2012年1月31日火曜日

2㎜角の触覚センサー、従来の100倍の感度、東大が開発

20120131日刊工業新聞29
 東京大学IRT研究機構の下山勲教授らは2ミリメートル角の薄膜3軸触覚センサーチップを開発した。絶縁膜上シリコン(SOI)素子の層内に形成したビーム(面持ち梁)の側面に、従来の金属ひずみ素子の100倍の感度を持つピエゾ抵抗層を形成し、ビームが摩擦力により基板平面内での変形量を検知する。東大発ベンチャーのタッチエンスを通じ5月をめどに実用化する。

温度差利用の発電に参入、無線ICなどと複合部品(東京エレクトロンデバイス)

20120131日経産業新聞4
 半導体商社の東京エレクトロンデバイスは、独マイクロペテル社の開発する温度差発電素子と同社の扱うリチウムイオン電池、無線通信用ICと組み合わせた複合部品を発売する。発電素子は1度の温度差で20ミリボルト、最大で110ミリボルトを発電し、配電盤に使う銅板の発熱を利用した電力供給のモニタリング等が可能となる。

2012年1月27日金曜日

Imec、Genalyte社:シリコンフォトニクス応用バイオセンサ開発

海外技術動向
http://www.electroiq.com/articles/stm/2012/01/imec-engineers-bio-compatible-silicon-photonics-sensors.html
 米国Genalyte社はImecと共同で使い捨てタイプのシリコンリング共振器型バイオセンサを開発した。これは分子識別が可能で各種生体診断に応用可能である。特徴として複数種(128)のバイオセンシングを高い集積度でシリコンチップ上に実現している。
 チップはリング型導波路とバイオ感応膜から成り、感応膜の変化を光の共振周波数の変化で捉える高感度センサである。本チップの製造プロセスは、Imecの標準シリコンフォトニクスプロセスを用いており、8インチラインで試作されている。
現在プロトタイプで性能評価を行っており、近い将来診断用チップとして実用化の予定である。
                              光リング共振器

2012年1月26日木曜日

半導体と水晶デバイス技術融合、センシング関連事業強化、評価ツール引き合い活発化(セイコーエプソン)

20120126電波新聞4面
 セイコーエプソンはセンサーを用いたアプリケーションの開発・評価を支援する評価ツールの引き合いが活発化している。多機能センサーユニットEシリーズは、3軸ジャイロセンサーと3軸加速度センサーを組み合わせた6軸センサー、3軸地磁気センサー、圧力センサーを搭載し、パソコン接続用インターフェースを用意する。小型センサー評価モジュールMシリーズは6軸センサーを搭載したモーション検出用とGPSレシーバーを搭載した位置検出用の2種。各種電子機器、セキュリティ、建築・土木、農機具、医療機器、FA機器、ゲーム機、船舶等幅広い分野のR&D部門や大学・研究機関から引き合いがある。

3D半導体製造装置、次世代技術導入控え、貫通電極用5種、エッチング・成膜など投入(東京エレクトロン)

20120126日経産業新聞7面
 半導体を複数枚重ね、穴をあけて電極を貫通させるシリコン貫通電極(TSV)向けの新型半導体製造装置を東京エレクトロンが開発した。半導体メーカーは立体的に実装する3D半導体技術の導入を2012年に計画しており、これに対応したもの。プラズマを使いウエハー表面の金属材料を削るエッチング装置では、1分あたりに削る深さを10マイクロメートルから15マイクロメートルに向上した。穴の周囲に絶縁膜を形成する成膜装置では絶縁材料ノポリイミドを均一に形成できる。

振動発電部品を販売、米社と代理店契約(アルティマ)

20120126日経産業新聞7面
 アルティマは米ミデー・テクノロジーの振動発電部品「ヴォルチャー」を販売する。ピエゾ素子により振動や圧力を数マイクロワットの微弱な電気に変換する。工場内の設備に取り付け、電気配線や電池交換不要で、温度や稼働状況を監視するセンサーなどの電源に使う。価格は1個販売で5000円から。

