2011年12月30日金曜日

コーネル大学:導電性コーティングが施された繊維を開発

海外技術動向
http://www.blogger.com/post-create.g?blogID=5703888514949048505
 コーネル大学では、導電性コーティングを施し、トランジスタを形成可能なコットンファイバから成る繊維を開発した。
 アプリケーションとして例えば有害物質を検出できる衣服や、ディスプレイ機能を持つTシャツ、心拍を検出する衣服、アレルギー物質を検出するカーペット等が期待できる。ここではコットンファイバから成るトランジスタを要素技術としており、配線として導電性ポリマー(PEDOT)と金微粒子をコーティングする。
試作品として導電性コットン織物の片側に電池をつなぎ、片側にLEDを配線した発光デバイスを動作させている。最初のアプリケーションとしてウェアラブルセンサが企画されている。

2011年12月29日木曜日

インクジェット技術利用、嗅覚能力簡易測定装置を開発(慶応大学)

20111229日刊工業新聞14
 プリンターに使われるインクジェット技術を利用し、数ミリ秒という短時間でピコリットルという微量の匂い分子を放出して人の鼻に吹き付け、匂いに対する感度を計測する装置を、慶応義塾大学の岡田謙一教授らが開発した。嗅覚能力の低下は、認知症やアルツハイマー病の初期症状とされており、小型で持ち運びが可能なこの装置が実用化すれば、高齢者向けの健康診断で使えると期待されている。

2011年12月27日火曜日

MEMS向け圧電体薄膜開発、200ナノ秒でスイッチング(高輝度光センター)

20111227日刊工業新聞18
 高輝度光科学研究センター、東京工業大学、物質・材料研究機構、京都大学はMEMSなどの素子向けに動作の切り替え(スイッチング)を高速化する圧電体薄膜を開発した。”ナノドメイン”と呼ぶ小さな領域を持ち、従来比で1/10200ナノ秒でスイッチングができる。圧電体薄膜はインクジェットプリンターのヘッドなどにMEMSの動力源として使われており、スイッチングの高速化により従来より少ないインク量のプリンターが実現する。また、燃料制御のセラミック部品にナノドメイン構造を適用し、燃費向上と排ガス抑制を実現する自動車用エンジンへの貢献が期待される。

2011年12月23日金曜日

Imec:小型多機能電気化学センサ(エチレンセンサ、汗センサ)開発

海外技術動向
http://www.nanotech-now.com/news.cgi?story_id=44120
 Imecは小型で多機能な電気化学センサを2種開発した。一つはエチレンセンサで果物の熟成度を計測できる。もう一つは汗センサで高齢者、病弱者の脱水症状を検出できる。これらのセンサは小型で体に装着することも可能である。
 エチレンガスは果物の熟成のコントロールに用いられ、消費者に届く頃、ほどよい熟成度になるようコントロールされる。現行のエチレンガスセンサは卓上の分析装置で高価格で使いにくい。
Imecはこれと同様な性能で小型チップ化するためにイオン性液体を電解質とする電気化学セルを開発した。イオン性液体は常温で揮発せず、薄膜状態で用いることができる。プロトタイプの試作品ではエチレン濃度1ppm~10ppmまでリニアで検出できることを検証した。
 汗の成分を検出することでだ脱水症状等の体調を管理することができる。汗の成分とは酸性度、各種イオンである。しかしこれまでの汗成分検出は1種類のイオンしか計測できず、これまで体調管理に用いられることはなかった。
 Imecは、酸性度検出部と塩素イオン検出部を1チップに集積化することに成功した。これをパッチ型センサに組込み、常時モニタすることも可能になった。高齢者だけではなく、スポーツ選手がこれを用いると水の補給タイミングを知ることもできる。
 これらの技術は今後超小型イオンセンサとして様々な分野に応用展開されるであろう。

2011年12月20日火曜日

圧電材料を高速制御、MEMS精度誤差1/10(高輝度光センター)

