しい2次電池として薄膜2次電池やスーパーキャパシタが開発されており、その他の低消費電力用電子部品の開発も盛んで、代表的な企業としてEnOcean社はいち早くエネルギーハーベスターの事業化に先行して、さらに事業を拡大している。
 最初に実用化されたエネルギーハーベスタは電磁発電である。押しボタン式のスナップ動作で電磁誘導発電を行い、数メートル先へ電波を送ることができる。続いて商品化されたのは光発電、熱発電で配管や窓に取り付けるタイプである。
 2011年にはビル向けに200万個のエネルギーハーベスタが出荷された。ここ5年以内に出荷は10倍に増えると予想される。EnOceanはビル向けに継いで家庭用WSNの需要が増えるろみている。かつてMEMS振動発電型エネルギーハーベスタの最初のアプリと考えられたTPMSは現在のバッテリーで用をなすため、当面MEMS振動発電の出番はなさそうである。現在はTPMSはリムに取り付けられるため、自動車会社が取り付けているが、将来はさらに機能を高めてタイヤの中に取り付けられる見通しである。そうなるとTPMSはタイヤメーカが取り付けることになる。この時圧力以外に温度や他のセンサも加わってスマート化される予定で、ここでMEMS振動型のチャンスが生まれる可能性がある。また車載ではTPMSの他にエンジンの燃料消費率モニタが開発中で、ここでもエネルギーハーベスタのチャンスがある。他のアプリでは、医療用人体埋め込みデバイス、特にペースメーカーへの搭載が期待される。
 ビル向けに継いで需要が確実視されているのが、工場用WSNである。製造設備には大きな振動、高温プロセス装置が多くエネルギー源が豊富である。代表的な企業として熱電発電のMicropelt社があり、薄膜で微細加工された熱電変換素子を武器に市場拡大を図ろうとしている。伸び率という面では熱電型が最も大きいと考えられる。

2012年11月23日金曜日

ポータブル型DNA解析装置、細胞採取からの全工程60分(NEC)

20121123電波新聞2面

 NECはポータブル型DNA解析装置を開発した。解析チップ(消耗品となるプラスチック板)と試薬パッケージを組み合わせ、従来のぺピットを用いた作業を不要とする。DNA解析プロセスは①細胞の採取、②DNAの抽出、③DNAを増やすPCR増幅、④DNAの大きさを調べる電気泳動、⑤個体差を判別するSTR解析からなり、これらのプロセスを一貫して行うことができる。今回の評価器では全行程を60分で完了し、一体化した装置はスーツケース大まで小型化した。14年度の商用化を目指す。

2012年11月22日木曜日

無線センサーネット拡充、電池レス通信システム販売(ローム)

20121122日刊工業新聞8面

 ロームはドイツ・エンオーシャンが策定した環境発電用の超低消費電力無線通信の国際規格「エンオーシャン」準拠の電池レス無線通信システムの販売を開始する。押し込む動作で発電してオン・オフの信号を送信する照明用スイッチを想定。

チャレンジ!新製品、傾斜・振動センサー、高精度と低コスト両立(セイコーエプソン)

20121122日経産業新聞7面

 セイコーエプソンは水晶の微細加工技術を活用した産業機器向けのセンサー開発に注力している。傾斜計は1000分の1度、振動計は10マイクロGまで計測できる。従来の高層ビルや船舶など大型の物の計測には「機械サーボ方式」が主流だが、大型で高価格、設置にも専門技術者が必要だった。水晶振動子によるセンサーでは価格も機械式に比べて約4分の一、専門の技術者も不要。民生用の加速度センサーのシリコンMEMSに比べて測定のバラツキを約30分の一と高精度にできる。

2012年11月21日水曜日

路面状況や建物のひび割れ、小型センサー、常時監視、自ら発電、受信機に発信(千葉大、弘前大)

20121121日経産業新聞7面

 千葉大学の浅沼博教授と弘前大学の古屋泰文教授らは、わずかな振動の変化を捉えて路面状況や建物のひび割れを検知し、自家発電素子による給電で常時監視できる小型センサーを開発した。新センサーは2センチメートル四方で厚さが0.55ミリメートルの圧電素子で、無線発信機に繋がり無線LANの電波で送信し、磁歪材料によるコイルを使った発電で給電する。

2012年11月20日火曜日

スマートフォノ/携帯電話用部品、独自の新製品・技術で世界市場ターゲットに、新たな需要創出

20121120電波新聞4面

 電子部品メーカーはスマートフォン・携帯電話用部品の開発・拡充を強化している。スマホ用センサーでは、CMOSイメージセンサー、3軸加速度センサー、電子コンパス用地磁気センサー、ジャイロセンサー、デジタル気圧センサー、デジタル湿度センサー、照度センサーなどが搭載されている。気圧センサーはこれまでHDD用にアナログ気圧センサーが搭載されていたが、スマホ用では高度検知が可能なことからインドアナビゲーションが用途。白物家電や空調機器に搭載されていた湿度センサーも、スマホ用に従来の抵抗式に加え静電容量式が開発されている。

2012年11月16日金曜日

肌に張る化粧品、シートに針状の成分、日本写真印刷が開発


20121116日経産業新聞16面

 溶解性マイクロニードル技術を商品化し、微細な針状のヒアルロン酸をシート上に多数配置し、肌に貼って直接浸透させる化粧品を日本写真印刷が開発した。貼ると体温や水分で数十分で溶け、表皮に浸透する。痛みは無く、口からの摂取より効果的という。女性が寝る前に目じりなどに貼る利用を想定している。

2012年11月14日水曜日

マイクロRNA、数十分で簡単に検出、電源不要の小型装置(理化学研究所)

20121114日刊工業新聞19面

 マイクロ流路によるマイクロRNA(マイクロリボ核酸)を短時間で検出する装置を理化学研究所が開発した。マイクロRNAは、タンパク質合成の設計図を持たないが遺伝子発現の調整などに関与し、がん早期発見のマーカーとして注目されている。微細な流路にマイクロRNAを含んだ溶液を流し、密閉した微小空間にマイクロRNAとだけ結合するDNA断片を置き、検出する。電源を使わず、わずかな試料から数十分で検出でき、持ち運びできる。今後、装置の簡素化や検出感度向上に取り組み、実用化を目指す。

スマホ向けマイクに参入(TDK)

20121114日刊工業新聞8面(電波新聞3面にも掲載)

 TDKはスマートフォン向けMEMSマイクロホン市場に参入する。小型化と高性能化を追求し、2014年には月産1000万個の販売を見込んでいる。

2012年11月9日金曜日

欧で微量血液検査システム販売、伊メナリーニ社と提携(ローム)

20121109電波新聞1面

 ロームはマイクロTAS技術による微量血液検査システムを欧州の大手製薬会社メナリーニグループを通じて欧州で販売する。マイクロTASは微小チップ上に流体デバイスを集積し、科学捜査を短時間で効率的に行うもの。

半導体向け先端微細化周辺材料、反射防止コーティング材など、開発を加速(日産化学)

20121109電波新聞4面

 半導体微細化の進展に対応した先端微細化周辺材料の開発を日産化学が加速している。反射防止コーティング剤「BARC」はシリコン基板の加工にあたりレジストの下に塗布され、露光時の光の反射による線幅の乱れを防止するもので、同社は東アジア地区でトップシェア。マルチレイヤープロセス用材料、EUV(極紫外線)用材料も取り扱う。

CNT密度100倍素子、搭載ICを開発(米IBM)

20121109日刊工業新聞25面

 シリコントランジスタのナノレベルまでの微細化は限界とされているが、これを超える可能性の新技術を米IBMワトソン研究所が開発した。1万個以上のカーボンナノチューブ(CNT)のトランジスタから構成された集積回路を開発したもので、数ナノメートルレベルの超微細回路線幅で、低コストでチップを製造する手掛かりになる。開発チップは半導体CNTにより電気的ON/OFFができ、トランジスタ内のシリコン製チャネルをCNTに置き換えられる可能性を持つ。

哺乳類の内耳電位、無線電源に活用、米MITが成功

20121109日刊工業新聞25面

 哺乳類の内耳に自然に存在する電位から電気を取出し、小型の無線送信チップの電源として利用することに米マサチューセッツ工科大学(MIT)が成功した。耳の奥にある蝸牛に電極を埋め込み、無線チップと接続し内耳の化学データを無線送信した。蝸牛は内部の空洞に膜を隔ててカリウムイオンとナトリウムイオンが存在し、そのバランスの違いから神経信号を伝達するための蝸牛内電位を発生させている。今回、1ナノワットの電力を5時間取り出すことが出来た。

大気中で有機半導体作成、スタンプで回路印刷、コスト低減に期待(産総研など)

20121109日経産業新聞10面

 大気中で基板の上に電子回路を作る技術を産総研の長谷川達生副研究センター長と高エネルギー加速器研究機構などが開発した。シリコン製の基板の表面を水をよくはじく様に処理し、有機半導体を溶かしたインクを回路の形に加工したゴムに吸わせ、基板に5分間以上押し付けると、有機半導体が基板に印刷される。3年後の実用化をめざし、ディスプレイの制御に使う薄膜トランジスタの実現を目指す。

2012年11月8日木曜日

ナノの空洞で化学反応、先端人京都大学准教授植村卓史氏

20121108日経産業新聞11面

 多孔性金属錯体という一辺が1ナノメートル角の立方体が整然と並んだ新材料が注目を集めている。狭い空間で化学反応を起こす新たな試みで、基礎科学の印象が強いがさまざまな応用が期待されている。その一例が多孔性金属錯体の内部に特定の気体が入ると構造がわずかに変化して発光する「ガスセンサー」。動力源となる物質を詰め込み、MEMSへ組み込むアイデアもあり、多孔性金属錯体から水をはじく物質を少しづつ放出して水面を動くモーターが発表されている。この研究の中心となっているのが京都大学准教授の植村卓史である。

微細気泡、実用化に期待、日本発、国際標準化を推進(微細気泡産業会)

20121108日刊工業新聞7面

 ナノ・マイクロバブルと呼ばれる日本発の微細気泡技術の実用化を推進する一般社団法人微細気泡産業会(FBIA)が2012年7月に設立されている。ナノ・マイクロバブルはキューピーの低カロリー業務用マヨネーズや西日本高速道路のトイレ洗浄に実用化されており、今後は半導体や太陽電池の製造プロセス、大腸菌の殺菌灯幅広い応用が期待されている。FBIAは産総研と共同でナノ・マイクロバブル技術の国際標準化推進にも取り組んでいる。


横滑り部防止装置増産、栃木工場で1.2倍(ボッシュ)


20121108日経産業新聞14
 
 自動車の横滑り防止装置(ESC)の製造大手である独ボッシュ日本法人は栃木工場で生産が2割増しとなっている。ESC101210月から国内で乗用車への搭載が義務付けられている。

2012年11月7日水曜日

次世代センサー開発促進、独社の薄膜成長装置導入(旭化成エレクトロニクス)

20121107日刊工業新聞9面

 旭化成エレクトロニクスはドイツより化合物半導体製造用の薄膜成長装置を導入し、省エネ家電など次世代センサーの開発促進を目指す。同装置は有機金属などの薄膜材料を高温で反応させて基板上に製膜する。大面積や複雑な形状、研究ベースの試作から量産まで柔軟に対応できる。

2012年11月6日火曜日

シリコンウエハー、原子レベルで品質評価、超音波デバイス活用(新潟大)

20121106日経産業新聞1面

 シリコンウエハー上に超音波を検知する微細なデバイスを作製し、ウエハーを伝わる超音波の速度を調べることで、原子レベルの欠陥を調べる技術を新潟大学大学院の後藤輝孝教授らが開発した。原子レベルの欠陥は原子空孔と呼ばれ、シリコン結晶に原子が欠けた状態で、半導体の製品不良の原因となる一方で、特定の電気特性を持たせる、プラスマイナス両面の影響がある。ウエハー上に半導体製造技術で無数の超音波デバイスを作製し、絶対零度まで冷やして0.5ギガヘルツの超音波を当てる。シリコンは冷却により柔らかくなるが、原子レベルの欠陥が多いほど柔らかくなり、超音波の伝わる速度が遅くなることを検知する。原子レベルの欠陥を定量的に調べられる。

業界初の9軸MEMSセンサー、3.0x4.5ミリの超小型(独ボッシュ・センサーテック)

20121106電波新聞3面

 ドイツのロバート・ボッシュ子会社のボッシュ・センサーテックは、12ビット加速度計、16ビット解像度ジャイロスコープ、地磁気センサーと3種類の3軸センサーを集積した絶対方位センサーを出荷した。拡張現実(AR)、ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)、位置情報サービス、スマートフォン向け屋内ナビゲーション、遠隔制御用HMIなどの利用を想定。3.0x4.5x0.95ミリメートルの20ピンLAGパッケージで提供する。

