2011年5月31日火曜日

MEMSセンサー、生産能力5割上げ(STマイクロ)


20110531 日経産業新聞 4
 民生機器向けMEMSセンサーで世界トップシェアのSTマイクロエレクトロニクスは、MEMSセンサーの生産能力を2011年末までに日産約200万個から日産約300万個へ5割引き上げる。速度変化を検知する加速度センサーと、傾きを検知するジャイロセンサーが主で、スマートフォンやゲーム機の世界的需要の高まりに対応するもの。

2011年5月27日金曜日

ナノエレクトロニクスには世界中にチャンスがある by Imec CEO Luc Van de hove

海外技術動向
http://www.electroiq.com/index/display/nanotech-article-display/1198743366/articles/small-times/nanotechmems/industry-news/2011/5/imec-itf__a_world.html
 ImecのCEO Van氏は毎年開催されているImec技術フォーラムでナノエレクトロニクスの将来について語った。
 半導体デバイス(MEMS含む)の発達により電機のスマート化が進んだ。例えばスマートフォンは現在の位置情報等、人の感覚ではわからない情報を教えてくれる。今後はさらにMEMS技術応用が進み、例えばスマートフォンには、においセンサやガスセンサが内蔵され、現在の空気の質チェック、食べ物の新鮮度、呼気中のアルコール検出等が可能になるであろう。
 市場の伸びが期待できるのはタブレットPCである。ラスベガスで開催されたコンシューマエレクトロニクスショーでは80種のタブレットが展示された。また3Dテレビも大きく花が開くであろう。2012年には80%の伸びが予測されている。さらにその次にはホログラフィックテレビが控えており、さらに高度な立体画像を体験できるようになるであろう。ここではNEMSが重要な役割を果たす。
 有機半導体デバイスが低コストエレクトロニクスとして新たな世界を切り開くであろう。フレキシブルなディスプレイやサインが街中や家の中で使われることになるであろう。
 またナノエレはITの他にも応用が広がるであろう。代表はヘルスケアデバイスである。運動をしてる途中、した後の体調チェックや高齢者の体調管理である。
 最後に最も大きなポテンシャルを秘めるのがエネルギー関連である。シリコンがこれまで大きな役目をはたしてきたが、これからは有機半導体等の新材料により低コスト、軽量フレキシブルな太陽電池の応用が拡大するであろう。

携帯向け地磁気センサー、方位精度40%向上(アルプス電気)

20110527 日経産業新聞 4面
電子回路の改良によりノイズを抑え、方位精度を40%向上した地磁気センサーをアルプス電気が開発した。地磁気センサーはナビゲーション等GPSで方位を検知するのに使用され、スマートフォン普及に伴い需要が拡大している。

2011年5月26日木曜日

ティアナノ推進協議会発足、ナノテク研究活性化へ

20110526 日刊工業新聞 19面: 
つくばイノベーションアリーナ(TIA) ナノ運営最高会議とユーザー組織との懸け橋として「ティアナノ推進協議会」が25日発足した。世界的なナノテク研究拠点の構築をめざし2009年に発足したティアナノの、ユーザーとなる技術研究組合など9団体・組織で設立し、会長にはナノテクノロジービジネス推進協議会(NBCI)会長の高橋恭平氏が就任した。ティアナノの運営主体との情報交換を活発化し、拠点インフラの利便性向上を目的としていることを、25日産総研などが開催したシンポジウムでNBCI林事務局長が説明した。

2011年5月24日火曜日

ゼリー状の高分子材料、刺激無くても亀裂自己修復(九州大学)

20110524 日経産業新聞 9面
切断しても自動的に元通りに修復するゲル(ゼリー状の高分子材料)を九州大学の大塚秀幸准教授らが開発した。ゲルの材料は化学原料のポリプロピレングリコールの中に、ジアリールビベンゾフラノン(DABBF)と呼ぶ物質を入れたもの。DABBFは分子がつながって立体的な網目構造を作り、網目が切れても、別の新しい網目を組みなおす性質を持っている。これまで光や熱などの刺激により亀裂を修復するゲルはあったが、本ゲルは何の刺激もいらない。人工臓器や宇宙関連機器など、刺激を後から加えるのが難しい材料への応用が期待される。