20111220日経産業新聞10
 電圧で形状が変わる圧電材料の動きを極めて短い時間で制御し、MEMSセンサーなどに応用可能な技術を高輝度光センターの坂田修身客員研究員らが開発した。シリコン基板上に圧電材料のチタン酸ジルコン酸鉛の薄膜を2層重ねて素子を作った。各層はチタンとジルコニウムの比が異なる。高速で電圧を変化させ、最短200ナノ秒の間隔で表面に幅10~20ナノメートルの縞模様が現れ、断面では高さ3ナノメートルの凹凸が現れた。現在の静電気による変形に比べ、誤差は10分の一以下となる。

2011年12月16日金曜日

ダイヤモンドMEMSは将来の有望デバイスと成り得るか

海外技術動向
http://www.i-micronews.com/lectureArticle.asp?id=8043
 ダイヤモンドの電子デバイスへの応用に関し、最初に考案されたのは高周波スイッチであった。最近は広くMEMS、NEMSデバイスへの応用が試みられている。
 Cardiff大学の研究者らは、MEMS発信器へ応用を研究している。機械的振動特性に影響を及ぼすQ値がシリコンより10倍高い値を示すからである。またヤング率はすべての材料の中で最も優れている。やはりシリコンより10倍高い。
 製法に関し、ポリシリコンと同様のCVDプロセスでポリ(ナノクリスタル)ダイヤモンドの成膜が可能であり、シリコン標準プロセスとして組み込むことが可能である。
 このように機械的特性、プロセスコンパチ性に優れるダイヤモンドはいくつかのデバイスへの応用が考えられる。例えば振動型のカンチレバーに適している。これは成分センサやバイオセンサへの応用が可能であり、高い周波数を活用して高感度化が期待される。

2011年12月14日水曜日

角度センサー4割増産、HV向け(多摩川精機)

20111214日経産業新聞12  ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)の心臓部である駆動用モータに搭載する角度センサーでシェア9割を握る多摩川精機は大幅増産する。国内に加え欧州メーカーの需要増に対応する。

座席の圧力で個人識別、システム開発、車両盗難防止に活用(産業技術大)

20111214日経産業新聞6
 自動車の座席に圧力センサーを組み込み、圧力変化の特徴から座った人を識別できるシステムを産業技術大学院大学の越水重臣准教授らが開発した。センサーは1センチメーター角で縦に18列、横に20列、計360点で計測できる。6人交代で実験し、98%で正しく個人を認識できた。車両の盗難防止やオフィスの着座による個人認証に活用を期待している。

2011年12月9日金曜日

スペクトルセンサでお酒の臭いを嗅ぎ分ける

海外技術動向
http://www.vision-systems.com/articles/2011/12/spectroscopy-sniffs-out-fake-spirits.html
 St. Andrew 大学(スコットランド)の技術者は近赤外スペクトロスコピーとマイクロフルイディクスを組み合わせた液体の臭い、成分を検出する装置を開発した。これによると例えばウィスキーの銘柄、年代、はてはどの樽で醸成されたかも判別できる。
 スコッチウィスキーの品質管理はアルコール濃度、色合い、香りで評価される。アルコール濃度だと分析によってにせ者と区別することができる。しかし香りとなると判別するのが難しい。香りのプロファイルは樽の中で醸成している間に形成される有機化合物の組成で決定される。有機酸、高次アルコール、エステル、アルデヒド等。
 開発された装置ではマイクロフルイディクスに近赤外分析を組み合わせてわずか20μlのサンプル量と2秒の時間で成分の分析が可能となる。

2011年12月7日水曜日

半導体回路の描画装置、価格1/3、設置面積1/10(ピーエムティ、東北大)

20111207日経産業新聞4
 PMT(福岡県須恵町)は東北大須川成利教授らと半導体ウエハーに回路を焼き付ける「プロジェクション描画装置」を開発した。直径12.5ミリメートルの極小サイズウエハー加工に対応し、本体と制御機器で構成している。いずれも幅30センチ、奥行き45センチで床面積は従来品の1/10。価格も2000万円で従来の1/3で、量産が進めば数百万円を目指す。
 ウエハーを動かす動力に超音波モーターを、光源にはLEDを用い、小型化した。ウエハーに投影するレンズも小型化し、あらかじめ光のひずみを補正するシステムも開発した。多数の微小な鏡をコンピュータ制御し、回路設計データに基づき回路線幅600ナノメートルのパターンをフォトマスクなしで描画できる。産総研が研究を進めている小型生産システム「ミニマルファブ」の一部として活用する見通し。

