2011年11月30日水曜日

MNOIC世界最先端の施設が本格稼働、MEMS研究開発を支援

20111130電波新聞5
 今年4月に開設されたMNOIC(マイクロナノ・オープンイノベーションセンター)が本格的に稼働した。MNOICMEMS製造ラインを自社設備のように利用できるオープンな研究拠点で、産業技術総合研究所内にマイクロマシンセンター/MEMS協議会が設けた。8-12インチウエハーに対応する専門設備が供えられ、海外のMEMS研究拠点に対抗できる世界最先端の施設だ。定額料金の年間使用、プロジェクト単位、時間単位などの利用が可能。研究開発にとどまらず、量産試作や小規模量産も行え、ビジネス立ち上げ支援体制も整えている。

2011年11月25日金曜日

ワイヤレスコンタクトレンズ型ディスプレイ開発:ワシントトン大学

海外技術動向
http://nextbigfuture.com/2011/11/single-pixel-contact-lens-display.html  ワシントン大学はワイヤレスで動作するコンタクトレンズ型のディスプレイを開発した。このディスプレイは、パワーを受けるアンテナ(0.5×0.5mm2)、無線回路、サファイア基板LEDチップから成り、これらはコンタクトレンズ上に集積化形成されている。現在うさぎを使って実用試験を行っているところだが問題は起こっていない。
 これまでもコンタクトレンズを応用したデバイスとして、眼球の動き検出、グルコースセンサ、血液中酸素センサ、眼圧センサ等が開発されており関連の技術開発がなされている。
 ディスプレイへの応用の課題としては、消費電力が大きいので小型のコイル型のアンテナでは電力供給が不足する。LEDの高画素化、フルカラー化と合わせて、受電部の効率改善、システムに低消費電力化を図らねばならない。
 期待される用途は、ゲーム、教育訓練用、体調モニターの警報等が考えられる。

世界一の秘密、角速度センサー、(パナソニック)

20111125日経産業新聞4
 角速度センサーはスマートフォンやデジタルカメラの手振れ補正、カーナビに欠かせない部品だが、パナソニックは世界で5割のシェアを持つ。同社製品はシリコン製の音叉に電気信号を発生する圧電材料を成膜し、振動させた音叉に回転運動が加わった際に発生する力を電気信号に変換する。クシ歯型に比べて検出感度を高めることができる。同社は業務用ビデオカメラの手振れ防止向けでスタートし、車載向けに展開、デジカメカメラ等民生用途に範囲を広げている。

最小クラスの静電容量式湿度センサー、優れた直線性(アルプス電気)

20111125電波新聞4
 MEMS技術を活用して業界最小クラス、かつ結露から乾燥状態まで広い領域で計測できる静電容量式湿度計をアルプス電気が開発した。従来から用いられている抵抗式センサーに比べ低湿度から高湿度まで優れた直線性を確保した。エアコン、空気清浄器、冷蔵庫等家電製品、プリンタ、携帯電話、デジタルカメラなど電子機器、ヘルスケア機器などへの適用が見込まれる。

2011年11月24日木曜日

ミニマルファブ構想、半導体を多品種少量生産、超小型で迅速対応(産総研)

20111124日刊工業新聞13
 半導体産業の多品種少量型の生産システムを目指す「ミニマルファブ(超小型工場)」構想を産総研が打ち出している。20101月に「ファブシステム研究会」を設立したが現在の参画機関は57と増加している。ファブ構想ではハーフインチサイズのウエハを採用し、生産ラインの装置の幅を130センチメートルとしている。局所クリーン化技術の導入でクリーンルームを不要とし、省スペース・低コストを目指す。ミニマル製造装置群、ミニマル局所クリーン化搬送システム、ハーフインチサイズウエハの開発を進めている。ミニマルファブが実現すれば、企業でのデバイス開発がスピードアップされ、半導体や光学デバイス、MEMSやバイオチップ、小口径の化合物半導体デバイス作製にも適用できる。

指圧力センサー、化粧品研究などに応用(資生堂、カトーテック)

20111121日経産業新聞11
 指先で物を抑えたときの圧力を、指の腹の広がりの計測から割り出す指圧力センサーを資生堂とカトーテックが開発した。センサー本体は指の爪側を覆い、指先で押したときの広がる指の腹のひずみを加速度センサーで検知する。資生堂は塗り付ける圧力に応じた化粧品の開発に応用する。

2011年11月18日金曜日

MEMS Executive Congress(米MIG主催)過去最高の参加者、好調を反映

海外産業動向
http://www.marketwatch.com/story/mems-executive-congress-2011-attendance-grows-25-reflects-upbeat-market-conditions-in-consumer-mobile-automotive-and-biomedical-mems-2011-11-14
 MEMS Executive Congress(米MIG主催)が11月2日、3日モントレーで開催された。参加者は225名で、これまでで最高であった。MEMSのアプリの動向について議論が交わされた。今年新たに企画されたセッションはMEMS ShowcaseでMEMS応用機器の新コンセプト品が紹介され、人気投票が行われた。GPS内蔵ヘッドアップディスプレイ、内服医療機械、iPhone用プロジェクタ等が紹介された。
 ゲストの講演では、重点技術分野への投資、地球環境問題への対応が強調された。
 市場予測では民生、モバイル用MEMSが年率22%で成長すること、2016年の市場規模は$19Bになることが予測された。具体的にはモバイル機器、ゲーム機器、車載(TPM、エアバッグ、電子安定制御)医療機器(モニター、ドラッグデリバリ、組織培養)等の成長が大きく見込める。
 MIGのKaren Lightmanは言った。「やっとMEMSの本格応用が始まった。その分野はモバイルでMEMSの特長がフルに生かせる。次に期待されるのがQuality of Life機器である。高齢者人口の増大に対応した機器で多くの需要が現れるであろう。

