2012年3月30日金曜日

米Purdue大学:プラズモニックメタマテリアル用に新しい材料開発:TiN(窒化チタン)

海外技術動向
http://www.scientificcomputing.com/news-DS-New-Path-for-Light-through-Metal-Found-032912.aspx
 ナノサイズの金属粒子と光との相互作用は表面プラズモン共鳴(SPR)として様々な光電子デバイスへの応用が研究されている。SPR用の金属材料としてはこれまで金、銀が多く使われてきたが、米Purdue大学の研究者はTiN(窒化チタン)が有効であることを見出した。金、銀の課題を挙げると、半導体デバイスとの集積化を考えた場合のプロセスや、銀の耐環境性が問題となる。
 一方TiNは、半導体デバイスのバリアメタルとして実用化されており、半導体プロセスとの相性が良い。また耐環境性に優れるので、体内埋め込みデバイスや工具材料にも用いられている。Purdue大では、TiNの薄膜を形成してSPR特性を評価した結果、金、銀とほぼ同じ特性を示すことを確認した。
 今後は、MBEの活用等製膜方法の工夫により電導性を高め、SPRや電磁メタマテリアルの実用性向上を目指す。
SPR、電磁メタマテリアルには自由電子密度、キャリア移動度の高い材料が望まれる。

2012年3月29日木曜日

電子コンパスソフト、加速度・磁気センサーと連携、(フリースケール)

20120329電波新聞3
 フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは同社の加速度センサーや磁気センサーと連携する電子コンパスソフトウエアを発表した。センサーと組み合わせてモバイル機器で使用し、幅広いモバイル用途で容易に統合できる専用ソースコードとして提供される。

MEMS新製品攻勢、1ミリ四方目標、検知に磨き(米アナログ・デバイセズ)

20120329日経産業新聞7
 米アナログ・デバイセズがMEMS技術による製品群を拡充している。同社は1991年に自動車エアバッグ向けMEMS加速度センサーを発売し、自動車横滑り防止装置・マイクなど、累計出荷数は6億個を超えた。現在の先端製品は5ミリ角ほどだが1ミリ角を目指している。信号処理とMEMS技術の融合による競争力を元に、さらに製品の拡充を図る。同社は全社売上高30億ドルの10%程度をMEMS関連事業が占め、上位のテキサスインスツルメンツやSTマイクロエレクトロニクスを追撃する。

2012年3月27日火曜日

インクジェットプリントヘッド、京セラが量産

20120327日刊工業新聞13
 高精細・高速印刷の商業用インクジェットプリントヘッドを京セラが量産する。水系インク、紫外線(UV)インク用があり、水系で毎秒1億滴のインクを吐出する。印刷幅4.25インチ、解像度は1インチ当たり600x600ドット。プリントヘッドに2656個のインクノズルがあり、圧電セラミックス技術を応用している。

2012年3月23日金曜日

MIG主催MEMS会議in Europe開催、MEMS市場さらなる成長へ

海外産業動向
http://www.eetimes.com/electronics-news/4369667/Panel-MEMS-market-boom
 MIG主催MEMS会議が3月20日チューリッヒで開催され、今後のMEMSの動向について議論された。現在民生用MEMSがMEMS市場の拡大を牽引しているが、今後さらに品種が増えて、拡大が続く見通しであることが指摘された。
 スマートフォン、タブレットはMEMSの最も大きい牽引役である。今後新たに伸びるモバイル用MEMSは、カメラのオートフォーカス、RF-MEMS、MEMS発振器、MEMSスピーカ、環境(化学)センサがあげられた。
 スポーツウォッチメーカのSuuntoから、様々なスポーツ器具やスポーツウェアへのMEMSの応用を期待したい旨の発言があった。
 モバイル用MEMSの爆発(MEMS big bang)で培われた技術が、再び車載用へフィードバックされたり、医療応用へつながったりしている。
ビジネスモデルの議題では、ファブレス企業とファンドリーのペアが今後も発展することが言われた。MEMSファンドリーでは住み分けが行われており、汎用品MEMSの大量生産はTSMC、UMC、GlobalfoundriesのようなICファンドリーが担当する。一方特徴あるプロセスで少量生産されるMEMSはDalsaやMicralyneのようなMEMS専門ファンドリーが担当する。今後もこれらのファンドリーは競合せず住み分けるであろう。

2012年3月20日火曜日

MEMSリレー出荷(アドバンテスト)

20120320日刊工業新聞6
 半導体検査装置や高速通信機器用のMEMSリレーをアドバンテストが発売する。電磁駆動や静電駆動に比べて小型化・省電力化を図れる。圧電方式を採用しチップ厚さを他社製品の半分の0.9mmとした。

2012年3月19日月曜日

ナノ粒子の温度計、細胞内で0.3度C差測定(早大)