2011年12月6日火曜日

回路転写精度3ナノ、ニコンが半導体露光装置

20111206日経産業新聞4
 ニコンは半導体ウエハーの回路を転写で、ArF(フッ化アルゴン)を光源として使い、重ね合わせ精度を従来の7ナノメートルから3ナノメートルに向上させた露光装置を開発した。生産能力も従来製品の約2倍の毎時200枚以上まで高めた。価格は145億円。

圧電振動発電デバイス、小型電子機器の電源に(村田製作所)

20111206日刊工業新聞13
 村田製作所はセラミックス技術による圧電素子を応用して、圧力や振動をエネルギー源に発電する「圧電振動発電デバイス」の開発を進めている。圧電素子による発電はマイクロワットオーダーで、エネルギー源としては小さい。時計、電卓、リモコン、スイッチ、歩数計なら対象となるし、センサーを無線でつなぐセンサーネットワークの電源としても期待できる。欧州では圧電振動デバイスを搭載したビルの照明スイッチが普及している。古い建築物でも配線不要で容易に照明設備を更新できる無線式が普及している。村田製作所は無線モジュールの他各種センサー、スイッチの技術を有しており、これらを組み合わせて新たな用途を開拓することに積極的だ。

照明スイッチ電池不要、村田製作所が実証実験、来夏量産目指す

20111206日経産業新聞3
 エネルギーハーベスティング技術を応用し、電池不要な照明スイッチを村田製作所が開発し、実証実験を始めた。スイッチにコイルを内蔵し、電磁誘導方式でスイッチを押したときの圧力を電力に変換する。この電力を海外企業が開発したEnOceanという低消費電力の無線通信技術で親機に送信する。親機は近距離無線通信規格であるZigBeeで子機に送信し、子機が消灯・点灯する。配線なしで照明の制御ができる。11月より戸田建設社屋で実証実験を始めた。2012年夏の量産開始を目指す。

2011年12月5日月曜日

3次元半導体の製造装置、化学反応で薄膜形成(アルバック)

20111205日経産業新聞4
 次世代半導体向けの3次元構造を構築できる半導体製造装置をアルバックが開発した。シリコン半導体ウエハー上に5~7ナノメートルの金属薄膜を立体的に形成する。化学的気相成長法(CVD)装置を利用し、ニッケルとコバルトを使い半導体のゲート電極や配線材料の基になる薄膜を形成する。次世代半導体では電極を立体的に作ることで電流損失を抑え性能向上を図る開発が進み、MPU最大手のインテルは既に量産を決めている。

2011年12月2日金曜日

カナダアルバータ州のMEMSベンチャーが大手に対抗して急成長

海外産業動向
http://www.ept.ca/news/fast-growing-alberta-mems-company-competes-against-global-giants/1000725532/
 カナダアルバータ州にあるPrecisely Mincrotechnology社(PM)がMEMSファンブレスベンチャーとして急成長を見せている。PMの事業の中心となっているデバイスはマイクロミラーでPM独自の設計によるものである。この技術をベースに光通信システム向けの可変光アッテネータ、周波数可変フィルタ、光スイッチを開発している。さらにディスプレイや画像素子等のデバイス開発も行っている。
PMの開発担当者によると、PMが成功した要因や今後の活動について次のように述べている。
ユーザニーズに答えることでPMの成長がもたらされた。州政府や連邦政府からのファンドを集めて、PMの保有技術、商品をさらに戦略的に強化することに成功した。
 PMの取引先は主として大手の通信会社又は関連の大手部品会社。これらの企業とともに市場が期待する製品を供給することができている。

