2011年2月28日月曜日

車用センサー、比で増産(サンケン)

20110228 日経産業新聞 4
 サンケン電気は車載向けセンサーICを増産する。磁気の変化により動きを検知するセンサーである「ホールIC」と制御用回路を組み合わせたもので、ホイールの回転速度を検知して横滑り防止装置(ABS)の制御に使用する。同社の米子会社であるアレグロマイクロシステムズのフィリピン工場で増産する。ホールIC利用センサーの世界市場で同社のシェア4/1の拡大を目指す。

2011年2月25日金曜日

CEA-Leti(仏):チップtoウェハ(300mm)直接金属接合技術開発

2011.2 海外技術動向
http://www.businesswire.com/news/home/20110222006149/en/CEA-Leti-Chip-to-Wafer-Direct-Metallic-Bonding-Technology-Developed-Leti-Customized
 CEA-Letiは3次元集積化のためのキー技術であるチップtoウェハ接合技術をSET社の接合装置を用いて開発した。この技術はSTMicroelectronics、ALES、CNRS-CEMESらが参加する共同プロジェクトで活用されている。
 CEA-Letiは4つの分野(エネルギー、IT、ヘルスケア、防衛)で研究開発を進めるフランスの公的研究機関である。企業の競争力の向上を目的に、企業との共同研究を基本としている。特に中核をなす技術分野はマイクロ/ナノエレクトロニクスでアプリは無線デバイス、ナノバイオ、フォトニクス等になる。プロセス設備は200、300mmラインを保有、1200人の研究者、共同研究企業は200社に及ぶ。SET社(Smart Equipment Technology)はチップtoチップ接合、チップtoウェハ接合、フリップチップボンダ、ナノインプリント等のプロセス設備を世界に供給しているフランスのメーカである。
 本技術は上記機関が参加するMinalogic PROCEED projectで活用されている。これは2009年12月開始で政府から4.2Meuroの出資を受けた2年間のプロジェクトである。この技術を用いるとチップをウェハに低温、低圧でボンディングすることが可能で、3次元集積化デバイスに大いに寄与するであろう。
 

Bosch社:自動車シャーシ制御用低g加速度センサ開発

2011.2 海外産業動向
http://www.i-micronews.com/news/Bosch-acceleration-sensors-chassis-control,6488.html  
 Boschは世界で初めてデジタル出力の低g(±1.6g、±16g)加速度センサを開発した。これは自動車のシャーシ制御用に用いられる。
 シャーシ制御システムは安全制御、快適性向上のために重要なシステムで、高精度な加速度センサが求められる。Boschの新センサはアクティブサスペンションシステムに用いられ、z軸方向のピッチやロールを検出して、自動車が正規のコースから逸脱するのを防ぐ。また路面状況によってショックアブソーバを制御し、快適な乗り心地を提供する。

2011年2月24日木曜日

高精度MEMSセンサーやADASなど、車載用先進デバイス提供(ADI)

20110224 電波新聞 13
 アナログICの世界大手であるアナログ・デバイセズ社(ADI)は自動車用途でも実績がある。MEMSによる加速度/ジャイロセンサーを開発し、1993年にはMEMSセンサーが自動車エアバッグに採用された。2009年時点でMEMSセンサーの累計出荷数は6億個を超え、車載用MEMSセンサーのリーディングメーカーである。最新のMEMSセンサーではヨーレート(車両回転速度検出用)ジャイロスコープあり、車体姿勢制御やカーテンエアバッグに実績を持つ。センサーインターフェース回路にも強みを発揮し、ミリ波レーダーや画像認識技術を応用したADAS(先進ドライビングアシスタントシステム)も製品化している。

TIA-nano第1期中期計画を策定、推進協議会設置も

20110224 電波新聞 4
 つくばイノベーションアリーナ・ナノテクノロジー拠点(TIA-nano)は10年度から5年間(第Ⅰ期)の中期計画を取りまとめた。TIA-nanoはつくばで、内閣府、文部科学省及び経済産業省からの支援を受け、産業技術総合研究所、物質・材料研究機構、筑波大学が中核となり、産業界と共に世界的なナノテクノロジーの研究と教育拠点の構築を目指すもの。中期計画は理念、目標、戦略、経営で構成されアクションプランも示しており、ホームページ(http://tia-nano.jp)で公開されている。また、拠点を活用するユーザー組織間の連携体制構築に向けTIA-nano推進協議会設置を決めた。

