2011年4月29日金曜日

圧電型MEMSエネルギーハーベスタ出力10倍に by ミシガン大

2011.4 海外技術動向
http://nextbigfuture.com/2011/04/piezoelectric-mems-boosts-vibration.html
 ミスシガン大学で新しいMEMS振動型エネルギーハーベスタが開発された。発電量は従来の同クラス品に対し、10倍を達成した。数mm角(27mm3)のモージュールでワイヤレスセンサや埋め込み型医療機器への搭載が可能になった。
 本素子はMEMSで作製された高度な振動子に高品質な圧電材料を形成した構造から成る。従来の振動型MEMS発電の問題点は、高い振動周波数領域を用いていたことと、素子構造で決まる共振周波数付近を利用するので限られた周波数しか使えなかった。これが実用化されなかった一つの理由である。新素子は周波数が14Hz~155Hzまでの範囲で効率良く発電する。この周波数は走る時の手の動きに相当する。出力は振幅1.5gの時、200μWを発生しワイヤレスセンサ用電源として十分な出力である。本モジュールはスーパーキャパシタを備え10~20年の寿命を確保できる。ワイヤレスセンサ用電源市場は、2015年に約400億円と言われおり、本素子は有力な候補である。

2011年4月25日月曜日

世界最小のセンサー、高機能携帯向け、方位精度が向上(愛知製鋼)

20110425 日経産業新聞 4 スマートフォン向けに小型、低消費電流、高精度のセンサーを愛知製鋼が開発した。磁気センサーと加速度センサーを組み合わせて方向と動きを感知するほか、新たに回転速度を検知するジャイロ機能を追加した。方位精度は誤差3度以下。地図表示やゲーム画像の表示が向上する。

2011年4月22日金曜日

STMicroelectronics社:高精度MEMS電子コンパス開発

2011.4 海外産業動向
http://www.gpsbusinessnews.com/STMicro-Ships-new-MEMS-Compass_a2974.html
 STMicroelectronicsは、同社従来品より分解能を30%向上させ、消費電力を50%低減させた新しいMEMS電子コンパスを開発したことを発表した。
 新電子コンパスはモジュールベースで消費電力は360μAで従来品より50%少ない。またパッケージや出力形式は、従来品と同じなので、そのまま置き換えることが可能である。価格は10万個受注時、$1.95/個である。

最近の日本のMEMS事情

2011.4 海外産業動向
http://www.electroiq.com/index/display/nanotech-article-display/1989479307/articles/small-times/nanotechmems/mems/industry-news/2011/4/panasonic-plans_medical.html
 日本のMEMS産業を見ると、大日本印刷、オムロン、住友精密がMEMSビジネスを加速化させている。3.11の大震災に対してもMEMS生産はすぐに回復しようとしている。特に大日本印刷はMEMSファンドリーだが、現在の8インチMEMS製造ラインを、本年度は10億円を投資して2倍に増強させる予定である。それにより月産2000枚の8インチウェハを処理できることになる。これにより2013年にはファンドリーの売上を60億円(現行の倍)に伸ばすことを目指している。
 またパナソニックは現在、携帯電話用をはじめ民生電子機器用MEMSセンサの事業を行っているが、さらに医療用MEMS、血圧、血流、酵素センサ等の調査を行っている。というのもMEMSの市場予測として2015年に向けて医療用MEMSが大きく伸びると予想されているからである。特に無痛医療、ドラッグデリバリ等の分野でMEMSの寄与が期待されている。