20120319日刊工業新聞17
 早稲田大学の石渡信一教授らは、温度によって蛍光の明るさが変わるナノ粒子を作成し、生きた細胞内の局所的な温度差を測定する方法を開発した。5ナノメートルの空間解像度で0.3Cの温度差を検出できる。癌細胞を正常細胞との温度差で検出できる。

2012年3月16日金曜日

Invensense社モーションセンサ:Android端末用では勝利するもAppleには採用されず

海外産業動向
http://news.investors.com/article/604028/201203121828/invensense-gets-android-mems-business-not-apple.htm
 MEMSモーションセンサは任天堂ゲームへの採用に始まり、今ではスマートフォン、タブレット、テレビリモコンと大型需要が次々と生まれている。Invensenseは民生電子機器用に適したモーションセンサを開発し、この需要の増加にうまく乗った。特にAndroid系スマートフォンでは70%、Androidタブレットでは90%のシェアを得るに至った。しかし最大消費者のAppleに対しては、採用されておらず、ここではライバルのSTMicroelectronicsが採用されている。
アナリストが言うには、Invensennse は集積型モーションセンサ技術でSTMicroに対し6か月のアドバンテッジがある。一方生産コストについてはInvensenseがファブレス方式で生産を台湾に委託しているのに対し、STMicroは自社内生産である。これに関しては、社内生産に方がコストは有利という見方がされている。
 今後のInvensenseの成長見込みだが、6軸、9軸の集積型を武器にスマートフォン、タブレットの拡大に乗り、売り上げをさらに伸ばすであろう。またこの技術を車載やヘルスケア向けに転用することも企画されている。

SEMI欧州「産業戦略シンポジウム12」リポート

20120316電波新聞2
 シリコンウエハーの径は、100mm70年代、200mm80年代、300mm90年代末に量産化が始まっている。次世代規格の450mm径はシリコンの単結晶インゴット製造の限界といわれている。製造ラインへの投資は数兆円とされインテル、サムスン、TSMC安堵の大手のみが導入できるとされている。欧州は推進組織のEEMI450を組織化し、取り組んでいる。300mmから450mmへの移行で有効面積は2.4倍となり、製造コスト30%削減を目指している。

遺伝子解析装置、第4世代へ、ヒトゲノム、15分で、バイオとナノ融合

20120316日経産業新聞9
 英オックスフォード・ナノポア・テクノロジーズ社(ONP)は従来とは異なる測定原理によるDNA解析を行う「ナノポア・シーケンサー」を開発した。ナノスケールの穴を開けたチップにDNAや核酸塩基を通過する際の電流変化を計測して、DNAを解読する。ONP社のGridIONはビデオデッキと同じ大きさで、重層により解析力を向上でき、20ノード使えばヒトゲノムを60分で解読できるが、来年には15分に向上するという。

鉛含まぬ圧電体開発(東工大、上智大、キャノン)

20120316日刊工業新聞24
 毒性のある鉛を使わず、シリコンを用いたMEMSにも活用できる圧電体を東工大、上智大、キャノンの研究グループが開発した。ビスマス、亜鉛とチタンを含む酸化物で、圧電効果は鉛系圧電体とほぼ同じ、高温下でも動作する。安全性が重視される医療分野への応用、インクジェットやMEMSの高性能化につながると期待される。

2012年3月12日月曜日

MEMSセンサーの出荷、累計20億個達成(STマイクロエレクトロニクス)

20120312電波新聞4
 STマイクロエレクトロニクスは加速度、ジャイロ等のMEMSセンサーの累計出荷数が20億個に達した。同社はMEMS専用8インチ製造ラインにより、一日3000万個以上のMEMS製造能力を有する。

2012年3月9日金曜日

ハーバード大学:フェムト秒レーザでメタマテリアル用3次元ナノ構造を形成

海外技術動向
http://www.nanowerk.com/news/newsid=24529.php
 メタマテリアルは光を自由に曲げられる材料として知られているが、赤外光や可視光を制御するメタマテリアルを作製するには、3次元のナノ周期構造が必要となり、この製法がこれまでなかった。ハーバード大学は高パワーのフェムト秒レーザを用いて、ポリマー中に銀のナノ粒子を3次元に並べる製法を開発した。
 銀イオンを分散させたポリマーフィルムを用意し、そこに微小に焦点を絞られたフェムト秒レーザを照射してやると、還元されて銀のナノ粒子の周期構造が形成される製法である。一つ一つの銀ナノ粒子が接触せず離れていることも確認された。

角度センサー増産加速、車向け6億円投資(多摩川精機)

20120309日経産業新聞15
 ハイブリッド車や電気自動車の駆動用モータに搭載される角度センサーで9割強の世界シェアを持つ多摩川精機は、日本・欧米の自動車メーカーの需要増に対応して設備を増強し、年1000万個体制とする。