2012年11月5日月曜日

ジャイロセンサー開発、車載向け、15年めどに商品化(TDK)

20121105電波新聞3面

 TDKは振動設計技術を駆使し、振動に強く高精度なMEMSジャイロセンサーを開発した。シリコンベースに圧電膜を形成し、小型化に加えて高温度にも耐え、エンジンルーム内の搭載を可能としている。自動車の横滑り防止システムでのヨーレート検知、ロールオーバー検知など、15年をめどに商品化する。

2012年11月1日木曜日

北大の化学物質検査チップ、毒性判定時間三分の一に、細菌の遺伝子変異を活用

20121101日経産業新聞11面

 北海道大学の谷博文教授らは細菌の遺伝子変異を活用し、化学物質の毒性を判定する小型チップを開発した。3センチメーター角のシリコーン板やゴムに700マイクロメートル角の穴や溝を刻み、穴の底に大腸菌を取り付け、溝から流し込んだ化学物質の液体との反応を検知する。大腸菌は遺伝子操作により、化学物質が作用して遺伝子が変化すると発光するようにしており、光の検出で遺伝子変異の程度を分析する。従来法では試験官などで菌を培養し、化学物質を加えて反応を見ていた。開発チップでは穴や溝の狭い隙間で反応させるので化学物質が少なくて済み、反応結果が出る時間も半分から三分の一になる。医薬品原料などの安全性試験、河川の汚染物質検出に活用できる。

2012年10月31日水曜日

揮水表面に半導体塗布、新製膜法を開発(産総研)

20121031日刊工業新聞29面

 産業技術総合研究所フレキシブルエレクトロニクス研究センター長谷川達生氏らは液体を強くはじく撥水性の高い表面に有機ポリマー半導体溶液を塗布し、均一に薄膜化する新技術「プッシュコート製膜法」を開発した。薄膜トランジスタ(TFT)を従来より簡単に製造できる。

2012年10月30日火曜日

ナノリング、製作費用百分の一、可視光の屈折率変更、光学顕微鏡に応用(東北大学)

20121030日経産業新聞10面

 ナノメタリアルと呼ばれる、電磁波に対して自然界の物質にはない振る舞いをする人工の材料を作る技術を東北大学の藪浩准教授らが開発した。直径が数十~数百ナノメートルの金属微粒子のリングを材料の中に規則正しく並べたもので、光や電磁波が通り抜けるときの性質を人為的に変更でき、顕微鏡の解像度向上等が期待できる。ポリスチレン樹脂の微粒子と金の微粒子が散らばった水溶液を蒸発させることで造るもので、電子ビームなどを使う従来法に比べてコストを100分の1程度に抑えられる。

2012年10月29日月曜日

非接触の温度センサー、感度3倍に、薄膜技術を応用、家電などに用途(TDK)

20121029日経産業新聞4面

 サーミスタ材料から薄膜を製作し、感度や応答性能を高めた温度センサーをTDKが開発した。応答時間が数ミリ秒と従来の千分の一、わずかな温度変化を検知できるので非接触測定が可能となる。非接触温度測定で現在主流のサーモパイル(多数の熱電対)に比べて感度は3倍で小型化も可能。調理家電、医療機器、産業機器やモーター・バッテリーの温度監視が用途として期待される。

H2Aジャイロ価格千分の一、MEMS活用、機械式を高精度化(住友精密とJAXA)

20121029日刊工業新聞1面

 住友精密工業は宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、MEMS技術を活用し、これまでの光学式に比べて価格は百分の一のジャイロを開発する。機械式ジャイロはこれまで精度の点からロケットには使われてこなかったが、住友精密は温度特性の補正をアナログからデジタルに切り替える等きめ細かく補正し、部品点数を半減して軽量化、精度を現行品の十分の一に当たる毎時0.1度程度にする。

分子放出で高速移動、水面泳ぐナノモーター(京大)

20121029日刊工業新聞20面

 京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)副拠点長の北川進教授と同大学院工学研究科の植村卓史准教授らは微細な穴を持つ物質から疎水性分子を放出することで水面を移動する化学モーターを開発した。金属イオンと有機物で構成しナノサイズの穴を持つ多孔性金属錯体(MOF)に、疎水性ペプチド分子を導入し水面で放出すると、水面とMOFの境界に疎水性領域が形成されて表面張力の不均一状態が生じ、表面張力が低い疎水性領域から高い水面側にMOFが引っ張られる。光や温度の変化に反応して動くモーターや、分子を輸送する分子ロボットなどの応用が期待される。

「エネルギーハーベスト」に期待、リモコンや無線センサーなどに応用「電池レス」実現へ

20121029電波新聞1面

 エネルギーハーベスト(環境発電)関連デバイスの開発が盛んである。電池レスやメンテナンスフリーを実現する技術として期待が高いが、発電量が微小かつ不安定という課題に対応し、より高い発電効率の素子と微量電力の有効活用素子の開発が進んでいる。ロームは室内照明による太陽電池やキャパシター、無線通信モジュール、電源ICなどを開発、次世代無線通信規格推進団体「EnOcean Alliance」の主幹メンバーともなっている。村田製作所は圧電発電デバイスによる照明用無線スイッチを、アルプス電気は電磁発電と無線通信によるヘルスケア向け「見守りセンシング」を、ミツミ電機は空調ダクトの振動で電磁発電する「マイクロ振動デバイス」を、ニチコンは自然エネルギーの発電変動や電力ピークカットに対応する各種システム、太陽誘電はキャパシターを生かしたワイヤレスセンサーネットワーク、富士通セミコンダクターはピエゾ素子による振動発電に対応した電源ICにそれぞれ取り組んでいる。

2012年10月26日金曜日

免疫細胞採取の新チップ、回収率2倍以上に、抗体医薬開発に活用(富山県工技センター)

20121026日経産業新聞9面

 薄膜技術を活用し、がんなど特定の細胞を攻撃する免疫細胞を血液中で特定して回収するチップを富山県工業技術センターと富山大学が開発した。免疫回収率が従来の2~4割が7~9割に向上、1つのチップで約12万個の細胞を採取でき、作業時間も従来の5分から数秒に短縮できる。「透明磁気チップ」と呼び、ガラス基板に10~20マイクロメートル穴が開いた樹脂膜を重ね、穴の底に細胞を吸い寄せる磁性膜を作る構造。透明樹脂の量産は北陸電気工業が担当し、感光性樹脂で穴の開いたチップを生産する。

テクノトレンド、微細な泡で洗浄・浄化、処理費、大幅に削減

20121026日経産業新聞9面

 「マイクロバブル」と呼ばれる微細な気泡を活用した洗浄や水質浄化の開発が進んでいる。直径50マイクロメートル以下のマイクロバブルが消えるときフリーラジカル(水酸基ラジカル)と呼ばれる物質が発生する。これを活用した半導体洗浄装置を瀬戸技研工業が開発した。ノズルから直径20~70マイクロメートルのオゾンの泡を吹き付けフォトレジストを取り除く。通常のオゾン水に比べて除去速度が2倍となった。洗浄工程は半導体製造工程の3~4割を占めるので、新装置により薬液と排水処理費用の大幅な削減が可能となる。マイクロバブルは複写機のトナー工場の排水処理やアオコの発生抑制にも利用されている。

2012年10月25日木曜日

異なる物質水で接着、低温で加熱脱水縮合反応、バイオセンサーに活用(物材機構)

20121025日刊工業新聞21面

 物質・材料研究開発機構・エネルギー材料部門ハイブリッド材料ユニットの重藤暁津主任研究員は、水を接着剤として金属や樹脂など異種材料を接合できる技術を開発した。接合する材料の表面をエッチングにより均一とし、一定量の水蒸気を入れると表面に水分子が結合する。この両面を合わせて加熱し、脱水縮合反応で接合する。銅、ガラス、ポリイミドのどの組み合わせでも可能で、処理温度が低く、ほぼすべての工程を大気圧下で出来る。従来は材料ごとに別のプロセスで接合していたためコストや時間がかかっていた。今後は完全大気圧化と対応材料の拡大を目指す。

センサー事業強化、MEMS応用の高性能品に注力、ガスセンサー新たに開発(北陸電気工業)

0121025電波新聞4面

 北陸電気工業がMEMS技術を活用したセンサー開発に注力している。これまでの3軸加速度センサーに加え、小型気圧センサー、小型フォースセンサー、さらに自社のマイクロヒーターとエフアイエスの半導体ガスセンサーの材料技術を融合した低消費電力のMEMSガスセンサーを開発した。

2012年10月24日水曜日

フロンティア知恵を絞る、1滴でたんぱく質検出(東レ先端融合研究所)

20121024日経産業新聞7面

 東レ先端融合研究所のたんぱく質チップは、名刺大のプラスチックチップで、1滴の血液を入れて専用の装置にかけると20分以内に病気の原因となるたんぱく質の有無が分かる。装置は家庭用プリンターほどの大きさで15kg、200万円以下、チップは使い捨てで1枚数千円を想定しており、来年には製品化される。たんぱく質チップの内側には数十~数百マイクロメートルの溝や窪みがあり、溝に流れ込んだ血液は窪みで血球が分かれ血漿だけが先に進む。次に抗体で覆った樹脂製ビーズと反応させ、抗原抗体反応で粒子に付着したたんぱく質の種類を蛍光分析で調べる。従来の大型機に比べて、小型・安価で中小病院でも導入できる。

2012年10月20日土曜日

カリフォルニア工科大:レーザ干渉型MEMS加速度センサ開発

海外技術動向
http://www.caltech.edu/content/developing-next-generation-microsensors
 カリフォルニア工科大(Caltech)は、レーザ干渉を応用したMEMS加速度センサを開発した。これまでのMEMS加速度センサは、おもりの変位を電気抵抗や容量の変化で検出するタイプであったが、本センサではフォトニック結晶構造中に作製されたおもりの変位を干渉光の強度の変化で検出する。光方式は、高感度、低雑音、温度依存性が小さい等の特徴があり、高精度を必要とする人工衛星等への搭載が検討されてきたが、大型のシステムであった。
 Caltechはマイクロ加工プロセスによりSiチップ内にレーザ干渉型加速度計を作製し、動作させることに成功した。小型であるため、民生用途への展開が期待される。
Nature Photonics (2012) DOI:10.1038/nphoton.2012.245


2012年10月16日火曜日

電機部品各社、医療機器・ヘルスケアに照準、新需要創出めざす、センサーや通信技術活用

20121016電波新聞1面

 電子部品業界では医療機器・ヘルスケア市場の取り組みを強化している。シーテックジャパン2012で出品されたセンサー関連は以下の通り。TDKはMEMS薄膜プロセスを活用した温度変化を検出する薄膜サーミスタ。アルプス電気は紫外線や熱中症など体感環境センシング。パナソニックデバイスは移動、静止、移動方向を検知する赤外線アレイセンサー、半導体圧力センサー。村田製作所は加速度センサー、傾斜センサー、ジャイロセンサー。ミツミ電機は血圧計など向けデジタル出力ゲージ圧センサー。ロームは微量血液検査システム、唾液からストレスを判定するデジタル免疫チップなど。

電源無くても無線通信、ボタン押すと発電、ナースコールなどに応用(アルプス電気)

20121016日経産業新聞4面

 ボタンを押すと磁石の力で発電するスイッチをアルプス電気が開発した。ボタンを押すと磁石が高速回転し、組み込んだコイルが一回で140マイクロジュール程度の電力を発生する。この電力により、組み込んだ小電力に適した近距離無線通信規格「ZigBee」の通信ICを駆動し外部に発信できる。電源コードや電池が不要のため、ナースコールなど医療分野での実用化を目指す。

2012年10月13日土曜日

スマートフォン、タブレット向け複合モーションセンサの需要が急増(iSuppli)

海外産業動向
http://www.eeherald.com/section/news/onws201210101.html
 調査会社のIHS iSuppliはスマートフォン、タブレット向け複合型モーションセンサ(信号処理含めた加速度、ジャイロ、電子コンパス一体型)の市場予測を発表した。それによると2011年に販売が開始され売上げは$23M(約18億円)に対し、2012年は$189M、2016年は$1.4Bと約60倍に成長する見込みである。また全体に占める複合型の割合は71%になる見込みである。
 複合型には様々なタイプがあるが、9軸センサとして機能するものが代表である。(3軸加速度、3軸ジャイロ、3軸コンパスを複合化)Samsungのスマートフォン、タブレットは6軸複合センサを採用している。一方Appleはまだ個別のディスクリート型を採用している。
 センサメーカーの動向としてInvensenseは現在は優れた機能を有する6軸複合センサを主に供給している。最近ではInvensenseについでBosch、Freescale、STMicroelectronics、愛知製鋼が小型高機能な複合センサを開発している。
特にInvensense とSTは9軸複合センサで競っている。パッケージサイズは4×4mmで2013年から本格的に採用される見通しである。
 加速度とジャイロの製造プロセスは似ているため集積化しやすいが、電子コンパスのプロセスはMEMSプロセスとは異なるため、集積型のハードルは高い。MEMSメーカーと電子コンパスメーカーの共同開発が必要ろ考えられる。

