2010年9月30日木曜日

ソフト付きセンサー、データ送信判断、(オムロン)

20100930 日経産業新聞 4面
MEMSセンサーに情報を抽出、制御するICなどを組み込んだ「スマート・センシング・モジュール」をオムロンが開発した。サーバーへのデータ送信要否を分析、判断し、通信料を抑制し、電池寿命を従来の5倍に伸ばすことができる。

2010年9月28日火曜日

半導体製造向け計測器、最小31ピコで位置決め(マグネスケール)

20100928 日刊工業新聞 1面
300㎜x300㎜の平面で最少31ピコメートルまで安定的に距離を測れる格子干渉式計測器「大判2次元スケール」をマグネスケール(東京都港区)が開発した。同スケールは目盛が1マイクロメートルの格子縞状の平板に赤外線レーザーを照射し、光の回折や干渉から格子の位置を検出し距離を測る。半導体製造装置や工作機械の位置決め検査装置に利用できる。

2010年9月27日月曜日

磁性絶縁体から電気エネルギー(原子力機構、東北大)

20100927 日刊工業新聞 24面 

これまで不可能とされていた絶縁体からの電気エネルギー取出しに、日本原子力開発機構と東北大学が成功した。磁石である磁性ガーネット結晶という化合物を利用し、絶縁体中で温度差により電子の磁気(スピン)の流れが生じることを確認した。絶縁体に金属薄膜を取り付け、スピンの流れを電気エネルギーに変換できることは明らかになっており、これらの成果を合わせて絶縁体ベースの熱電変換素子を作ることができる。

シリコン製マイクロホンを量産(STマイクロ)

20100927 日経産業新聞 5面 
シリコン製マイクロホンをスイスのSTマイクロエレクトロニクスが量産する。オムロンがシリコン振動部をMEMS加工して供給し、信号処理ICと組立をSTマイクロエレクトロニクスが担当する。低価格でのシェア拡大を目指す。

2010年9月24日金曜日

Lemoptix社(スイス):ポケットサイズMEMSプロジェクタ開発

2010.09 海外産業動向
http://www.photonics.com/Article.aspx?AID=44379

 未来のプロジェクタとして、容積わずか1cm3の小型プロジェクタが開発され、これから携帯電話やノートPCへの搭載の勢いが増しそうである。
 
 Lemoptix社はローザンヌ連邦工科大学のスピンオフ会社でKayalらのGrは容積1cm3、クレジットカードサイズでMP3リーダが一体化された小型プロジェクタを開発した。モバイル機器の他、自動車用、手術用に採用される見通しである。投影画面の大きさは、スクリーンとプロジェクタの距離で調整でき、最少50cmの距離で15インチ相当の画面が得られる。どの大きさにおいても、鮮明な画像が得られる。もう一つの大きな特長は、消費電力が少ないことで、現行のLED省エネタイプと比べても、さらに30%削減できる。2011年に産業機器用として最初の商品化が予定されており、その次の年から民生機器用に順次搭載されていく予定である。
 
 MEMSマイクロミラーは数百ミクロン厚のSiウェハから作製され、次世代光学デバイスのための有望な要素技術である。このマイクロミラーは1秒間に2万回の動作が可能で解像度VGA(640×480)画素を実現している。本デバイスの製造はファンドリー等の第3者機関に委託する。本デバイスはこれまでのMEMSミラーに対して低コストの他に技術的な優位点を持ち、特に自動車用プロジェクタ、具体的にはスピード、GPS画面等の情報を前方ガラスに映し出す用途に用いられる。医療機器メーカと検討を開始しており、手術個所の上部に透明スクリーンを置き、関連情報を見ながら手術をすることが可能である。

Colibrys社(スイス):列車異常検知システム用MEMSセンサSiemensと共同開発

2010.09 海外産業動向
http://www.prlog.org/10944395-colibrys-mems-accelerometers-qualified-by-siemens-mobility-for-high-speed-train.html

 Siemens社とColibrys社は、ドイツ高速鉄道最新型にColibrys社製MEMS加速度センサを採用することを発表した。
 第4世代高速列車には、最新の異常検知システムが搭載され、そこにMEMS加速度センサが用いられる。新世代列車では、乗客の安全・快適と同時にメンテナンスコスト削減、修理の簡便性が求められる。それに対応した形で、Siemensは異常検知システムを開発した。これはベアリングやシャフトの摩耗、ホイールの破壊の他、あらゆるトラブルを自動検出するシステムである。これはSiemenseとして初めてのシステムで1個のシステムに24個のセンサが搭載され、1車両に200個のセンサが搭載される。2010年は3台の車両が試作され、2011年には最終使用が決定される。具体的には低周波数振動センサ、高周波数Piezo振動センサが組合わせられ、ベアリングの摩耗等を検出する。加速度センサは走行環境の変化を捉えColibrys社はこのタイプで最も信頼性の置けるセンサを供出している。このような複雑な異常検知システムを開発するために、あらゆる異常運転を再現させたり、安全と快適性を兼ね備える制御システムが開発され、それに合わせて最適なセンサがColibrysによって開発された。

Rice大学:光を収集するナノアンテナ検証に成功

2010.09 海外技術動向
http://www.sciencecentric.com/news/10092118-nano-antenna-concentrates-light.html

 テレビ、ラジオ用に電波を収集するアンテナはすっかりお馴染みである。ライス大学NatelsonらのGrはナノテクノロジーを用いて、光を収集するナノアンテナを開発した。
 鋭い先端部を持つ金電極をナノスケールの距離を置いて対向させると、これがレーザ光を収集(増幅)することを見出した。現象としては、発射されたレーザ光が、ナノギャップに捉えられ、光強度が1000倍にも増幅されることが判明した。この現象は光センサ、化学センサ、バイオセンサへの応用可能性が考えられる。特に分子オーダで化学成分を検出できるので、有害物質検出に有効である。ギャップが大きい場合は何の変化も起こらないが、ナノスケールになるとまったく異なる挙動を示しはじめるので注意が必要となる。同Grはこの現象を解析する技術を開発した。それはナノギャップ間を流れる量子トンネル効果による電流を測定する方法である。このトンネル電流はある周波数の電圧を印加すると増大する傾向があるが、光の周波数と強度によっても増大することをつきとめた。これは光増幅効果であるプラズモン効果と考えられる。

欧州市場で売上拡大、環境とMEMS柱に(エプソンヨーロッパ)

20100924 電波新聞 3面
エプソンヨーロッパエレクトロニクスでは環境分野とMEMS分野を新たな柱としている。水晶をベースとした「QMEMS」を欧州にも展開すべくマーケティング活動に取り組んでいる。

露光装置で攻防、米インテル向け受注(ニコン)

