2010年12月31日金曜日

DARPA(米)海外MEMS R&D機関(シンガポール)へ開発委託

2010.12 海外技術動向
http://www.eetimes.com/electronics-news/4211768/Darpa-to-fund-MEMS-R-D
 The Defense Advanced Research Projects Agency (DARPA:米)はシンガポールの研究機関Institute of Microelectronics (IME)とa Research Institute of the Agency for Science, Technology and Research (A*STAR)及びワシントン大学電気工学科にMEMS関連の研究開発で委託することになった。
 DAPAが海外研究機関へ委託するのは初めてである。研究対象はMEMS技術を用いた高性能キャパシタで、携帯機器の電源や、マイクロセンサの電源として応用する計画である。IMEはデバイス設計及び研究段階でのデバイス試作を担当し、ワシントン大学は、動作理論解析とMEMSプロセス技術開発を担当する予定である。

SensorDynamics社(オーストリア):6軸ジャイロ加速度集積型センサ開発

2010.12 海外産業動向
http://www.i-micronews.com/news/Sensordynamics-combo-sensor-detects-angular-rate,6035.html
 SensorDynamics社は、2003年設立オーストリアのセミファブレスMEMSベンチャーで車載、民生用慣性センサ、ワイヤレスセンサを得意とする。主な出資・協力機関はSiemens、Fraunhofer等がある。 
 今回、同社は6軸のジャイロ加速度集積型センサSD746を開発した。これは温度補償回路を内臓した高密度集積型で民生、産業機器向けに適している。ジャイロ部の測定レンジは±2048°、加速度部は±8gで出力は標準インタフェース(I2C,SPI)による。動作電圧は2.55-3.6V、使用温度範囲は-40-+85℃、ジャイロ部の誤差は±5°、加速度の誤差は±0.1g、温度変化による誤差は±2%である。低消費電力で電池駆動に適しており、動作していない時はパワーオフになる。以上の特徴から本製品は携帯電話、ノートPC、ゲーム、デジカメ、ビデオカメラの他、ロボット制御、ナビゲゲーションにも適している。

2010年12月29日水曜日

国際標準で連携組織、初の”オールジャパン”

20101229 日刊工業新聞 1
 技術の国際標準化を日本企業が共同で進めるための組織「基準認証イノベーション技術研究組合(仮称)」をパナソニック、日立製作所、東芝、三菱電機、ソニー、産業技術総合研究所らが設立する。ISOなどの技術標準化に取り組むほか、標準化活動に携わる人材バンク機能も持つ。電気以外の業種にも参加をよびかける。

2010年12月27日月曜日

太陽電池用シリコン薄膜、大気中で製造、コスト1/10(産総研、三菱電)

20101227 日経産業新聞 10
 窒素ガスをカーテン状に放出し、その中で太陽電池用シリコン薄膜を製造する技術を、産総研伊藤寿浩集積マイクロシステム研究センター副センター長と三菱電機らがBEANS研究所のプロジェクト中で開発した。弁当箱大のヘッドの下部四辺から窒素ガスを吹き下し、さらにその内側ではガスを吸引する。窒素ガスのカーテンで囲まれたヘッド下の領域は、大気中の不純物が入り込めなくなる。この領域にシリコンと反応する水素ガスを入れ、プラズマを発生させてシリコン薄膜を作る。真空チャンバーの中で製造する現行の方法に比べてコストを1/10に減らせる可能性があり、ヘッドを動かせば基板の大きさの制約がなくなる。

2010年12月24日金曜日

パナソニックとImec、SNP(変異遺伝子)検出用Lab-on-chip開発

2010.12 海外技術動向
http://www.azosensors.com/details.asp?newsID=1788
 パナソニックとImecはSNP検出用チップ部品を開発したことを International Electronic Devices Meeting (サンフランシスコ)で発表した。
 このチップにはDNA分離用に最適化されたマイクロピラー型フィルタとチップ上で高圧を発生させるためのマイクロポンプから成る。このチップを用いるとわずかなサンプル量でSNPの検出が行える。
 ImecとパナソニックはSNP検出用の先進的マイクロフルイディクスシステムを得るために異分野を融合させたデバイス開発を行った。SNP検出の第1stepはわずかな血液(0.5μl)を分離部に導入させることで、ここに高圧を発生させるポンプが必要になる。このポンプには最新のポリマーアクチュエータが用いられており、低電圧で高圧を得ることができる。DNA分離部にはMEMS技術を用いた数ミクロンオーダのマイクロピラーアレイが用いられている。このSNP検出システムは上記チップの他DNA取出し部、DNAポリメラーゼ反応部を備え、システムとして動作することが報告された。