2012年10月11日木曜日

特集センサー技術、CEATECに見るMEMSセンサーの製品動向

20121011電波新聞10面

 シーテックでは様々なMEMSセンサーが紹介された。TDKは車載可能で外乱振動に対する出力変動が極めて少ないジャイロセンサーを開発した。村田製作所のジャイロコンボセンサーは1軸ジャイロセンサーと3軸加速度センサーを1パッケージ化した。ロームはグループ会社Kionix社の民生用途ジャイロスコープと3軸加速度センサーを展示した。
 気圧センサーではTDKが温度も測定できる製品を、ミツミ電機は小型と防水タイプを展示した。アルプス電気は8cmの高低差に相当する分解能を有する製品を展示した。
 北陸電気工業はMEMSヒーターと感ガス材料を融合したガスセンサーを展示した。
 太陽誘電はレーザー光を通して光の干渉により光路差を検出する変位センサーを開発した。
 パナソニックはSi基材に開けた穴にSiの梁を置き、梁の上に圧電体を載せた構造のMEMS歪センサーを開発した。圧電体の周波数変化により歪を検知する。
 TDKのMEMSマイクロフォンは、振動膜とICをセラミック基板にパッケージしたもの。アルプス電気はピエゾ抵抗素子を使用したフォースセンサー、パナソニックはサーモパイル型赤外線アレイセンサーを展示した。

特集センサー技術、MEMSヒータの技術

20121011電波新聞8面

 従来の熱源として使われるヒータにはセラミックヒーターやコイル式ヒータがあるが小型化が難しく、消費電力が大きい、熱応答性が大きいという課題があった。北陸電気工業のMEMSヒータはこれらの課題に対応したものでシリコン上に絶縁膜と白金薄膜ヒータを形成している。応用例として半導体式ガスセンサがあり、金属半導体酸化物(感ガス膜)の空気中のガスによる化学反応を電気信号に変換したものである。反応性を高めるためと感ガス膜のクリーニングに熱エネルギーが必要とされる。MEMSヒータは熱応答性が高く低消費電力という特質がある。赤外線吸光式ガスセンサの光源としても活用できる。

センサー、MEMS応用した新製品の開発活発化

20121011電波新聞7面

 MEMS技術を応用したセンサーの開発が盛んだ。村田製作所は自動車用品質基準に適合した加速度センサー、ジャイロセンサー等を販売している。TDKは非接触で温度変化を検出できる薄膜サーミスタを開発した。北陸電気工業はマイクロヒーターと半導体ガスセンサーを融合したガスセンサーを開発した。

チャレンジ新製品、赤外線センサー、静止している人も検知(パナソニック)

20121011日経産業新聞7面

 パナソニックが出荷を始めた赤外線アレイセンサーは室温や体温を読み取り、静止している人の存在を検知できる。これまで照明の自動点灯などに使っている赤外線センサーは、焦電型とよぶ温度(赤外線)の変化を検知するもので、物体が動かなければ検知できない。赤外線アレイセンサーは、異なる金属を張りあわせて赤外線を受けた際に金属同士に生ずる電位差を測る素子を使用し、MEMS技術を活用して3ミリメートル四方に縦横8個、合計64個の画素を形成した。細かな温度分布を検出でき、まずは電子レンジで調理した食物の温度検知に供給し、エアコンや介護ベッドの見守り用途等への展開を想定している。

2012年10月10日水曜日

小型プロジェクター、レーザー光源で試作、携帯端末内臓も視野(パナソニック)

20121010日刊工業新聞9面

 パナソニックはレーザー光源により100ルーメンの明るさを持つ厚さ7.5ミリメートルの小型プロジェクターを試作した。USBでパソコンに接続したり、機器に内蔵プロジェクターとして組み込める。スマートフォンへの内臓を想定するレーザー光源「走査型光学モジュール」はレーザースキャン方式で3原色レーザーやMEMSミラーをモジュール化した。

MEMSマイク事業好調、月産1億個規模に、スマホ・携帯用世界シェア80%(米ノウルズ)

20121010電波新聞3面

 スマホ・携帯用MEMSマイクの世界シェア80%に達するノウルズは02年末から量産を開始し、今年5月に累積出荷30億個に達し、現在は月産1億個規模の生産を行う。同社の「SiSonic」はリフロー対応、X線被ばくの感度劣化なし、ハロゲンフリー、-40~+100℃動作、電圧・温度・湿度変動に安定動作、対落下衝撃性という特徴を持つ。第4世代MEMSマイクはチップサイズ0.9x0.9ミリメートルで様々なタイプ。

2012年10月9日火曜日

バイオチップ使用の微量血液分析、高感度小型免疫測定システム、欧州で販売開始(ローム)

20121009電波新聞1面

 ロームは使い捨てバイオチップ使用の分析システムを国内に続き、欧州でも販売する。微量血液分析システムは、血液をバイオチップに注入し、卓上サイズの検査装置に装てんすると、数分で結果が分かる。感染症、肺炎などの炎症用、動脈硬化などの炎症、糖尿病マーカーのバイオチップを揃えている。高感度小型免疫測定システムもバイオチップに唾液や血液を注入し、チップ上の試薬との免疫反応、発色反応の度合いを光学測定する。医薬研究や化粧品、健康食品の評価などの需要を見込んでいる。

2012年10月8日月曜日

オムロンとSTMicro:ガス流量センサを共同開発

海外技術動向
http://www.electronicsweekly.com/Articles/05/10/2012/54721/omron-and-st-design-smart-mems-gas-sensor.htm
 オムロンとSTMicroelectronics(ST)は、共同で高機能なガスセンサを開発したことを発表した。これは測定するガスの種類を自動補正する機能を有する。
 オムロンは熱型のMEMS流量センサチップの開発を担当し、STはセンサ信号処理ICの開発を担当した。
本センサは、ガスの種類によらず、入荷した状態ですぐに使用できる。使用環境中の温度や圧力の変動を補正するだけではなく、ガス組成が変わっても自動で補正する機能を有する。
「このセンサはスマートガスメータと呼べるもので、ビルの省エネに貢献することができる」と関口事業部長は説明している。オムロンは本センサを2012年11月よりサンプル出荷する。

2012年10月4日木曜日

「シーテック」電子部品、自動車市場取り込み(TDK,アルプス電気、村田製作所、京セラ)

20121004日刊工業新聞8面

 電子部品各社が新たな製品群を開発して自動車市場への参入を加速している。TDKは電気自動車にワイヤレスで給電する装置を、アルプス電気は車内でドライバーの動きを検知して運転をサポートするセンサー、村田製作所はアイドリングストップ向けMEMSセンサーや車体の傾きを検知する傾斜センサー、京セラは液晶ディスプレー内臓バックミラー等を展開している。

2012年10月1日月曜日

3次元実装、本格量産間近か、TSV技術、14-15年頃が濃厚、小型・軽量・低コスト化、デバイスの要求に応える

20121001電波新聞1面

 3次元実装の鍵となるTSV(シリコン貫通電極)の本格量産は14-15年度からとみられる。既に量産されているのはCMOSイメージセンサー、FPGAがあり、多層構造のメモリーモジュールやDRAMが出始めている。仏ヨール社の予測では15年に2200億円としている。

デバイス最前線-自動車、「微小電気機械システム」応用(浜松ホトニクス)

20121001日刊工業新聞12面

 浜松ホトニクスは「電磁式駆動レーザー走査型MEMSミラー」を開発した。自動車のフロントガラスにナビ情報などを投影する車載用ヘッドアップディスプレーに応用可能。

生分解性の電気デバイスを試作(米イリノイ大など)

20121001日刊工業新聞20面

 生体内で分解吸収される電気デバイスを米イリノイ大学、タフツ大学、ソウル大などの研究チームが試作した。多孔性シリコンのシートでトランジスタなど電子素子を、マグネシウムで電極を作成し、絹の層で覆って電子回路とした。設定した期間が過ぎると体液に溶けて消滅するため、手術後の感染症治療に利用すると、取り出す手術が必要ない。環境モニタリングやコンシューマー機器にも応用が可能。

血液・尿の微量物質センサー、人工ダイヤで高精度検出(東京理科大)

20121001日経産業新聞11面

 電極の素材を人工ダイヤモンドに代えて、血液や尿に含まれる微量の物質を高い精度で検出するセンサーを東京理科大学の近藤剛史助教が開発した。炭素原子の一部をホウ素に置き換えて電気が流れるようにした人工ダイヤの粉末を樹脂性フィルムの上にまぶした構造。従来の炭素製電極に比べてノイズ電流が1/3程度に減少した。尿中のショウ酸の濃度から尿路結石のリスクが、血液や尿に含まれる糖分のグルコースから糖尿病の診断に使える。

2012年9月29日土曜日

iPhone5分解

海外産業動向
http://www.eetimes.com/electronics-news/4396862/Teardown--Inside-Apple-s-iPhone-5?pageNumber=0
(以下抜粋)
 iPhone5を分解して、部品の技術動向、企業動向を調べる。
初代より一貫して採用しているICメーカーにはSamsung、TI、STMicro等の大手の他、Dialog Semiconductor、Skyworks Solution、Triquint Semiconductor等の中小企業も含まれている。
調達先を変更したものもあり、注目されるのはベースバンドプロセッサーをInfineonからQualcommへ変更した。iPhone5は通信規格LTEを採用、QualcommはLTE向けIC技術で優位であった。
 3軸加速度センサ及び3軸ジャイロセンサはSTMicroでAppleはこれらのデバイスに満足している。
Flash memoryはSanDisk、Processor memoryはElpida、Bluetooth chipはBroadcomである。
AppleによるプロセッサーAxシリーズには新たにA6が搭載された。Axシリーズの製造は初代からSamsungに委託していたが、最近の特許係争で関係が悪化し、A6はTSMCに委託したとされる。しかし今回分解してみるとA6チップにはSamsungのマークが見え、謎である。
参考:http://eetimes.jp/ee/articles/1209/23/news005.html

2012年9月27日木曜日

2ミリ角の低消費電力・高性能MEMS3軸加速度センサー、米Freescaleがモバイル機器用

20120927電波新聞22面

 米Freescale Semiconductorは2x2ミリメートルの3軸加速度センサーを発表した。スマートフォンやタブレット端末、デジタルカメラ、ナビゲーションシステム、ヘルスケア機器などモバイル機器用。ジェスチャ検知、手振れ補正、タップ制御、盗難防止、転倒・自由落下検知などをサポート。1000個ロット時の単価は0.77ドルと0.66ドルの2種。

MEMS技術、センサー・フュージョンの新技術

20120927電波新聞20面

 ローム子会社カイオニクスは、各種センサーからの情報や信号の交通整理、センサーの消費電力最適制御を行うソフトウエアであるセンサー・フュージョン・ソフトウエアを提供している。加速度センサー、ジャイロスコープ、地磁気センサー、近接センサー、照度センサー、圧力センサー、GPSなどが、スマートフォンやタブレットPCに搭載され、Windows8ではこれらのセンサー搭載が必須となっている。また、画面縦横検知、自由落下検知、歩数計測、タップ/ダブルタップ機能、パワーマネジメント機能を内蔵した加速度センサーを発表した。

村田製作所のMEMSセンサー、高精度と高信頼性を両立

20120927電波新聞18-19面

 村田製作所はフィンランドのMEMS専業メーカーVTI社を買収し、3次元MEMS技術用いたMEMSセンサーを市場に供給している。3次元MEMS技術は可動部を構成するシリコンウエハーと、上下から挟んで接合・封止するCAPウエハーで実現する。MEMS構造部からの引き出し電極にVIAを導入して電極間の高い絶縁抵抗と低い寄生容量を、可動部と蓋の間の2.5マイクロメートルという高精度な空間制御、原子レベルの気密封止により高精度化、高安定性を実現した。加速度センサー、ジャイロスコープ、2つのセンサーを1パッケージに収めたコンボセンサーを提供している。

クワッドコアのMEMSジャイロセンサー、車載用途に最適な高い耐震動性を実現(アナログ・デバイセズ)