20100924日刊工業新聞 6面
米インテル向けの半導体露光装置についてニコンとオランダASMLの攻防が激しくなっている。露光装置市場ではASMLが日本勢のシェアを逆転しているが、最先端の露光装置ではニコンとASMLの2社の争い。しかしArF液浸の露光装置でのニコンのシェアは2割程度で、インテルは次世代の22ナノメートルのプロセス開発にASMLの装置を導入しており、量産段階でもASML採用かとの報道もある。ニコンもArf液浸装置の性能目標を引き上げるとともに、32ナノメートル以降の露光装置に求められる回路パターンの重ね合わせ精度に自信を深めている。

JST産学イノベーション加速事業、東大下山勲教授採択

20100924 日刊工業新聞 14面
科学技術振興機構(JST)による先端計測分析技術・機器や周辺システムの開発を推進する「産学イノベーション加速事業」につき2010年度の新規開発課題が決められ、その一つとして東京大学大学院情報処理工学系下山勲教授の「内視鏡のための単眼三次元異種情報計測システムの開発」が採択された。支援額は1件当たり約5000万円。

2010年9月21日火曜日

アナログMEMSマイクユニット、特性損ねず業界最小クラス(ホシデン)

20100921 電波新聞 4面 
 業界最小クラスのMEMSマイクロホンユニットをホシデンが開発した。専有面積37%減、体積48%減と小型化したが従来品と同等の音響特性・信頼性を有している。携帯電話や車載機器を対象市場としている。

2010年9月17日金曜日

サムソン:ナノテク音電変換素子開発:人の声が携帯電話の電池寿命を延ばす

2010.09 海外技術動向


人の声が携帯電話の電池寿命を延ばすかもしれない。サムソンの研究者Grはわずかな会話で電池寿命を向上させる方法を研究している。Park、Kimらは化粧品の原料である酸化亜鉛(ZnO)を振動発電素子に応用する研究を行っている。同GrはZnOナノワイヤを二つの電極でサンドイッチにした素子を用いて、100dbの音源から50mVの電圧を取りだすことに成功した。(通常の会話は60-70db)スピーカが電気信号を音に変換するのと同様に、その逆の過程である音を電力に変えるプロセスも可能である。このような高効率な音電変換デバイスは、携帯電話の充電の他、高速道路の防音壁や、車の通過音から電力を取り出すことができる。このシステムをさらに発展させれば、一般電力系統へ付加できるだけの電力を取り出すことも期待できる。

Freescale社:きめ細かな動作検出が可能で低消費電力な新加速度センサ発売

2010.09 海外産業動向

東京でFreescale社のセミナーが開催され(9月14日)、従来より低消費電力で高分解能なスマート3軸加速度センサが発表された。信号処理回路を含むモーション検出用加速度センサは、ゲーム、スマートフォン、ナビゲータ等に大量に供給されている。Freescale社によると、ユーザニースとして大きく二つあり、電池寿命を延ばすための低消費電力化とより繊細なモーションの識別(傾き、ゆさぶり、衝撃、振動、落下等)である。

新しいFreescale社の加速度センサは、単にゆれを検知するだけではなく、どの方向から力が加わったのかも検知することができる。これによってよりきめ細かな動作の検出が可能となり、例えば、投げ縄やむちを振るような動作も再現できるようになる。Freescale MMA845xQは10-14bit処理回路、超低ノイズで100μ-gの分解能を備える。さらに低消費電力:1.8μAはバッテリ寿命を延ばす。

SiTime社:低周波数領域(kHz)のMEMS発振器発売

2010.09 海外産業動向

 SiMEMS発振器はその特徴を生かしてオーディオや高信頼性産業機器への採用が増えている。SiTimeはSiMEMS発振器のリーダで新商品としてSiT8503を発表した。SiTimeはこれまで周波数がMHzオーダの発振器を開発してきたが、さらに周波数レンジを広げ、新たにkHzオーダの発振器を開発した。SiT8503はSiMEMS技術の集大成とも言えるもので、水晶発振器では実現不可能な多くの特徴を持つ。周波数や電圧の選択範囲の広さの他、小型、低消費電力、高信頼性等である。

それらの特徴を具体的に示す。

・200kHz-1000kHzまで任意に周波数を設定できる。用途に応じて最適の周波数が選択できる。

・動作電圧は1.8V,2.5V,2.8V,3.3Vに設定できる。これによって外部動作回路の負担を減らすことができる。

・水晶発振器に比べて堅牢性に優れ、50,000Gの衝撃と70Gの振動に耐える。

・発振周波数のばらつきが少なく±20PPM~±50PPMである。

・標準的なパッケージに収められているので、水晶型からの置換えが100%可能である。

・消費電流は10μA以下でバッテリの長寿命化に貢献できる。現在量産供給準備中で価格は$1.05/1万個オーダーである。SiTimeはMEMS発振器のトップメーカでこれまでベンチャーキャピタル(NEA、Greylock、Jafco、Bosch)より投資を受けている。

A*STAR(シンガポール)CMOSプロセスによる熱電変換素子開発

2010.09 海外技術動向
 A*STAR:シンガポール国立研究機関

電子デバイスには必ず電源が必要である。しかしワイヤレスセンサや人体埋め込みデバイスでは電池の交換が必要になってくる。熱電発電は電池の交換を不要にするエナジーハーベスティングデバイスとして有望視されている。特に温度差が取れるよう設計された熱電デバイスでは、体温やわずかの温度差で発電することができる。これまで熱電変換材料は主としてビスマス/テルルが用いられてきたが、これは標準的なCMOS工程では使えない。そこでA*STARではCMOS工程にマッチさせるためにポリシリコンを用いた熱電変換素子を開発した。1cm□チップの中に125,000個の熱電対を集積化させた。またより高い温度差が得られるよう、真空断熱された部分と、Siを残して熱伝導を高めた部分の上に熱電対を形成した。この素子の熱電変換能は、5℃の温度差で16.7V、1.3μWの発電を確認した。この素子はCMOS完全コンパチプロセスで作製可能であり、自己発電付きCMOS素子への道を切り開くものである。

2010年9月16日木曜日

無線センサーで橋の健全度診断(福山コンサル)

20100916 日刊工業新聞 13面
橋に加速度センサーを取り付け、通常時と異常時の振動特性を比較することで、現場に行かなくても橋の健全状態を診断できるシステムを福山コンサルタントが開発した。無線センサーモジュールと中継器、データ記憶装置で構成する。

圧力センサー生産性を改善、全工程で製法改良(アルプス電気)

20100916 日刊工業新聞 10面
MEMS技術を用いピエゾ抵抗式圧力センサーを製造しているアルプス電気は、全工程で製法を改良し、生産性を約3倍とした。ウエハー工程では薄膜プロセスの最適化でバラツキを最小化し人による補正作業を削減した。パッケージ工程では自動制御専用機を投入し、検査や補正作業を不要とした。検査・出荷工程ではターンテーブル形状の装置を導入し効率化した。

2010年9月15日水曜日

マイクロリアクター活用、過酸化水素を安全合成(産総研など)