2012年1月20日金曜日

世界最大の家電ショー(CES2012)でもMEMSに注目

海外産業動向
http://www.designnews.com/author.asp?section_id=1386&doc_id=237890&f_src=designnews_gnews
 CESは世界最大の家電ショーとして知られ、次世代の薄型TVやスマートフォンなどが話題を集める。MEMSはまだ市場がそれほど大きくないことからこれまでCESではほとんど取り扱われてこなかったが、先週開催されたCES2012ではMEMS専門のブースを設けて、展示や討論会が行われた。
これは昨今のMEMSの需要が急激に拡大してきたことの現れである。
 討論会ではBosch、Freescale、VTI他MEMS担当役員が顔を合わせて今後ますますMEMSの重要性が増すことが確認された。その中でMEMSの今後の動向として、今まで単機能の部品として売ってきたが、これからはMEMSによるソリューションを売っていくことになるだろうという意見があった。
例えば傾きや歩数を検知する単機能の加速度センサから、正確にいる位置を検出できる9軸モーションセンサの提案がそれである。
またMEMS活用の中心であるスマートフォンは、TPOに合わせて着る服を変えるように、目的に合わせて様々な機能を活用する感覚で使われるであろうと語られた。

センサー、スマホ浸透、市場拡大続く、2012市場展望

20120120日経産業新聞4
 センサー部品の市場拡大がスマートフォンの浸透で進んでいる。富士キメラ総研によると主要なセンサー部品の市場は12年で12213億円の見通し。スマホで道案内のアプリに使われている電子コンパスの出荷は11年に前年比86%増となったが、旭化成エレクトロニクスはiPhoneiPadに採用され世界シェア1位。しかし台湾メーカーとの競合が激化しており、単価下落が避けられない。今後はMEMSの微細加工技術の活用が重要。オムロン、村田製作所、パナソニック、TDKなどが取り組んでいる。オムロンは蝶が50cm先で羽ばたく動作を感知できる気流センサーを実現した。

25%小型、電子コンパス、「6軸」新製品(旭化成エレクトロニクス)

20120120日経産業新聞4
 電子コンパスの世界シェアで約8割を占める旭化成エレクトロニクスは、体積を従来品より25%小型化した電子コンパスを開発した。アナログ・デバイセズ社の加速度センサーを収納した「6軸」の製品で、サンプル価格は1500円。

2012年1月19日木曜日

STマイクロ、ジャイロセンサーを開発、動き検知と補正、同時処理

20120119日経産業新聞7
 STマイクロエレクトロニクスは、傾きを検知するセンサーと複数の機能を同時に処理できるデュアルコアを搭載したジャイロセンサーを開発した。動作の検知とデジカメの手振れ補正という複数の機能を同時に処理できる。製品の小型化、部品コストの削減につながる。

蘭NXPがMEMSベース周波数シンセサイザ開発、大きさ水晶ベースの20分の一

20120119電波新聞16
 従来の水晶によるタイミング素子を代替するMEMSベース周波数シンセサイザをオランダNXP Semiconductorが開発した。水晶部品を20倍以上小さいシリコンベア・ダイ(die)で代替する。MEMSダイは標準化されたプラスチックパッケージに搭載されたICと一体化され、専用のハーメティック・パッケージを必要としない。CMOS発振器より高い周波数安定性、低タイミングジッタ、従来のシリコンレゾネータより10倍も温度ドリフトが低い。

2012年1月13日金曜日

焦点可変電子レンズ付次世代メガネ

海外技術動向
http://www.thestreet.com/blog/electronic-focusing-comes-next-generation-eyeglasses
 視力矯正用メガネは基本的には何百年も変わっていない。最近は2焦点、3焦点のメガネが開発されたが、個人の視力に合わせて一旦作製されたメガネは永久に同じ形である。
 PixelOptics社は透明液晶材料を用いて焦点可変のメガネを開発した。レンズは液晶材料から成り、電圧によって変形させ焦点可変にする。メガネのフレームに焦点制御用電子回路、MEMS加速度センサとバッテリーを装着。焦点可変はマニュアルモードとオートモードを選べる。使用者はフレームにあるスイッチで簡単に焦点を調整できる。
 現在の商品の価格は高く、$1,200(約10万円)だが、将来出荷数量が増えると、もっと安くなる見通しである。

