2013年1月31日木曜日

STマイクロがスマートモーションセンサー開発、加速器とMCUを3ミリ角に収納

20130131電波新聞22面

 3軸アクセレロメーターと組込みマイクロコントローラー(MCU)を3x3x1ミリLGAパッケージに収納したスマートモーションセンサーをスイスのSTマイクロエレクトロニクスが発売する。価格は1000個受注時で単価2.4ドル。MCUはセンサーハブとして動作し、ジャイロスコープ、磁気計、その他センサーを一体化し、ホストコントローラーの負荷と携帯機器の消費電力削減を可能とする。

振動発電サンプル出荷、米製品の部品(アルティマ)

20130131日経産業新聞7面

 振動発電素子としては最大級の発電量という、米ミデー・テクノロジーの振動発電部品のサンプル出荷をアルティマ(横浜市)が行う。50ヘルツで1グラムの加速度を付けた場合に5ミリワットの出力が見込める。ミデーの振動発電素子とリニアテクノロジーの電圧を安定させる回路で構成する。産業機器などの異常を監視する無線センサーアンドへの採用を見込む。

高い熱電変換効率、有機系高分子材を開発(富士フィルム)

20130131日刊工業新聞33面

 これまでの有機系材料の中で最高の熱電変換効率の高分子材(p型半導体の高分子と炭素材料の混合物)を富士フィルムが開発した。印刷工程が活用でき大量生産に向いており、無機系のようにレアメタルを使わない。軽量で柔軟、照明や工場の配管に張り付けたり、体温を熱源とするヘルスモニターの電源という用途を想定している。5年以内の商品化を目指す。

2013年1月28日月曜日

磁性光硬化樹脂、液体の中で停止、微小ロボットへ応用期待(東大)

20130128日刊工業新聞19面

 体の外から磁石を使って操作し、体内を動き回って治療するような、微小ロボットへの応用が期待される、マイクロメートルサイズの造形が可能で磁石の性質を持つ光硬化樹脂を、東京大学の生田幸士教授らが開発した。従来の磁石の性質を持つ光硬化樹脂に、中が空洞の直径20マイクロメートルのビーズを均質に混ぜ、比重を軽くすることにより実現した。今後は開発した材料で実際のマイクロマシンを作製し、駆動の確認などを進める。

トンネルITで監視、センサーでコンクリの異常感知、崩落事故対策実用化へ

20130128読売新聞2面

 中央自動車道・笹子トンネルの天井崩落事故を受け、トンネル内に大量のセンサーを設置してコンクリートの状態などを監視し、事故を防止するシステムの実用化に政府が取り組む。トンネル内の数十~数百個のセンサーが、トンネルの細かな揺れやゆがみを捉えて電波でコンピュータに送信し、センサー情報を瞬時に分析し、コンクリートの異常を判断する。2012年度補正予算案に情報通信研究機構による実証実験への補助金200億円が盛り込まれた。今年度中に横須賀市内のトンネルで試験を始める。

2013年1月24日木曜日

コンテナ式の植物工場、養分や照明の当て方工夫(エスペック)

20130124日経産業新聞2面

 環境試験機最大手のエスペックが福島県でコンテナ式植物工場に取り組んでいる。同社は環境の緻密な制御ノウハウを生かすため30年ほど前に参入したが、植物工場の管理には高度な制御技術は不要で、養分や照明の当て方が重要という。密閉空間で育苗から収穫までを完結する植物工場の事業拡大に期待している。課題が栽培コストの低減で、運営コストの4割を占める電気代をLED化や点灯方法の工夫で、2割を占める人件費を作業の自動化で対応するとしている。

患者の動き細かく通知、寝返りや起き上がり、看護負担軽く(フランスベッド)

20130124日経産業新聞1面

 フランスベッドは加重センサーを足に内蔵することにより、患者の寝返りや起き上がり等の動きを感知し、看護師にアラームで通知する病院向けのベッドを開発した。4本の足にかかる重さの変化で感知する。

電流センサー、体積75%減、コアレスで高感度(アルプス・グリーン・デバイス)

20130124日刊工業新聞12面

 GMR(巨大磁気抵抗素子)を用いることによりコア(鉄心)レスとし、体積を75%減少した電流センサーをアルプス・グリーン・デバイスが開発した。電力管理向けで小電流から1000アンペアまで対応し、ホール式よりも高感度でセンシングできる。

2013年1月23日水曜日

高精度な距離計測に対応(浜松ホトニクス)