画期的な圧電特性を備える新薄膜材料がMEMSを変える

海外技術動向
http://www.newswise.com/articles/giant-piezoelectric-effect-to-improve-mems-devices
 ペンシルバニア州立大学の研究者らは従来の圧電薄膜材料を凌駕する圧電特性を備える新圧電薄膜材料を開発した。圧電薄膜が形成されたMEMS構造体はMEMSセンサ、アクチュエータや振動発電素子に応用されている。特に最近ではモーションセンサやデジタルカメラの自動焦点機構へ応用されている。
 これまで最も優れた圧電特性を発揮する薄膜材料はチタン酸鉛ジルコニウム系(PZT)薄膜であった。上記チームは新たにチタン酸鉛マグネシウムニオブ系(PMN-PT)薄膜を開発し、PZTの最高値をさらに2倍以上、上回る特性を備えることを確認した。この材料を用いることによって、特に振動発電素子の実用化が期待される。

世界一の秘密、測長SEM、高性能、量産ラインで発揮(日立ハイテク)

20111202日経産業新聞4
 測長SEM(走査電子顕微鏡)で日立ハイテクノロジーズは世界シェア80%。同社の装置はウエハーを製造する大手半導体メーカーにとって量産品の質を支える命綱となっている。1984年の第一号機以来、半導体トランジスタの回路幅は3年で半分以下の微細化が進み、測長SEMの測定精度は25ナノメートルから0.3ナノメートルまで高まった。SEMを電気に弱い半導体の生産ラインで使えるよう、高輝度・低電圧の電界放出型電子銃(FE電子銃)を採用した。90年代には300ミリウエハーに対応した製品を、その後も分解能や生産性を高めた装置を開発し、世界シェアを維持している。

2011年12月1日木曜日

先端製造技術開発を加速(東京エレクトロン、オランダASML)

20111201日経産業新聞7面
 東京エレクトロンはオランダASMLと連携し、先端製造技術の開発を加速する。東京エレクトロンがEUV(極紫外線)向けの塗布・現像装置を、ASMLが液浸技術を使った露光装置をそれぞれ供給し、20ナノメートル以降の微細化に対応した製造技術の確立を目指す。両社は2000年代以前から共同開発を進めており、東京エレクトロンは塗布・現像装置、ASMLは露光装置でそれぞれ80%程度の世界シェアを持つ。

2011年11月30日水曜日

MNOIC世界最先端の施設が本格稼働、MEMS研究開発を支援

20111130電波新聞5
 今年4月に開設されたMNOIC(マイクロナノ・オープンイノベーションセンター)が本格的に稼働した。MNOICMEMS製造ラインを自社設備のように利用できるオープンな研究拠点で、産業技術総合研究所内にマイクロマシンセンター/MEMS協議会が設けた。8-12インチウエハーに対応する専門設備が供えられ、海外のMEMS研究拠点に対抗できる世界最先端の施設だ。定額料金の年間使用、プロジェクト単位、時間単位などの利用が可能。研究開発にとどまらず、量産試作や小規模量産も行え、ビジネス立ち上げ支援体制も整えている。

2011年11月25日金曜日

ワイヤレスコンタクトレンズ型ディスプレイ開発:ワシントトン大学

海外技術動向
http://nextbigfuture.com/2011/11/single-pixel-contact-lens-display.html  ワシントン大学はワイヤレスで動作するコンタクトレンズ型のディスプレイを開発した。このディスプレイは、パワーを受けるアンテナ(0.5×0.5mm2)、無線回路、サファイア基板LEDチップから成り、これらはコンタクトレンズ上に集積化形成されている。現在うさぎを使って実用試験を行っているところだが問題は起こっていない。
 これまでもコンタクトレンズを応用したデバイスとして、眼球の動き検出、グルコースセンサ、血液中酸素センサ、眼圧センサ等が開発されており関連の技術開発がなされている。
 ディスプレイへの応用の課題としては、消費電力が大きいので小型のコイル型のアンテナでは電力供給が不足する。LEDの高画素化、フルカラー化と合わせて、受電部の効率改善、システムに低消費電力化を図らねばならない。
 期待される用途は、ゲーム、教育訓練用、体調モニターの警報等が考えられる。

