2013年12月25日水曜日

PM2.5,10秒で濃度測定、業界最小センサー(シャープ)

20131225日経産業新聞5面

 シャープは微小粒子状物質「PM2.5」の濃度を測定できるセンサーモジュールを開発した。ファンで吸い込んだ埃から取り出したPM2.5にLEDの光を当て、散乱光をフォトダイオードで検出する。10秒で測定でき、測定範囲は1立方メートル当たり25~500マイクログラム、測定感度は25マイクログラム以上。ファンの動きを切り替えればPM2.5以外の粒径が大きな埃の濃度も検出する。空気清浄器やエアコンへの組み込みを見込んでいる。

2013年12月20日金曜日

指で肌押し機器操作、マウスに替わる入力用装置、赤外線センサーで測定(慶応大学)

20131220日経産業新聞9面

 慶應義塾大学の稲見昌彦教授らは、マウスに替わる入力用装置として、肌を指で押し、その大きさや向きを赤外線センサーで検知し、機器を操作する装置を開発した。押した感覚を自分で得やすく、空中で指を動かすというような手法に比べて高齢者が使いやすいとみている。腕輪の様な機器を5~7㎝の間隔で腕に2本はめ、腕輪の間の皮膚をもう一方の指で押すことにより操作する。ゲーム操作ボタン、ロボット操縦のジョイスティック、ウエラブル端末への実用化を見込んでいる。

2013年12月19日木曜日

STが6軸モーションセンサー、40%低消費電力化

20131219電波新聞13面

 スイスのSTMicroelectoronicsは業界最小クラスの6軸モーションセンサーの新ファミリを発表した。3軸加速度センサーと3軸ジャイロセンサを同一チップに集積し、同期した出力が可能。マイクロプロセッサコア内臓モデル、地磁気センサや環境センサーと連動するセンサーハブ内蔵モデルもある。

2013年12月18日水曜日

音叉型水晶振動子、1桁ミクロン単位で基板加工(大真空)

20131218日経産業新聞4面

 大真空はフォトリソグラフィーにより業界最薄の水晶振動子を開発した。音叉型の水晶振動子を、これまでは機械加工による削りだしを利用してきたが、フォトリソ加工により1ミクロンレベルの寸法精度を実現した。水晶基盤をパッケージに固定する工程では「フリップチップボンディング」を活用し厚みや大きさを抑えた。ウエラブル端末やスマートカードへの搭載を見込む。

3次元細胞培養事業を拡大、SLSと米国ラボ設立(JSR)

20131218電波新聞3面

 JSRは3次元細胞培養事業拡大のためサイヴァクスライフサイエンス(SLS)と米国ラボ設立に合意し、SLSへ投資を行う。3次元細胞培養は細胞を立体的に培養する方法で、細胞の性質が生体に近いことから、病気メカニズムの解明や治療法・新薬の開発に期待されている。SLSは独自の3次元細胞培養技術を有し、ナノインプリント技術により細胞培養器を製品化しており、米国事業展開を加速するためボストン近郊にラボを設立する。

2013年12月10日火曜日

抗原診断ワンチップ開発、英国バイオベンチャーOJ-Bio、日本無線と共同

20131210日刊工業新聞8面

 英国のバイオベンチャー企業OJ-Bioは日本無線と共同で、表面弾性波(SAW)デバイスと抗体を組み合わせ、ワンチップで特定の抗原を診断できるセンサーを開発した。センサーには複数の抗体を生成し、検体をセンサーに滴下し、SAWの電気信号の変化で抗原抗体反応を検出する。日本無線がSAWデバイスを生産し、OJ-Bioが抗体を生成する。2014年度に試験生産する体制を整え、インフルエンザやHIV、歯周病などの診断向けに15年度以降に商品化する。

PCマウスに受光用LED、自然光で発電、待機電力極小に(立命館大とセイコーインスツル)

20131210日経産業新聞8面

 立命館大学の道関隆教授とセイコーインスツルは共同で、発光ダイオード(LED)が微弱な発電をすることを利用して電子機器の待機電力をほぼゼロにする仕組みを考案した。LEDを設置した電子機器を操作すると発電量が変化して機器自体の起動を促す回路により、起動に備えて常時微弱電流を回路に流しておく必要がなくなる。試作したワイヤレスマウスには赤色LEDを2つ装着し、利用者が操作すると1つのLEDが手で隠れて発電量が変化し、機器の起動をする。待機電力は従来の100万分の一になり、マウスの電池が約2倍長持ちした。

気体漏洩100万分の一検知、MEMSセンサー向け(フクダ)

20131210日経産業新聞1面

 MEMSセンサーの長寿命化につながるMEMS内部回路の気密性検査精度を大幅に高める技術を試験装置メーカーフクダが開発した。気密性の目安となるヘリウムの漏洩量が従来の100万分の一でも検出できる。新たな技術は、真空ケースの中にセンサーを入れた真空のカプセル状容器を置く二重構造で、真空ケース内の異種ガスを除去した後にカプセルを開く事で異種ガスの混入量を大幅に抑制した。自動車運転技術の普及で需要増を見込んでおり、まずは研究開発向けに1000万円程度で発売し、製造ライン向け装置も投入する。

2013年12月5日木曜日

電力センサー、小型5ミリ角、車・電子機器に搭載容易、次回から即時計測(大阪市大、北陸電気工業)

20131205日経産業新聞1面:

 大阪市立大学と北陸電気工業は「磁気抵抗効果型磁性薄膜電力センサー」を開発した。電気が流れる導線の周辺磁界を磁性薄膜素子で検知するもので、従来のセンサーの20分の1の大きさ、10分の1のコストとした。電力センサーの大きさは5㎜四方、100kwからミリワット単位まで、ほぼリアルタイムで計測できる。自動車、家電、パソコン、インフラ機器、太陽光発電設備などに利用可能。

「ミニマルファブ」構想広がる、半導体復権、膨らむ期待、小額投資で少量多品種

20131205日経産業新聞7面

 大規模な設備投資で半導体を量産するという従来手法の真逆、約5億円の小額投資で少量多品種の半導体を生産できるという「ミニマルファブ」構想が現実味を帯びてきた。ミニマルファブは小型の券売機程度の大きさの製造装置を組み合わせて生産する。装置内をクリーンルーム状態としており、クリーンルームの設置は不要、ウエハーサイズも12.5ミリメートルと現在主流の300ミリウエハーの24分の1.」ミニマルファブの生産が向くのは年間数万個程度しか生産しない少量多品種向け半導体。20社以上が参加する技術研究組合が発足し、販売が始まっている。

2013年12月4日水曜日

静電気で動く人工筋肉、ロボット採用目指す(東工大)

20131204日経産業新聞6面

 東京工業大学の実吉敬二准教授らは静電気の力で動く駆動装置を開発した。薄い銅箔をポリエチレンテレフタール(PET)で絶縁した電極素材を使い、電極を上下に二本づつおりこむ構造で、上下に並んだ電極に交互に電圧を加えると、静電気が発生し装置が伸び縮みする。

2013年12月2日月曜日

微振動を増幅し発電、センサー電源開発(竹中工務店)

20131202日刊工業新聞14面

 竹中工務店は空調ダクトの気流が起こす微振動から発電し、温湿度計等のセンサー電源とし屋内環境を把握するワイヤレスセンサーネットシステムを開発した。周波数12-41ヘルツの広範囲にわたり効率よく発電する。発電ユニットはマグネット式。

2013年11月28日木曜日

シリコンエッチング装置、自動処理で生産性向上(サムコ)

20131128日刊工業新聞10面

 サムコはMEMSやTSVの加工に適したシリコンエッチング装置の量産機を発売する。真空カセット室やウエハーを位置合わせするアライメント室を備え、自動処理が可能で生産性を大幅に向上させた。価格は1億5225万円。

2013年11月25日月曜日

使い捨て検診センサー、理研発ベンチャーと早大

20131123日本経済新聞10面

 理化学研究所発のベンチャー、理研ジェネシスと早稲田大学の逢坂哲也教授らは電界効果トランジスタ(FET)を活用し、健康状態を早期に診断する使い捨てセンサーを開発した。半導体チップに唾液や血液、鼻水などを付けると、それらに含むウイルスに反応し、肝臓がんやインフルエンザ、アレルギーの原因となる「IgE」と呼ぶ抗体の測定に成功した。まず皮膚の水分量を測定するセンサーとして2014年中の実用化を目指す。センサーの作成費用は現在2万円だが量産により50円程度になるという。

電流センサー「大電流市場」にマト、アルプスが本格取組み

20131125電波新聞1面

 アルプス・グリーンデバイスは、HEMS/BEMSなどエネルギー・マネジメント市場、EV/HEVなど車載インバータ関連市場などへの、電流センサー事業に取り組む。同社の電流センサーはコアレス構造のMR電流センサーで、軽量、発熱が抑えられ、2000Aまでの測定が可能。

デジタル気圧センサー、来年から事業本格化、スマホ向け量産へ(アルプス電気)

20131125電波新聞3面

 アルプス電気はスマホ用デジタル気圧センサー事業を本格化させ、第1弾として温度補正機能付き3ミリ角サイズのデジタル気圧センサーの量産を行う。センサーは圧力測定範囲30~110kPaで圧力分解能は1Pa。気圧検知により高度の特定に活用でき、今後スマホへの搭載率拡大が期待されている。さらに、水位センサーへの展開を探っている。

胃カメラなどの触覚センサー、上下左右の圧力検知、体内挿入の負担軽く(SEMITEC)

20131125日経産業新聞10面

 SEMITECはMEMS技術を活用し、広範囲な検知が可能な触覚センサーを開発した。胃カメラやカテーテルなどの医療機器向け需要を見込んでいる。直径1.9ミリメートル、長さ1.9ミリメートルの円柱型、尖端の突起物が圧力を数グラム重単位で検知できる。

2013年11月20日水曜日

曲げて使える圧力センサー、スマホ側面など向け(日本メクトロン)

20131120日経産業新聞4面

 プリント基板大手の日本メクトロンはフレキシブルプリント基板(FPC)による、曲げた状態で使える圧力センサーを開発した。FPC上部のカバーフィルムにパターンを刻み、フィルムに圧力がかかると基板上の電極間の抵抗値が下がり、圧力の大きさを検知する。厚さは0.1ミリから0.15ミリと従来のシリコンなどの製品に比べて10分の1程度。これまで装着が難しかった家電製品の曲面などにも使える。医療分野でベッドの下に敷くセンサーとしてモニタリングへの応用などを提案する。

2013年11月14日木曜日

電子コンパス用地磁気センサー事業を拡大、多軸センサーも開発進める(アルプス電気)

20131114電波新聞3面

 アルプス電気は電子コンパス用小型地磁気センサー事業を拡大する。同社の地磁気センサーはHDD用GRM素子などの技術を発展させたもので、10年から事業を立ち上げ12年以降は大きく出荷が増大している。今後は地磁気センサーと加速度センサー複合した6軸センサーを開発し、将来的にはジャイロセンサーも含めた9軸にも取り組む。

2013年11月7日木曜日

センサー事業取り組み強化、湿度センサーなどに加えMEMS応用製品に注力(北陸電気工業)

0131107電波新聞4面

 北陸電気工業がセンサー事業への取り組みを強化し、MEMS技術を活用したセンサーの多様化と複合化、ソフトウエアを組み込んだMEMS応用製品を推進している。3軸加速度センサー、フォースセンサーに加え、MEMSマイクロヒーターを使用したガスセンサー(アルコール、ブレチェック、エアモニターなど)を商品化。気圧センサーや水素センサー、磁性薄膜センサー、容量式湿度センサーを開発している。温度、湿度、気圧をワンパッケージ化した高機能センサーにも取り組んでいる。

2013年11月6日水曜日

レールの状態常時監視、車両運転台に置くだけ(日大・綱島教授ら

20131106日刊工業新聞16面

 加速度センサー、起動の異常を検出するソフトウエア、GPS受信機で構成し、車両の揺れや走行位置を検出してレールの異常個所を監視する装置を、日本大学生産工学部の綱島教授が京三製作所や交通安全環境研究所と共同で開発した。レールのひずみで起きる車両の上下左右の揺れや、左右のレールの高低差により生じる車体の回転角速度を測る。

体積半分以下分光器を開発、MEMS技術を活用(浜松ホトニクス)

20131106日刊工業新聞11面

 浜松ホトニクスはMEMS技術で小型化し、体積を従来の半分以下とした指先サイズの分光器を開発した。感度波長域は340-780ナノメートルで波長分解能は最高で15ナノメートル。分光器は光をレンズで分散してセンサーで測定し、色測定や化学分析をする機器。印刷機や照明の色管理、臨床現場即時検査の小型分析器での利用を見込む。

2013年11月5日火曜日

無線スイッチ、電池使わず電源操作、呼出しベルに応用(サイミックス)

20131105日経産業新聞6面

 半導体ベンチャーのサイミックス(長野県茅野市)は、スイッチを押す圧力を電気に変え、その電力で電波を飛ばして電源操作できる無線スイッチを開発した。屋内で20メートル程度、屋外で100メートル程度の距離から操作でき、受信装置とセットで3万円。

机さわってパソコン操作、家具などセンサー化、埼玉大が技術

20131105日刊工業新聞1面

 埼玉大学の辻俊明准教授らは、机を支える足の下に触覚センサーを取り付け、机をタッチセンサーのように使える技術を開発した。開発した「ハプティックデスク」は触覚センサーを4本の脚に取り付けた机とノートパソコンで構成し、触覚センサーが机にかかる荷重を検知し、力の大きさと向きをパソコンの画面に表示する。キーボードを押す程度の力を検知し、机に書いた字をパソコンに表示することもできる。あらかじめ触る場所と動作プログラムを対応させておけば机をスイッチ代わりにできる。製品化に向け用途開発を進め3~4年後の試作品完成を目指す。

2013年11月1日金曜日

異常感知センサー用樹脂、耐熱性4倍、200度でも品質確保、工場・プラント向け(日本バルカー工業)


20131101日経産業新聞14
 
 日本バルカー工業は耐熱性を従来の4倍に高め200度でも使用できる「圧電素子」向けの樹脂を開発した。フッ素樹脂に添加物を加えた厚さ100~200マイクロメートルのシートで、力が加わると裏表で微弱な電圧が発生する。工場の生産ラインや化学プラントなどに取り付け機器の異常な振動を感知するセンサーとしての用途を見込んでいる。体に取り付け心拍数を計測するモニターや建物で侵入者を検知するマットなどの用途も開拓する。

2013年10月30日水曜日

スイッチ、待機電力ゼロ、動き検知、小型1.8ミリ角、車などに活用(SII)