自動車用MEMS市場動向(続) by iSuppli

2010.12 海外産業動向
http://www.electroiq.com/index/display/nanotech-article-display/3526981123/articles/small-
 2010年の自動車用MEMS市場は過去最高となり、MEMSセンサへのニーズが益々高まっている。センサの需要は、自動車そのものの販売台数をはるかに上回るスピードで拡大している。この拡大の要因は、安全装置の義務化と中国である。例えば電子安定走行制御システム(ESC)やタイヤ空気圧モニタ(TPMS)の義務化の流れがあり、米国、欧州に次いで韓国でも義務化され、日本、カナダ、オーストラリアでも近い将来義務化されるので、さらなるセンサの伸びが期待できる。また中国での自動車生産の伸びは依然好調で電子機器化も進んでいくと期待される。
 次世代の自動車用センサに注目する。現在自動車用MEMSセンサ市場は圧力、加速度、ジャイロ、流量でほとんどを占めている。しかしここ5年で新しい自動車用MEMSセンサ(温度、赤外線、ガス濃度、音響、MEMS発振器、光スキャナ)が大きく伸び、2014年には全体の5%を占めるに至ると予測される。用途は車内の空気質モニタ用の温度、ガスセンサ、ナイトビジョン用赤外線カメラ、リアビューカメラ用のMEMS発振器等である。
 法制化は大きな拡大要因となる。例えば欧州では電子パーキングブレーキが義務化され、ここでは車の傾き検出用に加速度センサが必要になる。他に新たなアプリとして歩行者衝突時の安全システムではフロントバンパーに圧力、加速度センサが埋め込まれる予定である。また車停止時エンジンon-off 制御用には圧力センサが用いられる等、広がりを見せている。
 メーカの動向として民生機器用センサで実力をつけたメーカ、例えばSTMicro等が車載用への参入を狙って着々と準備を進めている。まずは信頼性の低いアプリから参入を果たそうとしている。

2010年12月17日金曜日

Invensense社:新6軸モーションセンサ開発

2010.12 海外技術動向
http://www.azonano.com/news.asp?newsID=20969
 モーションセンサは、携帯機器、ゲーム他、様々な民生機器ですでに応用が広がっている。しかしまだ課題は多く、手の細かな揺れによる動き再現の乱れ、カーナビでのGPS受信不調、ゲーム機でのリアルな表現等において不満が多い。
 InvensenseのMPU-6000は世界初の6軸モーションセンサで3軸加速度と3軸ジャイロセンサを9軸モーションセンシング信号処理ICとともに同一チップ上に集積化している。特徴をまとめると、小型で電池駆動ワイヤレス化に適する。さらに3軸電子コンパスを集積化させると、例えば携帯電話に組み込み、運動パターンをデータ化して健康管理に役立てることができる。ゲーム機のリアリティ向上にも寄与する。歩行者の位置検出精度が向上し、屋内での正確な位置検出まで可能になる。以上の他応用機器の性能向上に大きく寄与するであろう。

MEMSマイクの動向

2011.12 海外産業動向
http://www.electroiq.com/index/display/nanotech-article-display/3184948965/articles/small-  
 iPhone4での採用で代表されるようにMEMSマイクの市場は急激に広がり、2010年から2014年までの間に50%以上成長の見込みである。出荷数は2009年の441M個から2010年は696M個に、2014年は1737M個に増加する。
 MEMSマイクはエレクトレットコンデンサ型(ECM)から徐々に置きかえられており、携帯電話の他、小型PC、ビデオカメラにも採用が始まっている。Aplle社によると、以前はECMを採用していたが、現在では、Samsungに次いで世界で2番目のMEMSマイクユーザとなっている。iPhone4では外部環境の雑音低減のため二つのMEMSマイクを使用している。今後も通話品質向上のため2個以上のMEMSマイクを使用するであろう。
 MEMSマイクのパイオニアはKnowlesで、今年度の出荷の80%を占めている。これは基本特許を保有していることが寄与している。しかし最近knowlesに続くMEMSマイク企業が現れてきた。ECMメーカのAAC AcousticやHosiden GrはMEMSマイクをラインアップにあげているが、SiチップはInfineonから購入している。他ではAnalog Devices がMEMSマイクの事業をスタートさせた。これには国際貿易委員会がKnoelesの特許を無効と裁定したことも影響している。