2011年11月17日木曜日

賢い家電主役はセンサー、「寒暖」「エコ」判断し最適動作、MEMS,中核技術に

20111117日経産業新聞3
 家電大手が「寒暖」「エコ」を判断し最適動作をする【賢い家電】に力を入れている。チルドルームにCO2センサーを搭載し、野菜から出るCO2を検知して、野菜と肉で最適な温度制御をする冷蔵庫。室内の人の動きを検知して風向や風量を制御するエアコン。家具など障害物を検知する自動掃除ロボットなど。これらの賢い家電を支えるのがセンサー。我が国のセンサーはオムロンやパナソニック、旭化成などがスイスのSTマイクロエレクトロニクスなど欧米勢と対抗し、技術力を磨いてきたが、この力が家電製品に波及している。今後のセンサーの研究・開発はMEMSに移る。

2011年11月11日金曜日

光ファイバジャイロを上回る性能を備えるMEMSジャイロ開発:Analog Devices

海外技術情報
http://www.marketwatch.com/story/tactical-grade-mems-gyroscope-rivals-fiber-optic-gyroscopes-on-performance-with-significantly-smaller-size-lighter-weight-and-less-power-consumption-2011-11-08
 Analog Devices, Inc. (ADI) は光ファイバジャイロを上回る性能を備えるMEMSジャイロセンサを開発した。
性能はドリフト安定性3.5°/hr 、消費電力1W以下、重さ25g、36 mm × 44 mm × 14 mm パッケージで、特にドリフト安定性が従来のMEMSジャイロを大きく上回る。光ファイバジャイロと比較して、直線性は2倍、起動速度は30倍、消費電力は1/5である。
 用途は高精度が要求されるナビゲーション、産業機器、ロボット、医療機器等である。

これからの携帯電話は臭いがわかる

海外技術情報
http://articles.economictimes.indiatimes.com/2011-11-07/news/30369682_1_imec-mobile-phone-monitoring
 IMECの研究者によると、これからの携帯電話は様々な臭いをかぎ分けるようになりそうである。これまでは話す、聞く、見る(カメラ)がその役割であったが、2015年頃には臭いセンサ機能が新たに加わりそうである。例えば食べ物の新鮮度、空気質(有害ガス)、宴会の後の体からのアルコール発散度等が可能になる。これでもう携帯電話は離せなくなるであろう。

2011年11月8日火曜日

携帯プレーヤー充電不要、MEMSゼンマイ自動巻き(タキオン)

20111108日経産業新聞1
 MEMSを活用した微小なシリコンのゼンマイを3x4センチメートルの広さに数十個配置し、エネルギーをためる能力を拡大したゼンマイ自動巻き式電源をタキオンが開発する。持ち運びする人の運動をエネルギーとしてとらえる振り子、ゼンマイ、電磁式発電機で構成する。1年後をめどに開発している。

2011年11月3日木曜日

レーザー微細加工、光リソグラフィーより簡便(産総研)

20111103日刊工業新聞13面
 レーザーによる微細加工は、レーザー装置の高出力化や短パルス化により性能向上が著しい。産総研は石英ガラスなど透明材料の微細加工法として、光リソグラフィー技術によるエッチングに替わる簡便な方法として「レーザー誘起背面湿式加工法」を開発した。色素溶液を石英ガラスに密着して配置し、ナノ秒オーダーでパルスレーザーを照射する。色素溶液が瞬間的に高温・高圧状態となり、発生する衝撃波や気泡が石英ガラスの表面を削り取る。試作では数マイクロの幅でアスペクト比が100以上の溝を製作した。この加工法はレーザーによる直接描画と工程数の少なさから、少量変量生産に適した微細加工手法となっている。

2011年11月1日火曜日

CNT活用、光熱発電素子を開発、生体内で発電できる(産総研)

20111101電波新聞3
 カーボンナノチューブ(CNT)と熱電変換素子を組み合わせ、生体内で発電できる素子を産業技術総合研究所健康工学研究部門の都英次郎研究員らが開発した。光によって容易に発熱可能なCNTをシリコン樹脂中に分散させ、このフィルム状樹脂をビスマスーテルル型の固体熱電変換素子の表面に接合した。赤外レーザー光により樹脂フィルムが発熱して熱電変換素子に温度差を生じ、生体内で熱発電した。心臓ペースメーカーなどの体内埋め込み型、ウエラブル型体内医療機器などへの光による遠隔電力供給が期待される。