世界一の秘密、角速度センサー、(パナソニック)

20111125日経産業新聞4
 角速度センサーはスマートフォンやデジタルカメラの手振れ補正、カーナビに欠かせない部品だが、パナソニックは世界で5割のシェアを持つ。同社製品はシリコン製の音叉に電気信号を発生する圧電材料を成膜し、振動させた音叉に回転運動が加わった際に発生する力を電気信号に変換する。クシ歯型に比べて検出感度を高めることができる。同社は業務用ビデオカメラの手振れ防止向けでスタートし、車載向けに展開、デジカメカメラ等民生用途に範囲を広げている。

最小クラスの静電容量式湿度センサー、優れた直線性(アルプス電気)

20111125電波新聞4
 MEMS技術を活用して業界最小クラス、かつ結露から乾燥状態まで広い領域で計測できる静電容量式湿度計をアルプス電気が開発した。従来から用いられている抵抗式センサーに比べ低湿度から高湿度まで優れた直線性を確保した。エアコン、空気清浄器、冷蔵庫等家電製品、プリンタ、携帯電話、デジタルカメラなど電子機器、ヘルスケア機器などへの適用が見込まれる。

2011年11月24日木曜日

ミニマルファブ構想、半導体を多品種少量生産、超小型で迅速対応(産総研)

20111124日刊工業新聞13
 半導体産業の多品種少量型の生産システムを目指す「ミニマルファブ(超小型工場)」構想を産総研が打ち出している。20101月に「ファブシステム研究会」を設立したが現在の参画機関は57と増加している。ファブ構想ではハーフインチサイズのウエハを採用し、生産ラインの装置の幅を130センチメートルとしている。局所クリーン化技術の導入でクリーンルームを不要とし、省スペース・低コストを目指す。ミニマル製造装置群、ミニマル局所クリーン化搬送システム、ハーフインチサイズウエハの開発を進めている。ミニマルファブが実現すれば、企業でのデバイス開発がスピードアップされ、半導体や光学デバイス、MEMSやバイオチップ、小口径の化合物半導体デバイス作製にも適用できる。

指圧力センサー、化粧品研究などに応用(資生堂、カトーテック)

20111121日経産業新聞11
 指先で物を抑えたときの圧力を、指の腹の広がりの計測から割り出す指圧力センサーを資生堂とカトーテックが開発した。センサー本体は指の爪側を覆い、指先で押したときの広がる指の腹のひずみを加速度センサーで検知する。資生堂は塗り付ける圧力に応じた化粧品の開発に応用する。

2011年11月18日金曜日

MEMS Executive Congress(米MIG主催)過去最高の参加者、好調を反映

海外産業動向
http://www.marketwatch.com/story/mems-executive-congress-2011-attendance-grows-25-reflects-upbeat-market-conditions-in-consumer-mobile-automotive-and-biomedical-mems-2011-11-14
 MEMS Executive Congress(米MIG主催)が11月2日、3日モントレーで開催された。参加者は225名で、これまでで最高であった。MEMSのアプリの動向について議論が交わされた。今年新たに企画されたセッションはMEMS ShowcaseでMEMS応用機器の新コンセプト品が紹介され、人気投票が行われた。GPS内蔵ヘッドアップディスプレイ、内服医療機械、iPhone用プロジェクタ等が紹介された。
 ゲストの講演では、重点技術分野への投資、地球環境問題への対応が強調された。
 市場予測では民生、モバイル用MEMSが年率22%で成長すること、2016年の市場規模は$19Bになることが予測された。具体的にはモバイル機器、ゲーム機器、車載(TPM、エアバッグ、電子安定制御)医療機器(モニター、ドラッグデリバリ、組織培養)等の成長が大きく見込める。
 MIGのKaren Lightmanは言った。「やっとMEMSの本格応用が始まった。その分野はモバイルでMEMSの特長がフルに生かせる。次に期待されるのがQuality of Life機器である。高齢者人口の増大に対応した機器で多くの需要が現れるであろう。