ウレタン製触覚センサー、厚さ1cmに半減、介護用途見込む(タッチエンス)

20120113日刊工業新聞23
 厚さ1cmで価格も2500円程度と従来品の半分にしたウレタン製触覚センサー「ショッカクキューブ」の新製品をタッチエンス(東京都台東区)が開発した。ウレタンに押す、ねじるなどの力を加えると、本体底部の発光素子と受光素子が3次元方向の変位を検知する。従来モデルは本体をウレタンで包み、本体底部のLED光を本体上部のセンサーが検知する仕組みだったが、上部部品を省き薄型化と接触面の硬さの改善を図った。

加速度センサー、世界最小、スマホ向け省電力(カイオニクス)

20120113日経産業新聞4
 縦横2ミリメートル、厚さ0.9ミリメートルと世界最小のMEMS加速度センサーを、ロームグループの米電子部品メーカー、カイオニクス(ニューヨーク州)が開発した。制御ソフトもセットで、携帯電話メーカーのソフト開発負担も軽減できる。省電力と小型化を実現した、ジャイロセンサー、加速度センサーとジャイロセンサーを一体化した複合センサーも開発した。カイオニクスはスマホ向けセンサーではSTマイクロエレクトロニクスに次ぐ大手。

2012年1月12日木曜日

MEMSスイッチ外販、伝送損失減、高速切り替え(アドバンテスト)

20120112日刊工業新聞7
 電磁気力を用いて物理的に信号経路を開閉するMEMSスイッチをアドバンテストが外販する。従来型スイッチに比べて伝送損失が小さく、無線通信装置の性能向上や低コスト化を図れる。測定器、医療機器、携帯電話等用途を目指す。同社は自社製の半導体検査装置用スイッチとして採用していたが、事業化する。

2012年1月6日金曜日

Imec:MEMSを応用してSiウェハ上に3Dディスプレイ作製

海外技術動向
http://www.popsci.com/technology/article/2012-01/video-spring-loaded-mems-driven-pixels-could-enable-3-d-holographic-video-displays
 現在の3Dディスプレイは専用メガネを必要とする。
Imecはメガネ無しで3D画像が見れるMEMSホログラフィックディスプレイをばね構造を持つピクセルから成るSiウェハで実現した。

                             3D画像を映すSiウェハ

ナノワイヤ、簡単作製、高分子薄膜にレーザー光(物質・材料研究機構)

20120106日経産業新聞10
微小なセンサーや素子に応用が期待される直径数十ナノメートルの細線「高分子ナノワイヤ」を簡単に作成できる技術を物質・材料研究機構が開発した。ガラス基板上に高分子の薄膜を作成し、その中に追加したい機能を持つ別の材料を分散させ、ガラス基板にレーザー光を短時間1回照射すると、薄膜から垂直にナノワイヤが成長する。実験では高分子にポリスチレン、追加材料に酸化鉄の微粒子を使ってナノワイヤを作成した。ワイヤ中に分散した構造で、磁場で動かせる。血管内を移動するマイクロマシンの駆動装置の応用が期待されている。

有機ELの回路印刷、微細な突起物、多数並べる(エスケーエレクトロニクス)

20120106日経産業新聞4
有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルの回路を、印刷により、コストを削減して製造する技術を液晶パネル製造部品大手のエスケーエレクトロニクスが開発した。高さ15マイクロメートル、幅6マイクロメートルの突起物を多数取り付けた合成石英の金型で印刷版を製造する。印刷版の突起物の先端に有機材料を塗り、ガラスや樹脂の基板に印刷する。有機材料の回路形成法として蒸着法に比べて、材料の無駄が発生せず、高温処理も不要なため樹脂基板にも適用できる。印刷法は製法が簡単だが、有機材料をインク上にする高分子材料の開発や、高い精度の印刷技術が課題。

3光学センサーなど集積(マキシム・インテグレーテッド・プロダクツ)

20120106日経産業新聞4
米半導体のマキシム・インテグレーテッド・プロダクツは環境光センサーや近接センサーなど3つの光学センサーと2つのAD変換器を1チップに集積した製品を開発した。消費電力を抑え、スマートフォンや産業機器需要を見込んでいる。1000個以上の購入で単価は1.65ドル。