チャレンジ新製品、MEMSセンサー、省エネ化の大きな力に(オムロン)

20110224 日経産業新聞 7
 クリーンルームにMEMSセンサーを設置し、消費エネルギーの最適化を図るシステムの事業化をオムロンが進めている。自社で開発したMEMSセンサーを活用した省エネシステムを売り込もうというもので、効果測定やシステム改良を進めている。オムロンがMEMSで強化しているのは、フローセンサー、サーマルセンサー、圧力センサー、マイクロホン、スイッチの5分野で、省エネシステムではこのうち3つのセンサーを使用する。同社は直径200ミリメートルのシリコンウエハーを加工できる製造ラインを持ち、国内他社に比べて生産効率で優位。しかし、世界市場ではまだまだ大手とは言えず、部品単体と部品を活用したシステムの両面でMEMS事業の拡大を狙っている。

遠赤外線カメラに手ぶれ防止機構(タムロン、NECAvio)

20110224 日刊工業新聞 9
 セキュリティ用途の遠赤外線カメラに光学式防振機構を付けたシステムをタムロンとNECAvio赤外線テクノロジーが共同開発した。風や地面の振動を受けても画像がぶれず、夜間の遠方監視や重要施設の侵入者監視の用途を見込んでいる。

2011年2月23日水曜日

ポリマーセンサー、曲がると電圧発生(クラレ)

20110223 電波新聞 4
 曲げると電圧が発生し、変形を保持している間は電圧を保持する、フィルム上のポリマーセンサーをクラレが開発した。センサー本体の変形量に応じて電圧が増減し、曲げる方向により発電電圧のプラスマイナスが切り替わる。耐久性も高く、温度特性にも優れている。ヘルスケアの用途として、人体に直接貼る、または衣服と一体化したヘルスモニタリングを、入力デバイス用途として、曲げ・ひねりなど感覚的に操作可能な入力デバイスや柔軟なスイッチを想定している。

2011年2月22日火曜日

消費電力の測定、外からの給電不要、NECがセンサー

20110222 日本経済新聞 14
 外部からの電力供給を受けずに電子機器の消費電力を計測できる小型センサーをNECが開発した。配線などの周囲に生じる磁場より1ミリワット程度の微小電力を取出し、作動する。電源を気にせずに多数の電子機器の消費電力を把握でき、最適制御につながる。

エンコーダー2.8㎜角に(エクストコム)

20110222 日刊工業新聞7面
 MEMS技術を利用し部品の数をシリコン基板や半導体レーザーなど5点に抑え2.8mm角のチップに集積したエンコーダーをエクストコム(神奈川県大和市)が販売する。エンコーダーは対象物の位置の変化を検出し、危機の位置決めや回転角の計測用などに使われる。分解能は1.6マイクロメートルで、同精度の既存品に比べ体積は約300分の1になった。高精度な測定器、ロボットなどへの採用を見込んでいる。

2011年2月21日月曜日

有機EL材、希少金属含まず(九州大)

20110221 日本経済新聞 11
 レアメタルを必要としない有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)用の新しい発光材料を九州大学安達千波矢教授らが開発した。新材料はすべて有機物で、製造が簡単でコストが下がるため、次世代の有機EL用材料として期待される。新材料は「熱活性化型遅延蛍光」という現在の有機ELとは異なる発光の仕組み。試作素子の発光効率は数%と低いが、さまざまな材料の組み合わせによる発光効率の向上やより大面積化が有望だ。

2011年2月18日金曜日

Texas Instrument社 USB接続MEMSピコプロジェクタ開発

2011.2 海外産業動向
http://www.i-micronews.com/news/TI-puts-USB-Pico-Projector-display-MWC,6468.html
 TI社は手のひらに乗るUSB接続のピコプロジェクタを開発した。(写真参照)
これは小型だが20ルーメンの明るさを誇り、USBを介してPCの画像を投影する。場所を選ばず例えば自宅のどこでも投影画像を見ることができる。写真で見られるように小型で魅力的なデザインに仕上がっているが、発売時期、価格は未定である。