2010年12月16日木曜日

MEMSセンサー出荷量10億個に(STマイクロ)

20101216 日経産業新聞 7
 民生機器用MEMSセンサー市場でトップのスイスのSTマイクロエレクトロニクスはMEMSセンサーの出荷量が10億個に達したと発表した。その9割前後は加速度センサーで、任天堂Wiiなどに搭載されている。同社の生産能力は月産5000万個。

2010年12月10日金曜日

マイクロイノベーションセンター(加)のプロジェクトに加政府12億円投資

2010.12 海外産業動向
http://www.ept.ca/issues/story.aspx?aid=1000395655
 カナダ・ケベック州に設立されたマイクロイノベーションセンター(MICC)はある技術開発プロジェクトを実施するためにカナダ政府から約12億円の投資を受けることになるであろう。
 このプロジェクトでは、最高レベルの研究者を採用して、これまで開発された優れた要素技術を実用化に結びつけるための技術開発が行われる。今回の投資は2009年にカナダ政府から投資された67億円とケベック州からの投資76億円に上積みされる形になる。カナダでは半導体に関連する5つの公的研究機関を設立しており、MICCはその中の一つである。
 一方同地域にはMEMSファンドリーで世界トップのDALSA社があり、カナダIBMやSherbrooke大学とともにMICCに対して研究開発投資と共同開発を行っている。そのためにMICCはMEMS8インチラインやウェハレベルパッケージの技術を保有し、MEMS関係では最高レベルの技術を保有するに至っている。

パナソニックとImec、低電圧駆動で世界最高のQ値を備えるMEMS共振素子を開発

2010.12 海外技術動向
http://www.nanowerk.com/news/newsid=19305.php
 パナソニックとImecは、サンフランシスコで開催されたElectron Decices MeetingでSiGe薄膜プロセスを応用したSOI基板MEMS共振素子を開発したことを発表した。
 この素子は低電圧駆動で世界最高のQ値を備えることを特徴とする。この高いQ値は、ねじり振動モードにおける共振と薄膜による真空封止によって実現された。この素子は、民生機器や車載で用いられている様々なタイミングデバイスにおいて現行製品よりさらなる小型化と低消費電力化を実現できるものである。
 MEMS共振子は、水晶共振子と比べて小型化のメリットが謳われているが、低いQ値と高い駆動電圧が課題となっていた。今回のパナソニックとImecの報告によると、Q値220k(at f=20MHz)と1.8V低電圧駆動を達成している。Q値は気圧の影響を受けるが、真空封止によってそれを防いでいる。薄膜封止は厚さ4μmのSiGe薄膜を用いており、CMOSとの連続プロセスが可能である。振動子と電極のギャップは130nmで低電圧駆動に寄与している。またSiGe薄膜中に設けられたエッチングホールを介しての犠牲層エッチングはチップサイズの小型化に寄与している。
 今回の薄膜真空封止のプロセスはImecのCMOREサービスを活用して開発された。Imecでは、従来のCMOSに新たなマイクロ・ナノデバイスを連続して形成するプロセス技術を保有している。ここでは新規デバイス開発からプロトタイピング、少量量産まで対応が可能である。

光も熱も電気に変換、発電デバイス開発(富士通研)

20101210 日刊工業新聞 26
 熱電変換素子と光電変換素子を兼ね備え、回路を状況に応じて切り替えることで光も熱からも発電するデバイスを富士通研究所が開発した。光電変換は太陽電池と比べて大幅に劣るため、今後性能を高める。入院患者が付ける体温や血圧のセンサー、気象センサーの電源として利用を想定している。

2010年12月9日木曜日

センサーIC拡販、磁気・加速度、米社の代理店に(東京エレデバイス)

20101209 日経産業新聞 7
 半導体商社の東京エレクトロンデバイスは米メムシック社の代理店となり、磁気センサーと加速度センサーを拡販する。メムシック社の加速度センサーは熱を検知して傾きや移動、振動を検知するが、シリコンを使うことでMEMSの競合品に比べ5倍の振動に耐えられる。磁気センサーは地磁気の検知で位置情報を把握するが、消費電力を従来品の1/8程度という。携帯端末やカメラへの販売を目指す。

カンチレバーに半導体、次世代素子計測へ(理研)

