2012年8月31日金曜日

電子コンパス用地磁気センサー事業、世界シェア20%超へ(アルプス)

20120831電波新聞3面

 スマートフォンやタブレット端末向けの電子コンパス用地磁気センサービジネスをアルプス電気が拡大する。大幅に小型化を図った1.6ミリメートル角サイズの3軸地磁気センサーを今年末にも市場投入し、3-4年後をめどにグローバルシェア20%超を目指す。

2012年8月29日水曜日

生体MEMS特許一括管理、エネ・医療を開拓、三菱電など22社

20120829日経産業新聞1面

 生体材料を使ったMEMS技術に関する特許を一括管理し、複数の特許の使用許諾手続きが1回で済む等の第三者が利用しやすいように、新たな組織を三菱電機やテルモなど22社が立ち上げる。産学連携組織BEANS研究所に参加する企業や大学などの研究機関で構成し、財団法人マイクロマシンセンター内に設置する。2013年3月に共同研究が終了することから、特許管理の仕組みを協議し、設立することとした。エネルギーや医療分野での応用を目指す。

2012年8月28日火曜日

糖感知し光るLED素子、血糖値測定にも応用、東北大と産総研

20120828日経産業新聞9面

 筒状炭素分子のカーボンナノチューブや酵素を組み合わせ、ぶどう糖の水溶液から発電してLEDが光る素子を東北大学と産総研が開発した。針に巻きつけて果物に差すと糖度を測れる。将来は血糖値の測定への応用を見込んでいる。

薄いガラスに流路形成、アリューズが手法確立

20120828日刊工業新聞8面

 超音波スピンドル加工と溶着接合により、薄いガラス板の内部に流路を形成する手法を、アリューズ(埼玉県)が開発した。最薄で厚さ0.6ミリメートルのガラス板内に、高さ0.2、幅0.6ミリメートル程度の溝を形成できる。流路溝を掘った複数枚のガラスを接合して3次元流路の形成も可能。

2012年8月27日月曜日

汚染調べるバイオセンサー、銀膜シートに微細な穴、東京理科大が新製造法

0120827日経産業新聞11面

 製造コストを半分以下に抑えられる、汚染を調べるバイオセンサーの新しい製造法を東京理科大の遠藤洋史助教授らが開発した。プラズマ状態のガスにゴムシートをさらし表面に微細な凹凸を作る。へこんだ部分に直径500ナノメートルの樹脂性微粒子を並べ、上に厚さ数十ナノメートルの銀膜を重ねる。別のゴムシートを重ねて押し付け、はがすと、樹脂性微粒子と銀薄膜の一部がシートからはがれ、微細な穴が規則正しく並ぶ構造ができる。検出した物質を含む液を流すと、穴と穴の境目に分子が捉えられ、レーザー光を当てることにより物質の特定などが可能となる。これまでバイオセンサーは半導体製造技術を利用して製造したためコスト面で課題があった。

2012年8月26日日曜日

STMicroelectronics:健康モニター機器強化

海外産業動向
http://www.i-micronews.com/news/STMicroelectronics-accelerates-health-fitness-monitoring,9443.html
 STMicroelectronics(ST)は半導体、MEMSの総合メーカーだが、これから健康モニター、フィットネスモニター機器用デバイスを強化することを表明した。
 FuelBandはNikeによる手首装着活動量計で最近人気が急上昇している。これにはSTの3軸加速度センサが使われている。これは軽い動作から、激しい運動まで識別して活動量をポイントにして表示する機能を持つ。表示部には120個のLEDが用いられている。またバッテリー寿命を延ばすために超低消費電力制御ICが入っている。
 Nikeは今後も個人に適切な運動量、希望する運動量がわかるような活動量計を企画する。STはこのような個人のQuality of Life(QOL)向上のための機器用デバイスを重点化して開発していく予定である。

2012年8月23日木曜日

スマホ配線、幅1/5に、小森コーポが印刷装置

20120823日経産業新聞1面

 グラビアオフセット印刷技術を応用し、フィルムやガラスに実装する配線幅を20-50マイクロメートルと従来の1/5に微細化できる技術を、小森コーポレーションが開発した。ロール型のグラビア(凹版)シリンダーの溝に銀ペーストを塗布、この銀ペーストを弾力性のあるシリコン製シートに移し、さらにフィルムやガラスに転写する。

2012年8月15日水曜日

ワイヤグリッド偏光フィルム、量産メド、市場開発加速(旭化成イーマテリアルズ)

20120815電波新聞3面

 インプリント法でナノサイズの微細パターンを連続的に形成する、ワイヤグリッド偏光フィルムの量産化に旭化成イーマテリアルズが目途を付けた。可視光から赤外領域の広い範囲で透過と反射に偏光分離できる。樹脂フィルムを基材にしているので、局面使用が可能、切ったり貼ったりの加工性に優れ、また耐熱性がある。1ピッチ100-150ナノメートルの櫛歯構造の金属型をロール状に巻きつけ、UV(紫外線)硬化によるインプリント法で製造する。プロジェクタ用の変更ビームスプリッタ、赤外線センサなどの用途を見込んでいる。

2012年8月14日火曜日

TV向け素子、ナノチューブで作成、処理性能5倍(東レ)