20131030日経産業新聞1面

 セイコーインスツル(SII)は超小型で待機電力ゼロの、動きを検知すると電流が流れる加速度スイッチを開発した。MEMS技術を活用し、上下のガラス基板がシリコンを挟む構造で、シリコンの中央部と周辺に電極を形成し、振動を受けて周りの電極が中央の電極に接触すると電流が流れる。通常の加速度スイッチは常に振動を検知するため微弱電流が流れているが、本製品では静止時には電流が流れず消費電力を大幅に抑えられる。自動車のエアバッグ等安全制御や建物の地震甲地などの用途を見込む。

非接触センサー、数メートルの距離から心拍や呼吸補足、見守りなどに的(パナソニック)

20131030日経産業新聞4面

 パナソニックはミリ波電波センサーを活用し、ベッドで就寝中の人の心拍や呼吸回数などを数メートル先から把握できる非接触型生体センサーを開発した。24ギガヘルツの信号を送信し、反射して戻ってきた電波の到着時間や波形の変化を捉え、生体などの微小な動きを推定する。電波の送受信ICと増幅器、アンテナ等を1つのパッケージにモジュール化した。人の動きからジェスチャーを捉える事も可能で、家電製品のリモコン操作も想定。価格は5000円以下に設定。

磁気センサー向け素子、量産技術確立(ローム)

20131030日刊工業新聞11面

 ロームは愛知製鋼との業務提携により、磁気センサーに用いる高性能磁気検出素子の量産技術を確立した。非晶質金属にコイルを巻いた特殊なアモルファスワイヤを使ったMI素子と呼ぶ高性能磁気検出センサーで、現在主流のホール素子を使うセンサーに比べて感度が1万倍高い。2014年秋に月産100万個で生産を開始し17年中に2000万個に拡大する。

2013年10月29日火曜日

複雑操作を非接触で、3Dモーションセンサー開発(シャープ)

20131029電波新聞1面

 シャープは複雑な操作を非接触で制御できる3Dモーションセンサーを開発した。赤外線LEDを手や指の対象物に照射し、イメージセンサーで反射光の光量重心を検出し、左右のXY座標軸に置き換えた位置を検出する。赤外線LED、画像処理DSPを内蔵した900画素CMOSイメージセンサを7.9x3.9x3.4ミリメートルサイズにパッケージ化した。新製品は数百円程度、タブレット端末、ノートPC、さらには家電、FA、アミューズメント、カーナビ、スマホの市場を目指している。

3マイクロ配線を基盤に、銅インク吹きつけ(NEDOなど)

20131029日経産業新聞9面

 NEDOと産総研などの共同研究グループはインクジェット方式で超微細配線をICパッケージ基板に描く装置を試作した。銅ナノ粒子インクを使い世界最小の3マイクロメートルを実現した。銅の表面に酸化膜ができる課題を、酸素が無いガス中で熱処理して酸化膜を取り続ことで解決した。

2013年10月25日金曜日

世界最小電子コンパス、スマホ搭載用(旭化成エレクトロニクス)

20131025日刊工業新聞13面

 旭化成エレクトロニクスは大きさが1.2mm角で高さが0.5mmと従来比半分、世界最小サイズの3軸電子コンパスを発売する。同社は電子コンパスの世界シェア約8割。2014年の電子コンパス世界市場規模は前年比2割増の12億個の見通し。

2013年10月24日木曜日

”室内ナビ”提案を開始、GPS電波が届かなくても現在位置を確認(アルプス電気)

20131024電波新聞3面

 アルプス電気はデジタル気圧センサー、角速度センサー、3軸地磁気センサーを複合的に組み合わせ、GPS電波が届かない建物内でも現在位置が確認できる”室内ナビ“提案を開始した。同社のデジタル気圧センサーは高度換算で0.5m相当の高精度を実現する。

2013年10月22日火曜日

エレクトレット振動発電素子、エネルギーロスを電気で回収

20131022日刊工業新聞19面

 エネルギーはかなりの部分が振動や音、熱、光や電磁波とという形でロスとなっている。エネルギーハーベスティングのなかで注目されている低周波振動の効率的な電力変換技術にエレクトレットを用いる静電誘導方式がある。エレクトレットとは「電荷を半永久的に保持する絶縁体」である。東京大学鈴木雄二教授は04年高性能エレクトレット材料としてアモルファス・フッ素樹脂(旭硝子製「サイトップ」)に高い電化保持性能があることを発見し、エレクトレット振動発電素子の実用化、高性能化を実現している。

MEMS関連新製品開発絞込み、住友精密が選択と集中

20131022日刊工業新聞7面

 住友精密工業はMEMS関連デバイス事業で、新製品開発を絞り込み、8種類ある製品ごとに3-5年の売り上げ目標を設定した見直しを行う。MEMS製品は新規事業を担う創事業部が手掛け、産業機械用ジャイロセンサーやコンパス、色彩検出デバイスなどを製品化しており、売上高は燃料電池を含め2012年度で3億円。今後の開発はMEMS単体ではなく、出口となる完成品の市場性を評価する。

2013年10月21日月曜日

指輪型のウエラブル、指のジェスチャーで家電・スマホ操作、VBのログバー開発

20131021日経産業新聞3面

 ベンチャー企業のログバーは指輪型のウエラブルコンピュータを来夏に発売する。センサーと無線通信機能を備え、指の動きで家電やスマホを操作できる。ボタンやタッチパネルは搭載せず、指で空間に文字を描く、指を曲げる、手首をひねるというジェスチャーと機器の操作を対応させ、ブルートゥースなどを使って通信する。価格は1~2万円とみられる。

センサー併用小型感震器、価格4分の1以下に(大阪ガス)

20131021日刊工業新聞15面

 大阪ガスは機械式とMEMS式の加速度センサーを併用する、鉄道・電力など社会インフラ事業所の設備向けの小型感震器を開発した。感震器は建築物が地震で被害を受けるレベルの指標となる加速度と継続時間の積「SI値」をMEMSとCPUで算出する。大阪ガスはガス管を保全する感震技術のノウハウを生かし、小型で高性能なMEMSによる感震器開発に取り組んでいた。技術供与先のニシヤマが、多摩川精機にOEM生産委託し、従来品に比べ4分の1以下の20万円と価格を抑え、16年に年間1000台の販売を目指す。

2013年10月18日金曜日

1細胞生物学、半導体技術が寄与、再生医療・がん治療に期待

20131018日経産業新聞10面

 半導体製造の微細加工技術による微小流体流路により、細胞を集団ではなく一つ一つの細胞ごとに解析し、再生医療やがん治療に貢献する可能性が出てきた。新たな学問領域「1細胞生物学」が生まれつつある。米フリューダイム社の微小流体流路は直径10マイクロメートル程度の細胞が通る極細の流路を96個チップ状に形成し、96個の細胞を一つ一つ補足できる。さらに、補足した細胞を別の流路に流し込み、DNAやmRNAを解析し、細胞のゲノム変異や遺伝子発現を検出できる。1細胞ごとの培養の経時的な変化を捉えることによりダイナミックなプロセスを明らかにできる。

2013年10月17日木曜日

TSV形成、1剤で、銅メッキ添加剤(ADEKA)

20131017日刊工業新聞11面

 ADEKAは3次元実装技術向けに銅メッキ用添加剤を開発した。シリコン貫通電極の形成に使うもので、現在の2~3種類の配合に比べて作業効率向上や品質安定化につながる。

2013年10月14日月曜日

3軸200gデジタルMEMS加速度センサー、クラス最高の帯域幅、超低消費電流、米ADIが量産

20131014電波新聞3面

 米アナログデバイセズは3軸200gデジタルMEMS加速度センサーを発表した。単価は1000個受注時で4.79ドル。主に衝撃検出や資産追跡、突発的に衝撃が発生するような用途で使用される。

曲面や凹凸形状でも搭載できる3次元形状静電センサー開発進める(アルプス電気)

20131014電波新聞3面

 曲面形状や凹凸形状へ搭載が可能な3次元形状静電センサーをアルプス電気が開発している。樹脂とフィルムセンサーを一体成型したもので、腕時計型端末、ゲーム機やマウス、AVアクセサリ、ヘルスケア関連製品などを見込んでいる。

2013年10月11日金曜日

虫などの脚の構造に注目、省エネ製品開発に応用

20131011日経産業新聞9面

 昆虫や甲殻類の脚の構造に着目し、省エネ製品につなげようとする研究が進んでいる。昨年から始まった5年間のプロジェクト「生物規範工学」は東北大学の下村正嗣教授を中心に全国から100人以上の研究者が加わる。ハムシやテントウムシは、足裏に生えている無数の太さ数マイクロ、長さ数十マイクロメートルの毛の間の空気により濡れた葉の上でもすいすい歩ける事が分かった。この仕組みを参考に引っ張る方向によりはがれやすさが異なる材料を開発しており、接着剤を使わない固定方法を目指している。フナムシの脚は側面に幅数十マイクロメートル、厚さ数マイクロメートルのヘラのような突起が生えており、この間をくぐって水が上昇する。この仕組みを工業利用すれば、電機を使わないポンプが実現すると期待している。半導体加工技術による微細構造を再現しており、ポンプの実現を目指している。

マイクロ振動発電デバイス、空調ダクトなどの振動利用、電池なしで無線通信(ミツミ電機)

20131011電波新聞3面

 ミツミ電機は電磁誘導発電による振動発電デバイスを開発している。CEATEC2013で参考出品したもので、空調ダクトなどの振動から発電し、各種センサーとRFチップを一体化させた。ビル、ホール、工場など施設内の様々な場所に追加部品不要で設置でき、RF方式はZigBee Green Powerに対応。

2013年10月10日木曜日

微小カプセルで薬剤を送り込む、脳腫瘍狙い撃ち、増殖抑制、東大が新手法、ナノテク生かし欧米を追撃

20131010日経産業新聞11面

 東京大学の片岡一則教授と三浦裕助教らは、治療が難しい「グリオーマ」と呼ぶ脳腫瘍向けの薬剤送達システム(DDS)を開発した。抗がん剤であるプラチナを「高分子ナノミセル」と呼ぶ直径30ナノメートルのカプセルでくるんだ。カプセルの表面には脳腫瘍の血管の内側に多いたんぱく質「インテグリン」に結合する分子を配置、カプセルが脳腫瘍に集まりやすくなり、患部の奥深い場所まで届いて薬が放出される。正常細胞の近くの血管にはカプセルが集まりにくく、副作用が出にくい。
 がん治療の主な治療法は手術、放射線、抗がん剤。DDSでは日本が得意とするナノテクノロジーを生かす。

血液循環測る光センサー、指先装着型を開発、まず胎児用(静岡大)

20131010日刊工業新聞23面

 静岡大学大学院工学研究科の庭山雅嗣准教授らは指先に装着して使用できる血液循環計測用光センサーを開発した。近赤外線を生体に照射し、体内を伝搬した光を解析することで、血液量や酸素濃度を測定する「近赤外線ヘモグロビン濃度計測」を応用した。従来品と比べて100分の1で、分娩時の胎児の健康状態把握や心臓手術での利用を見込む。

抵抗温度センサーの種類と動向

20131010電波新聞13面

 温度センサーには輝度や色・赤外線強度などで温度を測定する非接触式と、熱起電力や電気抵抗・磁気の変化を利用する接触式がある。最も多く利用されるのが電気抵抗変化を利用した「抵抗温度センサー」である。
 「抵抗温度センサー」には、サーミスタとリニア抵抗器及び白金測温抵抗器がある。サーミスタには一定の温度で急激に抵抗値が大きくなるPTCタイプと、温度上昇に対して指数関数的に抵抗値が減少するNTCタイプがある。PTCタイプは半導体の熱暴走時の過電流保護に使用され、NTCタイプは温度に対する抵抗変化値が大きいことから通常サーミスタというとNTCタイプを指す。リニア抵抗器は温度上昇に対して抵抗値が直線的に増加し、モーター巻線や高周波回路やディスプレイの温度補償に使用される。白金測温抵抗体はリニア抵抗器より温度特性の直線性がよく、長期安定性に優れている。

2013年10月8日火曜日

MEMSマイク事業拡大、累計出荷、近く50億個(米ノウルズ)

20131008電波新聞3面

 米国Knowles(ノウルズ)社はMEMSマイク事業の拡大が続いており累計出荷数量は近く50億個に達する見込みで、スマホ/携帯電話用MEMSマイクロの世界シェアは6割前後に達する。同社のMEMSマイクは、スマホやノートPC分野で複数マイクによる音響処理が進展する中で、優れたノイズ処理、リフローや温度・湿度、電源電圧の変化にも感度変動が無い均一性能が高く評価されている。製造は中国・蘇州工場やマレーシア・ペナン工場で行っており、両工場で設備投資による生産能力増強を行っている。

2013年10月7日月曜日

ゴム振動シート開発、圧力センサーなど適用目指す(豊田合成)

20131007電波新聞3面

 豊田合成は誘電ゴムを伸縮製電極で挟んだ構造の、電機で伸び縮みするゴムシート(e-Rubber)を開発した。振動シートとして、従来のモーターを用いた振動発生シートに比べスペース、消費電力、重量が半分以下で済み、電圧制御により伸縮用の調整が可能、形状の自由度が高いという特徴を持つ。携帯電話のバイブレーション、平面スピーカー、圧力センサーなどへの適用を目指す。

2013年10月4日金曜日

微生物の付着防止、マイクロ流体チップ向け成膜技術を開発(太陽化学工業)

20131004日刊工業新聞8面

 太陽誘電の子会社、太陽誘電化学はマイクロ流体チップ向けに細胞や微生物などの付着を防止する成膜技術を開発した。電子部品事業で培った成膜技術を活用し、プラズマ化学気相成長(CDV)法により、硬く滑らかで傷がつきにくく、摩擦抵抗が少ない膜を、金属やガラス、フィルム、樹脂、シリコンなど材質を問わず様々な機材に製膜できる。

2013年10月3日木曜日

東北大の三次元LSI拠点、半導体の立体構造に挑む

20131003日経産業新聞11面

 東北大学三次元スーパーチップ試作製造拠点(GINTI)は回路を積層して立体構造のLSIを試作して企業などに提供する。三次元LSIはウエハの表面を加工した後に固定用のガラス基板を接着し、裏面も加工した回路基板を積層する。回路1個に3000~5000個の穴を開け、銅を流し込んで基板間の配線を行う。実用化への課題は回路間の接合法で、現状では量産に向かない。東北大は多くの企業に試作品を出して新たな用途を切り開くことをめざしている。