スイスにナノテク研究施設(IBM、スイス連邦工科大)

20110524 日経産業新聞 9 走査型トンネル顕微鏡を開発し1986年にノーベル物理学賞を受賞したビーニット博士とローラー博士の名を冠したナノテクノロジーの共同研究施設「ビーニット・ローラー・ナノテクノロジーセンター」をIBMとスイス連邦工科大学が設立した。総勢約100名の研究者が属し、MEMS、スピントロにクス、新炭素素子を使う素子、シミュレーション、理論などが研究分野。

2011年5月23日月曜日

マイクロロボ、高精度に細胞操作(名古屋大学)

20110523 日刊工業新聞 24

 マイクロ流体チップ内での完全自動操作につながるマイクロロボットを名古屋大学の新井史人教授らが開発した。人工授精やクローン技術における細胞操作に対応するもの。1.1マイクロメートルの位置決め精度と、0.02秒の応答速度を実現した。操作はマイクロ流体チップ上の磁気駆動マイクロツール(MMT)で行うが、流体チップ下面に圧電セラミックスを取り付けて高周波微小振動を加えることで、MMTとチップ表面の摩擦力を低減した。チップ内で細胞の回転や切断、組み立てができる。

表面形状自在に変わるフィルム、微細加工簡単に(関西大学)

20110523 日刊工業新聞 24

 マイクロデバイスの分野で簡単な微細加工法として期待できそうなフィルムを、関西大学の宮田隆志教授らが開発した。シリコーン系のポリマーフィルムにフォトマスクを通して紫外線を当てると、当たった部分の体積が減少し凹みができる。
 応用例として、凹凸状のフィルム表面にたんぱく質を吸着させ、シリコンウエハに押し付けることにより、たんぱく質分子を基板上に狙い通りのパターンで並べることができた。ハンコのようにタンパク質分子を転写することができた。

2011年5月20日金曜日

2010年MEMSデバイス売上世界Top30 by Yole Development

海外産業動向
http://www.electroiq.com/index/display/nanotech-article-display/4024818780/articles/small-times/nanotechmems/mems/industry-news/2011/4/top-4_mems_suppliers.html  
 Yoleは2010年MEMSデバイス売上世界Top30を発表した。全体で前年比25%増。Top4企業(TI、HP、Bosch、ST)の伸びが大きく売上は全体の1/3を占める。
トップはTIでDLPが好調で前年比25%増。STは前年比63%増でモバイル用MEMSセンサが大幅増。Boschも自動車、モバイルが伸び前年比46%増。
 日本勢では旭化成マイクロエレクトロニクスが電子コンパスでいきなりTop30入り(12位)したのが注目される。またソニーもモーションセンサで初のTop30入りを果たした。


©Yole Development

Point of Care(POT)診断用マイクロデバイス開発動向 by IBM、ローザンヌ工科大学

海外技術動向
http://www.nanowerk.com/spotlight/spotid=21383.php
 Point of Care(POT)は患者のすぐ横で検査結果を出すことで、近年そのニーズが高まっている。
IBMとスイスイス連邦工科大学ローザンヌの研究者は、POT用の免疫診断チェッカーの開発見通しを述べた。要望として患者の負担を少なくするために体液のサンプリング量を少なくする。一度に多くの成分を検出する。例えばわずかな血液中(1μl)のプロテインを即時に計測できるようにすることが求められている。ここではマイクロフルイディクス技術が用いられており、上記要望が実現されつつある。
狙いのPOC用マイクロヘルスチェッカー (Source : Advanced Material ©2010 IBM Corporation)
わずか1マイクロリットルのサンプル(血液等)に含まれる複数のフェムトモルの対象成分を1分で検出する。紫色のパーツは、マイクロフルイディクスとセンシング部で使い捨てになる。全体のコストを$1を目指す。