20130123日刊工業新聞12面

 浜松ホトニクスは4~5mの距離で数cmの誤差で3次元情報を取得できる測距イメージセンサーを発売する。発光ダイオードから照射した光が測定対象物に反射して戻る時間の遅れから1画素ごとに距離を算出する。画素数は256~19200、価格は4200~8925円。

制御技術で農業支援、ビニールハウスにセンサー、温度・気流最適化(パナソニック)

20130123日刊工業新聞12面

 ビニールハウス内に、気流をコントロールする換気扇や温度センサーを設置して自動で窓を開閉したり、土中にセンサーを埋め込み最適な水やりを行うという、自動制御による農業支援ビジネスにパナソニックが乗り出す。同社内のエコソリューションズ社が担当し、実証用ビニールハウスを設置し、ホウレンソウの栽培を始めた。

振動から電気エネルギー取り出す米ミデー社製振動発電ユニット投入(アルティマ)

20130123電波新聞4面

 アルティマは米ミデー社製発電振動ユニットのサンプル販売を開始した。ユニット内部にミデー社製振動発電素子とリニアテクノロジー社製電圧安定化回路を搭載し、1.8~3.6Vの電圧を出力する。50ヘルツ、1gの加速度振動環境下で5mw程度の出力が見込める。ユニットのサイズは56x27x6mm。

2013年1月20日日曜日

独Heliatek社:有機薄膜太陽電池 変換効率 12%達成 有機系太陽電池の世界最高記録更新

海外技術動向
http://www.laserfocusworld.com/articles/2013/01/Heliatek-OPV-12-percent.html
 有機薄膜太陽電池のドイツのベンチャー企業であるHeliatekは世界最高の変換効率を達成したと発表した。従来の有機薄膜の世界記録は、同社が9ヵ月前に達成した10.7%であった。この太陽電池の開発はドイツのUlm大学とドレスデン工科大学との共同によるものである。変換効率の測定は、認証機関であるSGSによって測定されたものである。セル面積は1.1cm2、吸収波長帯域の異なる二つの太陽電池を積層したタンデム型である。また有機薄膜材料は低分子系で製法は真空蒸着法である。
 同セルは温度依存性、光強度依存性も評価され、特に高温、低照度でさらに効率が向上し、14~15%に増加することも確認された。結晶Si太陽電池は高温、低照度では効率が低下するので、有機薄膜はそのような使用環境に適した太陽電池と言える。現在考えられる用途は、建材一体型、自動車補助電源、道路標識、エネルギーハーベスティング等である。

2013年1月18日金曜日

ウイルス簡単測定、産総研がシステム、持ち運び容易

20130118日経産業新聞10面

 産総研とカネカはウイルスやたんぱく質を簡単に計測できるバイオセンシングシステムを開発した。ウイルスを検出するバイオセンサーチップ、光学計測器、スマホなどの携帯端末で構成。チップはフジツボのような形の金が数千個載っており、金の表面を処理することでウイルスやたんぱく質、ホルモンなどを捉える。チップにウイルスが混じった溶液を垂らすと、金にウイルスが吸着する量が増えるに従い、光を当てた時の特定波長の吸収量のピークが変化し、ウイルスの吸着量が分かる。インフルエンザウイルスの検出では、現在実用化している方法より100倍感度が高い。5年以内の商品化を目指す。

柏レイソル、若手に腕時計型センサー、育成へ24時間チェック

20130118日経産業新聞5面

 腕時計型センサーにより若手選手の動きと体温を把握し、ITを活用した選手育成を柏レイソルが行っている。センサーで選手の動きを把握する仕組みは日立とJSOL(日本総合研究所とNTTデータが共同出資)が開発した。練習や試合中は動きが多くなり体温が高いが、睡眠中は動きがほとんどない。データから選手の24時間の活動を把握し、生活リズムから育成策を検討する。

2013年1月16日水曜日

ビルの揺れ、神経網で感知、MEMS採用、コスト3分の一、センサー革命、データの鉱脈

20130116日経産業新聞1面

 振動を感知するセンサーの用途が広がっている。富士電機はMEMS感振センサーをビルや橋梁、工場などに設置し、揺れのレベルを「見える化」し、耐震診断システムとして売り込みを目指している。セイコーエプソンは水晶振動子による傾斜や振動する小型センサーを開発し、ビルの地震検知や建物のゆがみ測定に活用し、価格は従来センサーに比べて4分の一に。大林組では建物と地面に加速度センサーを設置し、それぞれの計測データを元に油圧シリンダーで躯体を水平方向に押し引きして、建物の揺れを地面の揺れの50分の一に抑える実験をしている。このような神経網を建設機械や農機などにもまとう進化が始まっている。コマツは油圧ショベルやブルドーザーにセンサーを導入し、動作やアームの高さを検知、GPSを使った遠隔自動調整を実現している。