日立がCNTを探針に用いた光学顕微鏡を開発

20131003電波新聞13面

 日立製作所はカーボンナノチューブをプローブに用いたNSOM(近接場光学顕微鏡)を開発し、波長850nmのレーザー光を用いて、幅5nmの金のパターンの画像化に成功した。NSMOは走査型トンネル顕微鏡や原子力間顕微鏡など操作プローブ顕微鏡ではできない微小部分の組成や分子構造を知ることができるが、微小な光スポットを作ることが課題であった。先端を4nmに尖らせたCNTのプローブにより実現した。

2013年10月2日水曜日

新技術でヘッド小型化(セイコーエプソン)

20131002日刊工業新聞9面

 セイコーエプソンはインクジェットプリントヘッドの新技術「プレシジョンコア」を開発した。ヘッドを小型化できるためプリンターへの搭載台数を増やし、高速化、高精度化できる。圧電素子の材料改良やMEMS製造技術を組み合わせて実現した。

スマホで着信、香りで通知、機器装着で成分噴霧(シフト)

20131002日経産業新聞1面

 嗅覚をコミュニケーション手段と組み合わせる仕組みをITサービスのシフトが商品化する。ピエゾ素子を内蔵した専用機器をスマホのイヤホンジャックに差し込み、メール着信時に香り成分を含む液を噴霧する。嗅覚と結びつけた仕組みを企業の販促活動に応用することを狙っている。

2013年10月1日火曜日

CEATEC2013、スマホよりロボカー、次世代車は宝の山


20131001日経産業新聞22
 
 CEATECでは最先端のデジタル技術を活用した次世代車が登場。次世代車は電子業界にとって”宝の山“、国内部品各社が得意とする認知システムのしのぎを削っている。ミリ波レーダーの富士通テン、デンソー、ホンダエレシス。ミツミ電機はMEMSミラーを使いレーダー投影範囲の拡大を目指している。超音波センサーでも村田製作所、パナソニック、日本セラミックスなど日本勢が強い。全自動運転実用化の鍵となる画像認識用のチップはルネサスエレクトロニクスや東芝などが供給。これまで、スマホ部品に力を入れてきた電子部品業界は、車載用センサーや通信モジュールの開発に力を入れている。

シリコン深堀高速で直径均一、3次元半導体・MEMS用(サムコ)


20131001日経産業新聞4
 
 半導体製造装置メーカーのサムコは、MEMS3次元構造半導体向けに、シリコンを高速で精密に深堀出来る加工装置を販売する。シリコンにフッ素プラズマを照射し、化学反応で穴を深く掘る装置で、毎分10マイクロメートルの深さで掘ることができる。ボッシュ特許を活用し、表面から少し掘って穴の壁にポリマー膜を塗布し、それ以上広がらないようにという作業を繰り返す。量産用に直径8インチウエハーを自動で出し入れできるカセット機器を取り付け、自動運転で1日数百枚加工でき、生産能力は従来の約5倍となる。

iPS細胞を自動培養、100子同時、手作業の10分の1(東京大学)

20131001日本経済新聞17面

 東京大学の生田幸士教授と池内真志助教らはiPS細胞を自動培養する実験器具を開発した。1センチ角のチップ上に直径1ミリの穴を100個開け、柔らかい膜が底を覆う。くぼんだ膜が微小な試験官となり、iPS細胞の塊を骨や脂肪のもととなる細胞に育てた。手作業は従来の10分の1以下になる。様々な薬を垂らし、効き目を10種類同時に調べる実験にも使える。

歩行姿勢判定、スマホで確認、オムロンが新商品

20131001日刊工業新聞17面

 オムロンヘルスケアは腰の後ろに装着し歩行姿勢を判定する「ウォークスキャン」を発売する。10歩の歩行で姿勢をチェックする機能と3~10分間の歩行で日常の歩行姿勢をチェックする機能を搭載、測定結果はiPhoneアプリで確認できる。

2013年9月27日金曜日

室内の微生物料、最短10分で計測(シャープ)

20130927日経産業新聞10面

 空気中にある細菌やカビなど微生物の量を短時間で計測できるセンサーをシャープが発売する。従来は計測に数日から1週間かかっていたが最短10分で計測できる。微生物を抽出した後に特定の光波長を照射し、微生物料を計測する。装置の周辺にある0.5~10マイクロメートル程度の微生物の量を検出できる。

有機半導体を微細加工、露光技術など開発(富士フィルム)

20130927日経産業新聞」9面

 富士フィルムは非フッ素系フォトレジストと露光技術で、有機半導体の線幅を0.5マイクロメートルまで細くできる微細加工技術を開発した。欧州の半導体研究機関IMECとの共同研究。半導体製造で一般的な波長365ナノメートルのi線と呼ばれる光を利用できる。有機半導体は柔らかい樹脂基板を使い、印刷技術で作れるが、印刷では1マイクロメートル以下の回路作成が困難。高精細の有機ELテレビ向けにフォトレジストギジュによる加工の研究が進んでいる。

2013年9月25日水曜日

印刷技術で電子素子、カーボンナノチューブ使用、高速動画再生可能に(NEC)

20130925日経産業新聞6面

 NECはインクジェット方式の印刷技術により、高速動画の再生を可能にする電子素子を開発した。銀粒子やナノチューブが溶けたインクとインクジェット方式の印刷技術によりトランジスタを作り、500キロヘルツの周波数で電流を制御できることを確認した。技術研究組合・単層CNT融合新素材研究開発機構との共同成果。今後は透明プラスチック基板上に作り、柔らかいディスプレー開発を目指す。

2013年9月19日木曜日

MEMSジャイロセンサー、光学手振れ補正機能に最適化(STマイクロ)

20130919電波新聞3面

 STマイクロエレクトロニクスはスマートフォンやデジカメの光学手振れ補正用MEMSジャイロセンサーを発表した。信頼性確保のためセンシング・マスの共振周波数を約20キロヘルツとし、超音波洗浄装置によるダメージへの耐性を高めている。検出範囲は±65~130dps、温度センサー、ローパス/ハイパスフィルターを内蔵している。

数千倍の感度で細胞選別(古河電気工業)

20130919日経産業新聞12面

 古河電気工業は従来の数千倍以上の感度で細胞を選別できる装置を開発した。解析したい細胞を含む溶液を、大きさが10マイクロメートルと30マイクロメートルの2種類のくぼみが多数ある板にたらし、くぼみに落ちた細胞の透過光を解析して、目的の細胞を90%以上の確率で回収する。

非接触センサー、磁場で距離、バネで伸縮検知(テキサス・インスツルメンツ)

20130919日経産業新聞7面

 テキサス・インスツルメンツはコイルとバネを使い、電気を通す導体に対応する非接触新型センサーを発売する。磁場の変化を利用して物体との距離を、バネを使い物体の伸縮や屈曲なども検知できる。ステンレスなどの金属板にセンサーを使った場合、板とセンサーの距離のほか、複数のセンサーを使えば傾きなどをミクロン単位で高精度で検知できる。物体の形状や回転なども検出できる。バネを使えば種類の異なる金属から特定の物体だけを検出できる。抵抗や圧力、超音波や光などを使ったセンサーの代替として使用できる。

2013年9月18日水曜日

光学顕微鏡性能10倍、ナノチューブ活用、乾かさず細胞解析(日立)

20130918日経産業新聞7面

 日立製作所はカーボンナノチューブを部品に使い、近接場光による光学顕微鏡で観察できる性能を10倍に高めた。これまでの同製品の性能は分解能が30ナノメートルだったが、先端部が4ナノメートルのカーボンナノチューブから近接場光を出すことにより3ナノメートルに高めた。ナノレベルの観察装置には電子顕微鏡があるが、真空中に置くため細胞の観察には乾かす必要があった。光学顕微鏡では細胞を生きたまま観察でき、イラク品やバイオの研究に活用できる。

2013年9月13日金曜日

20130913日刊工業新聞19面:探訪先端研究、刺激応答性高分子、電力なしでゲル自立歩行、医療デバイスに応用へ

20130913日刊工業新聞19面

 芝浦工業大学工学部機械機能工学科前田信吾助教は、特定の刺激で膨張や収縮を繰り返す高分子を使い、医療やロボット分野への応用を目指している。「刺激応答性高分子」は温度や圧力など周りの環境に応じて形を変える性質を持つ。再生医療分野で細胞を増やすための培養皿にも、温度により性質が変わる刺激応答性高分子が使われており、薬物送達システム(DDS)やロボットのアクチュエーターへの応用も期待できる。前田助教は「ベローゾフ・ジャポンスキー(BZ)反応」で動く刺激応答性高分子に着目し、高分子をスポンジ状にするなど構造的工夫で変形量を10倍とすることに成功した。現在は自律的に動くゲルを応用し、ポンプとして埋め込み、流路内に液体の流れを作るチップを開発している。チップは縦横1㎝、厚さ2㎜で、チップの中に薬を入れ、内視鏡で胃に設置し、決まった時刻に薬物が胃に送り込むことを想定している。

ロータリーセンサー、非接触で角度検出し長寿命化(アルプス電気)

20130913日刊工業新聞9面

 磁気素子により非接触で角度を検出できるロータリーセンサーをアルプス電気が量産を開始した。産業機器の操作用ペダル向けに開発したもので、摩擦が発生しないため1000万サイクルと長寿命を実現した。

2013年9月11日水曜日

体に貼れるモーションセンサー(ゼットエムピー)

20130911日刊工業新聞7面

 体に貼れるシートタイプの6軸モーションセンサー(MEMSによる3軸加速度センサーと3軸ジャイロセンサーを搭載)をゼットエムピー(東京)が発売した。USBでパソコンに接続できる。

MEMS受託製造メムス・コア、装置内製で競争力発揮、日立OB、東北大と組む

20130911日経産業新聞17面

 仙台市にメムス・コアというMEMSに特化したファウンドリー(受託製造会社)がある。2001年創業の同社はMEMSの試作開発から初期量産までを受託する。MEMSでは用途・目的に合わせてプロセスから考える必要があり、センスが問われ、ノウハウが必要。同社は6インチウェハー対応の半導体製造ラインを有しているが、MEMS特有の装置は内製という特徴を持つ。創業から10年を経て150社以上から開発を受託してきており、昨年度は単年度黒字を達成した。

2013年9月6日金曜日

高精細技術で医療に貢献(オプトニクス精密)

20130906日刊工業新聞26面

 オプトニクス精密はフォトエレクトロフォーミング技術(フォトリソグラフィーと電気鋳造を組み合わせた)を活用して微細な穴を開けたフィルターを開発している。穴の直径が8マイクロメートルで誤差は0.3マイクロメートル以内、開孔率が40%以上のフィルターを開発。インクジェットプリンターのインクフィルター、白血球の除去療法向けフィルター、粉体工業向けの高精度なふるいへの適用を見込んでいる。

2013年9月4日水曜日

電流センサー小型化、エネ管理向け(アルプス・グリーンデバイス)

20130904日経産業新聞1面

 アルプス・グリーンデバイスはHEMSやBEMSの電力管理に使う小型軽量の電流センサーを開発した。記憶装置向けの磁気ヘッドに使うGMS(巨大磁気抵抗)素子を使い、U字の溝に電線を通すだけで電流の強さを測定できる。小型化により分電盤やブレーカー内部に組み込みやすく、設置済みの分電盤にも後から取り付けられる。

2013年8月30日金曜日

PM2.5も逃がさない、微細な穴多数の薄膜部品、電磁波を照射し検出(村田製作所)

20130830日経産業新聞4面

 1マイクロメーターの微細な穴を多数あけ、直径2.5マイクロメートル以下の粒子状物質(PM2.5)などを簡単に検出できる薄膜部品を村田製作所が開発した。電磁波を照射して微細物質が網に引っ掛かっていないか検査する。屋外で大気汚染状況を調べるといった使い方を想定。微量な花粉やほこり、粉体に加え、インクジェット吐出液の検出、フィルムや薄膜の厚みの計測もできる。特殊な吸着剤を使えば、たんぱく質など特定の分子結合の検出にも使える。

2013年8月15日木曜日

飲み込んで大腸検査、国内初の承認取得、年内にもカプセル内視鏡(ギブン・イメージング)

20130815日経産業新聞5面

 イスラエルの医療機器メーカー、ギブン・イメージは大腸用のカプセル内視鏡が厚生労働省から承認されたため年内にも国内販売をする。「ピルカム コロン2」は長さ31ミリメートルで、カプセル両側に発光ダイオード(LED)とCCDがついており、消化運動にあわせて大腸内を移動しながら、内壁の画像を1秒間に4枚あるいは35枚撮影する。撮影した画像は無線で体外に付けた小型のレシーバーに蓄積し診断に利用される。

2013年8月14日水曜日

HEMS/BEMS市場向け、センサーや無線モジュール提案に力(アルプス電気)

20130814電波新聞3面

 アルプス電気はHEMS/BEMS市場向けにセンサーや無線モジュールの提案を強化する。このうち発電入力&センサーデバイスは、電磁誘導式で発電量140µJ以上をアック帆できる高性能タイプを開発中で、1回の操作で電波送信に十分な電力を発生する。

2013年8月13日火曜日

世界最小の慣性計測ユニット(セイコーエプソン)

20130813電波新聞3面

 セイコーエプソンは世界最小の慣性計測ユニット(IMU)となる「Vシリーズ」を開発した。カメラ・アンテナの安定化システムの制振制御、産業機器の振動・姿勢の計測・制御、医療・リハビリ分野における人体モーション検知に用いる。10x12x4ミリメートルのサイズ、重さ1グラム、消費電流18mAでQMEMSジャイロセンサーを搭載し、高性能も同時に実現した。

2013年8月5日月曜日

インフラ監視センサー、揺れで発電、能力16倍(旭硝子、オムロン、東京大学)

20130805日経産業新聞1面

 トンネルなどのインフラに取り付け、長期間にわたり電源なしで揺れを検知して監視できるセンサーを、旭硝子、オムロン、東京大学が開発した。センサーは3センチメートルの立方体で、トンネル天井、橋、線路などに取り付け、揺れを監視し、異常を検知して補修などの対応に結びつける。組み込んだエレクトレット振動発電機は、電荷を帯びた2センチメートル四方の「エレクトレット」が揺れるとつないだ電線に交流が発生し発電する。発電能力は約50マイクロワット。旭硝子が電荷がたまりやすいフッ素樹脂を開発し、東大の鈴木雄二教授が基礎研究を、オムロンがセンサーを設計した。自動車タイヤの内側に組み込めば揺れのデータ収集が可能、持ち運び型の心拍数計測器などにも取り替え不要の電源となる。

2013年8月1日木曜日

ジャイロセンサー、振動に強く省電力(アルプス電気)