2011年11月17日木曜日

賢い家電主役はセンサー、「寒暖」「エコ」判断し最適動作、MEMS,中核技術に

20111117日経産業新聞3
 家電大手が「寒暖」「エコ」を判断し最適動作をする【賢い家電】に力を入れている。チルドルームにCO2センサーを搭載し、野菜から出るCO2を検知して、野菜と肉で最適な温度制御をする冷蔵庫。室内の人の動きを検知して風向や風量を制御するエアコン。家具など障害物を検知する自動掃除ロボットなど。これらの賢い家電を支えるのがセンサー。我が国のセンサーはオムロンやパナソニック、旭化成などがスイスのSTマイクロエレクトロニクスなど欧米勢と対抗し、技術力を磨いてきたが、この力が家電製品に波及している。今後のセンサーの研究・開発はMEMSに移る。

2011年11月11日金曜日

光ファイバジャイロを上回る性能を備えるMEMSジャイロ開発:Analog Devices

海外技術情報
http://www.marketwatch.com/story/tactical-grade-mems-gyroscope-rivals-fiber-optic-gyroscopes-on-performance-with-significantly-smaller-size-lighter-weight-and-less-power-consumption-2011-11-08
 Analog Devices, Inc. (ADI) は光ファイバジャイロを上回る性能を備えるMEMSジャイロセンサを開発した。
性能はドリフト安定性3.5°/hr 、消費電力1W以下、重さ25g、36 mm × 44 mm × 14 mm パッケージで、特にドリフト安定性が従来のMEMSジャイロを大きく上回る。光ファイバジャイロと比較して、直線性は2倍、起動速度は30倍、消費電力は1/5である。
 用途は高精度が要求されるナビゲーション、産業機器、ロボット、医療機器等である。

これからの携帯電話は臭いがわかる

海外技術情報
http://articles.economictimes.indiatimes.com/2011-11-07/news/30369682_1_imec-mobile-phone-monitoring
 IMECの研究者によると、これからの携帯電話は様々な臭いをかぎ分けるようになりそうである。これまでは話す、聞く、見る(カメラ)がその役割であったが、2015年頃には臭いセンサ機能が新たに加わりそうである。例えば食べ物の新鮮度、空気質(有害ガス)、宴会の後の体からのアルコール発散度等が可能になる。これでもう携帯電話は離せなくなるであろう。

2011年11月8日火曜日

携帯プレーヤー充電不要、MEMSゼンマイ自動巻き(タキオン)

20111108日経産業新聞1
 MEMSを活用した微小なシリコンのゼンマイを3x4センチメートルの広さに数十個配置し、エネルギーをためる能力を拡大したゼンマイ自動巻き式電源をタキオンが開発する。持ち運びする人の運動をエネルギーとしてとらえる振り子、ゼンマイ、電磁式発電機で構成する。1年後をめどに開発している。

2011年11月3日木曜日

レーザー微細加工、光リソグラフィーより簡便(産総研)

20111103日刊工業新聞13面
 レーザーによる微細加工は、レーザー装置の高出力化や短パルス化により性能向上が著しい。産総研は石英ガラスなど透明材料の微細加工法として、光リソグラフィー技術によるエッチングに替わる簡便な方法として「レーザー誘起背面湿式加工法」を開発した。色素溶液を石英ガラスに密着して配置し、ナノ秒オーダーでパルスレーザーを照射する。色素溶液が瞬間的に高温・高圧状態となり、発生する衝撃波や気泡が石英ガラスの表面を削り取る。試作では数マイクロの幅でアスペクト比が100以上の溝を製作した。この加工法はレーザーによる直接描画と工程数の少なさから、少量変量生産に適した微細加工手法となっている。

2011年11月1日火曜日

CNT活用、光熱発電素子を開発、生体内で発電できる(産総研)