20100915 日経産業新聞 11面
マイクロリアクターを使い、過酸化水素を安全に現場で必要量を製造できる技術を産業技術総合研究所と三菱ガス化学が開発した。室温で10気圧という条件で濃度10%の過酸化水素溶液を製造できる。これまでの酸素と水素による直接製造法ではガス爆発の危険性と50~100気圧という高圧が必要だった。

人工皮膚用圧力センサー(米スタンフォード大など)

20100915 日刊工業新聞 23面
スタンフォード大学とカリフォルニア大学バークレー校は、人間の皮膚に匹敵する感度や反応性を備えた圧力センサーをそれぞれ開発した。スタンフォード大学のセンサーは、シリコーン樹脂のポリジメチルシロキサン(PDMS)と有機電界効果トランジスタ(FET)を組み合わせ、厚みによってPDMSの電荷が変わることで圧力を検知する。UCバークレーのセンサーは、ゲルマニウム/シリコンの無機ナノワイヤのFETを多数並べ、カーボンナノ粒子を含む導電性ゴムに組み込み、圧力でゴムが圧縮されると個別の区間の電気抵抗が変化するのをFETで検知する。

「近接場光」で光を変調、機能性シート開発(東大、大日本印刷)

20100915 日本工業新聞 23面
ナノメートル領域で近接する物質間を結びつける特殊な光「近接場光」を利用し、光の変調を起こさせる機能性シートを東京大学大津元一教授と大日本印刷が開発した。シリコンゴムの一種であるポリジメチルシロキサン(PDMS)を使用し、量子ドット型とナノ構造型を作成した。量子ドット型ではシートの湾曲により量子ドット間の距離が変わり、量子ドット間の相互作用が変化し色が変化する。ナノ構造型ではPDMS上に金属ナノパターンを形成し、金属ナノ構造の距離変化により光の振動方向(偏光)の変調効率が変わる。

2010年9月13日月曜日

MEMS部品、製造技術研究へ15社スクラム

20100913 日本経済新聞夕刊 7面
 MEMS部品が加速度センサー、ジャイロセンサー、圧力センサー等に活用されている。今後は、体内埋め込み型の心拍モニター等医療分野、材料ひずみを検知して建物や橋の老巧化診断等の分野への応用も期待される。技術の底上げを狙い、国内15社が製造技術の共同開発に11月より乗り出す。

2010年9月11日土曜日

ジャイロセンサー開発、車載向け(エプソントヨコム)


20100911 日刊工業新聞 4面

MEMSを水晶に応用した「QMEMS」技術による水晶センサー素子を使用した小型ジャイロセンサーをエプソントヨコムが開発した。車体の長さを軸とした回転を検出するヨーレートセンサーと高さを軸とするロールレートセンサーで、横滑り防止や横転時保護装置で車の姿勢変化を捉えるために使用する。

動き検知「圧電薄膜」鉛使わず作製(日立電線)


20100911 日本経済新聞 11面

圧電薄膜に鉛を使わずに製造する方法を日立電線が開発した。圧電薄膜は振動で発電しセンサー部品に使われているが、有害な鉛を使っており、今後の規制対象となることが予想される。新しい製造方法は半導体製造技術を応用し、厚さ3マイクロのニオブ酸カリウムナトリウムの薄膜を載せた基盤を作成した。

2010年9月10日金曜日

STMicroelectronics社のMEMSマイクで会話がクリスタルのように鮮明に

2010.9 海外産業動向


驚異のコストでクリアな音質を備えるこのマイクは、MEMSマイクの普及時代をもたらすであろう。

民生機器用MEMSデバイスのリーダであるSTMicroelectronicsは、高品質、高信頼性、小型のMEMSステレオマイクロフォンを開発した。STの目指すアプリケーションは、携帯電話の他に、iPad等の携帯情報端末、デジタルカメラ、セキュリティシステム、視聴覚学習機器等である。これらの機器では、小型、高音質で手ごろな価格が求められる。

STのデジタルアウトプットステレオマイクは、無指向性の高感度タイプで、バックグラウンドノイズの除去により音質面での進歩に注目すべきものがある。携帯機器では雑音の多い過酷な環境で用いられることが多く、その中で高音質が確保できる機能が求められている。STのマイクは伝統的なエレクトレットコンデンサマイクと同程度の価格でそれを可能にした。

STのマイクは音響センシング技術をオムロンから導入している。それは機械的振動や温度ドリフト、電磁気の干渉を低減する技術である。

STの戦略の特徴は、サプライチェーン全体を自社で管理する垂直統合スタイルである。これによって開発期間が短縮され、コスト競争力に優れるMEMS音響デバイスが生み出されるのである。この手法はMEMS加速度センサの普及に成功をもたらしたと同様に、MEMSマイクの普及を加速させるであろう。

その要因として新しいアプリケーションの広がりが予測されており、例えば声認識のゲーム、声認識自動車運転システム、産業機器、セキュリティシステム、医療診断における音解析等に広がっていくものと考えられる。

2009年9月のiSuppliの市場予測によると民生機器用MEMS音響デバイスの売上伸び率は2013年にかけて年18%の成長が見込まれ、年間100万個以上の市場に成長すると予測されている。現在サンプル出荷が始まったところで価格は1万個オーダで注文すると単価1$とのことである。

Microstaq社(米):HVAC用MEMSバルブ開発

2010.9 海外産業動向


HVAC(Heating, Ventilation and Air-Conditioning) 空調システム市場は60$Bと言われ、Microstaq社はこのHVAC用のMEMSバルブを開発した。またこのバルブは自動車にも応用可能である。

Microfluidicデバイスは、μlオーダの液体、気体を制御する部品でマイクロバルブ、マイクロポンプ等のパーツから成り、小型分析装置で応用が図られている。しかしながらこれからは、マイクロバルブが一般的なHVACシステムにも用いられる可能性がある。

Microstaq社はFreescale社と共同でインテリジェント冷却モジュール用デバイスを開発。Freescale社はMEMS圧力センサを、Microstaq社はマイクロバルブを納入し、現在評価中である。

McGill大学:半導体クォンタムドット(QD)で圧電効果発見

2010.9 海外技術動向
http://www.photonics.com/Article.aspx?AID=44205 
 
 特定の物質に応力を加えると電荷が発生する圧電効果はよく知られた現象である。この効果は既に腕時計、モーションセンサ、ナビゲーション等のデバイスに応用されている。McGill大学のKambhampatiらのグループは半導体QDにもこの圧電効果が発現することを発見した。
 QDは直径が10~50個の原子程度の大きさでDNA2重らせん構造の2nmに近いサイズである。同グループはこのGDの表面に電荷が発生し、QD内に電場が発生することをつきとめた。フェムト秒オーダでQDが伸縮することもつきとめた。注目すべき機能として、ナノスケールの変位を検知できることと、逆に電圧を加えることによってナノスケールの変位をコントロールすることができることがあげられる。
 CdSeQDは光電変換材料として太陽電池の世界で研究開発がなされている。これからはナノスケールでの振動発電や電圧発生デバイスへの応用の可能性がある。例えばこのサイズを生かした応用として溶液内の圧力の検出、例えば人体内部の特定の部分の血圧を非浸襲で測定することが可能である。この研究成果はNano Letterで発表の予定である。