20130801日経産業新聞7面

 アルプス電気は外部からの振動に強く、消費電力も低減できる新たなジャイロセンサーの開発にめどを付けた。ジャイロセンサーの核となるのは「振動材」と呼ぶセンサー素子で、現在主流のクシ歯構造振動材の振動周期は音声や自動車振動に近い20-30キロヘルツのため外部からの振動を受けやすく、精度向上が難しかった。アルプス電気はMEMS加工で円盤型のセンサー素子を採用し、振動周波数を10メガヘルツに高めて周囲の影響を受けにくくした。振動材の振れ幅もクシ歯型の10分の1で消費電力を低減した。同社は米ベンチャー企業クォルトレ(マサチューセッツ州)に300万ドルを出資し、共同開発を進めてきた。2014年から販売を開始する。

パラジウム-コバルト酸化物、磁場で電気抵抗変化、新磁気センサー開発に道(京大)

20130801日刊工業新聞19面

 磁性元素を使わない新たな磁気センサー開発につながるメカニズムを京都大学大学院理学研究科の米沢信吾助教と前野悦照教授らのグループが発見した。非磁性パラジウム-コバルト酸化物(PdCoO2)の単結晶を作成して温度がマイナス271度、磁場が14テスラの条件下で大きな磁気抵抗効果が起きることがわかった。室温でも磁気抵抗効果を確認した。

2013年7月31日水曜日

次世代半導体製造向け露光装置、生産効率高め巻き返し(ニコン)

20130731日経産業新聞4面

 次世代半導体製造向け露光装置でニコンが競合するASMLとは異なる技術で受注を獲得している。ニコンが手掛けるのは「Arf液浸露光」という技術で、波長が193ナノメートルの光源「Arf」を使用し、回路原版(フォトマスク)の回路をレンズで集光しウエハーに転写する際に、レンズのウエハーの間を純水で満たして集光性を高めるもの。純水を使う事で屈折率を1.44まで高める事が出来、微細な回路をウエハーに焼き付けられる。ニコンはこの技術による露光装置をインテルなどから受注。現在主流の直径300ミリから450ミリへの大型化に対応し、2015年に試作機、17年には量産機を出荷する。ASMLは波長が13.5ナノメートルとArfの10分の一以下の極紫外線(EUV)を使った装置の開発に力を入れているが、まだ次世代ウエハー用の装置では受注していない。ニコンは1990年代にウエハー大口径化への移行時に技術面でASMLに後れを取りシェアを大きく落としたが、今回は奪還を狙っている。

2013年7月29日月曜日

EmiSense Technologies社(米):自動車用PMセンサ開発、実用化へ期待


米ベンチャー企業EmiSense Technologies(カリフォルニア州)は、米VC9th Street Capitalによる6.5 million US$の投資を受けて、すすなどの粒子状物質をリアルタイムで探知するPM-Trac® センサを開発した。これまで、灰が電極に蓄積することにより、PMセンサの耐久性が課題となっていた。低コスト化や、応答速度、精度、耐久・耐衝撃性の向上が進んだことで、排ガス規制が強まる自動車等の分野での実用化が期待される。同社は、商業化に向けたパートナーを2014年春先までに選定する。

 





2013年7月25日木曜日

MEMS技術でセンサー開発へ(山形県工業技術センター)

20130725日刊工業新聞35面

 山形県工業技術センターはMEMS技術を活用した二酸化炭素濃度や風量を測定するセンサーの開発に着手する。電子回路を含めた小型にも取り組み、工場の空調管理の最適化を目指し、2015年度末までの計画で進める。

羽毛より軽い半導体センサー、東大が開発

20130725日本経済新聞38面

 東京大学の染谷隆夫教授らは、羽毛より軽く、厚さが2マイクロメートルで、ラップフィルムのように柔らかな半導体センサーを開発した。特殊溶液に浸した1マイクロメートルの高分子フィルムに電気を流し、2層の絶縁層を均一に形成した。肌に貼り付けても装着感が無く、体温や心拍数、血圧などの測定器への応用が期待される。

2013年7月24日水曜日

MEMSディスプレー、動画滑らか、IGZO技術で量産へ(シャープ)

20130724日経産業新聞4面

 シャープがクアルコムと共同開発するMEMSを使った新しいディスプレーの実用化にめどを付けた。得意のIGZO技術を応用し、動画表現力に優れており、5月に試作品を完成させた。MEMSディスプレーはバックライトに発光ダイオード(LED)を使い、バックライトの順次発光する3原色の透過量を0.1~0.2ミリメートル角のシャーターで微調整して、表現したい1色を作り出す。液晶は60ヘルツの電流で駆動しており動きの速い動画では映像がぶれるが、シャッターは1秒間に1000回以上開閉し、液晶を300ヘルツで駆動するのに相当する。シャッターを制御する回路の材料に半導体酸化物であるIGZOを使用し、シャッターの高速制御と大画面化を実現した。試作したディスプレーは7型のサイズで1280x800の約100万画素。同社は量産技術を2014年末をめどに確立する。

2013年7月23日火曜日

高精度地磁気・加速度センサー、モジュール化、小型に、米VBに出資、開発(アルプス電気)

20130723日経産業新聞4面

 アルプス電気は米ベンチャー企業エムキューブ(カリフォルニア州)に約1億円を出資し、自社の地磁気センサーとエムキューブの加速度センサーをモジュールにして小型化した新製品を開発した。6軸の検知で移動方向の精度を高めた。これまでは各センサーを組み合わせるケースが多く、開発工程が複雑だった。

2013年7月22日月曜日

慣性計測ユニット2種、検出範囲など向上(セイコーエプソン)

20130722日経産業新聞4面

 セイコーエプソンは産業向け慣性計測ユニット2機種を開発した。M-G352はジャイロセンサーで1.5倍、加速度センサーで2倍の検出範囲を実現し、無人探査機や飛行機、自動車など大きな動きを伴う機器の姿勢制御に役立つ。M-G362は安定性を2倍に高め、ブレや振動の少ない安定した静止状態が要求される業務用カメラや地上設置型アンテナに向く。

2013年7月19日金曜日

針でつつくと結晶構造変化、高感度センサーに応用(北海道大学)

20130719日経産業新聞10面

 北海道大学の伊藤肇教授らは、結晶の一部を細い針でつつくと結晶構造全体が変わる現象を発見した。高感度センサーへの応用が期待される。金と窒素を含む新しい有機化合物を合成し、有機溶媒に溶かした後に溶媒の一部を蒸着させて化合物の結晶を作った。結晶を直径0.1ミリメートルの針でつつき刺激を与えると、紫外線で青く光っていた結晶が黄色く光り始め、黄色の領域は徐々に広がった。結晶中の一部の変化が連鎖的に広がった。この現象を使い、分子1個の変化を読み取る超高感度センサーの開発が期待される。

微弱振動⇒電気に変換、技術普及に組織(東大など)

20130719日刊工業新聞21面

 東京大学大学院鈴木雄二教授、オムロン、旭硝子など6者は、半永久的に電荷を保持できる絶縁体(エレクトレット)を用いて微弱振動を電気エネルギーに変換する技術の普及を目指したコンソーシアム「エレクトレット環境発電アライアンス」を設立した。東大が基礎研究・機構解析を、オムロンが設計・製造を、旭硝子が材料の製造を、他3者が電子回路の製造や生産を担当する。

2013年7月12日金曜日

運動エネルギーのハーベスティング(収穫):日常の人間の動きがモノのインターネット(IoT)のエネルギー源になるかもしれない

http://www.extremetech.com/extreme/161079-kinetic-energy-harvesting-everyday-human-activity-could-power-the-internet-of-things
 
 コロンビア大学の研究チームが日々のありふれた動き(歩く、鉛筆で書く、棚から本を取る、ドアを開けるなど)から運動エネルギーを収穫する研究を行った。驚くべきことに、座ったままの生活を送っている人々を除いて、日常生活の動作からノートPCやスマートフォンとの無線ネットワークを接続するのに十分なエネルギーの収穫が可能であることがわかった。
 エネルギーハーベスティングは将来のウェアラブルコンピューティングとモノのインターネット(IoT)において重要なエネルギー源になると予想されている。基本的な構成として、重りをばねに取り付けて、圧電物質やMEMSにより機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する。人間の動きが周期運動の場合、上下、前後、内外といった反復的な動きからエネルギーを収穫することができる。鉛筆で書く、引き出しを開けることにより5マイクロワット、歩くことにより100~200マイクロワット、モノを故意に振ることで3000マイクロワット(3ミリワット)のエネルギーを取り出すことができる。
 将来は運動エネルギーの収穫と電波エネルギー収穫が協調する形で、電池レスのモノのインターネットが驚くほど適用され始めるであろう。
(調査研究・標準部 出井敏夫)

シリコンで超小型レーザー(大阪府立大や京大など)

20130712日経産業新聞10面

 シリコンで出来た超小型レーザーを大阪府立大や京都大学、科学技術振興機構(JST)が開発した。米インテルが試作している最先端シリコンレーザーと比べて大きさと消費エネルギーを1万分の1以下とした。光を閉じ込めたり増幅するフォトニクス結晶をレーザーの発生装置に使い、シリコン基板に穴を開けるだけで作れる。これまでのシリコンレーザーは消費電力が大きかったが、実用化には消費電力を下げる必要があった。

電流センサー小型化、磁性コア材不要(アルプス電気)

20130712日刊工業新聞8面

 アルプス電気は磁気素子を搭載し、磁性コア材を不要とし小型化した電流センサーを発売する。サイズは13.4x15.7x7.2ミリメートル、重さが3グラム、サンプル価格は1500円。インバーター、パワーコンディショナー、サーバー用電源用途を目指している。

2013年7月9日火曜日

圧縮空気流量センサー、低価格品投入(オムロン)

20130709日刊工業新聞8面

 オムロンはコンプレッサーの空気使用量や空気漏れを計測するエアー流量センサーを発売する。MEMS素子を搭載しエア流量が毎分50リットル以上で±2%、50リットル以上で±0.5%の精度で計測可能。エア流量200リットルタイプで価格は3万4千円。

小型・高精度気圧センサー(オムロン)

20130704日刊工業新聞11面

 オムロンは50センチメーターの高低差を気圧変化で測定できる「絶対圧センサー」を発売する。CMOS回路とMEMSセンサーを1チップに集積した。活動量計やスマートフォン向け需要に期待している。

2013年6月20日木曜日

新型インクジェットヘッド、国内2か所で量産開始、160億円投資(セイコーエプソン)

20130620日経産業新聞7面

 セイコーエプソンは国内2か所の事業所に160億円を投資し、従来の半分程度に小さくしたインクジェットヘッドの生産を行う。前工程の諏訪南事業所、組み立ての東北エプソンに設備投資した。組立を完全自動化して生産コストを引き下げ、一部インドネシアに出していたヘッド生産を国内に戻す。オフィス向けではレーザープリンターの普及が進んでいるが、新ヘッドでインクジェットプリンターへの置換を図り、交換インクの販売増で収益率改善を狙う。

台湾で触覚センサー量産、月産100万個規模、タッチエンス、提携工場開拓

20130620日刊工業新聞7面

 東京大学発ベンチャーのタッチエンスは、2015年に台湾で触覚センサーの量産体制を整えて月産100万個規模とし、欧米向けに輸出して3年後に海外年間売上3億円を目指す。同社は3次元方向の変位を検出できる「ショッカクキューブ」や、MEMSを活用した3軸触覚センサー「ショッカクチップ」などを展開している。触覚センサーはロボットや自動車向けで採用が伸びており、14-15年度に米国とドイツに進出する計画。現在は国内で試作品・研究開発向けに月産1万個規模。台湾で量産、国内は少量生産に特化する。

アルプス電気、センサー事業強化、14年度上期メド、ジャイロセンサー投入

20130620電波新聞4面

 アルプス電気はセンサー事業の拡大を図っており、スマホ用では地磁気センサー、気圧センサー、湿度センサー、UVセンサーなどを製品化している。パートナーである米国クォルトレ社との連携によりジャイロセンサーを投入すると共に、加速度センサーの共同開発を進める。クォルトレ社はBAW(バルク・アコースティック・ウェーブ)という弾性波を利用したMEMSセンサー技術を用い、数メガヘルツの高周波により、外来ノイズへの耐性に優れた高い衝撃特性や低消費電流の技術開発を進めている。クォルトレ社のジャイロセンサーは一般的なチューニングフォーク方式とは異なりBAW方式で、デザインは櫛歯型ではなく円板。振幅が0.2マイクロメートル未満と小さく、連化しにくい。量産開始は14年度中を目指す。

2013年6月18日火曜日

STマイクロのMEMS、日韓で年2桁増収へ

20130618日経産業新聞4面

 STマイクロエレクトロニクスはMEMS製品で約5割のシェアを握るが、日韓での売上高を年率で2桁伸ばす方針。デジカメの手振れ補正の他、車載や産業機器分野を開拓する。オムロンとガス計測メーターを開発するなど、日本企業との共同開発を進める。同社の2012年の売上高は10億ドル、今後2~3年で新製品を投入し、世界シェア60%程度を目指す。

2013年6月14日金曜日

ナノリソグラフィ研究所設立、蘭ASMLが産学官で

20130614電波新聞2面

 オランダのASMLは同国の物理基礎研究財団(FOM)、アムステルダム大学、アムステルダム自由大学、オランダ科学研究機構(NOW)と共同でナノリソグラフィ研究所(INL)を設立する。最初のプログラムはEUV(極端紫外線)を用いたリソグラフィ技術。研究予算は10年間で1億ユーロ。

2013年6月11日火曜日

慣性センサーの米クォルトレ社に300万ドルの戦略投資(アルプス)


20130611電波新聞1面

 アルプス電気は共同開発を進めているMEMS慣性センサーベンチャーの米クォルトレ社に300万ドルの戦略投資を行った。クォルトレ社はBAW(バルク・アコースティック・ウェーブ)という弾性波を利用したMEMSセンサー技術を用いて、数メガヘルツの高周波により耐ノイズ・衝撃性、低消費電力に優れた技術開発を進めている。同社のジャイロセンサーは一般的なチューニングフォーク方式とは異なり、独自のBAW方式により10メガヘルツの高周波、振幅は0.2マイクロメートル未満という特徴を持ち、デザインは櫛歯型ではなく円板形。パッケージングはアルプス電気が担当し、販売は両社が行う。14年度中の量産開始を目指す。

2013年5月28日火曜日

家畜伝染病、半導体で検知、動作異常や体温分析、ルネサスが基礎技術


20130528日本経済新聞15
 
 家畜の背にセンサーを搭載したチップを付け、動作の異常や体温を分析して無線で知らせ、伝染病を検知する基礎技術をルネサスエレクトロニクスが開発した。牛の口蹄疫や鳥インフルエンザなどを早期発見できる。今後、実証実験を行い、2014年度にも発売する。