2013年1月14日月曜日

MIT:新原理エネルギーハーベスタ開発、空気中の水蒸気からエネルギーを

海外技術動向
http://www.tgdaily.com/trendwatch-brief/68682-new-polymer-harvests-energy-from-water-vapor
 MITの研究者は、空気中の水蒸気からエネルギーを取り出す新原理のエネルギーハーベスタを開発した。
キー技術は水分の吸着、脱離で変形する新しいポリマーフィルムの開発である。このポリマーフィルムは水分によってカールしたりまた元の形状に復元したりする。これに圧電フィルムを貼り付けることによって発電がなされる。同研究者はすでに発電能力を評価し、ロボットのアクチュエータやワイヤレス機器、ウェアラブル機器の電源になり得ると発表している。
 動作原理を説明する。このフィルムは2種の異なるフィルムの組合わせから成る。ポリピロール(polypyrrole)をフレキシブルな母材とする。ポリオルブレート(polyol-borate)はソフトゲルタイプで水分を吸収しやすい特性を持つ。これらの2層フィルムが空気中の水蒸気濃度の変化にさらされると、カールしたり元に戻ったりする。フィルムの厚みは20ミクロンである。このようにして水分の変化を機械エネルギーに変換することができる。このアクチュエータ(自重25mg)は、スライドガラスを持ち上げたり、金属ワイヤを運んだりすることができる。まさに水蒸気変化をエネルギーとするトラクターである。
 さらに圧電フィルムを積層することにより、発電デバイスにすることができる。試作品ではまだエネルギーは小さいが(5.6nW)発電動作をすることが確認できた。
このデバイスは特に水分の変化の多い場所で高い効率で動作することが期待できる。例えば河川、海岸での環境センサ、体からの水蒸気の変化を捉えるウェアラブル機器などがそうである。
           

2013年1月9日水曜日

展示会の名称を変更、ビジネス活性化の場へ(マイクロマシンセンター)


20130109電波新聞5
 
 マイクロマシンセンターは、昨年まで23回開催してきた「マイクロマシン/MEMS展」を、今年から「ナノ・マイクロビジネス展」に名称を変更し、73日~5日まで東京ビッグサイトで開催する。MEMSとナノテクの融合が進み、デバイスの開発・製造だけでなくソリューション展開までビジネスが拡大していることから、名称を変更し具体的なビジネスの場としての位置付けを加速させる。展示会の改称を受け123日にホテルグランドパレスにて記念講演会を開催する。特別公演は「日本の半導体・ナノ・マイクロ技術が世界で勝ち残るために」中央大学竹内健教授、「ナノ・マイクロ技術の可能性と、ナノ・マイクロビジネス展/ROBOTECHへの期待」東京大学下山勲教授を予定する。

2013年1月7日月曜日

MEMS産業の動向、MNOICが研究支援、対象に2装置加わる、実習スタイルの人材育成プログラムも

20130107電波新聞4面

 近年、スマートフォンやタブレット、ゲーム機にモーションセンサーや電子コンパス、MEMSマイク等のMEMSデバイスが多数搭載され、出荷は急速に拡大しているが日本企業は苦戦気味。日本は大企業が垂直統合的に開発・生産を行っているが、海外ではアイデア立案・研究開発・試作・量産まで専門施設でのバリューチェーンの中で行う水平統合で行われている。欧米では国主導で設立された共用大型研究施設が大きな役割を担っているが、わが国でもマイクロマシンセンター/MEMS協議会がMEMS研究支援を行うMNOIC(マイクロナノオープンイノベーションセンター)を11年4月に設立した。MNOICは産総研の有する最先端の8・12インチ研究施設を活用し、研究開発支援に加えて研究受託、基礎研究から量産までを支援する。現在まで19法人に利用されている。新たな設備を増強すると共に実習スタイルの人材育成プログラムを開始する。

熱電変換モジュール、発電性能1.6倍(パナソニック)

20130101日経産業新聞4面

 熱電変換の発電能力を従来品に比べて1.6倍に高めた製品をパナソニックが開発した。従来の5倍の強度を持つ変換素子を使用し、素子の大きさを3倍として、素子の表と裏の温度差を大きくすることができた。基板に銅やフィルムを採用でき、配水パイプなどの曲面に密着させ熱を無駄なく電気に変換できる。