ヘリ空撮写真の位置特定、レーザー使い高精度(パスコ)

20100910 日経産業新聞 1 

ヘリコプターで撮影した写真の位置を、現場で高精度に特定できるシステムをパスコが開発した。レーザー、GPS、電子コンパス、ジャイロ、デジカメ、地図情報を搭載したパソコンを組み合わせた「携帯型斜め写真撮影システム」。デジカメで写真を撮影すると、GPSと電子コンパスで撮影地点を認識し、レーザーで撮影地点までの距離を、ジャイロで角度を計測し、パソコンに画像とデータを転送し、撮影位置を高精度に特定する。災害時の救助活動の迅速化に役立つと期待されている。

例年にない活況「セミコン台湾2010」、主役は”LED関連”、MEMSも注目

20100910 電波新聞 1

10日まで開催されている「セミコン台湾2010」は半導体・FDP製造装置と材料関連の企業・組織の国際団体SEMIが主催する。最も参加企業数が多いのはLEDパビリオンで、MEMSパビリオンも盛況。出店した日本企業の評価として、台湾の課題は、半導体製造受託で10%のシェアの中国、ウォン安で液晶パネル価格攻勢をかける韓国への対抗策という

2010年9月9日木曜日

細菌でナノ磁石製造(英マンチェスター大)

20100909 日刊工業新聞 24

細菌によるナノメートルサイズの微小磁石製造法の開発をイギリス・マンチェスター大学が進めている。十分な酸素がない環境下で生息する鉄還元細菌は、参加金属と反応し地下で天然の磁石を作り出しており、この細菌を利用して磁気特性を持つ酸化鉄のナノ粒子の製造技術確立を目指す。ナノ磁石は携帯電話や医療機器への応用が期待される。

低コストで牛の発情検知、パナソニックエコシステムズがセンサー

20100909 日刊工業新聞 9 


三軸加速度センサーを搭載し、牛の首に装着する牛の発情検知センサーをパナソニックエコシステムズが開発した。牛の活動量を計測し、発情状態を検知し、センサーに発情状態を表示する。受信部を加えたシステム構成もできる。牛の人工授精ぬおける牛の発情期間を見逃す機会損失を防ぐ。

磁気センサー、端末の向き割り出す、スマートフォンで活躍

20100909 日経産業新聞 4

スマートフォンなどに搭載され、方位を割り出す電子コンパスに組み込まれる磁気センサーの需要が増えている。磁気センサーは、ホール素子を使用して地磁気による磁場の変化を検出し、方位を算出する。スマートフォンなど携帯端末向けの磁気センサーで旭化成エレクトロニクスが8割以上のシェアを占めている。同社は携帯電話向けの3軸磁気センサーを2003年に投入したが、現在ではホール素子とマイコンを1チップに集積、1軸のホール素子のみで磁気情報を算出する等で、小型化を実現している。市場拡大により国内外のメーカーも参入が始まっている。

2010年9月8日水曜日

携帯機器に湿度センサー、健康管理アプリなどに応用(アルプス電気)

20100908 日経産業新聞 1  
 
 MEMS技術を活用し、電極間の電荷量で湿度を検出する方式で、高精度、超小型で測定範囲が広い湿度センサをアルプス電気が開発した。小型化と測定精度向上により、補正処理などが最小限となり、消費電力も軽減され、携帯電話等小型デジタル機器に搭載できる。不快指数の計測、ウイルスやドライアイ、水分補給などの警報を出す健康管理アプリなどへの活用が期待される。

ナノ粒子、均一に量産、マイクロは使い効率向上(日立)

20100908 日刊工業新聞 22

  ナノスケールの粒子を均一に量産できる化学反応装置を日立製作所が開発した。薬液を混ぜて化学反応を促すマイクロリアクターに、化学反応を速めるマイクロ波を組み合わせた。MEMS技術で作成するマイクロリアクターは、薬液の種類に応じて材質や流路形状を変えられ、並列接続で処理量を増やせる。高性能・高機能な電子材料や医薬品の低コスト量産が期待できる。

張るだけで「ナノ特性」ステッカー、表面加工なし(JST)

20100908 日刊工業新聞 1
 張るだけで表面にナノスケールの加工を施したと同様な特性を得られるシール「ナノステッカー」を科学技術振興機構(JST)が開発した。回転する円盤状基板に原料を落とし、遠心力で基板上に薄く広げるスピンコート法でナノ薄膜層を形成し、表面に石英の型を当て、紫外線照射によりナノスケールの形状を形成する。シールを張った材料自体の特性(硬さや性質)は変えずに、水になじみやすい等の表面特性のみを変えられる。人工関節や電子デバイスなどの高機能化が期待される。

2010年9月7日火曜日

携帯電話のアンテナトラブルをRF-MEMSが救う

2010.09 海外産業動向
http://www.memsinvestorjournal.com/2010/09/cell-phone-antenna-troubles-rf-mems-come-to-the-rescue.html

iPhone4のユーザは電話が突然切れることに悩まされているが、RF-MEMSの登場がそれを助けてくれそうだ。これまで様々な障害、技術ハードルがあったが、RF-MEMSが携帯電話のアンテナ性能を向上させてくれる。RF-MEMSにはビッグビジネスチャンスが巡って来ている。
iSuppliによると、RF-MEMSの売上は、06年4M$が10年は8.1M$に増加し、11年の売上予測は10年の3倍、28M$になりそうである。さらに倍々で増加し、14年には223M$まで伸びると予測される。この根拠として14年出荷のスマートフォンの50%以上はRF-MEMSを用いたfront-endモジュールを採用する予定である。RF-MEMSは増幅部のインピーダンスマッチングに理想のデバイスとされ、電話切れの問題を大きく改善できると言われている。しかしながらSoSFETs, BST varactors等の対抗デバイスも開発されており、RF-MEMSはインサーションロス等の課題をクリアする必要がる。
RF-MEMSはその特徴を生かして飛躍するチャンスはこれまでにもあったが、供給能力の問題や、技術的課題によってそれを生かすことができなかった。しかしこれからは、大手企業或いはファンドリーの参入により上記課題は解決され、次こそは飛躍の時代がやってくるものと考えられる。代表的なRF-MEMS企業をあげると、WiSpry、TDK、AnalogDevices、Radant Technologies、XCOM Wireless、Teledyne Technologies、オムロン、RdantMEMS、MEMtronics等がある。特にアンテナ性能を向上のためのfront-end制御技術に強みを持つWiSpryが大きく伸びることが予測される。
スマートフォンの他にも軍事用、宇宙用での採用が見込まれ、大量生産の時代がやってくるだろう