Harvard大学:紙を使った小型加速度センサ開発

2011.2 海外技術動向
http://www.i-micronews.com/news/Harvard-University-researchers-fabricate-MEMS-paper-sensors,6442.html
 Harvard大学のGeorge Whitesidesらの研究チームは、紙をベースとする加速度センサを開発した。特徴として低価格で、使い捨てのようにして使え、民生用、医療用途が期待される。(写真参照)
 センシングメカニズムはピエゾ抵抗が形成されたシリコンカンチレバーと同じで、紙の変形を、紙の上に印刷された抵抗体の電気抵抗の変化として捉える。写真にあるように、抵抗体はグラファイトを混ぜた銀ペーストから成り、スクリーン印刷でパターン形成される。紙の他に例えばビニルフィルム等でも作製できる。


2011年2月16日水曜日

ナノマシンコンピュータ実現へ、板バネの振動で演算(NTT)

20110216 日刊工業新聞 25
 ナノメートルスケールのマシンの機械的な振動で演算を行うナノマシンコンピュータに向けたデジタル演算の新手法をNTTが開発した。幅85マイクロメートル、厚さ1.4マイクロメートルの板バネ素子に周波数の異なる二つの振動を入力し、複数の振動を作り出すことで論理演算を行い、出力する仕組み。1個の基本素子で複数の論理演算を同時に実行できる世界初の成果。ナノマシンコンピュータは低消費電力で小型、500C程度の高温でも稼働し、トランジスタで構成する現在の論理回路に比べて回路構成を簡素化できる。

加速運動から微小磁気、ナノモーター開発に道(原子力機構、など)

20110216 日刊工業新聞 25
 ナノスケールのモータや発動機の開発につながる、物体の回転運動(加速運動)によって微小の磁気の流れを作ることに、日本原子力開発機構、東北大学、京都大学の研究チームが成功した。物体の回転により電子の自転の向きをそろえ、磁気の流れを生み出すもの。物体の回転運動を制御し、電子の磁気の流れを取り出して利用する量子力学の原理で作製する発動機を作ることができる。また、電子の自転運動を用いて微小物体の回転運動ができるナノスケールのモーター開発につながる

2011年2月15日火曜日

ナノインプリントフィルム、20㎝角対応型を発売(SCIVAX)

20110215 日刊工業新聞 13
 有機エレクトロルミネッセンス(EL)や太陽電池などで需要が高まってきたナノインプリンティング成形フィルムで20㎝角をSCIVAX(サイバックス、川崎市)が発売する。フィルムは直径230ナノメートル、深さ500ナノメートルのホール構造などを熱可塑性樹脂で提供する。ナノインプリントはナノレベルのパターン構造で無反射膜などの光学機能層を作れ、有機EL等では光の取出し効率向上、太陽電池では光の閉じ込め効率を向上させる。

2011年2月11日金曜日

2010年民生、携帯用MEMS売上げランキング、STMicro社、TriQint社躍進、iPhone/iPadへの採用寄与

2011.2 海外産業動向
http://www.digitimes.com/news/a20110208PR209.html
 2010年の民生用、携帯用MEMSの企業別シェアを見ると、STMicroelectronics社と(STM)TriQuint社(TriQ)が最も成功を収めたと言えよう。この要因としてiPhone4、iPadへの上記2社のMEMSデバイスの採用があげられる。
 TriQは無線用半導体デバイスのメーカでRF-MEMSを扱う。2009年のMEMS関連売上げは$8.5Mだったのが、2010年は$74.7Mと9倍に増加し、民生用MEMSシェアで世界8位に食い込んでいる。特にiPhone4、iPadへの無線モジュールの採用が大きい。MEMS-BAWフィルタ、SAWデバイスが組み込まれており、BAWではトップメーカになった。
 STMも順調に売上げを伸ばし、民生用MEMS売上げは2009年$216Mから2010年$353Mで、シェアは1位である。やはりiPhone4用の加速度、デジタル3軸ジャイロスコープの採用が大きい。STMは世界の加速度センサ市場の50%をシェアを維持しているが、2010年のSTMの売上げの中ではジャイロスコープの寄与が大きく、売上げ増加分の85%がジャイロによるものである。新たな採用先には新iPad、iPod touch、サムソンGalaxy、ソニー新ゲーム機が含まれる。また2011年には携帯機器用MEMSマイク、絶対圧圧力センサが予定されおり、さらなる拡大が見込まれる。
 ◆2010年 民生、携帯用MEMS Top10企業 by iSuppli
2010ランク    企業     2010売上げM$      2009売上げM$
1                   STMicro          354                      216
2                   Avago             207                      196
3                   Knowles         189                      129
4                   T I                  169                      161
5                   Bosch             121                      80
6                   InvenSense       94                       80
7                   Panasonic        86                       62
8                   TriQuint            75                        9
9                   Kionix              60                       49
10             Epson Toyocom    72                       58