20120927電波新聞16-17面

 車両の走行制御システムに使用されるジャイロセンサーは動作時に様々な機械的衝撃や振動にさらされるが、アナログ・デバイセズのマルチコア設計のMEMSジャイロセンサーは外部からの影響を除去できる。横滑り防止装置(ESC:Electronic Stability Control)は2011年以降、米国およびEUで販売される新型乗用車に搭載が義務付けられているが、車両の垂直軸における回転速度と実際のステアリング角度の比較により、危険を判定し車輪のブレーキを制御する。このような安全システムを高い信頼性で動作させるため、アナログ・デバイセズのジャイロセンサーでは、振動や加速度の影響を除外するため、2つの錘を逆位相で駆動する差動センサー方式を採用し、さらにデュアルで作動させるクワッドセンサー構成を実現している。

MEMSデバイス需要が急拡大、自動車、モバイル機器から医療・ヘルスケア分野にも応用進む

20120927電波新聞15面

 MEMSを用いたデバイスの需要が拡大している。応用が進んでいるのがセンサーデバイスで、圧力センサー、加速度センサー、ジャイロ(角速度)センサーなどが実用化されさまざまな機器に搭載されている。自動車には100個程度のセンサーが搭載されていると言われ、エアバッグシステムで加速度センサーが、油圧や空気圧の検知、タイヤやステアリングの角度検知にMEMSセンサーが搭載されている。近年はスマートフォンに加速度・ジャイロセンサー、磁気センサー、気圧センサーが搭載され、MEMSの市場も拡大している。
 マイクロマシンセンターの調べでは、MEMSの国内市場規模は2010年実績で7227億円、2015年には1兆5500億円と倍増の見込み。今後も、マイクや高周波フィルター、スイッチという従来デバイス分野へのMEMS技術の応用が進む。応用分野も医療・ヘルスケアでの圧力センサーや血液等分析チップ、需要増が見込まれている。

光複合センサー開発、非接触モーション・近接・照度の3機能(村田製作所)

20120927電波新聞1面

 複数の受光素子のフォトダイオードとLED系発光素子とを並べ、対象物の反射光を検知して、左右、前後、上下の3軸の動作(モーション)を検知するモーションセンサー、近接センサー、照度センサーの機能を備える光複合センサーを村田製作所が開発した。モバイル機器、デジタルカメラ等家電、カーナビ、アミューズメントなどの用途開拓を進め、5年以内の事業化を目指す。

2012年9月25日火曜日

携帯端末向け電子コンパス用地磁気センサー、日系部品各社が事業拡大、小型・高性能化など重点

20120925電波新聞1面

 電子コンパスは地磁気を検出して方位を求めるセンサーで、2000年代後半から国内携帯端末に搭載され、08年頃からスマホ向け需要が拡大し市場はグローバル化した。電子コンパス市場は7割のシェアを持つ旭化成エレクトロニクスを中心に、アルプス電気、ヤマハ、愛知製鋼の4社でほぼ独占している。各社とも小型化、高性能化、低消費電力化を進めている。

2012年9月24日月曜日

熱や振動から環境発電、センサー向け有望市場、課題はコスト・能力向上

0120924日経産業新聞1-2面

 身の回りにある熱、光、振動、電波というエネルギーを収穫し電気に変えるのが「エネルギーハーベスティング(環境発電)」という技術。環境発電の世界市場規模を2020年でデバイスだけで数千億円と予測している。センサー向け市場が有望で、電気を自給自足できれば、電源配線や電池交換から解放される。センサーを取り付けた産業設備や社会インフラをネットワークで結び、データ交換により高度な制御を実現する「M2M(マシン・ツー・マシン)」のキーデバイスだ。橋梁に揺れやゆがみを監視するセンサーを取り付ければ、事故が起きる前に補強ができる。ヤマハは体温で発電し、センサーで体温や湿度を測定し、データを無線で送るリストバンドを試作したが、課題はコストで、ヤマハの例でもボタン電池に比べればはるかに高額となる。富士通研究所では熱と光のどちらでも発電できるハイブリッド発電素子を開発している。

2012年9月22日土曜日

MEMS Executive Congress 2012 予告:医療・ヘルスケア用MEMS

海外技術動向
http://memsblog.wordpress.com/2012/09/19/preview-of-mems-in-medicalquality-of-life-panel-at-us-mems-executive-congress-us-2012/
 米国MEMS Industry Groupが毎年主催するMEMS Executive Congress (MEMSビジネス会議)は今年も11月7-9日にアリゾナ・フェニックスで開催される。今回のテーマの一つ医療・ヘルスケア用MEMSについて、予定する会議の内容をチェアマンに対する質疑応答方式で紹介する。
・講演者は?
 基調講演はMicroCHIPS社長Robert Farra。同社はドラッグデリバリ、埋め込み型グルコースセンサ、心臓補助システム、人工心臓、腹腔鏡手術機器、内視鏡等を扱う。
 次の講演はMedtronic社の取締役Paul Gerrish。同社は人体埋め込み型医療機器他を扱う。
 次にBodyMedia社の創業者Ivo Stivoric。同社はウェアラブル健康管理機器を扱う。

・MEMSはどのように寄与するか?
対象者の体調管理、医者の診断、モバイル健康管理機器において重要な役割を果たす。一日を通しての常時モニターするには小型センサーが不可欠である。MEMSモーションセンサは人の動きを記録するのに必須となっている。
 高齢化、肥満化に伴う体調管理では血圧計が重要である。ここでも適切な運動量管理のためにMEMSモーションセンサは欠かせない。

・今後5-10年で新たに生まれる医療・ヘルスケア用MEMSは?
 在宅診断用画像センサー、人工すい臓、ドラッグデリバリ用マイクロポンプ、カテーテル用圧力センサ他

・最近スマートフォンのアプリにヘルスケア関連が増加している。今後の動向は?
 健康管理のための様々な体調データがクラウド管理されるであろう。
 アプリの種類も益々増加するであろう。例えばバーチャルナース、医療サポートチームがデータを基に適切な助言を与える。
 以上のような内容が議題になる予定である。

※MEMS Executive Congress への参加にご興味ある方はマイクロマシンセンター 阪井までお問い合わせ下さい。

2012年9月20日木曜日

人感センサー共同開発、空間把握や方向検知、年内評価キット販売(S&Wとプロアシスト)

20120920日刊工業新聞23面

 フィルム上に焦電型赤外線センサーを集積したフレキシブル薄型人感センサーの開発をセンサー・アンド・ワークス(S&W)とプロアシストが開発する。複数の焦電センサーの情報により、人物を特定せずに空間把握や方向検知に活用できる。家電や住宅設備、ウエラブル機器などへの組み込みを念頭に、評価キットを販売し、2014年までに1個数百円の量産を目指す。

2012年9月18日火曜日

日立製作所:監視機能、無線アンテナを備えるパウダー/ダストチップ開発

海外技術動向
http://www.defensereview.com/hitachi-powderdust-%C2%B5-chip-ultra-small-micro-rfid-chip-with-embedded-antenna-for-military-and-clandestine-intelligencesurveillance-applications-u-s-military-law-enforcement-and-inte/  日立の"Powder/Dust"μチップは超小型のマイクロ波RF-IDで人の目につかずに監視できる機能を持つ。
日本の大手電機メーカである日立は、チップサイズ0.15mm×0.15mm、厚さ7.5μmの超小型チップに128bit ROM、マイクロ波RF-ID、38桁の数値を記憶できる機能を備え、見た目は黒い砂粒のチップを開発した。
このマイクロチップはSOI基板設計プロセス技術と各演算部の間隔を短縮化することによって生まれた。同様なチップとして軍需用に開発されたSmartdustがあり、MEMS技術により光、温度、振動を検出する機能を持つ。日立によると"Powder/Dust"の優位点は超小型であること、高信頼性、無線通信機能、インターネット機能を備えることにある。応用分野はセキュリティシステム、輸送、アミューズメント、履歴記録等が考えられる。米国のNASA、CIA、FBIが関心を示している。例えば追跡したい人や物があれば、このチップを活用できる。

血液などから病気診断、センサー感度10倍に(京都工繊大)

20120918日経産業新聞10面

 抗体と呼ぶたんぱく質を使用し、血液などから病気を診断するセンサーの感度を10倍以上向上させる技術を、京都工芸繊維大学の熊田陽一助教と新エネルギー・産業技術総合開発機構が開発した。抗体は病気特有のたんぱく質と結びつくので、血液や尿を流し、その反応を元に診断する。センサーはプラスチック基板の上に抗体を並べるが、抗体を一定方向に高密度に並べる事で感度が向上した。抗体は遺伝子を組み替えた大腸菌を使って作る。

布用プリンター、普及タイプ投入(コニカミノルタIJ)

20120918日経産業新聞4面

 布地に印刷する業務用インクジェットプリンターの普及機を価格1500万円でコニカミノルタIJが発売する。印刷速度は最大で毎時60平方メートル、染色工程に必要な機能を一体化し、中小布地メーカーでも導入しやすい。

スマホに内蔵、高度センサー(STマイクロエレクトロニクス)

20120918日経産業新聞4面

 スマートフォン用に気圧から海抜高度を検知するセンサーの量産をSTマイクロエレクトロニクスが始めた。センサー内のシリコン膜が気圧で収縮する変化を感知し、数十センチメートル単位で高度を把握する。3ミリメートル角のパッケージで1個当たり2.6ドル。

2012年9月14日金曜日

においと加速度、センサーで日常生活記録、高齢者の安否確認に、神戸大がシステム

20120914日経産業新聞10面

 加速度センサーとにおいセンサーを組み合わせ、プライバシーを保護しながら、食事やトイレ、外出などの行動を把握するシステムを神戸大学の寺田努准教授らが開発した。においセンサーはペンダントのように首から下げて使い、空気の汚れ、メタンガス、二酸化炭素を検出することにより、外出、食事、トイレを認識する。加速度センサーはベルトやバンドに組み込み、体の動きを検知する。センサー情報を無線でパソコンに送り、過去の行動パターンと照合して、利用者が室内で何をしているのかリアルタイムで把握できる。警備会社や介護サービスと組み、実用化を目指す。

2012年9月9日日曜日

フラウンホーファ(IMS):非侵襲ワイヤレス&ウェアラブル血糖センサ開発

海外技術動向
http://www.eetimes.com/design/medical-design/4395648/Wireless-glucose-monitor-aims-to-eliminate-blood-tests
 Fraunhofer Institute of Microelectronic Circuit & Systems (IMS)とオランダの医療機器メーカーは共同で 非侵襲ワイヤレス&ウェアラブル血糖センサ開発を開発した。
 糖尿病患者は毎日数回血糖値を測り必要なインシュリンの量を測定している。この手法では患者の皮膚の炎症を引きこすという問題が生じる。非侵襲型はこの問題が起こらない。
 新開発の血糖センサは汗や涙等の体液から血糖を算出し、ワイヤレス無線機能を備えるので、測定した血糖値の値をレシーバーへ送信することができる。
 検出原理は電気化学法で、酵素によってグルコースを過酸化水素に変換し、その濃度をマイクロポテンショスタットで計測する。
 センサチップサイズは0.5×2.0mmでこの中にポテンショスタットとADコンバータを含む。チップの消費電力は100μAで寿命は1週間から1ヶ月連続計測できる。
電源は外部から非接触給電される。
 次の段階としてさらにサイズを小さくして体内埋め込み型の開発を計画している。

2012年9月7日金曜日

印刷法で擬CMOS、電子回路を試作(山形大)

20120907日経産業新聞11面

 インクジェット法やスピンコート法を用いてCMOSと同等の性能を持つ「擬CMOS」のインバーター(電力変換装置)を山形大学が試作した。主流の露光法よりも材料や製造コストを減らせ、プラスチック基板に電子回路を描けば、曲げられる薄型テレビや電子端末につながる。

圧電材、ポリ乳酸2種で開発、効果はPZTの1.3倍(関西大と帝人)

20120907日刊工業新聞24面

 既存のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の1.3倍の圧電効果を示す、2種類の「ポリ乳酸」から作成する圧電材料を関西大学と帝人が開発した。ポリ乳酸とポリD乳酸が同じ方向の電界に正反対の動きをする特性を利用し、双方のフィルムの間に正極と負極を相互に挟み込む構造。積層する数により圧電効果を制御できる。柔軟性があり大型化・ケイ廊下にもつながり、センサーやアクチュエータの実用化研究を進める。

2012年9月4日火曜日

衣料用デジタル印刷機、小型で安く、少量向けや試作用、来年発売(エプソン)

20120904日経産業新聞4面

 衣料の捺染に使うインクジェットのデジタル印刷機で、少量印刷や試作に向けた小型・低価格品をセイコーエプソンが発売する。これまでイタリアの印刷機メーカー、ロブステリにインクジェットヘッドを提供していたが、共同開発した従来製品「モナリザ」に小型・低価格化した。大量生産に向く「モナリザ」と互換性があり、試作受注に使える。

電子コンパス世界トップシェア、1.6ミリ角、高さ0.5ミリ角品開発(旭化成エレクトロニクス)