ジョージア工科大学:ZnOナノワイヤーを用いた圧電トランジスタ集積回路を開発

2010.09 海外技術動向
http://gtresearchnews.gatech.edu/strain-gating-piezotronics/

ジョージア工科大学Wang教授らは、ZnOナノワイヤをゲートとして、機械的変位によって発生した電荷によってスイッチング動作をさせる電子回路を開発した。この電子回路はトランジスタ、ダイオードで構成され、用途はMEMS,Microfluidics,NEMS,ナノロボット等のシステムで必要とされる電子回路として用いられる。このデバイスの駆動力は、機械的な動作であったり、流体の力、筋肉の曲げ伸ばし等が考えられる。
通常のFETはゲート電圧によってスイッチング動作をさせるが、ナノワヤは2本の電極間に配置され、機械的変位により電荷の発生、電圧の発生が起こる。このデバイスを組み合わせることによって、演算処理回路を構成することも可能である。Wangはこれをpiezotronicsと名付けた。 
Wangらは同じZnOナノワイヤを用いて振動発電デバイスやナノワイヤセンサを試作している。ZnOナノ構造作製プロセスで回路一体型機能デバイスも実現できることになる。Wangらはポリマー基板上にZnOナノワイヤトランジスタを用いて集積回路を作製し、動作を確認している。また同研究室ではポリマー基板の両面にZnOナノワイヤ回路を形成し、インバータ動作をさせることに成功している。これらは機械変位によって電子回路として動作させた世界で初めての開発例である。フレキシブル基板に形成した場合、変位の方向には圧縮と引張りがあるが、その方向によってナノワイヤの極性が変わるという特徴もある。制約として変位の周波数は人の動きのように低い領域で用いられる。
同研究室では、ZnOナノワイヤとメタル電極のコンタクト抵抗を低減させるプロセスの開発にも成功した。コンタクト部に紫外レーザを照射すると、ZnO内で電子が励起され電極に注入されることによってコンタクト性を向上させることができる。このようにZnOは紫外光による光伝導性を備えるので、機械的変位と光、両方によって物性が変化する圧電光デバイスとして機能させることも考えられる。


2010年9月6日月曜日

発電する部品実用化へ、車のセンサー、家電のリモコン(トヨタ・パナソニック23社)

20100906 日本経済新聞 1

発電電子部品の共同開発がスタートする。トヨタ、ホンダ、パナソニック、オリンパス、ルネサスエレクトロニクス、村田製作所、旭化成などNTTデータの呼びかけで23社が集まった。機器の振動や放熱、人の体温や微弱な光など微小エネルギーから発電する部品。各社は技術を持ち寄り、効率の高い発電部品を開発するとともに、無線データ伝送の標準化に取り組み、来春には実証実験を行う。車載センサーへの応用が最も有望視され、工場のボイラーや医療分野での応用が期待されている。

ナノテク使えばできるかも、界面やひずみ制御など(東大・早大)

20100906 日刊工業新聞 21 
 
ナノメートルサイズの領域で物質を制御し、新たな特性を引き出すナノテクノロジーの研究が進んでいる。東京大学石原教授らはNEMSと呼ばれるナノレベルの機械システムの実現を目指し、センサーを目途にナノ振動子の研究を進めている。早稲田大学ナノ理工学研究機構ではナノワイヤをチャネルに使ったトランジスタの実用化に取り組み、ナノレベルのひずみを加えることによる制御で性能向上を目指している。東京大学幾原雄一教授らは、ある物質に微量の成分を添加した際に界面で起きる現象を制御し、高性能の触媒を効率的に設計・開発することを目指している。

4K対応のDLPシネマチップ・プロジェクタ、映画館設置(TI)

20100906 電波新聞3面
 
 4K対応のDLPシネマチップをテキサスインスツルメントが出荷した。搭載プロジェクターは11年第一四半期に映画館に設置される。対角100フィートのワイドスクリーンや同75フィートの3Dスクリーン対応し、DCI策定の画質及びセキュリティに関するデジタルシネマ仕様に準拠している。DLPテクノロジーは世界の映画館2万スクリーンで採用されている。

サムソン,将来に向けた技術開発の取組み

IEEE NANO 2010 (2010.8.18-20 ソウル)
2010.08 海外技術動向
http://ieeenano2010.org/
講演:Kinam Kim
 サムソン先端技術研究所 所長(2030年に向けたサムソンの技術開発取組み概要が、先端技術研究所所長より紹介がありました。)
1. 世界のトレンド
・人口:先進国はすでに減少,発展途上地域も増加率は徐々に減少。
・世界市場:現在,先進国既存市場と新興国市場は約半分づつ,2030に向けた成長率は,既存市場2.3%に対し,新興市場は4.9%と予測。BRICsに継いで,中東諸国,メキシコ,オーストラリア,ベトナム,インドネシア,ナイジェリア,南アフリカ等が成長。
・環境/エネルギーへの投資:水,エネルギー,交通の順に大きくなり,現在最も大きい情報通信は減少。
・世界トレンド(人口問題,環境/エネルギー)に対応した戦略をナノテク等の技術革新(Technology Innovation)を応用して実現することにより新たなビジネスチャンスを捉える。
・これまでの大きな科学技術の流れは,蒸気機関によりる産業革命,情報通信革命が起こった。これからは何?技術の融合か(情報/ナノ/バイオ/COGNO)
2. 技術開発取り組み
○次世代IT
・今後もデジタル化のイノベーションは続く。インターネット,モバイル,デジタル放送ときて,さらに新技術,サービスが加わる。
・今後はU-Lifestyle(5U)の時代に。Ubiquitous(Anytime, anywhere),Usability(Easy to use),Unmanned(Smart device),Unreal(Cool experience) and You(Personalized, Social networking)
・高性能CPU:2020年にはコンシューマ,モバイル用でテラFLOPSに。<br>・高密度メモリー:~2020年10nmCMOS,それ以降はナノ材料応用で。<br>・異種情報の統合:膨大な情報,異種情報を統合してより進化した情報に加工。
・インテリジェントネットワーク:個レベルのネットワーク形成(地域,家庭,個人)。
・フレキシブルディスプレイ
○バイオ&ヘルス<br>・DNA診断に基づいた個別診療
・CT等従来の全体画像診断から分子レベルの画像診断へ。
・非侵襲診断
・分子レベルで相互作用する次世代ワクチン
・ITを応用した家庭内診断
○環境/エネルギー
・自動車用2次電池:リチウム-空気電池
・高効率,低コスト太陽電池:量子ドット型
・バイオエネルギー<br>・固体照明:LED照明
・水再処理
以上を応用して持続可能エネルギー社会を実現
3. ナノテクノロジーイノベーション
・ナノテクはエネルギー,エコ,バイオ,ヘルス等に革新をもたらす。
・フォトニック繊維
・透明ディスプレイ:ゴーグル型ディスプレイ
・ナノワイヤ太陽電池
・エナジーハーベスティング:人の動作で発電する服
・繊維状生体モニター
・フォトニック結晶アクチュエータ
・無痛パッチセンサ(アンテナ付):ナノワイヤ針
・味センサ(人工舌):表面修飾ナノワイヤ応用
・患部蛍光マーカー
・人体侵入ナノロボット
4.まとめ
・IT産業は引き続き成長,3D,モバイルインターネット等
・エネルギー,環境,バイオ/医療は急成長。ビジネスチャンス大。
・それらを実現するキー技術がナノテク。決して現在の先行企業が有利ではなく,ナノテクイノベーション,ビジネスイノベーションを起こした者が新たな勝者に成り得る。