2011年4月15日金曜日

VTI社(フィンランド):地球の回転速度が測れる高性能MEMSジャイロセンサ開発

2011.4 海外技術動向
http://factory-automation.blogspot.com/2011/04/mems-gyros-can-measure-earths-rate-of.html
 VTI Technogies社は超高精度なMEMSジャイロセンサを開発した。これは地球の回転速度を測ることも可能だと言う。これまでそのレベルの精度があるのは、リングレーザジャイロ方式だけであった。今回VTIは小型のMEMSセンサでその精度を実現した。これで応用範囲が広がることが期待できる。
 高精度化のためのキー技術はノイズ要因の低減、例えば温度や重力の影響をキャンセルするようにした。また信号処理用ASICも低ノイズ化等の改良を施した。
 新製品SCC1300はこの高精度ジャイロと3軸加速度を1パッケージ化した。今後パーソナルナビゲーション等様々な用途に応用されることが期待できる。

STMicroelectronics社CEO:将来ビジョンを語る

2011.4 海外産業動向
http://www.efytimes.com/e1/creativenews.asp?edid=61426
 STMicroelectronics CEO Carlo Bozotti  インタビュー
・将来有望な半導体デバイスのアプリケーションは?
 4つの分野をターゲットに置いている。民生用スマートデバイス(携帯機器、家電、タブレット、テレビ)、エネルギー(メネジメント、省エネ)、健康管理、セキュリティ。
・半導体デバイス発展のためのキーテクノロジーは?
 More than Mooreは今後も続く。キーはMore than Moore。ICにMEMS、新材料デバイス(SiC、GaN),3D積層化等の機能を加える。
・携帯機器の低消費電力化が重要。いかにして達成するか?
 もちろん半導体デバイスの低消費電力化は進める。他に太陽光発電インバータの改良、自動車の自動運転等。
・インドのデザインセンターの重要性は?
 インドは市場的にも期待できるし、デジタル機器用半導体、車載デバイスの設計を担っており、全社的にも重要なポジションを占める。
・インドで特に伸びが期待できるアプリは?
 3つの分野をあげる。民生用デジタル機器(デジタルTV、セットトップボックス)、省エネ(照明、電気メータ)、セキュリティ(ID、スマートカード)
・マーケットシェア向上の戦略は?
 今後期待できる分野(上述)でのSTのシェアはNo.3が多い。これをNo.1に持っていきたい。携帯電話、ASIC、MEMS、パワーデバイス等。
・グリーン化戦略は?
 すべての製品にグリーン化の視点を入れている。太陽電池は直接的なグリーン商品だが、さらなる変換効率の向上を目指している。
・今年の重点実施事項は?
 第1に市場エリア拡大、特にアジア全域に広げる。第2に重点投資分野をMEMS、車載用スマートデバイス、スマートフォン用デバイス生産に絞り集中投資する。第3にST-Ericson体制への移行。
第4に新デバイス開発。3DTV用システムオンチップ、車載用マイクロコントローラ、MEMS(ジャイロ、加速度1パッケージ化、MEMSマイク、圧力センサ)、ST-Ericsonスマートフォン、タブレット。
 

外気温によって熱線の透過率が変わるスマートウィンドウ

2011.4 海外技術動向
http://ecogeek.org/component/content/article/3478
http://www.buffalo.edu/ubreporter/2011_04_14/smart_windows
 暑い日には熱線を遮断し、寒い日には透過させるスマートウィンドウが開発された。これは省エネに大いに効果がある。
 Ravenbrick社はガラスに特殊な熱線反射コーティングを施し、上記の機能を窓ガラスに持たせた。例えば暑い日には、太陽エネルギーの3%しか透過させない。
 またバッファロー大学の研究者は、酸化バナジウムナノワイヤを合成して上記機能を備えることを確認した。この材料もガラス上に塗布することが可能で、現在企業と実用化に向けて開発中である。