 開発したチップは1センチメートル四方で、マイコンを搭載し、センサーから得たデータを周波数に変換・分析し、体の傾きや発熱などの異常を検出する。個々の家畜にチップを搭載すれば、病気の家畜を特定して周囲への伝染の予防につながる。

2013年5月15日水曜日

マイクロ流体チップ搭載用小型電動弁を開発(理研など)

20130515日刊工業新聞23面

 理化学研究所、東海ゴム工業、東京大学のグループは、マイクロ流体チップの弁として利用できる、電圧で大きく変形する電動ポリマーを開発した。これまでの空圧利用弁は小型化が困難、ピエゾ素子利用弁は変位が小さいという課題があった。変異率の大きい東海ゴム工業の「スマートラバー アクチュエーター」を使ってバルブを作成し、0.01立方センチメートル以下の超小型で0.7秒の高速応答ができる。

ジャイロセンサー技術開発、IME(シンガポール)と共同研究契約(シキノハイテック)

20130515日刊工業新聞9面

 シキノハイテック(富山県)はシンガポール科学技術研究庁のマイクロエレクトロニクス研究所(IME)と商用携帯型アプリケーション用低電力・高性能ジャイロセンサー「ASIC(特定用途向け)IP(知的財産)ブロック」の開発に関する共同研究契約を結んだ。IMEとの共同研究で新たなアプリケーション向けに革新的なジャイロセンサー技術の開発を目指す。

2013年5月14日火曜日

自動車制御部品に参入、来年にも量産(村田製作所)

20130514日本経済新聞12面

 村田製作所は水晶を金属で封止する独自構造による水晶振動子を開発し、自動車制御部品に参入する。これまで同社は自動車のエアバッグやパワーウインドウなどにセラミック製の振動子を供給してきた。精度が高く、小型化された製品を2014年にも量産を開始する。

低消費電力、初の1チップ屋内GPS、リアルタイム位置システムやワイヤレス・センサーネットワーク向け(仏BlinkSight)

20130514電波新聞3面

 フランスのファブレス半導体企業BlinksSightはリアルタイム位置システムやワイヤレス・センサー・ネットワークアプリケーション用の1チップ屋内GPSチップを発表した。IMECとホルストセンターの技術による超低消費電力インパルス無線技術を適用したチップは、タグ等に組み込まれ、人間や対象物の動きと軌跡のリアルタイム情報を提供する。デジタル処理部とアナログ無線機能を1チップに収容し、3次元位置の性格さは10センチメートル以内。

スマホ用MEMSマイク、月産1000万個に倍増(新日本無線)

20130514日刊工業新聞10面

 新日本無線はスマホ向けMEMSマイクを3月量産開始時の月産500万個を7月から倍増の1000万個に引き上げる。2014年3月期の売上高4億円を目指す。同マイクは音のセンサーと信号を増幅させるアンプで構成する。

2013年5月9日木曜日

産業市場の潜在ニーズを開拓する慣性計測ユニット

20130509電波新聞9-10面

 外部リファレンスを参照することなく3次元で物体の速度変化と角度変化を測定できる装置が慣性計測ユニット(IMU)である。IMUの対象分野がこれまでの航空・宇宙・軍事から産業用市場、特に無人機向け市場に拡大を始めている。米国では無人飛行機(総重量約25kgから約2kg)が2015年から規制が解禁され、ヨーロッパでも無人機の開発が盛んである。IMUは無人機本体の姿勢制御用の運動検知、慣性航法用の運動検知、調査・監視用カメラコントロール及び振動検知、スキャンセンサーコントロール及び振動検知等に活用され、1台の無人機に複数台のIMUが使用される。セイコーエプソンはM-G650-PD11という産業用IMUを市場に投入した。本製品は3軸ジャイロと3軸加速度に対応し、国際武器取引規則(ITAR)に則り輸出が可能である。

カイオニクスの超低消費電力ジャイロ、慣性センサーの新市場開く

20130509電波新聞8面

 ロームグループのカイオニクス(米国)は超低消費電力ジャイロを開発した。KMX61Gは3軸地磁気センサー、3軸加速度センサー、3軸ジャイロセンサー及びセンサーフュージョンアルゴリズムを内蔵し、スタンバイで5µA、フル動作モードで最大550µAという超低消費電力が特徴である。

2013年5月5日日曜日

熱電素子の効率5割向上、排熱発電に応用へ(三井造船)

20130505日経産業新聞2面

 エンジンの排熱利用発電として注目されている熱電素子の効率を5割高めた素材を三井造船が島根大学と共同で開発した。電気エネルギーを取り出す効率が従来の3.4%から5%まで高まった。熱電素子は部品の消耗が無く、設置後の細かいメンテナンスが不要。同社は船舶用エンジンなどに組み合わせると効率を高められが、商業ベースに乗せるには課題があるとみている。

2013年5月3日金曜日

センサーが広げる健康機器の可能性、電子部品各社、次の”柱”に

20130503日刊工業新聞7面

 センサーがヘルスケア機器の可能性を広げており、健康志向や高齢化を背景としたスポーツ・ヘルスケア機器市場の拡大が見込まれ、各社がビジネスの柱へと取り組みを始めている。
 セイコーエプソンは同社の慣性計測ユニット(IMU)を活用したテニスラケットの選択支援を行うシステムを開発した。テニスラケットの持ち手先端に運動解析システム「エムトレーサー」を取り付けスイングすると、センサーがスイングスピードや方向も解析してモニターに表示する。
 村田製作所は心拍数やストレス度合いを計測できる加速度センサー搭載のモジュールや、より安定した脈拍数を測れるバイタルサイン(生体信号)センサーなどを使った用途開発を進めている。アルプス電気も地磁気センサーなど各種センサーや無線通信モジュールを組み合わせたシステムをヘルスケア機器向けに提案する。

2013年5月2日木曜日

検査・診断機器開発競う、患者の負担より軽く、カプセル内視鏡(オリンパス)、低被ばくCT(フィリップス)

20130502日刊工業新聞11面

 オリンパスの小腸用カプセル内視鏡「エンドカプセル10システム」は直径11ミリx長さ26ミリメートルで高画質イメージセンサーを採用し、撮影視野角は145度から160度に拡大した。患者に取り付けるアンテナユニットをベルト型にして、装着を簡便にした。検査は8時間かけて6万枚の写真を撮影し、読影する医師の負担軽減のため、疾患の可能性が低い画像を高速再生する機能を搭載している。富士フィルムはX線感度を向上した乳がん検査用デジタルX線撮影装置(マンモグラフィ)を発売する。シーメンス・ジャパンがふくしま国際医療科学センターに納入した統合型全身MR-PETシステムはMRIとPETを統合したシステムで1回の撮影で両画像を同時撮影できる。

モーター駆動型内視鏡ホルダー、頭の動きで操作自由(東京医科歯科大、東工大)

20130502日刊工業新聞17面

 東京医科歯科大の川嶋健嗣教授と東京工業大学の只野幸太郎助教授らは、頭部に角度センサーをつけ、頭の動きで医療機器を操作できるモーター駆動型内視鏡ホルダーを開発した。医師は両手で手術しながら内視鏡を動かせる。

NISTの新しい測定ツールは急成長のMEMS産業をターゲットに


http://phys.org/news/2013-05-nist-tool-fast-growing-mems-industry.html
 MEMS市場の成長と拡大にともない、米国国立標準技術研究所(NIST)はデバイス設計者、製造者及びユーザにとって待望の、8諸元の測定が可能な測定ツールを導入した。
 NISTが開発したテスト・チップ(基準材料8096と8097)は、さまざまな製造装置で作られたMEMSデバイス間の高精度かつ高信頼の測定値比較を可能とし、プロセスの特性把握、トラブル処理、機材の較正、関係者間のコミュニケーションを容易にする。
 MEMSはかつて半導体産業の継子といわれ、用途はおもに自動車のエアバッグシステムの加速度センサに限定されていた。しかし、コンシューマ向けでは多数のアプリケーションに用いられ、たとえばハイエンドスマートホンではマイク、加速度センサ、ジャイロスコープなど約10個のMEMSデバイスが使われている。MEMSデバイスは、タブレット型コンピューター、ゲーム機、lab-on-a-chip診断システム、表示デバイス、移植型医療デバイスなどの重要な構成要素である。
 技術コンサル会社Yole Développementは、世界のMEMS産業収益は2011年の100億ドルから2017年の210億ドルに増加すると予測している。汎用の基準材料と標準化された測定方法により、MEMSデバイスに要するコストと時間を削減することができ、異なるメーカーによってつくられたMEMSデバイス間の相互接続性をより高めることができる。
 新しいNISTの基準材料は、表面境界層の厚さを測るために微小サイズの片持ち梁、梁、階段状の台、及び表面層の厚さを測定する構造を含む。具体的には、段差高さ、長さと同様、弾性(ヤング率)、残留張力(及び応力)、張力(及び応力)勾配を測定し、国際標準との適合チェックに使うことができる。
(調査研究・標準部 出井敏夫)

2013年5月1日水曜日

床発電のセンサー装置、電子看板や見守り向け、今秋メド商用化(NEC)

20130501日経産業新聞5面

 床を踏込むたびに発電する床発電装置よりセンサーに電力を供給し、この動きを検知した制御装置が電子機器を制御するシステムをNECが開発した。オフィスの照明の点灯や高齢者の見守りなどの需要を開拓する。

2013年4月30日火曜日

スマホの振動で道案内、画面見ずに安全性高く、ソフト開発(電通大)

20130430日経産業新聞9面

 電気通信大学の野嶋琢也准教授らはスマホ内蔵のGPSで得た位置情報と加速度や方向を検知するセンサーを使い、目的地への方向や距離などをスマホの振動で知らせるソフトを開発した。歩きながら画面を見ずに、振動だけで案内できるので安全性が高く、高齢者が使うことを想定している。今後、企業と組み実用化を目指す。

2013年4月26日金曜日

産業用途向け慣性計測ユニット(セイコーエプソン)


20130426電波新聞3面

 セイコーエプソンは産業用途のインターフェースであるCAN、RS-422に対応し、耐環境特性の慣性計測ユニット(角速度3軸、加速度3軸)を出荷する。用途は船舶・自動車など大型機械のモーション計測・振動計測など各種産業機械用。

2013年4月24日水曜日

MEMSが可能にするエネルギーハーベスティング(DigiTimes社によるMIG会長へのインタビューより)

http://www.digitimes.com/news/a20130422PD217.html
 DigiTimes社は、省エネ型アプリケーションへのMEMS使用について、MEMS Industry Group (MIG)会長Karen Lightmanにインタビューを行った。

Q:エネルギー・アプリケーションでMEMSを使おうとする機会/挑戦は何か?
A:MEMSは石炭や原子力などのエネルギーを代替するのに十分な力を単独でつくることはできないが、エネルギーのスマート化を可能にする。MEMSはすでにエネルギー資源の検知を可能にしている。たとえば、ヒューレット・パッカード社のCentral Nervous System for the Earth (CeNSE)は高度なインテリジェントネットワークが挙げられる。これは世界で何が起きているかを五感で感じる何十億ものナノスケールセンサからなる。エネルギーハーベスティングは、MEMSの大きな機会のひとつである。MEMSベースのエネルギーハーベスターは、低パワー用途においてバッテリーに置き換えられる。MEMSは堅牢かつ低コストのため非常に魅力的である。TPMS(タイヤ圧監視システム)は、MEMSエネルギーハーベスターの最初の市販アプリケーションのひとつである。また、ペースメーカーも用途のひとつである。心臓の動きを発電に使うことができる。ペースメーカーのバッテリーはわずか10年しかもたず、高齢の患者に(電池交換の)手術は大きな危険をともなう。エネルギーハーベスターは無期限に使用することができ、非常に有利である。MEMSエネルギーハーベスターはまた、携帯端末で使われる。

Q:携帯端末のアプリケーションの詳細は何か?
A:MEMSエネルギーハーベスターでバッテリーを補完する。バッテリーサイズを抑える要求に応えることができる。携帯端末メーカーはすでに低消費電力化のためにMEMS技術を使用しているが、これはハードウェアではなくソフトウェアによる革新である。

Q:TPMSの次の市販アプリケーションは何か?近い将来MEMSエネルギーハーベスティングのためにロードマップを示す研究はあるか?
A:何が次に来るかを予測するのは難しい。ひとつはアスリートが着用するハイテクTシャツに縫い込まれた心拍数センサを動かす圧電発電器かもしれない。もう一つの可能性は、ペースメーカー用圧電型エネルギーハーベスターである。

Q:MEMSエネルギーハーベスター製品を開発した会社の例は?
A:SiargoはMEMS流量計を提供している。Analytical Pixels Technologyはナノ・センサー・ベースのガスクロマトグラフィー・システムでMEMSを使っている。家電用ポータブル電源のLiliputian Systemsは、リチウム電池に代わるMEMSの製作方法を導入したソリューションを開発している。

Q:MEMSはエネルギーハーベスティングの将来に、どのような好影響をもたらすか?
A:人々は2005年の時点では2015年までには至る所にエネルギーハーベスティングが使われるようになると予想していたが、まだ大きな希望を持っている。エネルギーハーベスティングは技術パッケージの一部である。生み出されるエネルギーは、そのサイズ/スケールと比例する。他のセンサと相互作用しているセンサシステムの一部としてMEMSを考える時、本当の機会がある。MEMSはスマートメーターなど、システムのより適切な資源配分を可能にする。そして、MEMSはエネルギー資源の探索に重要な役割を果たす。
(調査研究・標準部 出井敏夫)

2013年4月23日火曜日

グラフェン上で成長する驚くべき構造のナノワイヤ(米イリノイ大学の研究より)

http://www.nanotech-now.com/news.cgi?story_id=47307
 イリノイ大学のエンジニアチームが1枚のグラフェン上で化合物半導体のナノワイヤ成長を試みた時、思いがけずエピタキシの新しいパラダイムを発見した。グラフェン上で大きくなるナノワイヤには驚くべき構造がある。自己組織化ワイヤは芯とさまざまなアプリケーションのための望ましい特徴のある外層をもつ。
 Xiuling Li教授のリーダシップのもと、Eric Pop教授、Jeseph Lyding教授そして電気及びコンピュータ・エンジニアリングのすべての教授が協力して、このチームはこの発見をJournal Nano Lettersに発表した。
 半導体材料の小さい糸であるナノワイヤには、トランジスタ、太陽電池、レーザ、センサなど多くのアプリケーションの可能性がある。Li教授のグループは、半導体材料(たとばシリコン)の平らな基板の上に最初からナノワイヤを成長させるファンデルワールス・エピタキシと呼ばれる方法を使用する。
 ナノワイヤは、III~V族化合物からなる場合、太陽電池、レーザのような光応用に適する。シリコンは最も広く使われている半導体材料であるが、いくつかの欠点を有する。Liのグループは、1枚のグラフェン、特別な物理的・伝導特性をもつ厚さ1原子のカーボンであるグラフェンシート上にインジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAs)のナノワイヤを成長させた。この薄さにより、シリコンが硬くてもろいのに対し、グラフェンは柔軟である。しかも金属のように、ナノワイヤが直接電気的接触するように伝導する。さらにまた安価で、黒鉛のブロックからはがして薄片にするか、カーボン・ガスから大きくする。
(調査研究・標準部 出井敏夫)