20120904電波新聞3面

 旭化成エレクトロニクスは03年7月に世界初の携帯機器向け3軸電子コンパスを出荷した。当時は複数の磁気センサーを搭載し、ユーザーは方位を求めるのに端末を水平に保つ必要があったが、同機はこの課題を解決した。さらに地磁気だけを検知するためのキャリブレーションをソフトウエアにより自動化した。同社の電子コンパスは日本の携帯電話市場で高いシェアを確保し、さらに08年以降は世界のスマホ市場拡大の波に乗り、世界トップシェアを誇っている。
 同社の電子コンパスはシリコンモノシリックホール素子と磁気集束板を用い、3軸磁気センサーをワンチップで構成している。シリコンモノシリックホール素子は磁気を検知するホール素子と信号処理回路を1チップに作りこんでいる。磁気集束板は磁力線が通りやすい材料で、チップ表面におき磁力線の向きを変え、3軸の磁気成分を取得する。

2012年8月31日金曜日

電子コンパス用地磁気センサー事業、世界シェア20%超へ(アルプス)

20120831電波新聞3面

 スマートフォンやタブレット端末向けの電子コンパス用地磁気センサービジネスをアルプス電気が拡大する。大幅に小型化を図った1.6ミリメートル角サイズの3軸地磁気センサーを今年末にも市場投入し、3-4年後をめどにグローバルシェア20%超を目指す。

2012年8月29日水曜日

生体MEMS特許一括管理、エネ・医療を開拓、三菱電など22社

20120829日経産業新聞1面

 生体材料を使ったMEMS技術に関する特許を一括管理し、複数の特許の使用許諾手続きが1回で済む等の第三者が利用しやすいように、新たな組織を三菱電機やテルモなど22社が立ち上げる。産学連携組織BEANS研究所に参加する企業や大学などの研究機関で構成し、財団法人マイクロマシンセンター内に設置する。2013年3月に共同研究が終了することから、特許管理の仕組みを協議し、設立することとした。エネルギーや医療分野での応用を目指す。

2012年8月28日火曜日

糖感知し光るLED素子、血糖値測定にも応用、東北大と産総研

20120828日経産業新聞9面

 筒状炭素分子のカーボンナノチューブや酵素を組み合わせ、ぶどう糖の水溶液から発電してLEDが光る素子を東北大学と産総研が開発した。針に巻きつけて果物に差すと糖度を測れる。将来は血糖値の測定への応用を見込んでいる。

薄いガラスに流路形成、アリューズが手法確立

20120828日刊工業新聞8面

 超音波スピンドル加工と溶着接合により、薄いガラス板の内部に流路を形成する手法を、アリューズ(埼玉県)が開発した。最薄で厚さ0.6ミリメートルのガラス板内に、高さ0.2、幅0.6ミリメートル程度の溝を形成できる。流路溝を掘った複数枚のガラスを接合して3次元流路の形成も可能。

2012年8月27日月曜日

汚染調べるバイオセンサー、銀膜シートに微細な穴、東京理科大が新製造法

0120827日経産業新聞11面

 製造コストを半分以下に抑えられる、汚染を調べるバイオセンサーの新しい製造法を東京理科大の遠藤洋史助教授らが開発した。プラズマ状態のガスにゴムシートをさらし表面に微細な凹凸を作る。へこんだ部分に直径500ナノメートルの樹脂性微粒子を並べ、上に厚さ数十ナノメートルの銀膜を重ねる。別のゴムシートを重ねて押し付け、はがすと、樹脂性微粒子と銀薄膜の一部がシートからはがれ、微細な穴が規則正しく並ぶ構造ができる。検出した物質を含む液を流すと、穴と穴の境目に分子が捉えられ、レーザー光を当てることにより物質の特定などが可能となる。これまでバイオセンサーは半導体製造技術を利用して製造したためコスト面で課題があった。

2012年8月26日日曜日

STMicroelectronics:健康モニター機器強化

海外産業動向
http://www.i-micronews.com/news/STMicroelectronics-accelerates-health-fitness-monitoring,9443.html
 STMicroelectronics(ST)は半導体、MEMSの総合メーカーだが、これから健康モニター、フィットネスモニター機器用デバイスを強化することを表明した。
 FuelBandはNikeによる手首装着活動量計で最近人気が急上昇している。これにはSTの3軸加速度センサが使われている。これは軽い動作から、激しい運動まで識別して活動量をポイントにして表示する機能を持つ。表示部には120個のLEDが用いられている。またバッテリー寿命を延ばすために超低消費電力制御ICが入っている。
 Nikeは今後も個人に適切な運動量、希望する運動量がわかるような活動量計を企画する。STはこのような個人のQuality of Life(QOL)向上のための機器用デバイスを重点化して開発していく予定である。

2012年8月23日木曜日

スマホ配線、幅1/5に、小森コーポが印刷装置

20120823日経産業新聞1面

 グラビアオフセット印刷技術を応用し、フィルムやガラスに実装する配線幅を20-50マイクロメートルと従来の1/5に微細化できる技術を、小森コーポレーションが開発した。ロール型のグラビア(凹版)シリンダーの溝に銀ペーストを塗布、この銀ペーストを弾力性のあるシリコン製シートに移し、さらにフィルムやガラスに転写する。

2012年8月15日水曜日

ワイヤグリッド偏光フィルム、量産メド、市場開発加速(旭化成イーマテリアルズ)

20120815電波新聞3面

 インプリント法でナノサイズの微細パターンを連続的に形成する、ワイヤグリッド偏光フィルムの量産化に旭化成イーマテリアルズが目途を付けた。可視光から赤外領域の広い範囲で透過と反射に偏光分離できる。樹脂フィルムを基材にしているので、局面使用が可能、切ったり貼ったりの加工性に優れ、また耐熱性がある。1ピッチ100-150ナノメートルの櫛歯構造の金属型をロール状に巻きつけ、UV(紫外線)硬化によるインプリント法で製造する。プロジェクタ用の変更ビームスプリッタ、赤外線センサなどの用途を見込んでいる。

2012年8月14日火曜日

TV向け素子、ナノチューブで作成、処理性能5倍(東レ)

20120814日本経済新聞12面

 カーボンナノチューブを使いシリコンに替わる高性能のトランジスタを、東レと韓国のキョンヒ大学が共同で開発した。ナノチューブを溶かしたインクを使い、インクジェットプリンターで作成する。開発したのは画像表示用の薄膜トランジスタ(TFT)で電気の通路にナノチューブを使った。電子の動きが早くなるため、有機EL等の薄型テレビに使うと処理性能が5倍になる。製造時間も従来のアモルファス(非結晶)シリコン製トランジスタの5分の1になる。

植物原料の新型素子、膝に巻いて歩行補助/タッチ画面に応用(帝人と関西大学)

20120814日本経済新聞12面

 植物を原料とする樹脂を使った圧電素子を、帝人と関西大学の田実佳郎教授が開発した。トウモロコシなどを原料とするポリ乳酸という樹脂で作った薄膜と、電極となる導電性の樹脂を交互に挟む構造。電圧をかけて延びる長さは、現在主流のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)製の約2.5倍という。柔らかくて薄く、透明で大面積のシートを作りやすく、かつ安価を実現できる。この素子は有害な鉛を含まないため環境対策上の課題を克服できる。

2012年8月7日火曜日

平らなグラフェン成膜、原子レベルで形成(東北大など)

20120807日経産業新聞9面

 次世代材料であるグラフェン(シート状炭素分子)の成膜技術を東北大学の吹留博一准教授らが開発した。グラフェンの層数を制御しナノスケールで電子物性を自在に操れる。炭化ケイ素(SiC)の基板上にグラフィンを作りこむとき、MEMS技術を活用して数マイクロメートルのパターンを作り、基板表面のナノレベルの段差による電子密度のバラツキを抑えた。グラフェンはシリコンや炭化ケイ素より電子が100倍以上移動しやすく、発光する性質もある。高速演算素子や、演算と発光を備えた素子の実用化を目指す。

結晶性高い微粒子作製、レーザーを活用、太陽電池など性能向上(東工大)

20120807日経産業新聞9面

 結晶性の高い金属ナノ微粒子を、レーザー光の照射で作成する技術を東京工業大学の和田裕之准教授らが開発した。パルスレーザーにより液体中で微粒子を作成し、これに緑色光と近赤外光の2種類のレーザーを当て、プラズマを発生させることにより金属塊の一部を砕き、従来より結晶が高い微粒子を作成した。簡単な装置で微粒子を得られる。結晶性の高い日収支は、太陽電池の発電効率向上、白色LEDの発光効率向上、がん診断・治療への応用が期待される。

半導体加工サービス、ディスコ、独に新施設、試作品を受託、装置受注めざす

20120807日経産業新聞4面

 半導体切断・研磨装置大手のディスコはドイツに試作品の受託加工・検証のための施設を新設する。半導体の切断・研磨装置は高価なため試作品段階での購入は負担が重いが、有料サービスで受託することにより低コストで試験加工ができる。自動車向けパワー半導体、スマートフォン向けの加速度センサー、医療機器向けの超音波振動部品などを見込んでいる。研究段階の加工引き受けにより、量産段階の装置受注を目指す。

商業向けプリントヘッド開発、2色同時に印刷(京セラ)

20120807日経産業新聞4面

 従来の1色のヘッドに比べて設置面積を半減化できる、商業インクジェット印刷機向けの2色同時印刷プリントヘッドを京セラが開発した。インク出入り口を2か所設け、内部流路を工夫した。印刷機では4色カラー印刷のため、同ヘッドを2本並べて使用する。

2012年8月5日日曜日

Panasonic:人工光合成システム発表

海外技術動向
http://www.engadget.com/2012/07/31/panasonic-artificial-photosynthesis-system/
 植物の光合成を人工的に模倣することが、多くの企業で試されている。太陽エネルギー変換貯蔵国際会議でパナソニックは人工光合成の開発状況を発表した。窒化物半導体が光を受けて水を電気分解して酸素、水素を生成し、触媒が水素とCO2をギ酸に変換する。ギ酸は色素や香料の材料となる。

2012年8月2日木曜日

マイクロポンプ、超小型でも出力50倍、駆動源に電解共役流体(東工大)

20120802日刊工業新聞23面

 MEMS技術で作成する、超小型でも大きな力を出せるマイクロポンプを東京工業大学の横田眞一教授らが開発した。フッ素系の絶縁性液体である「電界共役流体(ECF)」を駆動源に応用し、電圧をかけると電極の間に強いジェット流が発生する。マイクロポンプユニットは三角柱とその先のスリット上の電極で構成され、スリットの幅と電極間隔は200マイクロメートル。ECFの容器とつなげて電圧をかけるとECFが流路に沿って流れる。1ユニットの大きさは高さ0.5ミリ、幅0.7-1ミリ、長さ2ミリで直列・並列につなげることで流量・圧力を増加できる。並列3対x直列10対のユニットをつなげたマイクロポンプで、4キロボルトの電圧をかけた時の体積当たりパワー密度は150ミリワットという。携帯電話のレンズ、極小ロボットハンド、人工筋肉などへの応用が期待される。

2012年7月29日日曜日

富士フィルム:高性能PZT圧電薄膜開発

海外技術動向
http://techon.nikkeibp.co.jp/english/NEWS_EN/20120724/230051/
 PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)現在最も使われている圧電材料である。各種アクチュエータや加速度センサ、ジャイロセンサの歪検出部に用いられている。富士フィルムはSi基板上に従来比2倍の圧電性能を有する圧電薄膜を開発した。
 スパッタリングを用いた製膜法でニオブを13%添加することによって高い性能を実現した。バルクPZT材料では分極処理が必要だが、この圧電膜は製膜しただけで高い配向性の膜ができており分極処理が不要になる。
 本年度中には8インチウェハに製膜して出荷対応の予定で面内ばらつきは±5%に抑えている。

2012年7月27日金曜日

1mm角の超小型モーター、脳梗塞治療に「チカラ」(豊橋技術科学大)

20120727日刊工業新聞1面

 1mm角の超音波モーターを豊橋技術科学大学の真下智昭テニュアトラック助教が開発した。駆動部分を覆うステーターは金合金製、この周囲に圧電素子を張り付けた構成で、圧電素子を含めると幅は1.5mm。圧電組織に2種類の交流電圧をかけると素子が伸縮運動を行い、ステーターが振動し力を発生する。回転動作や直動をする。カテーテルに組み込み脳血管疾患での検査や治療を見込むが、内視鏡やカメラ、携帯電話などへの応用も見込む。

2012年7月26日木曜日

「ガラスリボン」開発進める微小化学分析システム用マイクロチップ部材に理科研が採用(日本電気硝子)