20111101電波新聞3
 カーボンナノチューブ(CNT)と熱電変換素子を組み合わせ、生体内で発電できる素子を産業技術総合研究所健康工学研究部門の都英次郎研究員らが開発した。光によって容易に発熱可能なCNTをシリコン樹脂中に分散させ、このフィルム状樹脂をビスマスーテルル型の固体熱電変換素子の表面に接合した。赤外レーザー光により樹脂フィルムが発熱して熱電変換素子に温度差を生じ、生体内で熱発電した。心臓ペースメーカーなどの体内埋め込み型、ウエラブル型体内医療機器などへの光による遠隔電力供給が期待される。

2011年10月31日月曜日

窒化チタン製マイクロバネ、東京理科大が大量合成

20111031日刊工業新聞18
 アクチュエータやセンサーへの応用が期待できる、セラミックスで出来たマイクロメートルサイズのバネを大量合成する技術を東京理科大の阿部正彦教授らが開発した。バネはセラミックスの一種の窒化チタン製で、直径0.54マイクロメートル、融点が3000Cと高く、電気伝導率が金属並みで強度も高い。バネに交流電流をかけると右巻き/左巻きに応じて伸縮する。

2011年10月30日日曜日

2014年までに圧力センサがMEMSデバイスのトップに:iSuppli

海外産業動向
http://www.digitimes.com/news/a20111028PR203.html
 圧力センサはMEMSデバイスとして初めて実用化された古典的なデバイスで、最近は加速度やジャイロの増大が注目されていたが、ここにきてアプリの展開が進み、2014年にはデバイス別で再びトップになりそうである。
 主なアプリは車載、医療、産業機器に加え、モバイル機器用も増加の見通しである。この伸びは加速度、ジャイロを上回りそうである。要因として車載、医療、産業機器における圧力センサは単価を高く維持できること、用途がさらに広がっていることがあげられる。例えば車載用途では、自動変速機のほか、タイヤ空気モニタ、ダブルクラッチシステム等新用途が確実に広がっている。しかも民生機器用と比較して価格を高く維持できる。
 また民生用途も広がっており、天気予測、スポーツウォッチ、水圧、高度等枚挙にいとまがないほど広がってきている。このように今後の拡大が期待できるデバイスである。

 

2011年10月25日火曜日

MEMS事業加速、気圧センサーやマイクロヒーター(北陸電工)

20111025電波新聞3
 北陸電気工業がMEMS事業を加速している。既に3軸加速度センサーや圧力センサーなどを量産しているが、小型圧力センサーや超小型MEMSマイクロヒーターを開発した。圧力センサーは高度計、気圧計、天気予報などの用途が見込まれ、マイクロヒーターはメンブレン構造の高耐久性で長寿命設計の低熱容量特性である。圧力センサーでは各種ニーズに応え、水位検知ではミリメートル単位の高精度で洗濯機等家電製品に適す。

2011年10月24日月曜日

MEMSマイク、スマホ向け拡販、月産500万個(新日本無線)

20111024日刊工業新聞8
 新日本無線がMEMSマイクロフォンを市場投入し、スマートフォン向けに拡販する。MEMSマイクロフォンは、音を電気信号に変える集音チップと、信号を処理するアナログ信号増幅用アンプで構成している。従来から使用されているエレクトレット・コンデンサー・マイクロフォン(ECM)に比べて耐熱性に優れ、自動車部品搭載やはんだ付けなどリフロー装置で実装できる。モバイル端末等の製造工程の短縮につながるため採用が進んでいる。

2011年10月21日金曜日

IMEC:ポリSiGeプロセスを応用したCMOS積層型圧力センサを開発

海外技術動向
http://www.pddnet.com/news-cmos-integrated-poly-sige-piezoresistive-pressure-sensor-demonstrated-101311/  
 IMECはポリSiGe薄膜及びピエゾ抵抗を用いたCMOS積層型圧力センサ素子を開発した。130nmCMOSの最終工程にpolySiGeを応用したMEMSプロセスを組み込んでいる。
 polySiGeは低温形成で(約400℃)機械的な特性に優れるため、MEMS/CMOS積層型素子の開発に適している。これまで最終AlプロセスCMOSでMEMSの積層化を行って来たが今回は、積層化により適した(電気抵抗、信頼性)最終CuプロセスCMOSとpolySiGeMEMSの積層化に成功した。この結果は今後、CMOS/MEMS集積デバイスの発展に大きく寄与するであろう。
 具体的な構造はCMOS上にエアギャップを介してpolySiGeメンブレンが形成されタングステンTSVでCMOSと圧力センサ部は配線されている。圧力センサ部のプロセス温度は最高455℃、メンブレンの面積は0.25mm□である。感度は2.5mV/V/barだがCMOSで増幅後、158mV/V/barになる。