自動車用・無線用圧力センサがMEMSデバイスの売上トップに(IHS社の調査より)

http://www.electroiq.com/articles/sst/2013/04/automotive-and-wireless-applications-to-drive-pressure-sensors-t.html
 増加する自動車向け需要と成長の速い携帯端末向けの需要により、2013年のMEMS圧力センサによる収益は2012年の15億ドルから14%増の17.1億ドルを見込む。堅く見積もって11%、よりバラ色の見通しで最大16%成長するであろう。安定かつ連続的な成長は少なくとも市場価値が24.9億ドルに達する2017年まで続くとみられる。
 自動車機器において、2013年のMEMS圧力センサ収益は12.6億ドル、年間総工業収益の74%に達するとみられる。タイヤ圧センサ、ブレーキセンサ、エアバッグ、エンジン制御、排気ガス再循環などが活気づいている。新しいアプリケーションは、高圧センサを用いたガソリン直接噴射システムで、特にディーゼル車が普及している欧州では、2015年以降の排気ガス規制をにらみ、排気ガス処理システムで多くの圧力センサがすでに使われている。
 無線用は自動車用に次いで大きな市場である。携帯端末に圧力センサを内蔵することにより高度を測定し、ユーザが建物の何階にいるのかを正確に特定する。サムスンは2012年に初めてGalaxyIIIスマートフォンに圧力センサを搭載した。
 その他、航空宇宙防衛機器、医療電子機器、産業電子機器、パーソナル機器などさまざまな分野にMEMS圧力センサが応用されているが、多くのアプリケーションにおいて市場は断片的である。とはいえ、今年の成長率11%は堅いとみている。
(調査研究・標準部 出井敏夫)

2013年4月19日金曜日

MEMS企業トップ30社 - STマイクロ、ボッシュがトップに浮上(Yole社の年間ランキング調査より)

http://www.i-micronews.com/news/Top-30-MEMS-companies-STMicroelectronics-Robert-Bosch-rise,10320.html
 スマートフォン用センサ市場の急成長によりMEMSサプライヤのランキングが入れ替わった。これまでMEMS産業を主導してきたマイクロミラーメーカーやインクジェットヘッドメーカーの売上を慣性センサのサプライヤが超えたのは初めて。
 STマイクロはMEMSの売上10%増の10億ドルでトップに立った。2位は14%売上増、8.4億ドルのボッシュである。かつてはテキサスインスツルメンツ(TI)がトップ、ヒューレット・パッカード(HP)が2位だったが、ボッシュはTI、HPを抑えての2位である。
 STマイクロ、ボッシュの両社は広範囲なセンサ製品と単一パッケージに複合センサを組み込んだ製品事業を積極的に展開してきた。両社を始め慣性センササプライヤ各社は、加速度センサやジャイロスコープなど20-30%にも及ぶ平均単価下落にもかかわらず、量的拡大により大きな売上増をみた。STマイクロは他社の追随を許さない前年比58%増の日産4百万ユニットのMEMSデバイス生産を誇る。
 Yole社はMEMS産業全体で2012年に10%市場規模が拡大し110億ドルに達すると算定しており、半導体市場が2%縮小したのと対照的である。また、MEMS企業トップ30社で市場全体の75%を占めるとしている。
(調査研究・標準部 出井敏夫)


スポーツ技術、数値で鍛える、ランニングやゴルフ(アシックス、エスエスケイ、デサント)

20130419日経産業新聞9面

 センサーを活用してスポーツ技術を計測できる製品が増えている。アシックスとSIIが発売するランニング腕時計AP01は、内蔵した加速度計で歩数を計測し、ピッチ(1分間当たりの歩数)を数値化し、走行中のペース管理に役立てられる。SSKの野球の練習用スピード計測器「マルチスピードテスター」はバットを振るスピードと打球の飛び出す速度をセンサーで同時に測定し、スイング速度に対する打球の速度の割合を「ミート率」として算出する。数値が100以上であればバットの芯に当たったことを示し、打撃の巧拙が判別できる。

高精度超音波、半導体で、MEMS活用、発信機小さく、顕微鏡応用へ(NTT)

20130419日経産業新聞10面

 MEMS技術で加工した振動版を使用して、波形がそろった超音波を発信する半導体素子をNTTが開発した。端子の片方から波形が不ぞろいの超音波を入力すると、振動版が波形を揃え、もう片方の端子から揃った波形が出てくる。従来は水晶振動子などの部品が必要だが、新素子を使えば発信機の設置面積は10分の一以下になる。今後、ナノメートルサイズのカーボンナノチューブやグラフェンなどを振動板に利用すれば発振できる超音波の周波数を100ギガヘルツまで高められ、分解能が10ナノメートルの顕微鏡が実現できる。開発した半導体素子は振動発電向け素子としても使える。

2013年4月18日木曜日

業界最小クラスの水晶発振器、設置面積半分に(セイコーエプソン)

20130418電波新聞3面

 従来製品に比べて設置面積で50%、体積で65%削減した水晶振発振器をセイコーエプソンが発売する。32.768キロヘルツ水晶発振器は、時計やモバイル等電子機器の駆動・制御に欠かせないデバイス。同社は水晶素材とMEMS技術を組み合わせたQMEMS技術と、半導体技術により、水晶振動子と発信回路を小型パッケージに集積している。

2013年4月17日水曜日

地磁気センサー拡大、愛知製鋼向け、来春から量産(ローム)

20130417電波新聞1面

 ロームは業務提携した愛知製鋼から地磁気(MI)センサーの技術供与を受け、MI素子、MIセンサーの量産に乗り出す。ロームの米子会社カイオニクス社が生産する6軸複合センサーに自社製を使用するほか、ジャイロを組み込んだ9軸センサーや圧力センサーを組み込んだ10軸センサーを製品化する。MIセンサーはアモルファスワイヤを使用する地磁気センサーで、愛知製鋼が開発・生産しており、ホール素子などの半導体センサーに比べて1万倍の感度をもつ。愛知製鋼は磁気センサー市場の拡大を予想し、優れた量産技術を持つロームにMIセンサーの生産を委託し、自社は高感度・高精度が求められる車載や医療市場へ軸足を移す。

2013年4月12日金曜日

小型プロジェクター、名刺入れサイズに(パナソニック)

20130412日経産業新聞4面

 発光ダイオードを光源とし、タブレットやPCの画像を投影する小型プロジェクターをパナソニックが発売する。「マイクロビューアー」は縦6㎝、横10.2㎝、厚さ2.2㎝、重さは110gで、60インチのサイズで投影できる。

小型の振動発電部品、出力4倍、ICタグや車載向け開拓(スミダコーポレーション)

20130412日経産業新聞4面

 スミダコーポレーションは従来品に比べて出力を4倍に高めた超小型振動発電部品を開発した。直径4ミリメートル、長さ15ミリメートルのサイズで、複数のコイルと磁石をつなぎあわせ、電磁誘導の頻度を増やすことで出力を向上した。アクティブRFIDと呼ぶICタグの内臓電池の代替や、タイヤ空気圧警報装置(TPMS)のタイヤに取り付けるセンサーの電力を狙っている。

2013年4月10日水曜日

MEMS差圧センサー、広い計測範囲、低圧力域で優れた感度再現性(オムロン)

20130410電波新聞3面

 オムロンは熱式MEMSフローセンサーチップを用いたMEMS差圧センサーを開発した。これまでの静電容量方式やピエゾ方式などの差圧センサーに比べ、計測範囲が広く、低圧力域での感度、再現性を高めた。内臓ASICで直線補正、温度補正のデジタル処理を行っている。測定範囲を0-250パスカル、±50パスカル、±500パスカルの3機種を取りそろえた。

磁気抵抗センサー事業拡大、NECから譲受、今年度20億円以上へ(村田製作所)

20130410電波新聞1面

 村田製作所は6月にNECより譲受するMR(磁気抵抗)センサー事業を自社のMRセンサー事業に加え、同分野市場への取り組みを強化する。自社MRセンサーで高シェアを持つ紙幣・磁気インク・磁気カードインクなどの時期識別市場、OA/FA機器などの回転センサー市場から、NECが得意とするモバイル機器の開閉検出や給湯器、水道・ガスメーターなどの流量検出、産業機器市場に拡大する。

2013年4月9日火曜日

MEMS発振器新製品を発表、水晶振動子、置き換え狙う(米サイタイム)

20130409電波新聞2面

 モバイル市場の水晶振動子からの置換を狙うMEMS発振器の新製品を米SiTimesが発表した。SiTimesは2年前にサーバーやPC、ルーター、デジタルカメラ、イーサネットスイッチなどインフラ市場向けにMEMS発振器をリリース、現在では世界のMEMSタイミング市場で80%のシェアを握る。MEMS発振器はMEMS振動子回路とPLL(フェーズドロックループ)をシリコン基板上に集積している。新製品のMEMS振動子は、外付けのキャパシタを必要とする従来の水晶振動子による発信回路に比べ、プリント基板への実装面積を最大85%削減、消費電力は0.75µAで同仕様の水晶振動子の半分。

2013年4月8日月曜日

老巧インフラに大量センサー、ビッグデータで故障予知、改修費削減、NECがシステム

20130407日本経済新聞7面

 「大規模プラント故障予兆監視システム」という、社会インフラや大規模プラントに大量のセンサーを取り付けて振動・温度・水流などのデータを収集・解析し、異常データをを検出して故障の予兆を知らせるシステムをNECが開発した。NECは原子力発電所に3500個のセンサーを取り付けた試験を実施して実用化にめどを付けた。センサーの追加を自動認識し、容易に設備を拡張できるのが特徴。

2013年4月5日金曜日

光発電素子、太陽光なくても発電、多目的センサーに(国際先端技術総研)

20130405日刊工業新聞23面

 低照度でも発電する光発電素子を国際先端技術総合研究所(東京都港区)が開発した。同社が早稲田大学逢坂研究室と共同で開発したナノ二酸化ケイ素の人工水晶を活用し、低照度でも太陽電池が起動できるように改良した。50平方センチメートルの素子に1000ルクスの光を当て、約2.8ミリワットの電力を得た。また、2平方センチメートルの光発電素子に約20ルクスの光を当て、数十µアンペアの電流を流すことに成功している。室内照明や星空などでの発電が可能となり、家庭、オフィス、工場や公共施設、道路などで使用される多目的センサーの電源として活用しうる。

2013年4月4日木曜日

成膜スループット4倍、PZT圧電膜用ソルゲル材料(三菱マテリアル)

20130404電波新聞3面

 圧電MEMSデバイス向けに、従来より4倍のスループットで製膜するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)圧電膜用ゾルゲル材料を、三菱マテリアルが開発した。PZTの成膜手法はスパッタリング法とゾルゲル法があり今回はゾルゲル法によるもの。1回の成膜で膜厚を400ナノメートルとし、成膜スループットを8.8メートル/時とした。今後は成膜装置メーカーと協力し、8インチウェハーサイズでの量産成膜プロセスを構築する。

2013年4月3日水曜日

取り込んだ薬物を光照射で放出、DDSに応用、ナノカプセル開発(北海道大学)

20130403日刊工業新聞19面

 光を当てると中に取り込んだ薬物を放出するナノカプセルを北海道大学の新倉謙一准教授らが開発した。薬を患部の狙ったところに運ぶ薬物送達システムへの応用をめざし、企業との共同研究を進めて、2~3年で材料として提供できるレベルの技術確立を目指す。テトラヒドロフラン溶液に、直径5~20ナノメートルの金ナノ粒子にフッ素化されたポリエチレングリコールを被覆すると、金ナノ粒子が自動で集まり中空のカプセルができる。このカプセルの表面を水に溶ける性質の分子で覆うと、水に分散する外径100ナノメートル、内径50~60ナノメートルのカプセルができる。62.5℃にするとカプセルが少し開き薬物を導入でき、25℃で15時間精製した後は壊れない。カプセルに532ナノメートルのレーザーを当てると中の薬剤が放出される。抗がん剤を入れたカプセルをがん細胞に投与し光を当てて細胞を死滅させることができる。

触覚センサー、主力事業に、クルマの乗り心地測定器など(佐竹製作所)

20130403日経産業新聞13面

 MEMS技術を活用した「触覚センサー」を扱う佐竹製作所は、同事業の拡大を図り、小型センサー事業を4年後に現在の10倍以上の5億円に引き上げる。2010年に触覚センサーの技術を東京大学から購入し、11年に同センサーを開発・販売する子会社タッチエンスを設立し、同社の13年10月期の売上高は4000万円程度。触覚センサーは圧力や滑る力・方向を測定できる。現在は産業用ロボットや医療用ロボット向けに販売しているが、国内自動車メーカーと組み乗り心地を調べる装置を開発する。センサー性能も現在の5倍の200ニュートンまでを計測でき、誤差を±7%から同1%に抑える。

2013年3月27日水曜日

センサー、エネ関連など新成長市場に注目、20年には5兆8661億円規模、モバイル機器用センサー、MEMS技術を応用

20130327電波新聞3面

 電子情報技術産業協会(JEITA)がまとめたセンサーの世界需要見通しでは、11年実績の1兆8290億円に対して年平均14%増で推移し、20年には5兆8661億円に達する。モバイル機器用センサーではMEMS技術による超小型センサーが活発化し、温度、湿度、気圧、ガス、色などに加え、電子コンパス用の3軸地磁気センサー、地図・ナビゲーション用の方位と加速度センサーを組み合わせたモジュールセンサー、液晶表示制御用の近接・照度センサーが開発されている。エネルギー関連センサーでは、スマートハウス向けに検知情報をネットに送信するシステムの開発が進むと共に、様々なシーンの温度検知・補償用のサーミスタ、太陽光発電のパワー制御向けの電流センサーの開発が活発化している。自動車向けでは吸気温、燃料噴射、燃焼検知、燃焼圧、油圧、排気温の各センサーに加え、TMR(トンネル磁気抵抗)技術による角度センサーが開発されている。