20120726電波新聞4面

 理化学研究所で開発を進めている微小化学分析システム用マイクロチップのストップバルブに日本電気硝子のガラスリボンが採用された。マイクロチップ上の細胞や溶液を送液制御するストップバルブにガラスが初めて採用された。ガラスリボンは樹脂に比べて優れた耐久性を持ち、厚さ5-50マイクロメートル、幅0.5-5ミリメートル、長さ100メートル以下の精密な寸法精度を持つ。

2012年7月24日火曜日

体積世界最小の電子コンパス(旭化成エレクトロニクス)

20120724日経産業新聞4面

電子コンパスで、体積が同社の従来製品の半分、縦横1.6ミリメートル、高さは0.5ミリメートルという、世界最小の製品を旭化成エレクトロニクスが開発した。同社は世界シェアの8割を占めている。

2012年7月23日月曜日

ガラス表面、自由に加工、レーザー使う(産総研、YEデータ、埼玉県産業振興公社)

20120723日経産業新聞13面
 レーザーを使いガラス表面を微細に加工する方法を産総研、ワイ・イー・データ、埼玉県産業振興公社が開発した。従来の砂で削る、化学的な加工に比べ、短時間で精密な加工ができる。「LIBWE法」と呼ぶ新たな方法は、加工するガラス表面にレーザー光を吸収する食紅色素の溶液を入れたプールを置き、加工面と反対側からレーザーを照射すると、溶液にレーザーが反応し、ガラス表面に1マイクロメートルの深さの溝を彫りこむことができる。

2012年7月22日日曜日

オムロン:スマートフォンにも使える非接触熱画像センサ開発

海外技術動向
http://www.slashgear.com/omron-develops-super-sensitive-thermal-detector-for-smartphones-13238502/
 オムロンはMEMS構造を使った赤外線式温度画像センサを開発した。民生用途としては、部屋の中の人体の位置を検出して空調や照明を制御する使い方がなされる。
 他の用途としてスマートフォンへの応用をデモンストレーションした。これによって自分の身の回りの温度分布を知ることができる。例えば熱い飲み物の温度を知ってやけどをしないようにといった使い方ができる。(猫舌センサ)

2012年7月20日金曜日

マイクロスキャナー、小型化・高解像度を両立、必要な駆動ミラー一つだけ(独ファラウンホーファー)

20120720日刊工業新聞20面
 一つのMEMSミラーを2方式で制御し、小型化と高解像度を実現するマイクロスキャナーを独フラウンホーファー研究機構のフォトニック・マイクロシステム研究所が開発した。1方向には通常のミラー共振振動を。もう1方向は静電アクチュエーターで共振させずに動きを止める純静的駆動を使った。800x600画素(SVGA)程度の解像度が出せる。

2012年7月17日火曜日

1.2メートル角のタッチセンサー、自動織機で織り込む(NEDO、BEANSプロジェクト)

20120717電波新聞
 1.2メートル角のタッチセンサー、自動織機で織り込む(NEDO、BEANSプロジェクト)
 導電性高分子を塗布したナイロンファイバを自動織機で織り込み、1.2メーター角のタッチセンサーの製造プロセスを、異分野融合型次世代製造技術開発(BEANS)プロジェクトが確立した。通常のナイロンファイバの間に5センチメータ間隔で前述のファイバーを織り込んだ。立ち位置の検出には5センチメートルほどで十分で、アプリケーションによりファイバーを織り込む間隔を変えればよい。位置検出は人体と導電性高分子膜の間の静電容量を検出し、縦糸と横糸で人が触った場所を特定する。介護用品や体感型ゲーム用センサーなど幅広い分野での利用が期待される。

2012年7月16日月曜日

オムロン:高精度低消費電力 絶対圧圧力センサ開発

海外技術動向
http://www.i-micronews.com/news/Omron-release-MEMS-absolute-pressure-sensor-world-class,9309.html
 オムロンはわずか50cmの高度差を気圧の変化として捉える高精度圧力センサを開発した。
構成はCMOS回路一体型でチップサイズは1.9x1.9x0.5mm、パッケージは3.8x3.8x0.92mmと超小型である。消費電力は0.5~9.5μAと低消費電力で電池駆動に向く。
 アプリケーションは、スマートフォン向け高度検出。その人がいる場所の高度やビル内の何階にいるかがわかる。カーナビ用の高度表示にも適す。またセキュリティセンサとしても有用で、例えばドアが開いたり、窓が開いたりした時の気圧の変化を捉えられる。

2012年7月12日木曜日

米ADIが10自由角度のMEMS慣性測定ユニット、ナビや計装分野で正確な方向感知

20120712電波新聞14面
 3軸ジャイロスコープ、3軸加速度計、3軸マグネットメータ、圧力センサ、自社プロセッサーを一体化したMEMS慣性測定ユニット(IMU) のシリーズを米Analog Devices(ADI)が開発した。3品種(ADIS16480、16448、16485)はいずれも量産中で、それぞれ1545ドル、459ドル、1095ドル。16480には複雑な操作でも正確な位置付が可能なカルマンフィルターを搭載している。

カプセル内視鏡、身近に、小腸検査で保険適用(ギブソン・イメージング)

20120712日刊工業新聞11面
 ギブソン・イメージングのカプセル内視鏡「PillCam SB2plus」を使用した小腸検査が保険適用になった。カプセルは消化管を8時間で通過し、その間に8万枚の画像撮影を行い、医師は画像情報から治療方法を検討する。また、事前検査用に開発したカプセル「PillCamパテンシーカプセル」は11x26ミリメートルの錠剤タイプで、飲み込むことによりカプセル内視鏡検査の妨げとなる消化管の狭窄・狭小濃霧の判定ができる。

MEMS印刷・射出成形で製造、真空装置不要、コスト1/100(産総研)

20120712日刊工業新聞22面
 印刷技術と射出成型技術だけで低コストにMEMSを製造できる技術を産総研が開発した。これまでは半導体製造設備が必要だったが、真空装置が不要でコストを1/100程度まで下げられる。MEMSデバイスを動作する電気配線パターンや機能性材料を印刷技術で形成し、これを射出成型の金型に取り付け、構造体の成型時に配線などを転写する。一辺が数ミリメートル以上の大面積MEMSデバイスの製作が可能。

2012年7月10日火曜日

半導体描画技術を開発、探針、500倍の耐久性、作成コスト大幅低減(東芝など)

20120710日刊工業新聞23面

 プローブ(探針)を使い、回路線幅50ナノメートルの微細加工ができる半導体フォトマスク用露光技術を、東芝、BEANS研究所、東京大学が開発した。次世代以降の半導体フォトマスクの描画・修正技術として3-5年後の実用化を目指す。プローブ先端に庇部とシリコン基板に接する接触部を設け、接触部は保護部となるマイクロメートルスケールの機械的接触部とナノメートルスケールの電気的な接触部に分離し、これを同時に基板に接触して描画する。プローブの耐久性を従来比500倍とした。プローブによる露光技術は電子線より微細なパターンを描画でき、コストも安いが、時間がかかりプローブの先端が摩耗するという面があった。

2012年7月4日水曜日

STMicroelectronics:超小型電子コンパス

海外産業動向
http://www.i-micronews.com/news/Digital-compasses-STMicroelectronics-lead-way-tiniest-phones,9255.html
 STMicroelectronics(STM)は超小型、高性能電子コンパスをMEMSセンサのラインに加えた。
 STMは位置検出のためのモーションセンサと電子コンパスの集積型センサを3x3x1mmの超小型パッケージに収めた。
 STの新電子コンパスは人、車の方位検出精度に優れ幅広いアプリケーションが期待できる。歩行者ナビゲーション、デイスプレイの方位、現在地からの行きたい所への道順検索等。また容積も従来品60%の削減を図った。
また温度出力やプログラム機能も備える。本デバイスは今後携帯電話、タブレットの標準と成り得るもので他にデジカメ、ゲーム等の民生機器にも採用されるであろう。
 価格は1000個発注の場合、$1.8/個である。

2012年7月2日月曜日

振動計測装置を小型化、MEMSを活用(富士電機)

20120702日経産業新聞15面

 MEMS技術を活用したセンサーにより、建物などの振動を感知し、揺れのレベルを診断できる装置を富士電機が開発した。水平2方向と垂直の揺れを感知し、付属のシステムにより揺れのレベルを診断する。装置の小型化と安価な導入費用を実現した。

圧電素子、変換効率高く、従来の10~20倍、発電に特化、鉛を含まず(大阪府立大)

20120702日経産業新聞11面

 大阪府立大学の吉村武准教授は発電用途に特化し、変換効率が従来の10~20倍、有害物質の鉛を含まない圧電素子を開発した。ビスマスと鉄などの酸化物で構成し、化学的気相成長法(CVD)を応用した。今年度中に従来型の素子と同じ1%ほどの発電効率に、不純物を混ぜることで3年後には10%程度、最終的には20%を目指している。

2012年6月28日木曜日

MEMS非接触温度センサー、高感度、幅広い用途(オムロン)

20120628電波新聞3面

 MEMS技術を用い赤外線を検出する高感度非接触温度センサーをオムロンが開発した。n型ポリシリコン、p型ポリシリコンとアルミニウムを材料とする熱電対を直列につないで熱電対列(サーモパイル)を形成、熱絶縁性の高い誘電体薄膜上に温接点、熱伝導率の高いシリコン上に冷接点を形成した。静止人物や、FA設備の異常温度を検出でき、省エネ家電や省エネビル・オフィスなど幅広い用途を見込んでいる。

2012年6月21日木曜日

MEMSマイクでケース樹脂化の新技術(STマイクロ)

20120621日経産業新聞7面

 MEMSマイクロフォンのケースを樹脂化する技術を開発したとSTマイクロエレクトロニクス日本法人が発表した。これまでは金属製ケースだったが、樹脂内部に金属の雑音防護層を設けることで樹脂化を可能とした。製造コストの低下と小型化が実現できる。

2012年6月20日水曜日

自社初の細胞分析装置(ソニー)

20120620日経産業新聞11面

 ソニーはフローサイトメーターと呼ばれる、細胞をマイクロ流路に流して大きさや構造を分析仕分けする装置を発売する。再生医療や免疫などの研究に使う。フローサイトメーターは、チップを流れる細胞に波長の異なる数種類のレーザーを照射し、細胞に結びついた試薬が反射する光を検出器で読み取る。これまで実績のある光ディスクの成形機をそのまま使って製品化すると言う。フローサイトメーターの市場は米国の2社による寡占状態で、ソニーの製品が研究開発用から臨床現場まで展開できるかが課題である。

2012年6月19日火曜日

地図なしで道案内、位置情報から握り部傾く、手すり感覚で誘導(慶応大学)

20120619日刊工業新聞27面

 人の位置情報を元に、手すりを伝う感覚で道案内してくれるツール「ハップマップ」を慶應義塾大学の舘暲教授らが開発した。「ハップマップ」を握ると、持ち手の部分がシーソーの様に傾いて進む方向を示し、傾きの大きさでカーブの角度を調整できる。地図を見なくてもよく、周りの風景などを見ながら目的の場所まで行ける。現在は室内で人の位置をカメラで認識しているが、GPSの誤差が1メートルほどになれば利用できるという。

カプセル内視鏡開発、特定部位撮影・生体採取可能に、16年めどに試作機(ワークス)

20120619日刊工業新聞14面

 ワークス(福岡県)は九州工業大学の伊藤高廣教授らと共同で、磁気振動で移動できるカプセル内視鏡を開発する。「消化管内走行カプセル」は全長12ミリx直径11ミリメートルの円筒形でカメラ・電池を搭載する。特定部位に到着すると無線で位置を知らせ、内蔵カメラを遠隔操作して撮影する。細胞採取や投薬は、別のカプセルを連結させ、歯間ブラシのような形状のアームを使う。

2012年6月17日日曜日

首に巻くエアバッグ開発、ヘルメット不要に by Hövding & STMicro

 海外産業動向
http://www.eeherald.com/section/news/nws2012061005.html
 Hövding社(スェーデン) とSTMicroelectronicsは、首に巻くタイプのエアバッグを開発した。
バイクを乗る時に使うヘルメットの代わりになるもので、これを使うと、ヘルメットが不要になるという画期的なものである。
何らかの衝撃が加わると、首周りのエアバッグが作動して頭全体を包むように保護する。
センサ部はSTMicroのモーションセンサが用いられている。
首巻エアバッグ

動作後

2012年6月15日金曜日

MEMS3軸センサー量産にめど、ロボ手足向け市場開拓(タッチエンス)

20120615日刊工業新聞6面

 MEMS技術を応用し、3軸方向の力を検知する触覚センサー「ショッカクチップ」の量産にタッチエンス(東京都台東区)がめどをつけた。月産1万個の場合は1個2000円で販売できるという。新モデルは直径8ミリメートルx厚さ1ミリメートルと小さくて薄く、温度ドリフトも解消した。人型ロボットの足裏や、手の指先に組み込むセンサーとして市場を見込んでいる。

