2011年12月30日金曜日

コーネル大学:導電性コーティングが施された繊維を開発

海外技術動向
http://www.blogger.com/post-create.g?blogID=5703888514949048505
 コーネル大学では、導電性コーティングを施し、トランジスタを形成可能なコットンファイバから成る繊維を開発した。
 アプリケーションとして例えば有害物質を検出できる衣服や、ディスプレイ機能を持つTシャツ、心拍を検出する衣服、アレルギー物質を検出するカーペット等が期待できる。ここではコットンファイバから成るトランジスタを要素技術としており、配線として導電性ポリマー(PEDOT)と金微粒子をコーティングする。
試作品として導電性コットン織物の片側に電池をつなぎ、片側にLEDを配線した発光デバイスを動作させている。最初のアプリケーションとしてウェアラブルセンサが企画されている。

2011年12月29日木曜日

インクジェット技術利用、嗅覚能力簡易測定装置を開発(慶応大学)

20111229日刊工業新聞14
 プリンターに使われるインクジェット技術を利用し、数ミリ秒という短時間でピコリットルという微量の匂い分子を放出して人の鼻に吹き付け、匂いに対する感度を計測する装置を、慶応義塾大学の岡田謙一教授らが開発した。嗅覚能力の低下は、認知症やアルツハイマー病の初期症状とされており、小型で持ち運びが可能なこの装置が実用化すれば、高齢者向けの健康診断で使えると期待されている。

2011年12月27日火曜日

MEMS向け圧電体薄膜開発、200ナノ秒でスイッチング(高輝度光センター)

20111227日刊工業新聞18
 高輝度光科学研究センター、東京工業大学、物質・材料研究機構、京都大学はMEMSなどの素子向けに動作の切り替え(スイッチング)を高速化する圧電体薄膜を開発した。”ナノドメイン”と呼ぶ小さな領域を持ち、従来比で1/10200ナノ秒でスイッチングができる。圧電体薄膜はインクジェットプリンターのヘッドなどにMEMSの動力源として使われており、スイッチングの高速化により従来より少ないインク量のプリンターが実現する。また、燃料制御のセラミック部品にナノドメイン構造を適用し、燃費向上と排ガス抑制を実現する自動車用エンジンへの貢献が期待される。

2011年12月23日金曜日

Imec:小型多機能電気化学センサ(エチレンセンサ、汗センサ)開発

海外技術動向
http://www.nanotech-now.com/news.cgi?story_id=44120
 Imecは小型で多機能な電気化学センサを2種開発した。一つはエチレンセンサで果物の熟成度を計測できる。もう一つは汗センサで高齢者、病弱者の脱水症状を検出できる。これらのセンサは小型で体に装着することも可能である。
 エチレンガスは果物の熟成のコントロールに用いられ、消費者に届く頃、ほどよい熟成度になるようコントロールされる。現行のエチレンガスセンサは卓上の分析装置で高価格で使いにくい。
Imecはこれと同様な性能で小型チップ化するためにイオン性液体を電解質とする電気化学セルを開発した。イオン性液体は常温で揮発せず、薄膜状態で用いることができる。プロトタイプの試作品ではエチレン濃度1ppm~10ppmまでリニアで検出できることを検証した。
 汗の成分を検出することでだ脱水症状等の体調を管理することができる。汗の成分とは酸性度、各種イオンである。しかしこれまでの汗成分検出は1種類のイオンしか計測できず、これまで体調管理に用いられることはなかった。
 Imecは、酸性度検出部と塩素イオン検出部を1チップに集積化することに成功した。これをパッチ型センサに組込み、常時モニタすることも可能になった。高齢者だけではなく、スポーツ選手がこれを用いると水の補給タイミングを知ることもできる。
 これらの技術は今後超小型イオンセンサとして様々な分野に応用展開されるであろう。

2011年12月20日火曜日

圧電材料を高速制御、MEMS精度誤差1/10(高輝度光センター)

20111220日経産業新聞10
 電圧で形状が変わる圧電材料の動きを極めて短い時間で制御し、MEMSセンサーなどに応用可能な技術を高輝度光センターの坂田修身客員研究員らが開発した。シリコン基板上に圧電材料のチタン酸ジルコン酸鉛の薄膜を2層重ねて素子を作った。各層はチタンとジルコニウムの比が異なる。高速で電圧を変化させ、最短200ナノ秒の間隔で表面に幅10~20ナノメートルの縞模様が現れ、断面では高さ3ナノメートルの凹凸が現れた。現在の静電気による変形に比べ、誤差は10分の一以下となる。