MNOIC・今仲行一所長「MEMS産業を支援」

20120106電波新聞6
マイクロマシンセンター/MEMS協議会は最先端MEMS研究拠点MNOIC(マイクロナノオープンイノベーションセンター)114月に設立した。MNOIC今仲所長は「最先端設備共同利用で、MEMSは日本を取り戻しませんか」と呼びかけている。80年代後半から「機械部品の半導体化」として始まったMEMSは産業・民生用途で活用され市場は発展を遂げている。一方では最終製品の価格下落で大量生産に向かわざるを得なくなっており、設備コストの増大と最先端設備による技術先鋭化を求められている。MNOICは、参画機関の「自主研究・試作・少量生産の支援」「産官学による知恵の創出と人材育成」「量産ファブ企業傘下による円滑な量産移行」を推進・支援する。

2012年1月5日木曜日

MEMSセンサーを小型化(STマイクロ)

20120101日経産業新聞4
 STマイクロエレクトロニクスはMEMSによる新型センサーを開発した。2G16Gの加速度、毎秒250度~2500度の角速度を検出でき、3x5.5x1ミリメートルのパッケージ。大量購入時の単価は2.75ドル。

進化続く製造装置・プロセス、高密度化(半導体/電子部品)に対応

20120105電波新聞第21
 スマートフォンやタブレットPCの急速な普及により、電子部品のファインピッチ化、高密度化が進み、製造プロセスや製造装置の進化が続いている。シリコンウエハー径の300ミリから450ミリへの移行が予定されているが、大口径化によるファインピッチ化が膨大なコストを必要とすることから、3次元実装による高密度化が注目されている。15年にはCPUDRAM、フラッシュメモリー、MEMSRFデバイス等をすべて3次元実装した製品の登場が予測されている。

 また、半導体チップのパッケージング内実装(ベアチップ)や、チップ表面と基板の接続をアレイ上に並んだ突起端子(バンプ)で接続するフリップチップ工法も注目されている。

 基板に半導体チップや電子部品を搭載するマウンターも、二つの基板搬送ラインで同時に2枚を生産するデュアルレーン生産方式が注目されている。

 はんだ材料の多様化が進んでいる。環境問題から鉛フリー化し銀を加えたSnAgCu系はんだが普及しているが、銀価格の高騰化により銀レスはんだの製品化も始まっている。

MEMS産業の動向と世界に対抗できる最先端研究施設(MNOIC)の設立、省エネ推進する革新的技術開発・・GSNプロジェクト

20120105電波新聞第24
 MEMS産業を比較すると、わが国は大企業が研究開発から事業化までを垂直統合的に行っているのに対し、海外ではアイデア立案・研究開発・量産試作・量産まで専門施設で行うバリューチェーンの中で行う水平統合型事業を行っている。専門施設とはヨーロッパIMECLETI、米国Albany、台湾ITRIという大口径ウエハーを処理できるMEMS設備で、研究開発から少量生産も可能である。日本には対抗する施設がなかったが、マイクロマシンセンターのMEMS協議会はMNOIC(マイクロナノオープンイノベーションセンター)114月に設立した。

 MNOICTIA(つくばイノベーションアリーナ)に属する産総研が所有する最先端研究施設を広く産業界の利活用を推進する。【Myラボ】自分の研究所のように使い、【Myファブ】自分の試作装置のように使ってもらうのが基本方針。人材教育やコンサルタントも含む。

 GSNプロジェクトは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募テーマ「グリーンセンサー・ネットワークシステム技術開発プロジェクト」で、11年度から4年計画で開始した。プロジェクトの推進母体は技術研究組合NMEMS技術開発機構である。

 プロジェクトの目的は、省エネに寄与する普及型無線センサーネットワークの開発である。節電や空調・換気制御に有用な電流・磁界センサー、塵芥量センサー、ガス濃度センサーの、MEMS技術による無線化、小型化、低コスト化、低消費電力化と、センサーと信号処理デバイスの機能集積化技術を開発する。また、グリーンセンサー端末に安定的に電力を供給する光電変換・熱電変換デバイスを開発する。さらにユーザー企業が参画し実用化のための実証実験を行う。