サムソン ナノテクノロジへの取組み

2010.08 海外技術動向
 
 ナノテク展示会 NanoKorea 2010(8月18日~20日in ソウル)より2大エレクトロニクス企業である サムソン、LG のナノテクノロジへの取組みを紹介します。

 ここでは、エナジハーベスティングデバイスとして、ナノコンポジット熱電変換材料を用いた熱発電及びペルチェ冷却デバイス、圧電性ZnOナノワイヤを用いた振動発電デバイスが展示されていました。
①Bi-Sb-Te/Au-Cuナノコンポジット熱電変換素子
・メカニカルアロイング法を用いて従来のBi-Sb-Te熱電材料中にナノサイズのAu、Cu粒子を分散化。これにより熱電性能指数ZT=1.35(従来材料では約1)、高電気電導率、低熱伝導率を実現。
  
          
・これを用いたペルチェ冷却素子を開発。
②In4Se3-x熱電変換素子
・In4Se3-xの結晶構造の制御により、n型熱電材料として世界最高のZT=1.48を実現。(Nature掲載済)
・これを用いた熱発電素子を開発。
       
③ZnOナノワイヤ振動発電素子
・基板上に形成されたGaN下部電極上にZnOナノワイヤを形成。それをPdAu上部電極が形成されたPES基板でサンドイッチにした素子構造を備える。PES基板に生じた振動を電圧に変換する。高感度構造であるため、音響による振動で発電することが可能。
・例えば防音壁に装着して発電することが可能。
・同構造を衣服に装着することによって、人の動きで発電することも可能。

④ポリマー/カーボンナノチューブコンポジット材料
・電導性付与、静電気防止、優れた対環境性等の特徴を備え、自動車、ハードディスク。プリンター、ATM等の構造材、静電防止フィルム、燃料タンク扉に応用。
⑤Quantum Dot 応用ディスプレイ
・有機ELのさらに次世代のディスプレイとして、やはり印刷工法で製造可能なQuantum Dot 応用ディスプレイを紹介。
⑥その他:20nmピッチの凹凸構造が形成できるナノインプリント技術、印刷工法によるフレキシブル2次電池を展示。
       
 

LG ナノテクノロジへの取組み

2010.08 海外技術動向
 
・金属ナノ粒子の表面プラズモン効果を応用した高効率LED、ナノ構造反射防止膜を応用した高効率太陽電池、Quantum Dot 応用バックライトを紹介。


・MEMS技術を応用した静電駆動型オートフォーカスカメラを展示。


・その他:ナノインプリント、ナノエレクトロニクスシミュレーション等の技術を紹介。

MEMS市場予測~2014(家電、携帯機器市場) by iSuppli

2010.08 海外産業動向 http://www.cellular-news.com/story/44829.php
 
 iSuppliのMEMS市場予測によると、2010年~2014年にかけてMEMS市場、特に家電、携帯機器向けが大きく伸びる見通しである。2010年度の同分野におけるMEMSデバイスの売上げ予測は1.5B$で2009年度の1.3B$から23%上昇の見込み。2009年度はほとんどの産業が低迷していたのに対し、MEMSは影響が少なかった。2014年に向けてもMEMSの市場の伸びは年率17%~28%と予測される。MEMSの応用範囲はプリンター、コピー、自動車、産業機器、医療、無線、宇宙、軍事等広がっている。しかし今後はその中にあって特に家電、携帯機器分野が大きく伸びるであろう。我々が日常的に携帯するすあらゆる機器に、例えば携帯PC、音楽プレイヤ、リモコン、携帯ナビ等に組み込まれるからである。電子ブック、iPadに搭載されたMEMSは2009年度はわずか3M$だったが、2014年度には、105M$にまで伸びると予測される。今後伸びるデバイスとして3軸ジャイロ、プロジェクター、RF-MEMS等がありこれらの有望デバイスは、2009年度33M$から2014年度は1.3B$に増加する。アプリ分野別では携帯電話用が53%を占める模様である。デバイス別では加速度センサの占める割合が最も大きく、今後携帯PC、電子ブック、iPad等への搭載により益々市場が大きくなる。他にディスプレイ、マイク、RFフィルタも大きく伸びるであろう。

IMEC、SiGe on CMOS プロセス技術開発によりオプトデバイス機能向上

2010.08 海外技術動向
http://www2.imec.be/be_en/press/imec-news/memssemicon.html
 
 IMECは、CMOSウェハ上にSiGeやメタル工程を応用したMEMS構造体を形成するCMOS集積型MEMSデバイスをこれまで開発してきた。今回ディスプレイ用に15μm□のSiGeマイクロミラー(6電極)を開発した。これは現行の2値PWM(pulse-eidth modulation)制御に代わりアナログPWM制御を可能にした。これによってディスプレイとしてグレースケールの表現力が大幅に向上する。他にレスポンス速度の向上、演算処理、メモリの負担軽減の効果もある。<br> また同じく新しいSiGe on CMOSプロセス技術で回折型GLV(Grating Light Valves)も開発した。これまでのGLVは静電駆動によりアレイ状に形成された各マイクロビームの反射の有無を制御していた。新開発のGLVでは回折光の強度を印加電圧の大きさで制御できるようにしている。これによってコントラスト比、解像度、輝度を向上させることができる。これらのデバイスは、300nm厚のSiGe構造体形成技術によって実現することができた。

IMECファンドリーサービスにSiGe-MEMS on CMOSプロセスを追加

2010.06 海外技術動向
http://www.i-micronews.com/news/Imecs-CMORE-offering-extended-SiGe-MEMS-foundry-service-MPW,5043.html