2011年12月16日金曜日

ダイヤモンドMEMSは将来の有望デバイスと成り得るか

海外技術動向
http://www.i-micronews.com/lectureArticle.asp?id=8043
 ダイヤモンドの電子デバイスへの応用に関し、最初に考案されたのは高周波スイッチであった。最近は広くMEMS、NEMSデバイスへの応用が試みられている。
 Cardiff大学の研究者らは、MEMS発信器へ応用を研究している。機械的振動特性に影響を及ぼすQ値がシリコンより10倍高い値を示すからである。またヤング率はすべての材料の中で最も優れている。やはりシリコンより10倍高い。
 製法に関し、ポリシリコンと同様のCVDプロセスでポリ(ナノクリスタル)ダイヤモンドの成膜が可能であり、シリコン標準プロセスとして組み込むことが可能である。
 このように機械的特性、プロセスコンパチ性に優れるダイヤモンドはいくつかのデバイスへの応用が考えられる。例えば振動型のカンチレバーに適している。これは成分センサやバイオセンサへの応用が可能であり、高い周波数を活用して高感度化が期待される。

2011年12月14日水曜日

角度センサー4割増産、HV向け(多摩川精機)

20111214日経産業新聞12  ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)の心臓部である駆動用モータに搭載する角度センサーでシェア9割を握る多摩川精機は大幅増産する。国内に加え欧州メーカーの需要増に対応する。

座席の圧力で個人識別、システム開発、車両盗難防止に活用(産業技術大)

20111214日経産業新聞6
 自動車の座席に圧力センサーを組み込み、圧力変化の特徴から座った人を識別できるシステムを産業技術大学院大学の越水重臣准教授らが開発した。センサーは1センチメーター角で縦に18列、横に20列、計360点で計測できる。6人交代で実験し、98%で正しく個人を認識できた。車両の盗難防止やオフィスの着座による個人認証に活用を期待している。

2011年12月9日金曜日

スペクトルセンサでお酒の臭いを嗅ぎ分ける

海外技術動向
http://www.vision-systems.com/articles/2011/12/spectroscopy-sniffs-out-fake-spirits.html
 St. Andrew 大学(スコットランド)の技術者は近赤外スペクトロスコピーとマイクロフルイディクスを組み合わせた液体の臭い、成分を検出する装置を開発した。これによると例えばウィスキーの銘柄、年代、はてはどの樽で醸成されたかも判別できる。
 スコッチウィスキーの品質管理はアルコール濃度、色合い、香りで評価される。アルコール濃度だと分析によってにせ者と区別することができる。しかし香りとなると判別するのが難しい。香りのプロファイルは樽の中で醸成している間に形成される有機化合物の組成で決定される。有機酸、高次アルコール、エステル、アルデヒド等。
 開発された装置ではマイクロフルイディクスに近赤外分析を組み合わせてわずか20μlのサンプル量と2秒の時間で成分の分析が可能となる。

2011年12月7日水曜日

半導体回路の描画装置、価格1/3、設置面積1/10(ピーエムティ、東北大)

20111207日経産業新聞4
 PMT(福岡県須恵町)は東北大須川成利教授らと半導体ウエハーに回路を焼き付ける「プロジェクション描画装置」を開発した。直径12.5ミリメートルの極小サイズウエハー加工に対応し、本体と制御機器で構成している。いずれも幅30センチ、奥行き45センチで床面積は従来品の1/10。価格も2000万円で従来の1/3で、量産が進めば数百万円を目指す。
 ウエハーを動かす動力に超音波モーターを、光源にはLEDを用い、小型化した。ウエハーに投影するレンズも小型化し、あらかじめ光のひずみを補正するシステムも開発した。多数の微小な鏡をコンピュータ制御し、回路設計データに基づき回路線幅600ナノメートルのパターンをフォトマスクなしで描画できる。産総研が研究を進めている小型生産システム「ミニマルファブ」の一部として活用する見通し。

2011年12月6日火曜日

回路転写精度3ナノ、ニコンが半導体露光装置

20111206日経産業新聞4
 ニコンは半導体ウエハーの回路を転写で、ArF(フッ化アルゴン)を光源として使い、重ね合わせ精度を従来の7ナノメートルから3ナノメートルに向上させた露光装置を開発した。生産能力も従来製品の約2倍の毎時200枚以上まで高めた。価格は145億円。

圧電振動発電デバイス、小型電子機器の電源に(村田製作所)

20111206日刊工業新聞13
 村田製作所はセラミックス技術による圧電素子を応用して、圧力や振動をエネルギー源に発電する「圧電振動発電デバイス」の開発を進めている。圧電素子による発電はマイクロワットオーダーで、エネルギー源としては小さい。時計、電卓、リモコン、スイッチ、歩数計なら対象となるし、センサーを無線でつなぐセンサーネットワークの電源としても期待できる。欧州では圧電振動デバイスを搭載したビルの照明スイッチが普及している。古い建築物でも配線不要で容易に照明設備を更新できる無線式が普及している。村田製作所は無線モジュールの他各種センサー、スイッチの技術を有しており、これらを組み合わせて新たな用途を開拓することに積極的だ。