2012年6月11日月曜日

MEMS市場予測~2017年 by Yole

海外産業動向調査
http://www.i-micronews.com/news/MEMS-market-continue-double-digit-growth-double-by-2017,8765.html
 2017年までのMEMS市場予測がフランスの調査会社Yole Developpememtより発表された。
これによると、2017年までの売上予測は年平均+13%の伸びで、2017年には21B$に拡大するとした。
伸び率は、徐々に減少すると予測される。これはスマートフォン用慣性センサの価格下落、インクジェットヘッドの伸びの減少が考えられるからである。また医療用マイクロフルイディクスが圧力センサやジャイロセンサに匹敵する位までの伸びが期待される。
MEMS市場をけん引するアプリはスマートフォンで今後3年の間に出荷数量は倍増する見込みである。これに対応する慣性センサは、数量アップとともに小型化や性能向上がなされるであろう。
 これからのスマートフォンには2個のジャイロセンサが搭載されるであろう。慣性系とカメラの手振れ防止用である。Invensenseが携帯カメラ用のジャイロセンサを一早く開発中で、STmicroelectronicsも手振れ防止とゲーム用に新製品を開発中である。
 電子コンパスに関してはAKMが高いシェアを保持すると考えられる。しかしSTM、Bosch、MEMSICは、精度、低消費電力化に優れる電子コンパスを開発しており、今後競争の激化が予測される。
 ASIC含めた複合センサの出荷が2011年に始まった。6軸の加速度/電子コンパス複合センサ、6軸の加速度/ジャイロ複合センサである。単独のセンサが今後も支配的を考えられるが、いくつかの企業は複合センサへ移行すると考えられる。複合センサの現在の売上げは100M$だが、2017年には1.7B$に成長すると予測する。
 マイクロフルイディクスは現在年率23%の伸びで推移しており、2017年には4.8B$に、MEMS全体の20%を占めるに至ると予測される。医療用や食品/水検査、薬検査等の需要が大きく伸びると予測される。
 光MEMSも平均の伸びを上回ることが期待される分野で、年率+16%、2017年2.6B$の市場が見込まれている。MEMSプロジェクタは引き続き伸びが期待できる。特にピコプロジェクタは携帯電話への採用が増大の見通しでプロジェクタ全体の伸びに寄与するであろう。他に光通信や自動焦点レンズの分野でも高い伸びが期待される。
 他にRF-MEMSやMEMS発振器も今後の伸びが期待できる。

2012年6月8日金曜日

2011年自動車用MEMS、Boschが首位キープ(iSuppli)

海外産業動向
http://www.digitimes.com/news/a20120607PR200.html
2011年の自動車用MEMSのサプライヤはBoschが首位をキープした。(iSuppli)
BoschのMEMS全体売上高は2010年524M$から2011年は625M$へ19%増大した。自動車用MEMSに関しては14%増であった。
自動車用MEMSNo.2のDensoは前年比9%増の286M$であった。自動車用MEMSでこれに続くのが、Panasonic、Freescale、Sensata、AnalogDevices、Infineon、VTI、GEsensing、Delphiであり、Top10で全体の91%を占めた。
 2011年の自動車用MEMS全体市場は2.24B$で前年度比14%増で東日本大震災やタイ洪水の影響からの回復が見られた。
Boschの成功要因はドイツ国内マーケットを抑えていることと中国市場におけるエアバッグ用MEMSを抑えたことも寄与している。
 Densoは日本市場におけるトップ企業である。特にトヨタが使用するMEMSの半分はDensoからである。中でもベンチレーションシステム用MEMS、サイドエアバッグ、油圧用MEMSが特に強い。
 自動車用MEMSNo.3のパナソニックの2011年は前年比12%増の202M$であった。パナソニックの売り上げの大半は自動車用ジャイロセンサである。上位2社は自動車用全体に対応しているのに対し、1品に集中しているのが特徴である。カーナビゲーション用ジャイロでは断トツの1位でESC用ジャイロでも1位のBoschをおびやかす位置につけている。

2012年6月7日木曜日

MEMS3軸加速度センサー、消費電流1/5に抑える(米ADI)

20120607電波新聞3面 消費電流を2マイクロAと従来比5分の一に抑えたMEMS3軸加速度センサーを米アナログ・デバイセズ社が発売する。重力や傾き、生体の動き、100ヘルツ以下の低周波振動を検知する。ウエイクアップモード(データ出力せずデータサンプリングのみ)では300nA、スリープ時は10nAとし、数年から10年程度の長期間に電池駆動で常時計測する用途を目指している。ユーザーが設定した閾値に対してのみホスト側に割り込みを発生させる機能があり、モーションスイッチとして利用できる。温度センサーを内蔵し、128個の加速度・温度データを保持するデータバッファーを備えている。

2012年6月5日火曜日

2011年MEMSファンドリー世界Top20企業 by Yole

海外産業動向
http://www.i-micronews.com/upload/pdf/IR_avril2012.pdf
 MEMSファンドリーの売上げは、モバイル機器の増大の恩恵を被ったデバイス市場のようには伸びなかった。
ファンドリー全体の売り上げは600M$で前年比5%増であった。
 MEMSファンドリーで最も伸び率が高かったのはソニーである。前年比145%増の49M$を達成した。
ソニーはKnowles社のMEMSマイクを請け負っており、この伸びが貢献した。
 次に伸びが大きかったのはSilexで前年比27%増の47M$であった。MEMSファンドリー専業としては最も大きな企業となる。SilexはTSV技術を得意としており、TSVへのニーズが多かったようである。
 Tekedyne DALSAは23%増の37M$とSilexに近い。DALSAは他のファンドリーと1線を画しており、委託先の将来性を評価して、優良顧客を選択して請け負っている。Top20企業の半数は伸びず、下位企業では減収のところも多い。これはモバイル機器用で伸びた分を、MEMSの大手垂直統合型企業が獲得したからである。
 Silexの好調さを分析すると、プロセスの標準化(ブロック化)があげられる。これによってデバイス試作のスピードアップを図っている。新規デバイスであっても60~80%は標準プロセスを使う。最近のMEMSの勝負のポイントは以下に早く市場に出すかで決まるので、ユーザはスピードを望んでいる。さらにSilexでは積層化集積型センサのプロセスに強みを持つ。集積型磁気センサは大きなニーズがあるが、ユーザは開発段階からSilexに委託している。

2012年5月30日水曜日

2011年MEMS企業別売上高世界TOP30 by Yole

海外産業動向
http://www.i-micronews.com/upload/pdf/IR_avril2012.pdf
 Yole社は2011年のMEMS企業別売上高をまとめた。MEMS全体市場は2010年比17%アップの10.2B$(約8200億円)となった。増大分はスマートフォン用MEMSが牽引した。好業績で終えた企業の好調要因をいくつかピックアップする。
 STMicroelectronics(ST)は売上高の伸びは最大で前年比+250M$(42%)と驚異的な伸びを達成した。これはスマートフォン、タブレットへの採用率が高く、それらの機器の売上げ増大が寄与した。
DMDを中心とするTexas Instruments(TI)も前年比+7%を伸びを示しTopの位置を守ったが、STはTIとほぼ肩を並べるに至った。大手4強ではHPが前年比-5%と伸び悩んだ。主力のインクジェットが成熟領域に入ったことを示している。Boschは主力の車載と民生用が好調で前年比+16%と大きく伸びた。
 MEMSマイクを主力とするKnowlesが前年比+150%と驚異的な伸びを示し第5位にランクされた。
スマートフォンで高いシェアを保持し、スマートフォンの伸びを享受した。
同様にスマートフォン用電子コンパスでトップシェアを占めるAKMは前年比+46%増と大幅躍進。
 その他大きく伸ばした企業は、Triquint、Kionix、Analog Devices、Sony等があげられる。
上記売上増に寄与したデバイス技術を上げると、モーションセンサ系では複合化、多軸化、センサフュージョン(アルゴリズム)があげられる。またボロメータ型赤外線センサも一部の企業の売り上増に寄与した。


2012年5月28日月曜日

超精密加工・MEMS技術融合、高機能レンズなど試作(山形工技センター)

20120528日刊工業新聞28面 超精密加工技術とMEMS技術を融合し、防犯などに用いる人体検知センサー向け高機能レンズと、新たな金型技術によるスピーカーハウジングの開発に、山形県工業技術センターが取り組む。これまで蓄積した要素技術を企業に移転し、県内企業の競争力向上につなげる。同センターは10年度に「超精密等技術融合プロセス開発事業」を始動し、14年度末まで4テーマが進行中。

2012年5月25日金曜日

将来有望なモバイル機器用MEMS(Yole社)

海外産業動向
http://www.electroiq.com/articles/stm/2012/05/10-mems-applications-top-100-million-in-2017.html
 携帯電話やタブレットには1台あたり5~10個のMEMSデバイスが内蔵されている。これらのNew MEMSは、将来、モバイル機器の伸びとともに出荷が大幅に増大すると予測される。(Yole社)
モバイル機器は今後ますますその機能が拡大する見通しである。音楽やビデオの取り込み、ネットワークの広がり、ユーザや使い方の広がり等とどまるところを知らない。これらの新機能の創出をささえるのがMEMSと考えられる。
 現在モバイル用主要MEMSはモーションセンサ(加速度、ジャイロ、地磁気)とRFMEMSである。
これに対して近い将来大きく伸びるとされているのは、MEMS発振器、圧力センサ、RFMEMSスイッチ、自動焦点レンズ、9軸集積型モーションセンサ等である。
また将来大きな市場を占めるであろうと予測されているのは、マイクロディスプレイ、環境センサ(温湿度他)、MEMSスピーカー、マイクロ燃料電池、エネルギーハーベスタ、MEMS-RFID、サーモパイル、ジョイスティック、タッチスクリーン等である。
 企業別ではSTMicroelectronicsがモバイル用モーションセンサで好調で。Apple、Samsung他大手機器メーカの受注を広げている。地磁気センサでは旭化成が好調で260M$/年の売り上げを、RFMEMSではAvago社が244M$を売り上げている。
上記の将来MEMSにつていてはベンチャー企業の動向も目を離すことができない。
一方大手半導体メーカが好調なMEMS市場を狙っておりFairchild社はM&A戦略を練っている。

2012年5月23日水曜日

インクジェットプリンタトヘッド、6割含有の鉛もゼロに、圧電セラに微細構造導入(東芝テックなど)

20120523日刊工業新聞21面
インクジェットプリントヘッドは組成比で6割の鉛を含む圧電セラミックスを使用している。東芝テック、堺化学工業、富士セラミックスは鉛を使わないインクジェットプリントヘッドを開発した。ニオブ酸アルカリ系の無鉛圧電セラミックスを微粒子化し、微粒子中に電位の切り替わる単位であるナノドメインという微細構造を導入し、特性を高めた。水熱合成法で直径1マイクロメートル以下の均一な微粒子を作成し、穴上の欠陥を減らす焼結技術を開発した。開発したヘッドは従来品と同等の性能を持ち、鉛の廃棄コストを含めたトータルコストでは従来品と同程度と見込まれている。

2012年5月22日火曜日

薬物送達型のがん治療薬、3物質に7億円投資(ナノキャリア)

20120522日刊工業新聞13面 薬物送達システム(DDS)技術を用いるがん治療薬研究開発で、有望な3種類にナノキャリアは資金を重点投資する。すい臓がんを対象とする「シスプラチン誘導体ミセル」、固形がん対象の「ダハプラチン誘導体ミセル」、乳がん対象の「pH応答性エピルビシンミセル」。表面の親水性が高い「ミセル化ナノ粒子」のカプセルで抗がん剤を包み、カプセルが血流に乗ってがん周辺の毛細血管化の隙間から漏れ出し、患部に抗がん剤を放出する。

フラットパネル基板”断線”微細回路を高速修正、インクジェット式装置(NTN)

20120522日刊工業新聞8面 フラットパネルディスプレーの基板生産工程で発生する回路断線の修正用途を想定し、高価で複雑な機構のレーザーCVD装置からの置換を目指す「微細パターン描画装置」を開発した。試作基板開発やバイオ、MEMSでの活用も想定。導電性インクなどの吐出に静電インクジェット方式を採用し、微細パターンの高速描画を可能とした。

インクジェット印字ヘッド、印刷技術活用(リコー)

20120522日経産業新聞4面 印刷技術を使い、従来の4倍の解像度のヘッドを5分の一コストで製造できるという技術をリコーが開発した。印刷技術により、材料をインクにしてシリコン基板の上に塗布、焼結し、圧電素子の薄膜を形成する。従来方式は圧電材料を機械加工しており、微細化・量産化に限界があったが、新方式はヘッドの製造に半導体製造技術を応用でき、微細化と低コスト化が実現できる。企業向けインクジェットプリンターに採用を計画している。