EUV露光15ナノメートルパターン形成(JSAなど)

20111021日刊工業新聞11
 化学増幅型の感光性材料を使用し、極端紫外線(EUV)露光による線幅15ナノメートルのパターン形成にJSRと米国半導体製造技術組合(SEMATEC)が成功した。これまで非化学増幅型レジストで15マイクロメートルパターンに成功した例があったが、光の感度が低く実用化に向かなかった。化学増幅型レジストは現在一般的に使われており、課題であった酸の拡散を制御する材料を設計し、成功した。次世代半導体微細化技術のEUV露光実用化に貢献が期待される。

2011年10月17日月曜日

3軸角速度センサー量産(パナソニック)

20111017日経産業新聞4
 MEMS技術を使い3軸で物体が回転する速度を検知する、スマートフォンやタブレット端末に使う角速度センサーの量産を、パナソニックエレクトロニックデバイスが10月より開始する。

工場の空調省電力、オムロンなど新センサー

20111017日本経済新聞11
 半導体工場などで温度や湿度を測り、無線で空調制御システムに送信する小型の環境測定センサーを産総研、オムロン、日立製作所などが試作した。センサーはMEMS技術を使い気圧や加速度も測れる。今後4年間で機械の微振動や空気中の電波から電源を得られるように改良し、実用化を目指す。実用化のためNMEMS技術研究組合設立し、産総研、オムロン、日立、セブン-イレブン・ジャパン、ダイキン工業、東京工業大学等14社・3機関が参加している。

2011年10月14日金曜日

Knowles社:MEMSジョイスティックがタブレットや携帯ゲーム機に搭載

海外産業動向
http://www.engadget.com/2011/10/07/knowles-electronics-mems-joystick-for-samsung-galaxy-tab-ninten/
 MEMSマイクで圧倒的シェアを誇る米Knowles社で開発されたMEMSジョイスティックがタブレット(サムソン・Galaxy、Motorola・Atrix)や携帯ゲーム機(任天堂3DS)、パソコンに搭載されることになった。CEATECで展示されたが、また販売はされていない。これまでの携帯ゲーム機用XYジョイスティックや、ノートパソコンでのコントロールパッド、スマートフォンのタッチスクリーン式と比較して格段に操作性に優れており、消費電力や形状も小さく、今後需要の拡大が予測される。

2011年10月13日木曜日

民生用3軸角速度センサー、世界最小で最薄(パナソニックデバイス)

20111013電波新聞3
 シリコン基板の音叉型振動子上に圧電体のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT) を製膜した3軸検出素子を採用し、3.63.60.75ミリメートルという業界最小・最薄サイズの3軸角速度センサーをパナソニックデバイスが開発した。

革新的センサー、NEDOが開発プロジェクト立ち上げ

20111013電波新聞13
 NEDOは今年度より4年間の「グリーンセンサー・ネットワーク技術開発プロジェクト」をスタートさせている。小型、無線通信機構、自立電源機能及び超低消費電力機能を付与した革新的センサーを開発するのが目標。グリーンMEMSセンサーとして、電流・磁界センサー、塵埃量センサー、ガス濃度センサー、赤外線アレイセンサーなど、店舗・製造現場・オフィスのグリーン化を推進する小型MEMSセンサーを開発する。さらに無線通信機能及び自立電源機能を搭載したグリーンセンサー端末を開発し、これらを使用した実証実験を行う。これらの実施のため本年7月に技術研究組合NMEMS技術開発機構が設立された。