STMicroelectronics社とMEMSベンチャーbTendo社がスマートフォン用ピコプロジェクタを共同開発

2011.2 海外技術動向
http://www.prnewswire.com/news-releases/stmicroelectronics-and-btendo-to-develop-the-worlds-smallest-focus-free-
 bTendo社はMEMSマイクロミラーを応用したピコプロジェクタ技術を持つベンチャー企業で2006年イスラエルで設立された。
 STMicroelectronics社(STM)とbTendoは、スマートフォン用の世界最小のピコプロジェクタと携帯機器用デバイスを共同開発することで合意した。STMのMEMSプロセス技術とbTendoのMEMSプロジェクタデバイス技術を生かして上記ピコプロジェクタを共同開発しようとするものである。
 スマートフォンでは膨大な静止画や動画を扱うようになったが、内蔵のディスプレイでは複数の人が同時に見ることはできない。どんな場所でも投影できる小型プロジェクタを内蔵させる動きが加速している。共同開発される新ピコプロジェクタのターゲットは、高さ6mmで容積は2.5cm3以下に抑え、すべての性能面で従来のピコプロジェクタを凌駕することである。STMのMEMS担当は次のように言った。ピコプロジェクタのパートナーとしてbTendoを選んだのは、小型化、低消費電力化、自動焦点といった分野で独自の技術を保有するからである。
 試作品は2月14-17日バルセロナで開催されるモバイル機器展で展示される予定である。

ひげ状のナノ材料、きちんと並び形成(東洋大)

20110211 日刊工業新聞 1
 MEMSの材料に利用できる可能性がある、ひげ状構造物のフラーレンナノウィスカ(FNW)を約35秒で向きをそろえて並んだ状態で形成することに、東洋大学バイオナノエレクトロニクス研究センターの前川徹教授らが成功した。FNWは微細な炭素物質のC60フラーレンで構成され、MEMSの他にも酵素反応や抗原抗体反応を調べる医療デバイスに利用できる可能性がある。C60と硫黄を溶解させた液体状のベンゼンを放置し蒸発させると向きをそろえたFNWが形成された。向きがそろっているため、一本づつ分離しやすく、微細な材料として使える可能性がある。

2011年2月10日木曜日

カンチレバー並列化、20倍の高感度センサー開発(物材機構)

20110210 日刊工業新聞 22
 カンチレバー(片持ち梁)を並べ、カンチレバーにかかる力(応力)をピエゾ抵抗により効率よく検出する構造で、従来比20倍以上の感度を持つ高感度センサーを物質・材料研究機構が開発した。膜型表面応力センサーで、膜に吸着した検体分子による表面応力を、膜の周囲に埋め込んだピエゾ抵抗により検出する。ガス分子から生体分子まで様々な試料を空気中や溶液中で測定可能であり、レーザーで読み取る既存のカンチレバーに比べ小型で簡便という長所がある。ピエゾ抵抗型は感度が低いという欠点があったが、レーザー読み取り方式と同等の精度に高めた。

2011年2月9日水曜日

強化PETで印刷マスク、MEMS応用低下価格推進(キューブ研究所)

20110209 日刊工業新聞 25
 クリームハンダ用の印刷マスクを、従来の金属板にレーザーでパターン形成したメタルマスクから、強化PETに高精度のパターンを形成したプラスチックマスクを開発したのがベンチャーのキューブ表面実装技術研究所。同社はさらに技術を進化させ、MEMS技術を応用し、平滑で鏡面に近い内壁面を実現したP-MEMSマスクを開発した。

初のデジタル信号出力対応、民生用小型角速度センサー(パナソニックデバイス)