20101209 日刊工業新聞 22
 理化学研究所基幹研究所の河野行雄研究員らのチームは、電位の検出部にAFMのカンチレバーを、電位の信号読み出し部に高い移動度を持つ半導体を組み込んだ、新しい電位分布イメージング用センサーを開発した。㎚スケールの高分解能で材料表面の電位分布やノイズ分布を画像化できる。新材料を使った次世代デバイスの検査をしたり作成時の歩留まり向上に期待されている。

DLPプロジェクター、USBリーダー機能搭載(ベンキュー)

20101209 電波新聞 11
 ベンキュージャパンは大会議室やホール向けのDLPプロジェクターを発売する。XGA対応で、電源オンで自動起動、オフですぐに片づけられる。スピーカー装備、USBメモリーの画像を投写、3D対応、4画面分割の同時投写可能なLANディスプレイ機能を搭載。

2010年12月7日火曜日

MEMS共振器、共振特性高く低電圧駆動(パナソニック・IMEC)

20101207 日刊工業新聞 22
 MEMS技術を活用した高性能で低電圧駆動の共振器をパナソニックとベルギーの研究機関IMECが実現した。共振器の性能を表すQ値は22万と業界最高、1.8vの低電圧で駆動可能で従来デバイスの1/3以下の消費電力、チップは0.4㎜四方まで小型化できる。発振器の主流である水晶振動子式に比べて小型化、低コスト化が見込め、既存部品からの移行が期待できる。

MEMS気圧センサー、携帯機器に最適(STマイクロ)

20101207 電波新聞 3
 携帯機器に適したMEMS気圧センサーをSTマイクロエレクトロニクスが出荷する。モノリシック・シリコンチップ上に圧力センサーを形成する独自技術「VENSENS」を活用し、一般的な圧力センサー製造に必要なガラスやシリコンなどのウエハー間接合を不要とし、信頼性を高めている。地下750m9000mという範囲で80㎝の高度差を検知できる。

高精度に人体検知、赤外線アレイセンサー(パナ電工)

20101207 日刊工業新聞 8
 MEMS技術を用いて製品化した8864素子の赤外線アレイセンサー「グリッドアイ」をパナソニック電工が20115月に発売する。エアコン等家電製品への組み込みを想定し、視野角60度で5-10m先の温度分布や人の移動を検知する。熱分布を認識した空調や加熱の効率的制御や、防犯への人感センサーとして使える。

2010年12月6日月曜日

今年のMEMSセンサー出荷数、自動車向け6.6億個、最高に

20101206 日経産業新聞 4
 2010年のMEMSセンサーの自動車用出荷数量が過去最高になるとの見通しを米アイサプライが発表した。自動車生産の回復と、1台当たりの搭載数が増えており、09年比32.1%増の66230万個。角度変化から自動車の横転や回転を検知するセンサーを使用するESC(横滑り防止装置)、圧力センサーを使用するタイヤ空気圧警報装置などが用途。EUではすべての新車にESCが義務化され、市場が拡大している。独ボッシュが先行するがエプソントヨコム等日本勢も参入している。

胆管作製技術を開発(東大、三菱化学メディエンス)

20101206 日経産業新聞 11
 東京大学生産技術研究所の酒井康行教授、藤井輝夫教授らと三菱化学メディエンスのチームは、コラーゲンのゲルを使用してバラバラの肝臓細胞から胆管を作成する技術を開発した。作成した直線2㎜程度の胆管の中を消化液の胆汁が流れることを確認した。肝臓細胞を塊にして培養すると細胞の間に胆管ができることは知られていたが、方向がバラバラだったり途中で切れていたりした。「思い通りの方向に制御して人工的につくれた」のは初めてという。新薬開発で安全性を調べる動物実験の代替技術として実用化を目指す。