2013年3月20日水曜日

MicroGen社(米):ピエゾMEMSエネルギーハーベスタの量産移管(X-FAB)完了

海外産業動向
http://www.i-micronews.com/news/MicroGen-X-FAB-completes-piezo-MEMS-vibration-energy,10214.html
 MicroGen社はピエゾMEMSを用いたエネルギーハーベスタを開発しているCornel大学からのファブレスベンチャー企業である。この度、ドイツのMEMSファンドリーX-FABへの生産移管が完了して商品発売の準備が整った。ウェハサイズは8インチである。
このMicro-Power Generator(MPG)の仕様は、容積は1cm3以下、振動周波数は100、120Hzが中心ユーザ仕様にも対応、ウェハレベルパッケージ構造、寿命20年、電力制御ICを内蔵し、出力は~100μWである。
 応用例としてTexas Instsurumentsのワイヤレス温度センサを駆動できるモジュールを開発済である。(http://www.youtube.com/watch?v=V__ktSBpnN4)

2013年3月18日月曜日

露光装置と電子顕微鏡投入、研究開発から量産向けまで(アドバンテスト)

20130318電波新聞4面

 ナノメートル対応の電子ビーム露光装置と測長型電子顕微鏡を半導体検査装置大手のアドバンテストが公開した。電子ビーム露光装置「F7000」は1xナノメートルの高描画精度で、ウエハやナノインプリント用テンプレート、先端LSI、フォトニクス、MEMS、ナノ加工などをサポートする。同社独自のキャラクタ・プロジェクション露光技術により、従来のポイントビームに比べて数百倍のスループットを実現している。多次元観察・測長走査型電子顕微鏡、MVM-SEM「E3310」は1xナノメートルノードプロセス開発と22ナノメートル世代以降の量産デバイス用次世代ウエハー全自動インラインに対応する。

2013年3月14日木曜日

振動発電部品参入、リモコンの補助電源向けなど、出力市販品の4倍(スミダ)

20130314日経産業新聞7面

 振動発電部品にコイルメーカーのスミダコーポレーションが参入する。振動発電部品は巻線状のコイルで磁石を囲んだ構造、磁石が動く事でコイルに電力が発生する。複数のコイルと磁石をつなげることで電気出力を上げ、市販品の4倍程度という。直径14ミリメートル長さ50ミリメートルで単3乾電池と同じ大きさの製品は15ミリワットと、直径50ミリメートル長さ300ミリメートルの製品は15ミリワットの電気が得られる。直径14ミリの製品はテレビのリモコンや懐中電池の補助電源を、50ミリワットの製品は海に浮かべるブイのなど様々な電源の用途を開拓する。

2013年3月13日水曜日

小型地磁気センサー、実装面積60%縮小(アルプス電気)

20130313日刊工業新聞8面

 アルプス電気はサイズが1.6ミリメートル角、高さ0.7ミリメートルと実装面積を従来比60%、地磁気測定のダイナミックレンジを2倍とした3軸地磁気センサーを開発した。サンプル価格は1000円で、1年後には月産500万個を目指す。

2013年3月12日火曜日

ばんそうこう型センサー、高齢者の体調を常時測定、乳幼児にも利用(兵庫県立大)

20130312日経産業新聞8面

 体に貼り付けて体温や心電図などを常時測定できるばんそうこう型のセンサーを兵庫県立大学の前中一介教授らが開発した。縦2.2センチ、横9センチの大きさで、電池と無線送信用素子を内蔵、体の表面温度、心電図、大まかな動作が推定できる加速度、気温、気圧を計測する。計測データを無線で飛ばしコンピュータで計測する。柔らかいポリエチレン樹脂や伸縮性のある配線でセンサー基板を作り、シリコン系素材のポリジメチルシロキサンで覆い、防水性と接着性を確保した。高齢者の見守りに活用し、乳幼児や劣悪環境下作業員の体調管理等で企業と連携した実用化を目指す。

2013年3月7日木曜日

水晶振動子で淡水化監視、膜の目詰まり解明に期待(日立)

20130307日経産業新聞2面

 日立製作所と日立プラントテクノロジーは海水淡水化設備の水処理膜の状態監視に、水晶振動子を使った計測技術「水晶振動子マイクロバランス(QCM)法」の適用に関する研究を行っている。QMC法は一定の振動をしている水晶振動子に、物質が付着した際の周波数変化を検出し、微量な物質の質量を測定する。半導体製造装置内の膜厚センサーで実用化されている技術を水中に応用したもの。

腕時計用方位センサー、大きさ1/20に、電力9割減(カシオ、アルプス電気)

20130307日経産業新聞1面

 腕時計用の高精度方位センサーを、従来品に比べて大きさを1/20に、消費電力を1/10にした製品をカシオ計算機がアルプス電気と共同で開発した。センサーの大きさは1.6ミリメートル角。磁気を検知する精度はスマホ用に比べて4倍。

2013年3月6日水曜日

半導体の超小型生産システム、ミニマルファブまずMEMS、5億円で新ライン、産総研など来月販売

20130306日経産業新聞1面

 半導体の超小型生産システム「ミニマルファブ」が実用化段階に入り、産業技術総合研究所と中小企業で構成する「ミニマルファブ技術研究組合」が4月から装置の受注を始める。「ミニマルファブ」は二分の一インチのウエハーを使い、幅30センチ、奥行き45センチ、高さ144センチの大きさに統一した小型ユニットをつなげて半導体製造ラインを構成する。洗浄、ウエットエッチング、マスクレス露光、CMPなど12種類前後のユニットを受注し、各ユニットの価格は1000~3000万円。まずは少量生産ニーズのMEMSセンサーの需要を開拓する。産総研などはイオン注入器、エッチャー、化学的気相成長法(CDV)炉などのユニットも開発中で、大規模集積回路(LSI)の生産にも対応する。ミニマルファブはウエハーを密封する専用の容器と、ユニット内部の搬送システムを採用し、クリーンルームが不要。5000億円規模の投資が必要なメガファブに比べ、1億~5億円で半導体生産ラインを構築できる。

2013年3月4日月曜日

スマホ向け近接センサー、突然の通話切断を改善(STマイクロ)

20130304電波新聞3面

 スマートフォン向けの新しい近接センサーをSTマイクロエレクトロニクスが開発した。スマホとユーザー間の距離を、光の反射光量ではなく光の往復時間により計測する。Time-of-Flight(TOF)と言われる技術で、光パルスを送出する赤外線エミッター、パルスの送出から反射光の検出までの時間を正確に計測する電子回路の組み合わせによる。さらにTOF測距センサーと広範な動的周辺センサー・ダイを組み込むことで、通話の突然切断を改善できる。

2013年3月3日日曜日

STMicroelectronics:2012年度MEMS売上$1Billionで世界一に(by Yole)

海外産業動向
http://www.electroiq.com/articles/sst/2013/02/stmicroelectronics-is-first--1-billion-mems-company.html
 フランスの調査会社YoleはSTMicroelectronics(ST)の2012年度のMEMS売上が前年より58%増加し$1Billionn(約850億円)になる見通しであることを発表した。一方モバイル機器用主力デバイスである加速度、ジャイロの出荷価格は20-30%下落した。STはモーションセンサが伸び始めた頃8インチの生産ラインを立ち上げ、その後順調に供給数量を延ばせたので、ユーザの要望価格にも対応することができた。自社内の大型量産ラインをフルに活用できたことで、価格競争力を垂直統合型の強みに持って行くことができた。MEMS大手のBoschもMEMSの市場増大の流れを取り込み売上14%増の好結果を得るに至った。
 STは今後モーションセンサだけではなく圧力、マイク、コンパス等スマートフォンに必要なすべてのセンサをラインアップする予定である。しかもオムロン等他社との協業を活用して強力かつ迅速に攻勢をかける。

2013年2月25日月曜日

肌にペタッ体温発電、シート開発、医療機器などに応用(富士フィルム)

20130225日本経済新聞夕刊1面

 人間の体温と外気との温度差で発電する、導電性高分子の樹脂性シートを富士フィルムが産業技術総合研究所と共同で開発した。厚さが0.4ミリメートルと薄く、柔らかいので体は服に張り付けて携帯機器の補助電源として使える。ハガキほどの大きさで数ミリワットの発電能力だが、改良してさらに高める。心拍や血圧を24時間測る健康メーターの電源を有望な用途としている。テレビの熱、浴室の蒸気、日があたるカーテン、自動車なども発電源となる。5年以内の製品化を目指す。

2013年2月21日木曜日

血中がん細胞、プラ基板で簡単検出、肺がん患者で実証(産総研など)

20130221日刊工業新聞27面

 プラスチックの基板に微細な穴を開け、血液中のがん細胞を検出する手法を、産総研バイオマーカー解析研究グループの片岡正俊研究グループ長と名古屋大学が開発した。基板は直径100マイクロメートル、深さ50マイクロメートルの穴を約2万個配列し、基板表面は疎水性、穴の底は親水性に処理してある。血液から白血球を取出して基板の上に流し込み、次いで生理食塩水で表面を洗浄すると、穴の底に細胞が単層に配列される。単層配列によりがん細胞を見分ける染色作業が簡単になり、コスト面で有利という。がんの新たな診断法への応用、ウイルス感染を調べる血液検査への応用も期待される。

2013年2月18日月曜日

永久磁石動かさず発電、模擬実験、センサー向けに期待(原子力機構)


20130218日経産業新聞11面

 永久磁石を置くだけで発電できるという新原理を、コンピューターシミュレーションで日本原子力研究開発機構が突き止めた。シミュレーションによれば、磁性材料のそばに永久磁石を置くと、磁性材料の中にある原子の磁石(スピン)の向きが上下で入れ替わる「磁壁」が動いて交流電圧を生む。狭い領域内で磁性材料を渦巻き状や短冊状に細長くすれば数十分間発電できる。磁性材料の近くに200~4000ガウスの永久磁石を置くと、電圧数十マイクロボルト、0.05ギガヘルツの交流の電気を発生する。1立方センチメートル代の素子で、数十マイクロボルトで数十分、数十ミリボルトで数秒発電できると見積もっている。

2013年2月17日日曜日

Second Sight Medical products(米):世界で初めて埋込み型人工網膜がFDAから承認される

海外産業動向
http://www.nature.com/news/fda-approves-first-retinal-implant-1.12439
 米Second Sight Medical Products社(SSMP)の開発した人工網膜Argus ⅡRetinal Prosthesis System (Argus)は網膜の病気で失明した人の目へ埋め込んでカメラからの外界情報を送信して外界を見れるようにするシステムである。今回日本の薬事に相当する米FDAから認証されたので実用できることになった。
 Argusの構成は図にあるようにカメラが内蔵されたメガネと送信システム、目の裏に埋め込む人工網膜は受信アンテナと神経に接触する電極アレイ(60電極)から成る。カメラが捉えた画像情報は人工網膜へ送信され電極から視神経へ送られ脳が画像情報を認識するというシステムである。
 現行システムは外付けカメラを用いているが、次世代Argusでは、埋め込み人工網膜の中に1500個のフォトダイオードが形成され、カメラつまり外部の装着部品が不要になるタイプで、現在臨床試験中である。


2013年2月9日土曜日

BodyMedia社(米):アームバンド型活動モニター開発

海外技術動向
http://www.engadget.com/2013/01/06/bodymedia-core-2-fitness-armband/
 BodyMedia社はウェアラブル活動モニターを扱うベンチャー企業である。既に2012年腕に巻き付けるアームバンド型の活動モニターを開発した。2013年のCESではさらに小型でセンシング機能、通信機能を充実させた活動モニタを発表した。
内蔵されるセンサは、体温、体から発する熱流束、発汗状態、3軸加速度、心拍(アタッチメント要)で、これらを連続モニターし、データをブルートゥースでスマートフォンへ送る。これらのデータから活動状態、健康状態を判定、あるいはアドバイスを送るアプリケーションがあり、使用者はそれに基づいて日常生活を改善する目安を知ることができる。
同社によると糖尿病予防のための生活習慣改善やダイエット促進にも、高い効果が期待できるとのことである。


2013年2月8日金曜日

たためる「布製」電子機器、ハンカチのキーボード、IC入り敷物

20130207読売新聞夕刊7面

 産業技術総合研究所の実験室、ハンカチのような布をキーボードとしてパソコンにつないでいる。布には圧力センサーの糸が格子状に織り込まれ、上から押すとセンサー糸の断面がゆがみ、その部分の静電容量が変化することで位置を検出する。糸の表面には導電性ポリマー塗ってある。センサー糸を機織り機を使って布を織ることができる。
 福井県工業技術センターでは、ICチップ塗装受信アンテナ、回路等で出来たICタグを織り込んだ布を作成し、介護支援の実証実験を行っている。床に敷いたICタグ入り布と車いすに付けた小型装置(リーダー)との間で信号を送受信し、入所者の動きを検知する。布を敷くだけなので簡単に設置できる。

2013年2月7日木曜日

車載向け電流センサー、薄く小型に、来秋めど出荷(アルプスGD)

20130207日経産業新聞7面

 アルプス電気の子会社アルプス・グリーンデバイスは、磁気ヘッド技術を活用し、GMR(巨大磁気抵抗)素子を使った電流センサーを開発した。体積は従来の1/6以下となり、HEMS(住宅エネルギー監視システム)や産業用蓄電システムに加え、車載向けを1014年10月から出荷する。矢野経済研究所によると世界の車載向け電流センサー市場は2020年に548億円の見通し。

シルバー市場に挑む、歩行支援、ロボ寄り添う、腰に装着アシモの技(ホンダ)、二輪車にジャイロ転倒防ぐ(村田製作所)

20130207日経産業新聞1面

 社会の高齢化が進む中で高齢者向け市場が生まれつつあり、センサーを活用した介護・福祉関連機器が開発されている。ホンダはアシモの技を生かし、リズム歩行アシストは、ベルトの様に腰に巻く「腰フレーム」と膝上に装着する「太ももフレーム」で構成し、センサーで足の動きを検知し、必要な力を計算してモーターを制御し、太ももに力を与えている。村田製作所が試作した電動歩行アイスト車は、モーターを内蔵した二輪車から伸びたハンドルを両手で握って歩く。組み込まれたジャイロセンサーが角度や速度を認識し、タイヤを自動回転させてバランスを取り、転倒を防ぐ。

