2010年11月19日金曜日

MEMS慣性センサの見通し:Kionix社CEOインタビュー

2010.11 海外産業動向
http://www.digitimes.com/news/a20101117VL200.html
 Kionix社は1年前ロームに買収されたところだが、現在も加速度センサの有力メーカである。最近同社は民生機器用に開発された新しいジャイロスコープと加速度センサを発表した。同社の今後のMEMSセンサの展開についてCEOのGregory Galvinにインタビューをする。
Q:新MEMSジャイロスコープの最も重要視しているアプリケーションは?
A:主要市場はゲーム市場だ。手の動きを検出するハンドセットに注目している。ただこれがジャイロの最大の目標とは考えていない。次世代の車載制御や医療機器向けに注目している。
Q:2003年に既にKionixではジャイロスコープを開発している。最近開発したMEMSジャイロとの差は?
A:前の製品は自動車、産業機器、ナビゲーション用であった。サイズや出力が大きく、1軸タイプで民生機器用には向いていなかった。今回発表した新ジャイロは2軸、3軸を揃え、小型、低消費電力化を達成している。
Q:新ジャイロで車載や医療等、民生機器用以外も狙う計画は?
A:当面は民生用だが、将来他の市場に展開することも考えている。
Q:Kionixは加速度センサ市場で成功を収めた。Kionixが最近発表した新3軸加速度はこれから数年の間に主要製品となるか?
A:新3軸加速度は多くのアプリに対応するもので、さらなる加速度の事業拡大に寄与するであろう。3大アプリとして携帯電話、ゲーム、車載安全システムを計画している。
Q:加速度センサの競争は激しさを増している。Kionixはどのような差別化戦略を持っているか?
A:確かに競争が激しくなっている。特に民生分野で低価格化が進んでいるので、我々は、製造コストの低減に努め、コスト競争力で勝負する。
 加速度センサは年間20%の割り合いで低価格が進んでいる。しかしこれから数年は、低下率に歯止めがかかるのでは。戦略として、最近は高性能化は飽和し、小型低コスト化ばかりになっている傾向がある。しかしそれも限界が近づいており、低価格化のペースが下がるのでは。ゲーム機用市場競争に打ち勝つにはいくつかの要素がある。価格はその一つであろう。これからはユーザにとっての使いやすさも要因になるだろう。エンドユーザは落下防止や人の動きの再現等様々なニーズを持っている。それらのニーズに対していかに使いやすいデバイス供給できるかである。
Q:KonixのMEMSセンサ売上の割合はどうなるか。ジャイロは民生用に安定した売上が期待できるか。
A:現在MEMSセンサでは加速度が100%だ。2011年度にはジャイロの売上が伸びて全体の15-20%になるよう計画している。
Q:Kionixのビジネスモデルは全部自前か?アウトソーシングする計画は?
A:現在はすべて自前だ。ただ生産効率を上げるのに、有効な方法があるかこれからも調査していく。
Q:MEMS市場全体に対してどのような見通しを持っているか?
A:2011年はゲーム用ハンドセット向けが大きく伸びる。他にiPadやネットブックが有望であろう。やはり携帯機器分野でのモーションセンシングが最大の市場となるであろう。健康増進分野(フィットネス)も興味深い。MEMSは今後も成長が期待できる分野として取り組んでいくつもりである。

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