2011年5月13日金曜日

STMicrolectronics社:音響特性、耐ノイズ性を向上させたMEMSマイクロフォン開発

海外技術動向
http://www.azonano.com/news.aspx?newsID=22398
 STMicroelectronics(ST)は2種類のデジタルMEMSマイクロフォンを開発した。これらのマイクはすぐれた音響性能、耐ノイズ性、堅牢性と低価格を兼ね備え、モバイル機器に適している。iSuppli社によると民生機器用MEMSの売上は2014年まで年率24%の伸びを示し、MEMSマイクは伸びが著しいデバイスの一つと予想されている。STのMEMSマイクは、オムロンと共同で開発されたもので信頼性が高い。ノイズ源となる外部振動、温度変化、電磁波があっても正確に音響を再現する。低消費電力制御回路が組込まれているのでバッテリーの寿命を延ばす。一つの素子に複数個のマイクを備えノイズ成分やエコーのキャンセリング機能も持つ。高温耐性があるためにリフローはんだ工程も可能である。パッケージサイズは3x4x1mmと薄く、携帯電話に適している。さらにノイズ性能を抑えた機種はPCやタブレットに適する。

Yole:2016年に向けたMEMS市場、企業動向見通し

海外産業動向
http://www.ecnmag.com/News/Feeds/2011/05/applications-medical-electronics-mems-market-outlook-yole-d%C3%A9veloppement-ups-its-fo/
 2010年MEMS市場は前年度比二桁伸びで約8000億円強と急速に回復した。これは自動車市場の回復、スマートフォン、タブレットの爆発的ブームによるところが大きい。デバイスとしては民生用光MEMS、モーション系センサ、RF-MEMSの伸びが著しい。今後の市場予測だが2016年には約1.8兆円に伸びる見通しである。この成長の内訳は民生電子機器用が8割、自動車が2割である。 
 企業動向の予測だが、ビジネスモデルが変化していくことが予測される。ボリュームゾーンと言われている民生機器用に現在は多数の企業がひしめき合っているが、膨大な数量増加に対応できるのは数社と考えられる。技術動向として例えばスマートフォンには加速度、ジャイロ、電子コンパスの3個のセンサが必ず搭載されるようになったが、将来は一つのパッケージに集積化できた企業が生き残るであろう。その点STMicroが優位と考えられる。技術開発戦略だけではなく、例えば加速度センサのメーカが電子コンパスのメーカを買収するといった事業化加速のための再編も起こるであろう。
 

2011年5月6日金曜日

STMicroelectronics:小型高精度ナビゲーションセンサ開発

2011.5 海外産業動向
http://www.i-micronews.com/lectureArticle.asp?id=6875
 STMicroelectronicsは、正確に位置を示す小型高精度ナビゲーションセンサを開発した。これによると自分が建物のどの位置(何階)にいるのか、どちらを向いているのか等をGPSの届かない建物の中でも正確に知ることができる。このナビゲーションセンサは、STが開発した圧力センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサから成り、10軸の動きを捉える。各センサの出力信号を新規に開発したソフトウェアが計算して動きを割り出す。今後スマートフォン搭載に向けて評価のためのサンプル出荷を行う。価格は10万個購入時、$5.9の予定である。

ナノアンテナを用いた赤外光太陽電池 by Rice 大学

2011.5 海外技術動向
http://www.solarnovus.com/index.php?option=com_content&view=article&id=2763:nanoantennas-hold-promise-for-infrared-photovoltaics&catid=52:applications-tech-research&Itemid=247
 Rice 大学は赤外光を電気に変換するナノアンテナを開発した。太陽光は紫外、可視、近赤外、赤外光を含む広い波長からなる光である。通常のシリコンの太陽電池は光エネルギーで励起された電子を収集するタイプで、紫外から近赤外までを電気に変換することができるが、赤外光は吸収されないのでエネルギーロスとして捨てられていた。そこでRice大学は電波をアンテナで捉えるのと同様にナノアンテナで赤外光を捉えることに成功した。
 ナノアンテナは厚さ30nmの金のナノロッドから成り、赤外光を受けると金属中の電子と光が相互作用を起こして(表面プラズモン共鳴)ホットエレクトロンが発生し、それをSi基板側で収集しようとするものである。これをシリコン太陽電池に組込むことによって、太陽光の全波長範囲を捉える高効率な太陽電池ができる可能性がある。