 IMECはCMOSとMEMS等の異種デバイスを集積化させるプロセス技術をCMOREと呼び産業界に技術協力或いはファンドリーサービスを行っている。今回IMECはCMOREにSiGeMEMS/CMOS集積化プロセスのファドリーサービスを追加した。また大学向けに一つのウェハに異なる機関の複数種のチップを同時形成するMulti-Project-Wafer(MPW)サービスも開始した。
 IMECはその保有技術を生かしたファンドリーサービスを行っている。強み技術として高電圧化、CMOS画像素子、フォトニック素子、MEMS、Si貫通電極、ウェハパッケージング、デバイス設計、検査、信頼性試験等が含まれ依頼者はIMECが保有するこれらのノウハウを活用することができる。試作数のスケールとしては、基礎的な可能性検討からプロトタイピング、生産立ち上げ時の少量量産レベルまで含んでいる。また量産ファンドリーへ委託するまでのつなぎ役として、ファンドリーへの移行を意識した開発も行っている。<br> SiGe-MEMSプロセスは、CMOS上にSiGeから成るMEMS構造体を形成するもので、すでにマイクロミラー/CMOS集積型素子の開発例がある。このCMORESiGe-MEMSプロセスは、小型化、高SN比化等集積型のメリットを十分享受できるもので、様々なデバイスに広く応用可能である。SiGe層の厚さは300nm~4μmまで制御可能で、例えば300nmはマイクロミラー等のオプトデバイス、4μm厚はジャイロ等のメカニカルデバイスへの応用が考えられる。またシミュレーションを用いたデバイス設計サービスも行っており、依頼者はプロトタイピングまでの開発のスピードアップが可能である。またIMECは台湾TSMCと連携しており、TSMCで0.18μmCMOSウェハを試作して、その上にIMECで引き続いてMEMS構造を形成していくといったプロセスも可能である。

Sandia研究所(米)ポルフィリンナノチューブで水の電気分解

2010.08 海外技術動向
http://www.healthcare-digital.com/industry-focus/healthcare-technology/advances-nanotechnology-could
  
 ナノテクノロジーのデバイスへの応用としてポルフィリンナノチューブによる水の電気分解を取り上げる。ポルフィリンは光によって導電性が変化する有機半導体の一種である。また植物の光合成を担うクロロフィルはポルフィリンの1種である。ポルフィリンナノチューブは長さ数ミクロン、径50-70nm、分子の壁の厚み20nmの大きさから成る。ポルフィリン分子から水中、室温で合成することが可能である
 このポルフィリンナノチューブは強い光触媒特性を持ち、メタルイオンを含む水中で光を照射すると、還元反応を促進させて、水を酸素と水素に分解させる。またポルフィリンナノチューブは、バイオセンサ等のナノバイオデバイスにも広く応用が可能である。

3軸ジャイロ、携帯電話のキーデバイスへ by MIG

2010.07 海外産業動向
http://memsblog.wordpress.com/2010/08/02/3-axis-gyroscope-the-new-killer-product-for-cell-phones/
 
 iphone4に3軸ジャイロが採用されたことはデバイスメーカにとって明るい話題である。1,2年前は、実用化はもう少し先になるだろうと予測されていた。なぜ早まったのか。その理由は、サイズ、価格、消費電力で技術革新がなされれた。任天堂Wiiで3軸加速度と合わせて、3軸ジャイロが採用され、6軸による動作制御が実証された。特にInvensenseとStmicroelectronicsとの間で3軸ジャイロの激しい開発競争がなされたため一気に開発が加速化されたこと等があげられる。今後カーナビ、歩行者ナビ、スマートフォン等益々重要が伸びて行くことが予想される。
 またモーションセンサとしてジャイロと加速度が1パッケージ化されるであろう。供給能力のあるメーカとしてInvenSense、STMicroelectronics、Kionix、Freescale、ADI、Qualtre等があげられる。これらのモーションセンサはゲームの他に人間の3次元的な動きでディスプレイをコントロールする3Dマウスにも採用されるであろう。スマートフォンやパーソナルナビゲーションデバイスで求められる人の位置検出ではさらに精度が要求され、ジャイロ、加速度を補完するために電子コンパス、圧力センサを加えて信号制御を行うシステムの開発がなされている。いずれにせよ屋内でのナビゲーション等モーションセンサ関連のキラーアプリが今後目白押しである。

MEMSベンチャーWiSpry(米)とIBM、RF-MEMS開発で提携

2010.06 海外産業動向
http://ibm-news.tmcnet.com/ibm/articles/90383-wispry-ibm-jo-hands-develop-mems-process-technology.htm
 
 RF-MEMSを主力デバイスとする米WiSpry, Inc.とIBMはRF-MEMSデバイスの技術開発と生産について連携すると発表した。共同開発は将来のモバイル機器搭載を目指した高集積型RF-MEMSを含む。Jeff Hilbert(WiSpry)は、この共同研究で広帯域なチューナブルRF-MEMSと高集積型デバイスが実現できるであろうと言う。IBMと組むことによって生産能力、品質に優れるIBMのプロセス技術(0.18μm)を活用でき、18カ月以内にRF-MEMS/CMOS集積型デバイスの製造まで達成できるであろう。将来のマルチバンドモバイル機器、広帯域通信、基地局用に幅広く応用が期待できる。

2010年9月3日金曜日

STMicroelecteronics社 ジャイロセンサへの取組み

2010.07 海外産業動向
http://content.yudu.com/Library/A1oho8/MEMSTrendsJuly2010/resources/6.htm?referrerUrl=http%3A%2F%2Fwww.yudu.com%2Fitem%2Fdetails%2F192941%2FMEMS-Trends--July-2010

(MEMS General Manager Bebedetto Vignaへのインタビュー)

最近の技術トレンドは、MEMS/CMOS集積化だが、STMicroはそれに反し、一貫して独自の厚膜ポリSiプロセスであるTHELMAプロセスをほぼすべてのMEMSウェハプロセスに適用している。この場合、CMOSウェハは別の専用プロセスで作製されるため、異なるチップになる。このプロセスは決してスマートとは言えないが、製造のしやすさでメリットがある。

STMicroのセンサ開発戦略として、加速度の次にジャイロ、マイク、圧力、電子コンパスを考えている。これらはすべてライバルメーカがいるが、STMicroは量産技術で一日の長がある。初めてジャイロを作るのではなく、すでに実績のある加速度と同じプラットフォーム(プロセス)で設計の異なるデバイスが追加されるだけである。ジャイロの次は加速度/ジャイロの複合センサである。(二つのセンサと信号処理を1モジュール化)最初の複合サンサは3軸加速度、3軸ジャイロで5mmx5mmのパッケージに。次のターゲットは電子コンパス、圧力、温度センサ、ASICを加えて6mmx6mmのパッケージに収める。

この分野のライバルであるInvensenseの動向を見ると、あらゆる面でSTとは異なる。Invenは革新的なプロセス技術と生産はファウンダリに委託することにより、モバイル機器向け小型ジャイロから参入してきた。すでに70のカスタマーに60億個のジャイロを出荷するトップ企業である。2009年度の売り上げは79.6M$で前年比174%、純利益率19%である。創立7年で従業員165人、製品の85%は任天堂Wii用である。しかしWiiの売り上げは下降しており、次世代ゲーム機にInvenは採用されていない。そこでスマートフォン市場への参入を計画している。Invenのデバイス構造は、ASICウェハとMEMSウェハをAl/Ge接合により真空封止している。ウェハレベルで検査され最終的に標準ICパッケージを用いる。マスク枚数は6枚で低コストプロセスを構築している。また研究開発投資は盛んで従業員の40%がR&amp;Dに従事している。しかし最近のマルチセンシングによる正確なモーション検出では、彼らのプロセッ機能では課題が大きいと予想される。Invenはファブレスで現在生産をDALSA、TSMC等複数のファンドリーに分けて委託しているが、これを一つに絞ろうとしている。検査、パッケージ行程は現在でも1社に委託しているので、サプライチェーンの見直しを検討しているようである。

InvenSense社 3軸MEMSジャイロスコープ ITG-3200 分析

2010.06 海外産業動向
http://www.systemplus.fr/plaquettes/rc_mut_abstracts/Flyer_Invensense_ITG-3200_3-Axis_MEMS_Gyro.pdf

InvenSense社最新の3軸MEMSジャイロスコープITG-3200の分析。ASICウェハ、MEMSセンサウェハ、キャップウェハを接合した3層ウェハレベルチップサイズパッケージ採用。すべてのウェハがDRIE深堀りプロセスを含む。製造はCMOSファウンダリーに委託。従来の6インチから8インチに移行させて低コスト化を図る。

iPad次期モデルのジャイロは、STmicro or InvenSense?