20110209 電波新聞 4
 デジカメ等の手振れ補正向けとして業界初のデジタル信号出力対応の民生用小型角速度センサーをパナソニックエレクトロニックデバイスが開発した。車両姿勢制御の車載用途で実績のある圧電MEMS音叉とASICを小型化し、体積比で同社従来比40%減とした。月産300万個で量産を開始する。

450mmウエハー再注目、台湾TSMCが製造計画

20110209 日刊工業新聞 8
 台湾TSMC450mmウエハーを使った半導体製造の計画として、2013-14年に稼働させ、15-16年の量産を目指すと表明した。ウエハーの大口径化は生産効率化の一方では開発費負担増への懸念から導入が進んでいなかったが、再び注目されている。当初懸念されていた装置単価増大による半導体メーカー寡占化は既に進んでおり、日系メーカーも半導体自社生産からの撤退が目立っている。開発費増もそれほどでもないとの見通しが出てきており、状況は変化しつつある。

純日本製MEMS部品設計ソフト、つくば開発拠点で採用

20110209 日経産業新聞 4
 純日本製MEMS部品設計・解析用ソフトウェアであるMemsONEの普及促進をみずほ情報総研、日本ユニシス・エクセリューションズ、数理システムが進めている。シミュレーションやデータ作成の先端機能を加えた最新版の出荷を2月上旬に始め、11年度中には英語版を投入する。MEMS先端技術を産官学で開発する拠点「つくばイノベーションアリーナ(TIA)」では同ソフトの採用が決定され、英語版の開発を待って全面導入する。現在1割未満とみられる国内シェアの向上を図り、12年度以降は英語版の海外販売も開始し、ライセンス数を現在の230から1年後には40013年内には1200を目指す。

2011年2月8日火曜日

注射針「蚊の口」再現、MEMS技術を応用(関西大学)

20110208 日経産業新聞 10
 蚊が人知れず血を吸う仕組みをまね、MEMS技術を応用して樹脂を射出成形で立体に加工した3本の極細の針を作り、振動をかけながら皮膚に差し込むことで抵抗力を3分の1とした、痛みの少ない注射針を関西大学の青柳誠司教授らが開発した。直径0.03ミリメートルの針の両端に、直径0.015ミリメートルのノコギリ状の針が付いた構造。中央の針が採血や注射などの本来の針で、抜き差しを繰り返し、のこぎり状の針が皮膚に切り込みを入れる。まずは糖尿病の検査針への利用を考えている。

2011年2月7日月曜日

水中を泳ぎまわる微粒子、触媒使わず光が動力源(東大など)

20110207 日刊工業新聞 22
 光を照射すると水中を動く微粒子の作成に東京大学と京都大学の研究チームが成功した。直径数マイクロメートルの粒子の半球面にスパッタリング法などで金をコートし、光学的性質が前後で異なる非対称粒子を作り、水中に入れ、光ビームを照射すると粒子が金コート面を後ろに秒速数マイクロメートルの速度でランダムに動く。光の強さで泳ぐスピードは制御できるが、方向はコントロールできない。微細なチップの数マイクロメートル幅の流路で動く物質や、薬物送達システムへの応用が期待できる。

BEANSプロジェクト、高水準のMEMS研究、国際会議で論文7件採択

20110207 電波新聞5面
 BEANS(異分野融合型次世代デバイス製造技術)プロジェクトの論文が123日~27日にメキシコで開催された国際会議MEMS20117件と大量採択された。研究テーマが先端技術分野で注目されており、成果内容が高水準である事を示している。

2011年2月5日土曜日

ナノチューブ、コスト1/100、量産に道(産総研など)

20110205 日本経済新聞夕刊 1
 今後、エレクトロニクスや自動車分野での普及が期待されているカーボンナノチューブの低コスト量産技術を、産業技術総合研究所と日本ゼオンが確立し、今春にも試験生産を始める。産総研内に量産に向けた試作装置を設置し、直径2ナノメートル前後の単層型チューブを製造する。当面年産100キログラム程度で計画し、最終的には年産10トン程度を目標とする。1グラム数十万円のコストを1/1000以下にできるという。