2013年2月5日火曜日

オリンパスのカプセル内視鏡、欧州など20カ国超で新型、8時間で画像6万枚撮影

20130205日経産業新聞16面

 オリンパスは飲みこんで小腸の動きを記録し、撮影画像を無線で飛ばして診断する、カプセル型内視鏡の新製品を欧州など20か国で発売する。直径11ミリメートル、長さ26ミリメートルのカプセルで、カメラや照明を内蔵し、小腸内で1秒間に2枚、約8時間で6万枚の画像を撮影する。患者はアンテナなどの受信機を体に取り付ける。日本では薬事申請中で発売日は未定。

磁気センサー開発・生産、愛知製鋼と提携(ローム)

20130205日刊工業新聞9面

 ロームは愛知製鋼と提携し、「MI素子」と呼ぶ高性能磁気検出センサーの技術供与を受けて自社生産し、モバイル機器向けなど次世代複合センサーも共同開発する。MIセンサーは特殊なアモルファスワイヤを使い、現在主流のホール素子に比べて感度が1万倍高い。MEMSセンサーの米国子会社であるカイオニクスの技術と組み合わせ、複合センサーを開発する。

2013年2月4日月曜日

磁気抵抗センサー事業、NECから買収、車載向け活用(村田製作所)

20130204日経産業新聞4面

 村田製作所はNECから磁気抵抗(MR)センサー事業を買収する。NECのMRセンサーは折り畳み式携帯電話の折り畳みを検知するのに使われているが、村田製作所はセンサー事業強化の中で車載や産業機器向けに活用する方針。

2013年1月31日木曜日

STマイクロがスマートモーションセンサー開発、加速器とMCUを3ミリ角に収納

20130131電波新聞22面

 3軸アクセレロメーターと組込みマイクロコントローラー(MCU)を3x3x1ミリLGAパッケージに収納したスマートモーションセンサーをスイスのSTマイクロエレクトロニクスが発売する。価格は1000個受注時で単価2.4ドル。MCUはセンサーハブとして動作し、ジャイロスコープ、磁気計、その他センサーを一体化し、ホストコントローラーの負荷と携帯機器の消費電力削減を可能とする。

振動発電サンプル出荷、米製品の部品(アルティマ)

20130131日経産業新聞7面

 振動発電素子としては最大級の発電量という、米ミデー・テクノロジーの振動発電部品のサンプル出荷をアルティマ(横浜市)が行う。50ヘルツで1グラムの加速度を付けた場合に5ミリワットの出力が見込める。ミデーの振動発電素子とリニアテクノロジーの電圧を安定させる回路で構成する。産業機器などの異常を監視する無線センサーアンドへの採用を見込む。

高い熱電変換効率、有機系高分子材を開発(富士フィルム)

20130131日刊工業新聞33面

 これまでの有機系材料の中で最高の熱電変換効率の高分子材(p型半導体の高分子と炭素材料の混合物)を富士フィルムが開発した。印刷工程が活用でき大量生産に向いており、無機系のようにレアメタルを使わない。軽量で柔軟、照明や工場の配管に張り付けたり、体温を熱源とするヘルスモニターの電源という用途を想定している。5年以内の商品化を目指す。

2013年1月28日月曜日

磁性光硬化樹脂、液体の中で停止、微小ロボットへ応用期待(東大)

20130128日刊工業新聞19面

 体の外から磁石を使って操作し、体内を動き回って治療するような、微小ロボットへの応用が期待される、マイクロメートルサイズの造形が可能で磁石の性質を持つ光硬化樹脂を、東京大学の生田幸士教授らが開発した。従来の磁石の性質を持つ光硬化樹脂に、中が空洞の直径20マイクロメートルのビーズを均質に混ぜ、比重を軽くすることにより実現した。今後は開発した材料で実際のマイクロマシンを作製し、駆動の確認などを進める。

トンネルITで監視、センサーでコンクリの異常感知、崩落事故対策実用化へ

20130128読売新聞2面

 中央自動車道・笹子トンネルの天井崩落事故を受け、トンネル内に大量のセンサーを設置してコンクリートの状態などを監視し、事故を防止するシステムの実用化に政府が取り組む。トンネル内の数十~数百個のセンサーが、トンネルの細かな揺れやゆがみを捉えて電波でコンピュータに送信し、センサー情報を瞬時に分析し、コンクリートの異常を判断する。2012年度補正予算案に情報通信研究機構による実証実験への補助金200億円が盛り込まれた。今年度中に横須賀市内のトンネルで試験を始める。

2013年1月24日木曜日

コンテナ式の植物工場、養分や照明の当て方工夫(エスペック)

20130124日経産業新聞2面

 環境試験機最大手のエスペックが福島県でコンテナ式植物工場に取り組んでいる。同社は環境の緻密な制御ノウハウを生かすため30年ほど前に参入したが、植物工場の管理には高度な制御技術は不要で、養分や照明の当て方が重要という。密閉空間で育苗から収穫までを完結する植物工場の事業拡大に期待している。課題が栽培コストの低減で、運営コストの4割を占める電気代をLED化や点灯方法の工夫で、2割を占める人件費を作業の自動化で対応するとしている。

患者の動き細かく通知、寝返りや起き上がり、看護負担軽く(フランスベッド)

20130124日経産業新聞1面

 フランスベッドは加重センサーを足に内蔵することにより、患者の寝返りや起き上がり等の動きを感知し、看護師にアラームで通知する病院向けのベッドを開発した。4本の足にかかる重さの変化で感知する。

電流センサー、体積75%減、コアレスで高感度(アルプス・グリーン・デバイス)

20130124日刊工業新聞12面

 GMR(巨大磁気抵抗素子)を用いることによりコア(鉄心)レスとし、体積を75%減少した電流センサーをアルプス・グリーン・デバイスが開発した。電力管理向けで小電流から1000アンペアまで対応し、ホール式よりも高感度でセンシングできる。

2013年1月23日水曜日

高精度な距離計測に対応(浜松ホトニクス)

20130123日刊工業新聞12面

 浜松ホトニクスは4~5mの距離で数cmの誤差で3次元情報を取得できる測距イメージセンサーを発売する。発光ダイオードから照射した光が測定対象物に反射して戻る時間の遅れから1画素ごとに距離を算出する。画素数は256~19200、価格は4200~8925円。

制御技術で農業支援、ビニールハウスにセンサー、温度・気流最適化(パナソニック)

20130123日刊工業新聞12面

 ビニールハウス内に、気流をコントロールする換気扇や温度センサーを設置して自動で窓を開閉したり、土中にセンサーを埋め込み最適な水やりを行うという、自動制御による農業支援ビジネスにパナソニックが乗り出す。同社内のエコソリューションズ社が担当し、実証用ビニールハウスを設置し、ホウレンソウの栽培を始めた。

振動から電気エネルギー取り出す米ミデー社製振動発電ユニット投入(アルティマ)

20130123電波新聞4面

 アルティマは米ミデー社製発電振動ユニットのサンプル販売を開始した。ユニット内部にミデー社製振動発電素子とリニアテクノロジー社製電圧安定化回路を搭載し、1.8~3.6Vの電圧を出力する。50ヘルツ、1gの加速度振動環境下で5mw程度の出力が見込める。ユニットのサイズは56x27x6mm。

2013年1月20日日曜日

独Heliatek社:有機薄膜太陽電池 変換効率 12%達成 有機系太陽電池の世界最高記録更新

海外技術動向
http://www.laserfocusworld.com/articles/2013/01/Heliatek-OPV-12-percent.html
 有機薄膜太陽電池のドイツのベンチャー企業であるHeliatekは世界最高の変換効率を達成したと発表した。従来の有機薄膜の世界記録は、同社が9ヵ月前に達成した10.7%であった。この太陽電池の開発はドイツのUlm大学とドレスデン工科大学との共同によるものである。変換効率の測定は、認証機関であるSGSによって測定されたものである。セル面積は1.1cm2、吸収波長帯域の異なる二つの太陽電池を積層したタンデム型である。また有機薄膜材料は低分子系で製法は真空蒸着法である。
 同セルは温度依存性、光強度依存性も評価され、特に高温、低照度でさらに効率が向上し、14~15%に増加することも確認された。結晶Si太陽電池は高温、低照度では効率が低下するので、有機薄膜はそのような使用環境に適した太陽電池と言える。現在考えられる用途は、建材一体型、自動車補助電源、道路標識、エネルギーハーベスティング等である。

2013年1月18日金曜日

ウイルス簡単測定、産総研がシステム、持ち運び容易

20130118日経産業新聞10面

 産総研とカネカはウイルスやたんぱく質を簡単に計測できるバイオセンシングシステムを開発した。ウイルスを検出するバイオセンサーチップ、光学計測器、スマホなどの携帯端末で構成。チップはフジツボのような形の金が数千個載っており、金の表面を処理することでウイルスやたんぱく質、ホルモンなどを捉える。チップにウイルスが混じった溶液を垂らすと、金にウイルスが吸着する量が増えるに従い、光を当てた時の特定波長の吸収量のピークが変化し、ウイルスの吸着量が分かる。インフルエンザウイルスの検出では、現在実用化している方法より100倍感度が高い。5年以内の商品化を目指す。

柏レイソル、若手に腕時計型センサー、育成へ24時間チェック

20130118日経産業新聞5面

 腕時計型センサーにより若手選手の動きと体温を把握し、ITを活用した選手育成を柏レイソルが行っている。センサーで選手の動きを把握する仕組みは日立とJSOL(日本総合研究所とNTTデータが共同出資)が開発した。練習や試合中は動きが多くなり体温が高いが、睡眠中は動きがほとんどない。データから選手の24時間の活動を把握し、生活リズムから育成策を検討する。

2013年1月16日水曜日

ビルの揺れ、神経網で感知、MEMS採用、コスト3分の一、センサー革命、データの鉱脈

20130116日経産業新聞1面

 振動を感知するセンサーの用途が広がっている。富士電機はMEMS感振センサーをビルや橋梁、工場などに設置し、揺れのレベルを「見える化」し、耐震診断システムとして売り込みを目指している。セイコーエプソンは水晶振動子による傾斜や振動する小型センサーを開発し、ビルの地震検知や建物のゆがみ測定に活用し、価格は従来センサーに比べて4分の一に。大林組では建物と地面に加速度センサーを設置し、それぞれの計測データを元に油圧シリンダーで躯体を水平方向に押し引きして、建物の揺れを地面の揺れの50分の一に抑える実験をしている。このような神経網を建設機械や農機などにもまとう進化が始まっている。コマツは油圧ショベルやブルドーザーにセンサーを導入し、動作やアームの高さを検知、GPSを使った遠隔自動調整を実現している。

2013年1月14日月曜日

MIT:新原理エネルギーハーベスタ開発、空気中の水蒸気からエネルギーを

海外技術動向
http://www.tgdaily.com/trendwatch-brief/68682-new-polymer-harvests-energy-from-water-vapor
 MITの研究者は、空気中の水蒸気からエネルギーを取り出す新原理のエネルギーハーベスタを開発した。
キー技術は水分の吸着、脱離で変形する新しいポリマーフィルムの開発である。このポリマーフィルムは水分によってカールしたりまた元の形状に復元したりする。これに圧電フィルムを貼り付けることによって発電がなされる。同研究者はすでに発電能力を評価し、ロボットのアクチュエータやワイヤレス機器、ウェアラブル機器の電源になり得ると発表している。
 動作原理を説明する。このフィルムは2種の異なるフィルムの組合わせから成る。ポリピロール(polypyrrole)をフレキシブルな母材とする。ポリオルブレート(polyol-borate)はソフトゲルタイプで水分を吸収しやすい特性を持つ。これらの2層フィルムが空気中の水蒸気濃度の変化にさらされると、カールしたり元に戻ったりする。フィルムの厚みは20ミクロンである。このようにして水分の変化を機械エネルギーに変換することができる。このアクチュエータ(自重25mg)は、スライドガラスを持ち上げたり、金属ワイヤを運んだりすることができる。まさに水蒸気変化をエネルギーとするトラクターである。
 さらに圧電フィルムを積層することにより、発電デバイスにすることができる。試作品ではまだエネルギーは小さいが(5.6nW)発電動作をすることが確認できた。
このデバイスは特に水分の変化の多い場所で高い効率で動作することが期待できる。例えば河川、海岸での環境センサ、体からの水蒸気の変化を捉えるウェアラブル機器などがそうである。
           

2013年1月9日水曜日

展示会の名称を変更、ビジネス活性化の場へ(マイクロマシンセンター)


20130109電波新聞5
 
 マイクロマシンセンターは、昨年まで23回開催してきた「マイクロマシン/MEMS展」を、今年から「ナノ・マイクロビジネス展」に名称を変更し、73日~5日まで東京ビッグサイトで開催する。MEMSとナノテクの融合が進み、デバイスの開発・製造だけでなくソリューション展開までビジネスが拡大していることから、名称を変更し具体的なビジネスの場としての位置付けを加速させる。展示会の改称を受け123日にホテルグランドパレスにて記念講演会を開催する。特別公演は「日本の半導体・ナノ・マイクロ技術が世界で勝ち残るために」中央大学竹内健教授、「ナノ・マイクロ技術の可能性と、ナノ・マイクロビジネス展/ROBOTECHへの期待」東京大学下山勲教授を予定する。

2013年1月7日月曜日

MEMS産業の動向、MNOICが研究支援、対象に2装置加わる、実習スタイルの人材育成プログラムも

20130107電波新聞4面

 近年、スマートフォンやタブレット、ゲーム機にモーションセンサーや電子コンパス、MEMSマイク等のMEMSデバイスが多数搭載され、出荷は急速に拡大しているが日本企業は苦戦気味。日本は大企業が垂直統合的に開発・生産を行っているが、海外ではアイデア立案・研究開発・試作・量産まで専門施設でのバリューチェーンの中で行う水平統合で行われている。欧米では国主導で設立された共用大型研究施設が大きな役割を担っているが、わが国でもマイクロマシンセンター/MEMS協議会がMEMS研究支援を行うMNOIC(マイクロナノオープンイノベーションセンター)を11年4月に設立した。MNOICは産総研の有する最先端の8・12インチ研究施設を活用し、研究開発支援に加えて研究受託、基礎研究から量産までを支援する。現在まで19法人に利用されている。新たな設備を増強すると共に実習スタイルの人材育成プログラムを開始する。

熱電変換モジュール、発電性能1.6倍(パナソニック)

20130101日経産業新聞4面

 熱電変換の発電能力を従来品に比べて1.6倍に高めた製品をパナソニックが開発した。従来の5倍の強度を持つ変換素子を使用し、素子の大きさを3倍として、素子の表と裏の温度差を大きくすることができた。基板に銅やフィルムを採用でき、配水パイプなどの曲面に密着させ熱を無駄なく電気に変換できる。