2010.08 海外産業動向
http://www.eetimes.com/electronics-news/4206057/Apple-iPad-STMicro-gyro

Apple社はiPad次期モデルのモーションセンシング用に、InvenSense社の3軸ジャイロスコープを評価してきた。しかし最近の情報では、同等の性能を備えるSTMicroelectronics社製のジャイロスコープの採用に傾きつつあるようだ。iPhone4は、同社としてはジャイロ(STMicroelectronics)を採用した最初の製品であった。これによってより高い位置検出精度が得られるようになった。iPadとiPhone4は同時期に開発されたものだが、iPadにジャイロが搭載されなかったのは腑に落ちなかった。EETimesの現行iPad分解分析よりSTMicroの加速度センサの隣に次期モデルを見越して24個の配線用空きパッドが設けてあった。一方iPhone4を分解すると、STMicro加速度センサの横にSTMicroのジャイロが実装されていた。しかしこのジャイロのボンディングパッッドは16個であり、iPadの空きパッド数と合わない。一方InvenSenseのジャイロは24パッドから成り、こちらの方がマッチしている。恐らくAppleは、最初のデジタルジャイロであるInvensense社製を候補としながらもSTMicroにもiPad仕様ジャイロを開発させて最終判断するものと考えられる。

「MEMSの波Ⅱ 内外クリッピング」の開設


 このたび「MEMSの波Ⅱ 内外クリッピング」を開設しました。「MEMSの波Ⅱ」では、マイクロナノ分野における内外の新聞記事の要約、産業動向、技術動向に関するクリッピング情報を随時提供していきます(コンテンツ作成は財団法人マイクロマシンセンター)。これらの情報は、これまで「MEMSの波」(ブログニュース)を通じて提供していましたが、記事数も多くなってきましたので、「MEMSの波」から分離して移行し「MEMSの波Ⅱ」から提供することとしたものです。

なお、マイクロナノ産業を支援するための財団法人マイクロマシンセンターやMEMS協議会の産業交流活動状況については、従来通り「MEMSの波」(ブログニュース)から情報発信を行っていきます。
(ブログ管理人@マイクロマシンセンター) 

マイクロナノ記事クリッピング2010/8/30-9/3

20100901 日経産業新聞 5面:MEMS先端部品開発へ、欧米勢追撃へ総力戦
MEMSの価格競争力で欧米に追い付くべく、日立製作所やオムロンなど国内メーカー15社がMEMS部品の共同開発への取組を始めた。筑波の産総研に200㎜サイズのシリコンやガラスのウエハー加工ライン構築が進んでいる。NEDOの委託で各社が参加するBEANS研究所の特別プロジェクトで、15社に加えて産総研の技術者も参加し、新たな設備を使いながら製造ノウハウの共同開発を進める。

20100901 日経産業新聞 5面:小型圧力センサー、精度、他社の10倍(エプソントヨコム)
高さに換算して3㎝の変化量が検出できる高精度小型圧力センサーをエプソントヨコムが開発した。水晶基盤にMEMS技術による微細加工を施した。分解能が0.3パスカル、30キロ~130キロパスカルの測定範囲。携帯型ナビやスマートフォンなど小型機器への応用が期待される。

20100901 日刊工業新聞 22面:アクチュエーター、塩ビのゲル使い開発(信州大)
ポリ塩化ビニール(PVC)のゲルを使ったアクチュエーターと小型ブレーキを信州大学とハーモニック・ドライブ・システムズが開発した。PVCに電気を流すとプラス電極に引き寄せられる性質を生かし、網状の電極とPVCゲルを何層にも積層し、通電と切断により伸縮する。医療福祉ロボットへの活用を見込んでいる。

20100901 電波新聞 5面:MEMS産業最前線(日本アビオニクス、日本レーザー)
日本アビオニクスはMEMSデバイスの真空封止に必要な真空シーム溶接機を開発している。真空封止はパッケージ内の内部空気抵抗を低減し、MEMS可動部分の動作性を向上でき、センサー等でニーズが強い。
日本レーザーは静電ジェットパターンニング装置を取り扱っている。同装置は高粘度材の描画、フェムト・リットル・オーダーの極微量塗布、ナノ粒子のスプレー塗布などが行える。

20100901 電波新聞 4面:水晶を極め成長市場開拓、QMEMS技術強化(エプソントヨコム)
エプソントヨコムの社長に就任した矢島氏は同社のビジョンを語った。水晶をベースにしたMEMS技術であるQMEMS技術を、タイミングデバイス、センシングデバイス、オプトデバイスの事業に応用してきた。引き続きQMEMS技術を強化し、超小型、高精度、新機能デバイスを開発する。

20100903 日経産業新聞 5面:アルプス電気、センサー強化、小型・複合化で新用途
センサー部門の事業拡大にアルプス電気が取り組んでいる。エネルギー・環境分野ではEV用市場を最大の狙いとし、大容量バッテリーの充放電状況把握の基幹部品としている。従来型の圧力や磁気検知センサー分野ではMEMS技術による小型化に取り組む一方、競争力強化のため複数のセンサーを組み合わせたモジュール、通信モジュールとの組み合わせを進めている。

20100903 日刊工業新聞 28面:国際コンテスト予選、高校生部門を新設(MEMSパークコンソーシアム)
MEMSパークコンソーシアムはMEMSを応用したアイデアを競う「第2回国際ナノ・マイクロアプリケーションコンテスト(iCAN)」の国内予選に高校生部門を新設し、12月に仙台で開催する。コンテストはセンサー等MEMSを組み合わせ、ユニークな機能作成を競う。参加予定の高校生を集め、実習教室を8月末に東北大で開催した。

20100903 電波新聞 4面:高感度ジャイロセンサー(エプソントヨコム)
モーションUIの入力デバイスとして適した、高精度・広検出範囲のジャイロセンサーをエプソントヨコムが開発した。QMEMSによる高精度ジャイロ素子の採用で安定性を確保し、高速モードと低速モードを同時出力することで広い動作範囲を高精度に検出できる。