照明スイッチ電池不要、村田製作所が実証実験、来夏量産目指す

20111206日経産業新聞3
 エネルギーハーベスティング技術を応用し、電池不要な照明スイッチを村田製作所が開発し、実証実験を始めた。スイッチにコイルを内蔵し、電磁誘導方式でスイッチを押したときの圧力を電力に変換する。この電力を海外企業が開発したEnOceanという低消費電力の無線通信技術で親機に送信する。親機は近距離無線通信規格であるZigBeeで子機に送信し、子機が消灯・点灯する。配線なしで照明の制御ができる。11月より戸田建設社屋で実証実験を始めた。2012年夏の量産開始を目指す。

2011年12月5日月曜日

3次元半導体の製造装置、化学反応で薄膜形成(アルバック)

20111205日経産業新聞4
 次世代半導体向けの3次元構造を構築できる半導体製造装置をアルバックが開発した。シリコン半導体ウエハー上に5~7ナノメートルの金属薄膜を立体的に形成する。化学的気相成長法(CVD)装置を利用し、ニッケルとコバルトを使い半導体のゲート電極や配線材料の基になる薄膜を形成する。次世代半導体では電極を立体的に作ることで電流損失を抑え性能向上を図る開発が進み、MPU最大手のインテルは既に量産を決めている。

2011年12月2日金曜日

カナダアルバータ州のMEMSベンチャーが大手に対抗して急成長

海外産業動向
http://www.ept.ca/news/fast-growing-alberta-mems-company-competes-against-global-giants/1000725532/
 カナダアルバータ州にあるPrecisely Mincrotechnology社(PM)がMEMSファンブレスベンチャーとして急成長を見せている。PMの事業の中心となっているデバイスはマイクロミラーでPM独自の設計によるものである。この技術をベースに光通信システム向けの可変光アッテネータ、周波数可変フィルタ、光スイッチを開発している。さらにディスプレイや画像素子等のデバイス開発も行っている。
PMの開発担当者によると、PMが成功した要因や今後の活動について次のように述べている。
ユーザニーズに答えることでPMの成長がもたらされた。州政府や連邦政府からのファンドを集めて、PMの保有技術、商品をさらに戦略的に強化することに成功した。
 PMの取引先は主として大手の通信会社又は関連の大手部品会社。これらの企業とともに市場が期待する製品を供給することができている。

画期的な圧電特性を備える新薄膜材料がMEMSを変える

海外技術動向
http://www.newswise.com/articles/giant-piezoelectric-effect-to-improve-mems-devices
 ペンシルバニア州立大学の研究者らは従来の圧電薄膜材料を凌駕する圧電特性を備える新圧電薄膜材料を開発した。圧電薄膜が形成されたMEMS構造体はMEMSセンサ、アクチュエータや振動発電素子に応用されている。特に最近ではモーションセンサやデジタルカメラの自動焦点機構へ応用されている。
 これまで最も優れた圧電特性を発揮する薄膜材料はチタン酸鉛ジルコニウム系(PZT)薄膜であった。上記チームは新たにチタン酸鉛マグネシウムニオブ系(PMN-PT)薄膜を開発し、PZTの最高値をさらに2倍以上、上回る特性を備えることを確認した。この材料を用いることによって、特に振動発電素子の実用化が期待される。

世界一の秘密、測長SEM、高性能、量産ラインで発揮(日立ハイテク)

20111202日経産業新聞4
 測長SEM(走査電子顕微鏡)で日立ハイテクノロジーズは世界シェア80%。同社の装置はウエハーを製造する大手半導体メーカーにとって量産品の質を支える命綱となっている。1984年の第一号機以来、半導体トランジスタの回路幅は3年で半分以下の微細化が進み、測長SEMの測定精度は25ナノメートルから0.3ナノメートルまで高まった。SEMを電気に弱い半導体の生産ラインで使えるよう、高輝度・低電圧の電界放出型電子銃(FE電子銃)を採用した。90年代には300ミリウエハーに対応した製品を、その後も分解能や生産性を高めた装置を開発し、世界シェアを維持している。

2011年12月1日木曜日

先端製造技術開発を加速(東京エレクトロン、オランダASML)

20111201日経産業新聞7面
 東京エレクトロンはオランダASMLと連携し、先端製造技術の開発を加速する。東京エレクトロンがEUV(極紫外線)向けの塗布・現像装置を、ASMLが液浸技術を使った露光装置をそれぞれ供給し、20ナノメートル以降の微細化に対応した製造技術の確立を目指す。両社は2000年代以前から共同開発を進めており、東京エレクトロンは塗布・現像装置、ASMLは露光装置でそれぞれ80%程度の世界シェアを持つ。