ナノワイヤ電極間に簡単作製、手のひらサイズ、情通機構がキット開発

20120309日刊工業新聞29
 真空装置など大型の装置を使わずに、ナノメートルサイズの単結晶であるナノワイヤを電極間に作成できる、手のひらサイズのキットを情報通信研究機構が開発した。同機構が開発した「ナノ電解法」を使うもので、電極基板をキットに接続し、ナノワイヤ原料溶液を入れたナノ電解セルに浸したうえで通電させると、電極間にナノワイヤが作られる。装置コストは真空蒸着法やインクジェットに比べ100分の一、配線幅はインクジェット法の1000分の一にできる。ナノワイヤ原料に導電性材料を使うとナノ配線が、半導体材料を使うとナノデバイスを作ることができる。岩田硝子(大阪府)が製品化を目指す。

欧州装置産業、450ミリウエハー製造ライン、新技術でコスト低減(SEMI欧州シンポ)

20120309電波新聞2
 欧州では450ミリメートル径のシリコンウエハーを使った生産技術の推進を目指すEEMI450(欧州製造装置と材料450ミリイニシアチブ)が活動を始めた。装置・材料分野の研究開発と製造促進、450ミリメートル径ウエハーサイズへの移行支援等を目的としている。アメリカのG450C(グローバル450コンソーシアム)と競争することではなく、コスト低減に向けた新技術実現の世界的原動力を目指す。初期生産は16年末を目指す。

2012年3月8日木曜日

MEMS応用分野、市場拡大に加速、9軸融合センサーも登場、健康管理市場にも期待

20120308電波新聞1
 2月末にドイツで開催されたSSE2012の講演でSTマイクロニクスのビグナ副社長はMEMSの応用分野と市場規模拡大はさらに加速すると予測した。ゲーム機への採用が市場を活気づけたが、3軸加速度センサー、3軸ジャイロスコープ、3軸地磁気センサーの9軸を融合するソフトが登場している。携帯端末のMEMSマイク等音響分野、MEMSセンサーを組み込んだコンタクトレンズ等ヘルスケア分野への展開が進んでいる。また、国内ではマイクロマシンセンターMEMS協議会が最先端MEMS研究拠点のMNOIC(マイクロナノオープンイノベーションセンター)を114月に設立し、「環境負荷低減・省エネ」「超高齢化対応社会」に向けた危機と部品の開発需要に対応している。応用分野の開拓と挑戦が重要である。

2012年3月7日水曜日

圧電性脳2倍以上バリウム系材料を開発、鉛含まず高い安全性(山梨大)

20120307日刊工業新聞23
 バリウム、ビスマス、チタン、鉄などからなる酸化物を使い、現在の鉛系圧電材料より2倍以上の圧電性能を持つ新しい圧電材料を、山梨大学の藤井一郎博士、和田智志教授らが開発した。圧電材料の境界領域で圧電特性を発生するドメイン(電気分極が特定の方向にそろった領域)の大きさを従来比100分の15ナノメートルに縮小し、1ボルトあたり850ピコメートル以上の圧電特性を実現した。ドメインの大きさは各種元素の組成比により制御でき、元素の組み合わせによっても、圧電用途に応じた様々な材料設計が可能という。

2012年3月2日金曜日

医療ヘルスケア向けバイオセンサが急伸、2017年$16.5B(約1.3兆円)の見通し

海外産業動向
http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/g/a/2012/03/01/prweb9242715.DTL
 Global Industry Analysts(GIA)の市場予測によると、医療ヘルスケア向けバイオセンサの市場は、急成長し、2017年には約1.3兆円になる見通しを発表した。
 バイオセンサの研究開発の機運が高まっており、様々な革新技術が開発されようとしている。
高精度、高速を兼ねたリアルタイムセンシング技術、マイクロフルイディクス技術、非侵襲センシング技術等が開発されており、医療ヘルスケアのニーズに答えようとしている。
現在要求の高いニーズはその場ですぐに分析結果が得られるポイントオブケアで、例えばベッドサイドで血液成分分析結果がすぐに得られることが求められている。
 市場面からニーズが高いのがグルコースセンサである。バイオセンサ市場の85%を占めており最も大きなニーズがある。
 医療ヘルスケアに次ぐバイオセンサの市場は食品の安全管理である。この分野ではジョージア工科大学の開発が進んでおり、早期実用化が期待される。

2012年3月1日木曜日

ナノテクの産業化で日本企業と連携期待、オランダの研究組織首脳

20120301日経産業新聞11面
 オランダ政府が主導するナノテクノロジー研究の産学官コンソーシアム「ナノネクストNL」は、ナノ・マイクロサイズの微細加工技術を産業に結びつけるため2011年結成し、2016年まで総予算25000万ユーロ(271億円)で研究を行う。企業・大学など100以上の機関が参加し、予算は政府と参加機関で折半する。環境保全や高齢化社会に役立つ新産業創生をめざし、MEMSを使った高感度センサーやナノ粒子を用いる薬剤送達システムを開発する。コンソーシアムにはニコンとキャノンのグループ企業が参加しており、グループの大学研究者はここに日本の機関と共同研究を行っている。(副会長のフレッド・ファン・クールン教授/デルフト工科大学)