                               Raven Window    
                 

2011年4月8日金曜日

2010年MEMS売上げランキングTI社がトップに by iSuppli

 2011.4 海外産業動向
http://eetimes.eu/en/dlp-revival-returns-texas-instruments-to-mems-leadership-in-2010.html?cmp_id=7&news_id=222906765&vID=209
 2010年のMEMS売上げランキングは、TI社が前年首位のHP社を抜いてトップに立った。しばらくDLPの価格下落が続いていたが、スマートフォンへの搭載、ピコプロジェクタの開発が寄与して09年6.35億ドルから10年7.93億ドルへ24.9%伸ばした。今後3DディスプレイにDLPが有利と言われており、当面の成長が期待できる。
 一方HP社は、インクジェットプリンタの販売が横ばいに加えて、これまでHPの交換用カートリッジはインクとヘッドを一体にして同時に交換していたものを、最近インクのみの交換カートリッジにしてヘッドは継続使用するタイプに変更したことも影響している。
 Boschは民生用加速度センサの伸びが大きく、09年比で51%向上させた。これは携帯電話への採用が寄与している。またドイツの高級車ではセンサの採用部数が増大していること、中国向け車載用圧力センサの増大も寄与している。
 STMicroelectronicsは09年比の伸び率ではNo.1で民生用のジャイロセンサが大きく伸びた。他に車載用事業も開始し、独自のエアバッグ用低g加速度センサで徐々に市場を開拓している。

SOI-MEMSデバイスが今後さらに成長の見込み by Yole

2011.4 海外技術動向
http://www.advancedsubstratenews.com/2011/04/mems-on-soi-growing-fast-and-faster/
 YoleのEric MounierはSOI基板を用いたMEMSデバイスは2011~2015年の間に年率15.6%で伸びると予測した。ちなみに標準Si基板を用いたMEMSの同成長率は8.1%である。
 SOI-MEMSデバイスの最近の開発例をあげると、Debiotech社のインシュリンナノポンプがある(製造はSTMicro)。これはSOI構造を利用して高信頼性と超小型化を達成している。特に流量の安定性に優れ、圧力、温度、粘度等の影響を受けにくくしている。
 SOI-MEMSの特徴をまとめると、
・ポリシリコン薄膜は残留応力の問題があるがSOIは無い
・薄膜Si部の膜厚が正確に決まっているので、振動子を形成した場合、振動周波数の精度が高い。
・薄膜Si部の表面や貫通部の内壁表面が平坦である。
・ポリシリコンと比較してより薄型化が可能である。
・熱伝導性を高くできる。
・難点は基板コストが高いこと。
 SOIーMEMSの成功例をあげると、
・FreescaleとLetiが共同で開発した車載エアバッグ用加速度センサは年間100万個を達成。
・SiTimeのSi発信器はSOI構造を用いており、すでに3千5百万個を出荷、発信器デバイスの全MEMS化を目指している。

2011年4月7日木曜日

ゴルフのスイング、3Dセンサーで分析(デサント)

20110407 日経産業新聞 6
 ゴルフ向けに、3Dセンサーを付けたベルトを装着し、腕や腰の動きを測定し、スイングのフォームや有効な柔軟運動をアドバイスする「ザ・ボディコンディショナ+G」をデサントが開発した。体の動きを分析し、体のバランスの問題を分析する。ゴルフ練習場やスポーツクラブなどの需要を見込む。

2011年4月1日金曜日

東日本大地震がSiウェハ供給に影響 by iSuppli

2011.3. 海外産業動向
http://www.isuppli.com/Semiconductor-Value-Chain/News/Pages/Leading-IHS-iSuppli-Experts-Examine-Impact-of-Japan-Earthquake-on-Electronics-at-Friday-Webinar-Event.aspx
 Siウェハの世界の4分の1は日本で生産されている。特にその中でも信越化学白河工場は世界の20%を供給しているが、東日本大地震により工場はダメージを受け生産がストップしている。信越化学は他の工場で生産立ち上げを計画しているが、具体的な開始時期に見通しは立っていない。ここでは300mmウェハを主にメモリ向け出荷しているので、メモリ生産への影響は避けられない。
 MEMSセンサ関係では電子コンパスが日本は世界の97%を供給しており、心配されたが、電子コンパスの工場は被害を受けなかった。しかし原材料の供給面での不安は残っており今後注意する必要がある。