2011年1月14日金曜日

MEMS発振器は水晶発振器を置き換えられるか?

2011.1 海外技術動向
http://www.newelectronics.co.uk/article/30532/Are-mems-based-oscillators-a-viable-alternative-to-the-quartz-crystal.aspx
 水晶発振器は、これまでコンピュータや通信機器で多大な役割を果たしてきた。最近、製造工程の複雑さや信頼性での課題に対して新たな代替技術(MEMS発振器技術)が起こっている。現在、MEMS発振器は周波数帯域の狭さや温度特性、コスト等の課題を抱えており、本当に置換えられるかという議論が時々なされている。
 MEMS発振器のベンチャー企業の一つであるeoSemi社は、水晶発振器は高コストで、衝撃に弱い課題があり、それに対しMEMSを用いると発振器のさならる小型、低コスト化が可能になると言う。MEMS発振器の技術はCMOSの設計プロセス技術に基いており、温度等動作環境の変化による特性の変動は高精度で補償することができる。この高精度な補償回路技術はeoSemiの強みである。2011年は期待の年になるであろうと語った。
 SiTime社は、Si技術はこれまで多くの既存技術を置換えて来ており、発振器も同様に置き換わるであろうと言う。2010年までにSiTime社は3500万個のMEMS発振器を出荷してきた。このうち95%は既存の水晶発振器の置換えである。しかしスペクトラムアナライザやパルスジェネレータ等の計測器には高い安定性と寿命が必要で、このような用途には、MEMS型は性能的に不足する面があるが、ほとんどの用途で対応可能である。特に温度変化に対応した補償回路技術はこの1年で進み、要求特性を達成するに至っている。
 一方、水晶発振器メーカのIQD社は、高い温度補償が要求される用途でのMEMS型の採用に疑問を持っている。これらの用途では安定性精度2.5ppmが要求され、MEMS型では達成できていない。IQD社の水晶発振器は-40~85℃の範囲で安定性±20ppbを誇る。
 MEMS発振器側の意見として、温度安定性は技術的な問題で解決手段はある。現行のMEMS発振器のコストが高い問題も、量産効果や集積化技術によって下がるであろう。これまでシリコンが既存デバイスを置き換えてきたのと同様に、発振器の分野でも置き換えられると言う。

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