20120814日本経済新聞12面

 カーボンナノチューブを使いシリコンに替わる高性能のトランジスタを、東レと韓国のキョンヒ大学が共同で開発した。ナノチューブを溶かしたインクを使い、インクジェットプリンターで作成する。開発したのは画像表示用の薄膜トランジスタ(TFT)で電気の通路にナノチューブを使った。電子の動きが早くなるため、有機EL等の薄型テレビに使うと処理性能が5倍になる。製造時間も従来のアモルファス(非結晶)シリコン製トランジスタの5分の1になる。

植物原料の新型素子、膝に巻いて歩行補助/タッチ画面に応用(帝人と関西大学)

20120814日本経済新聞12面

 植物を原料とする樹脂を使った圧電素子を、帝人と関西大学の田実佳郎教授が開発した。トウモロコシなどを原料とするポリ乳酸という樹脂で作った薄膜と、電極となる導電性の樹脂を交互に挟む構造。電圧をかけて延びる長さは、現在主流のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)製の約2.5倍という。柔らかくて薄く、透明で大面積のシートを作りやすく、かつ安価を実現できる。この素子は有害な鉛を含まないため環境対策上の課題を克服できる。

2012年8月7日火曜日

平らなグラフェン成膜、原子レベルで形成(東北大など)

20120807日経産業新聞9面

 次世代材料であるグラフェン(シート状炭素分子)の成膜技術を東北大学の吹留博一准教授らが開発した。グラフェンの層数を制御しナノスケールで電子物性を自在に操れる。炭化ケイ素(SiC)の基板上にグラフィンを作りこむとき、MEMS技術を活用して数マイクロメートルのパターンを作り、基板表面のナノレベルの段差による電子密度のバラツキを抑えた。グラフェンはシリコンや炭化ケイ素より電子が100倍以上移動しやすく、発光する性質もある。高速演算素子や、演算と発光を備えた素子の実用化を目指す。

結晶性高い微粒子作製、レーザーを活用、太陽電池など性能向上(東工大)

20120807日経産業新聞9面

 結晶性の高い金属ナノ微粒子を、レーザー光の照射で作成する技術を東京工業大学の和田裕之准教授らが開発した。パルスレーザーにより液体中で微粒子を作成し、これに緑色光と近赤外光の2種類のレーザーを当て、プラズマを発生させることにより金属塊の一部を砕き、従来より結晶が高い微粒子を作成した。簡単な装置で微粒子を得られる。結晶性の高い日収支は、太陽電池の発電効率向上、白色LEDの発光効率向上、がん診断・治療への応用が期待される。

半導体加工サービス、ディスコ、独に新施設、試作品を受託、装置受注めざす

20120807日経産業新聞4面

 半導体切断・研磨装置大手のディスコはドイツに試作品の受託加工・検証のための施設を新設する。半導体の切断・研磨装置は高価なため試作品段階での購入は負担が重いが、有料サービスで受託することにより低コストで試験加工ができる。自動車向けパワー半導体、スマートフォン向けの加速度センサー、医療機器向けの超音波振動部品などを見込んでいる。研究段階の加工引き受けにより、量産段階の装置受注を目指す。

商業向けプリントヘッド開発、2色同時に印刷(京セラ)

20120807日経産業新聞4面

 従来の1色のヘッドに比べて設置面積を半減化できる、商業インクジェット印刷機向けの2色同時印刷プリントヘッドを京セラが開発した。インク出入り口を2か所設け、内部流路を工夫した。印刷機では4色カラー印刷のため、同ヘッドを2本並べて使用する。

2012年8月5日日曜日

Panasonic:人工光合成システム発表

海外技術動向
http://www.engadget.com/2012/07/31/panasonic-artificial-photosynthesis-system/
 植物の光合成を人工的に模倣することが、多くの企業で試されている。太陽エネルギー変換貯蔵国際会議でパナソニックは人工光合成の開発状況を発表した。窒化物半導体が光を受けて水を電気分解して酸素、水素を生成し、触媒が水素とCO2をギ酸に変換する。ギ酸は色素や香料の材料となる。

2012年8月2日木曜日

マイクロポンプ、超小型でも出力50倍、駆動源に電解共役流体(東工大)

20120802日刊工業新聞23面

 MEMS技術で作成する、超小型でも大きな力を出せるマイクロポンプを東京工業大学の横田眞一教授らが開発した。フッ素系の絶縁性液体である「電界共役流体(ECF)」を駆動源に応用し、電圧をかけると電極の間に強いジェット流が発生する。マイクロポンプユニットは三角柱とその先のスリット上の電極で構成され、スリットの幅と電極間隔は200マイクロメートル。ECFの容器とつなげて電圧をかけるとECFが流路に沿って流れる。1ユニットの大きさは高さ0.5ミリ、幅0.7-1ミリ、長さ2ミリで直列・並列につなげることで流量・圧力を増加できる。並列3対x直列10対のユニットをつなげたマイクロポンプで、4キロボルトの電圧をかけた時の体積当たりパワー密度は150ミリワットという。携帯電話のレンズ、極小ロボットハンド、人工筋肉などへの応用が期待される。