2011年2月4日金曜日

Teledyne社がDALSA社を買収―MEMSファンドリーに変化のきざし

2011.2 海外産業動向
http://www.ecnmag.com/News/Feeds/2011/02/applications-medical-electronics-dalsa-acquisition-lets-us-look-at-the-mems-world-d/
 DALSA社は1980年にカナダに設立された半導体製造、MEMSファンドリーメーカである。年間売上高は$200M(約170億円)である。DALSAを買収するTeledyne社は1960年カリフォルニアに設立された軍需用電子部品が中心の企業で年間売上は$1.7B(約1500億円)、この10年の間に34件の買収を行って拡大路線を走ってきた。Teledyneのメリットは、すでに軍需用カメラの有力な供給元であるが、DALSAの赤外・可視画像センサ技術を取り込むことによってカメラ事業をさらに強化できることである。特にMEMS非冷却赤外線画像センサ技術に着目しているようである。
 TeledyneはすでにRF-MEMS事業を開始している。DALSAを組み込むことによってMEMSの製造能力が強化され、MEMSデバイスの研究開発能力も強化される。DLASAのMEMSファンドリー事業は、これまでのDeledyneの事業領域とは異なるものだが、新事業として継続するようである。というのもDALSAのMEMSファンドリーは業界一の売上を誇り、Invensense社のように有力な顧客を抱えている。好都合なのはMEMSファンドリーの顧客は、Teledyneの本業とはライバル関係にならないことである。これをきっかけにMEMSファンドリ企業の形態が今後も変化する可能性が考えられる。

IMECとMEMS設計ソフトのCoventor社が提携

2011.2 海外技術動向
http://www.semiconductor-today.com/news_items/2011/FEB/IMEC_010211.htm
 IMECとMEMS設計ソフトベンダーのCoventor社がCMOS集積型MEMSの開発で提携した。内容は、IMECが保有するCMOS基板上にSiGe薄膜を応用したMEMSデバイスを一体形成するCMOS集積型SiGe-MEMSプロセス及びデバイスの開発をCoventor社の設計ソフト(PDKs)を用いて開発の効率化を図ろうとするものである。Coventor社のMEMS設計ソフトはこれまで15年間に渡り多くのMEMS設計者に愛用されてきた。Coventor社の今後の方針として"MEMS+"を展開中で、その一つが、CMOS集積MEMSの設計ソフトの開発である。IMECがCMOS集積型MEMSプロセス開発の効率化を考えていたので、両者の意見が合致した。
 IMECの開発責任者は次にように述べた。現在、CMOS集積型MEMSへのニーズが高まっており、様々な分野の企業、研究機関から来る開発者が増大している。CMOSに新規な機能を加えようとするIMECの方針が認められてきた。Coventorと組むことによって同デバイスの開発が加速されるので、IMECへ来るパートナーにとっても大きな力になるであろう。

微小凹凸でLSI接合、三次元素子へ新技術(九州大学)

20110204 日経産業新聞 10
 3次元素子の実現につながる、複数枚の集積回路を積み重ねる技術を、九州大学の浅野種正教授と渡辺直也研究員らが開発した。LSI同士の配線を銅でできた直径数マイクロメートルの突起と溝をかみ合わせ、数十秒押し付けると、溝は原子レベルで融合し、通電する。加熱が要らず、LSIの傷みもなく、LSIを積み上げたりLSIMEMS をつないだり一体化できる。LSIを積み上げる3次元LSIではこれまで100400度で加熱してLSI同士を張り付ける必要があったが、加熱によるLSIのひずみや銅の表面の酸化による障害の恐れがあった。

2011年2月3日木曜日

小型で低ノイズ・高分解能、米Freescaleが3軸デジタル磁気センサー

20110203 電波新聞 18
 米Freescaleセミコンダクターは同社初の磁気センサーを発表した。3軸デジタル磁気センサーとして電子コンパスに使用する。低ノイズ・高分解能を特徴とする。磁気検出素子、信号コンディショニング、通信、組み込み機能を備えたインターフェース集積回路を搭載している。

MEMS市場14年に8割増、09年比、米社予測

20110203 日経産業新聞 7
 MEMS市場が2014年には2009年比で81%増の1081000万ドルに拡大するとの調査結果を米調査会社IHIアイサプライがまとめた。2010年の市場は706100万ドルで、MEMSマイクとMEMSジャイロスコープを搭載するアップルのiPhone4が市場を拡大した。11年以降、アンドロイド搭載スマートフォンでジャイロスコープ使用機種が増加するとともに、中国での自動車向けMEMSセンサー及び光通信向け部品の伸びを予測している。