患部に薬届ける薬物送達、微粒子、磁場かけ発熱、がん細胞死滅狙う(横浜国大)

20120522日経産業新聞9面
表面に多くの薬品成分を載せ、外から磁場をかけると発熱する、薬物送達システム(DDS)に使う微粒子を横浜国立大学の一柳優子准教授が開発した。微粒子は酸化鉄の化合物で、表面をアモルファスのシリカで覆った構造。様々な薬品成分を化学結合できるので、抗がん剤を付ければ薬で治療できる。抗がん剤が効きにくいがん細胞については、微粒子に磁場をかけると20℃高くなりがん細胞を死滅できる。微粒子を磁力で操る方法も検討している。

2012年5月18日金曜日

食品の成分がわかるセンサをスマートフォンに(Fraunhofer)

海外技術動向
http://www.gizmag.com/mems-food-analysis-device/22495/  
 料理人や食に気を使う人にとって食べ物の美味しさや成分が事前にわかると有難い。
Fraunhofer IPMSの研究者は食品中の水分やたんぱく質の量がわかる小型のスペクトルセンサを開発した。これによって例えば果物で見かけが良くて買ったが中は腐っていたという失敗をしなくて済むようになる。
 開発されたMEMSスペクトルセンサの原理は赤外分光分析で蓄積された食品の吸収スペクトルデータと比較することによって、どんな食べ物であっても、非破壊で成分を知ることができる。
この分析原理は既に知られているがIPMSはこれを超小型のシリコン素子で実現した。これによって例えばスマートフォンに搭載して買い物の時に簡単に使えるようになる。
 商品化は3~5年先を予定している。最初は単体の測定器から始めて、次にスマートフォンへの搭載が考えられる。センシング対象として食品以外に、薬、化粧品、様々な偽物の分析にも応用可能である。

2012年5月10日木曜日

ウェラブル脈波センサーの研究開発

20120510電波新聞14-15面 ロームではウェラブル脈波センサーの研究開発を行っている。緑光をLEDより体内に照射し、生体内を通過・反射した光をPhoto-diode等で計測する。光源と受光部を同一平面上に配置している。生体内に照射された光は、動脈血中のヘモグロビンで吸収されるため、反射光量のセンシングにより脈波形を検出できる。脈波データからは脈拍数、自律神経の活性度等様々な解析が可能である。ゲーム機への応用では臨場感の盛り上げに活用可能である。生体リズムに合わせた音楽提供も考えられる。

駐車支援システム用超音波センサー

20120510電波新聞12-13面 圧電セラミックスと金属体を貼りあわせた振動子に電気信号を加えると超音波が放射され、超音波振動が加わると電子信号が発生して超音波センサーとなる。駐車支援システムは、センサーから超音波を放射し、反射波が返ってくるまでの時間計測により障害物等との距離を計算する。村田製作所はピン端子タイプの防滴型超音波センサーを商品化した。

センサーワイヤレスモジュール活発な製品・技術開発

20120510電波新聞9面 スマートハウス向けセンサーネットワークシステムは、センサー検知情報をZigBee・Gatewayで収集しネット送信するシステムの開発が進んでいる。地震対策の圧電振動センサーは高感度で人の脈、機器の異常、防犯、建物・水道管の摩擦ひび割れ検知も可能。焦電型赤外線センサーは人の動きを検知し、家電や照明の節電に貢献する。
 ワイヤレス通信は様々な技術が規格化され、小型モジュール化が進展している。

伸縮自在のナノカプセル、薬剤放出速度を制御(物材機構)

20120510日経産業新聞11面 カプセルの中に取り込む薬剤の量や、放出する薬剤の速度を調節できる、伸縮自在のナノサイズカプセルを物質・材料研究機構が開発した。「フレークシェルカプセル」は、無機物のシリカのナノ粒子をやや高温で放置し、粒子が溶けると同時にできるフレーク状のものが集まり中空のカプセルとなったもの。そのカプセルは加熱により縮小でき、酸やアルカリの処理によりフレークの隙間を調整できる。抗がん剤の液体で実験したところ、従来のシリカカプセルに比べて90%以上内部に取り組む量が多く、取り込み後の処理により穴を小さくすることにより薬剤放出量を10倍程度長くできた。

2012年5月3日木曜日

超小型光スイッチ試作、光導波路と相変化材組み合わせ(慶大と産総研)


0120503日刊工業新聞13
 細長いシリコンの中に光を通す「シリコン細線光導波路」と、特定の光を当てるとアモルファスや結晶になる「相変化材料」を組み合わせ、長さ15マイクロメートル、幅2マイクロメートルの超小型光スイッチを、慶応義塾大学理工学部津田裕之教授と産業技術総合研究所ネットワークフォトニクス研究センターの河島整研究チーム長らが試作した。従来の導波路型光スイッチの10分の一の大きさで、400ナノ秒以下の高速スイッチを実現した。

2012年4月26日木曜日

高硬度で極薄の炭素構造物、豊橋技科大が製造法開発、高純度・均一DLC形成技術を活用

20120426日刊工業新聞24
 豊橋技術科学大学の滝川浩史教授らのグループはダイヤモンドライクカーボン(DLC)による、高硬度で極薄の炭素構造物の製造技術を開発した。シリコン基板にDLC膜を形成し、イオンビームで形状に削った後にシリコンを溶かして、薄膜の構造物を形成する。大きさは310マイクロメートル、厚さは400ナノメートルが可能。従来のアルゴンガスや炭化水素ガスを用いるDLCに比べ、黒鉛からプラズマを発生させてDLC膜を作るため、純度が高く微細構造物が構築できる。インクジェットプリンターやカテーテル、血液検査装置向け摺動部品として実用化を目指している。

2012年4月25日水曜日

原子間力顕微鏡、分解能15ピコメートルを実現、プローブの位置を3次元で制御(日立)


20120425電波新聞5

 原子の大きさ約100-300ピコメートルよりも1桁小さな15ピコメートルの分解能を持つ原子力間顕微鏡(AFM)を日立製作所が開発した。小型で測定感度が10ピコメートルの光干渉変位センサーを顕微鏡に組み込むことにより実現した。AFMは探針を、探針先端と試料表面の原子間に働く力(原子間力)を一定に保つよう制御することにより、試料表面の立体形状を測定する。従来は探針の位置を静電容量型センサーで検知したが、光干渉変位センサーにより感度を飛躍的に高めた。

インクジェットプリントヘッド、京セラが世界最速品、1200x1200dpiで80m分実現


20120425電波新聞1

 商業印刷用の高速高品質なインクジェットプリントヘッドを京セラが開発した。印刷速度は業界従来品の2倍の80/分、有効印刷幅は圧電方式では世界最大の108ミリメートル(4インチ)。一つのインクノズルから最大64,000/秒のインクを吐出、一つのヘッドに5120個のノズルを配置している。

2012年4月20日金曜日

ペーストハンダ開発、半導体チップと基板接合、突起端子40%小さく(タムラ製作所)

20120420日刊工業新聞11
 半導体チップと基板を接合するフリップチップ実装のバンプ(突起)40%小さくできるペーストのハンダをタムラ製作所が開発した。バンプの直径を80マイクロメートルから50マイクロメートルに微細化した。

2012年4月16日月曜日

貫通電極ビア高速検査、次世代半導体の多層化へ、非破壊で全数に対応(高岳製作所)

20120413日刊工業新聞8
 貫通電極ビア(TSV)の形状を、共焦点法による光学検査でウエハーの表面から3次元に測定する検査ユニットを高岳製作所が開発した。穴の直径5マイクロメートル以上で、直径の10倍の深さまで測定可能で、深さの最大は200マイクロメートル。TSVは多層化した半導体の上下を接続する電極用の穴で、一般にエッチングで窪みを作り、ウエハーを下から削って穴を貫通させる。微細化・高密度化に伴い穴の小径化が求められるが、ひつような窪みができたか検査が難しかった。

2012年4月13日金曜日

STMicro:2011年モバイル用MEMS売り上げ前年比約2倍に

海外産業動向
http://www.electroiq.com/articles/stm/2012/04/st-mems-revenues-nearly-double-with-apple-in-customer-roster.html
 iSuppliによると、STMicroelectronics(ST)はモバイル機器用MEMSの2011年の売り上げを、2010年$353Mから$638Mに80%増加させた。これはApple社のiPhone、iPad、iPod用モーションセンサに採用されたことが貢献している。
 2011年モバイル機器用MEMSの売り上げ企業ランキングを以下に示す。


RankCompany  2011 Revenue ($)2010 Revenue ($)Y/Y Growth/Decline (%)
1STMicroelectronics 638.7353.380.8%
2Knowles270.9191.541.5%
3Texas Instruments204.6161.426.8%
4Avago190.6207.3-8.1%
5InvenSense142.892.953.7%
6Bosch127.2118.57.3%
7TriQuint85.274.714.1%
8Panasonic8586.5-1.7%
9Kionix74.663.816.9%
10Analog Devices5950.417.1%
Revenue Total from Top 101878.61,400.334.2%
Revenue Total from Overall 2,159.91,642.531.5%


トータルで約30%の伸びだが、STは80%と突出しており他を圧倒した。その他ではKnowlesはMEMSマイクで73%の高いシェアを保持し好調であった。Invensenseはモバイル用ジャイロセンサが大きく伸びた。TIはモバイルフォン用MEMSプロジェクタで独占状態で高い売上げをあげている。
全体を通してモバイル用はトップ企業のシェアが大きくなり、寡占状態が進みつつある。

2012年4月11日水曜日

無鉛の圧電材料、センサーに応用、高温に強く(東工大、キヤノンなど)

20120411日経産業新聞7
 有害な鉛を含まず高温にも耐え、シリコン基板上に薄膜を作成できる、新たな圧電材料を東京工業大学の舟窪浩准教授、上智大学の内田寛准教授、キヤノンなどが開発した。ビスマス・亜鉛・チタン酸化物で電圧1ボルトで200ピコメートル動き、従来の圧電材料と性能の遜色はない。これまで300度が限界だった温度も800度程度まで性能は安定している。厚さ30ナノメートルの薄膜を、塗布と加熱の繰返しで重ねていけば良い。カメラの手振れ防止センサー、スマホの加速度センサー、プリンターのインクジェット部品に応用でき、高温特性を生かした自動車エンジンのガス流量センサーにも使える。

2012年3月30日金曜日

米Purdue大学:プラズモニックメタマテリアル用に新しい材料開発:TiN(窒化チタン)

海外技術動向
http://www.scientificcomputing.com/news-DS-New-Path-for-Light-through-Metal-Found-032912.aspx
 ナノサイズの金属粒子と光との相互作用は表面プラズモン共鳴(SPR)として様々な光電子デバイスへの応用が研究されている。SPR用の金属材料としてはこれまで金、銀が多く使われてきたが、米Purdue大学の研究者はTiN(窒化チタン)が有効であることを見出した。金、銀の課題を挙げると、半導体デバイスとの集積化を考えた場合のプロセスや、銀の耐環境性が問題となる。
 一方TiNは、半導体デバイスのバリアメタルとして実用化されており、半導体プロセスとの相性が良い。また耐環境性に優れるので、体内埋め込みデバイスや工具材料にも用いられている。Purdue大では、TiNの薄膜を形成してSPR特性を評価した結果、金、銀とほぼ同じ特性を示すことを確認した。
 今後は、MBEの活用等製膜方法の工夫により電導性を高め、SPRや電磁メタマテリアルの実用性向上を目指す。
SPR、電磁メタマテリアルには自由電子密度、キャリア移動度の高い材料が望まれる。

2012年3月29日木曜日

電子コンパスソフト、加速度・磁気センサーと連携、(フリースケール)

20120329電波新聞3
 フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは同社の加速度センサーや磁気センサーと連携する電子コンパスソフトウエアを発表した。センサーと組み合わせてモバイル機器で使用し、幅広いモバイル用途で容易に統合できる専用ソースコードとして提供される。

MEMS新製品攻勢、1ミリ四方目標、検知に磨き(米アナログ・デバイセズ)

20120329日経産業新聞7
 米アナログ・デバイセズがMEMS技術による製品群を拡充している。同社は1991年に自動車エアバッグ向けMEMS加速度センサーを発売し、自動車横滑り防止装置・マイクなど、累計出荷数は6億個を超えた。現在の先端製品は5ミリ角ほどだが1ミリ角を目指している。信号処理とMEMS技術の融合による競争力を元に、さらに製品の拡充を図る。同社は全社売上高30億ドルの10%程度をMEMS関連事業が占め、上位のテキサスインスツルメンツやSTマイクロエレクトロニクスを追撃する。