2010年12月3日金曜日

STMicroelectronics社:圧力センサを海抜高度測定へ応用

2010.12 海外技術動向
http://pr-usa.net/index.php?option=com_content&task=view&id=553215&Itemid=32
 海面からエベレスト山の頂上まで1m以下の精度で海抜高度が測定可能な絶対圧力センサがスマートフォンやその他の携帯機器に搭載されようとしている。STMicro社のLPS001WPは、新たな技術開発により超小型、超高精度で絶対圧力(海抜高度)が検出可能なため、スマートフォン、スポーツウォッチの他、車載気圧計、産業機器用途にも応用可能である。
 STMicroのVigna部長は次のように語った。「MEMS技術は圧力、角速度、方位等の物理量の検出を従来センサより低価格、高精度で実現してきた。しかし顧客ニーズに対していかに対応してきたかは、供給者側の創造力に制限されてきたところもある。」
 従来のGPSは2次元の位置情報しか得られなかったが、このセンサを用いることによって3次元での位置情報が得られる。例えばビル内で火事に合った時、自分が今どの高さにいるかを知って避難することができるし、救助隊員にとっても何階にいるかわかるので有用な情報となる。
 LPS001WPの絶対圧力検出範囲は300~1100ミリバールでこれは海面を基準にして
-750mから+9000mに相当する。新センサの製造はSTMicroのプロセス技術"VENSENS"が用いられており、ウェハtoウェハ接合で高い信頼性を実現している。
 素子の基本構造はピエゾ抵抗が形成されたSiダイアフラムを用い裏面空間をウェハ接合により閉じた構造から成る。温度補償回路を内蔵し、センサ出力は標準デジタル出力形式(12C)に準ずる。性能面での特徴を以下に示す。
・精度0.065mbar(80cmに相当)
・破壊耐圧はフルスケールの20倍
・温度補償回路内蔵
・絶対圧力校正済みで出荷
・標準パッケージ(HCGLA-8L)使用
・2010年12月から1000個注文時、$2.8で供給

スマートフォン用MEMSの動向

2010.12 海外産業動向
http://www.nawbo.biz/mems-mems-sensors-for-smartphones/
 携帯電話へのMEMSデバイスの搭載は2002年から始まり、SiマイクやFBAR RFフィルタが最初に搭載された。最近では加速度センサ(傾き検出)、CMOSイメージセンサが欠かせないものになっている。2010年はさらにMEMSの搭載が加速されようとする分岐点になっている。2009年の携帯電話用MEMS市場は$3.55Bに対し、2015年は$7.91Bに拡大する見通しである。なぜそのように成長するか、ここではその要因を探ってみる。
 2015年にはスマートフォンの占める割合が44%に達すると見込まれており、スマートフォンの機能向上にMEMSが寄与すると予測されている。GPS機能はすでに標準化されつつあるが、スマートフォンでは、加速度、ジャイロ、電子コンパスを搭載する高精度型が採用される。すでにiPhone4で実証されている。
 RF-MEMSに関して、さらなるマルチバンド、マルチモード化が進み、RF-MEMSの採用も増える。特にRFフィルタ、可変キャパシタ、MEMS発振器が劇的に増大することが予測される。
 Siマイクは低コスト化が進みコンデンサマイクに取って代わって主流になるであろう。特にデュアルタイプSiマイクは周辺のノイズキャンセリング機能を持たせられ、今後採用が増えると予測される。 
 MEMSプロジェクタも今後低消費電力化が進み、採用増になるであろう。他にMEMSスピーカや環境センサも有望である。
 携帯は有望市場だけにメーカ間の競争も益々激化するであろう。ここ2年間の間にMEMSのビジネスモデルが随分変化してきた。いわゆる大企業の垂直統合型に対するMEMSベンチャーの水平分業型での挑戦である。ここ数年で成功事例が増えてきており、今後が注目される。

STマイクロ、気圧センサー

20101203 日経産業新聞 4
 スイスのSTマイクロは気圧測定に使う圧力センサーを発売する。気象観測所や自動車、産業機器への搭載を見込んでいる。携帯情報端末に組み込みGPSと連動させると、2次元の位置に加えて建物の高さや階数を把握できる。

シリコンベースのMEMS発振子、コストや信頼性で有利(米サイタイム)

20101203 電波新聞 2
 水晶を使わずシリコンベースのMEMS発振子を米サイタイムが開発した。周波数特性として誤差5ppm32.768kHzの水晶発振子機能をそのまま代替でき、サイズは1/10。リアルタイムクロックや時間管理への応用としては世界初となる。水晶でははんだ付けやリフローなどの工程でも周波数シフトを起こすことが多いという。MEMS発振子の内部では16倍の周波数で発振させ、プログラムで周波数を落としている。このプログラム性や、コスト、信頼性、振動耐性でもシリコンが有利という。

2010年12月1日水曜日

印刷で5マイクロメートル回路、高精細液晶向け(DIC)

20101201 日経産業新聞 1
 プリンテッド・エレクトロニクスと呼ぶ、インクジェットなどの印刷で電子部品の回路を形成する方法で、5マイクロメートルの微細線を描けるインクをDICが開発した。ナノレベルの銀粒子をペースト状にし、合成樹脂に分散させてインクとすることにより、従来に比べ20分の一の微細加工が可能となった。電子回路の微細化に有効で、液晶テレビの高精細化や太陽電池のエネルギー変換効率向上が期待される。