2010年9月7日火曜日

ジョージア工科大学:ZnOナノワイヤーを用いた圧電トランジスタ集積回路を開発

2010.09 海外技術動向
http://gtresearchnews.gatech.edu/strain-gating-piezotronics/

ジョージア工科大学Wang教授らは、ZnOナノワイヤをゲートとして、機械的変位によって発生した電荷によってスイッチング動作をさせる電子回路を開発した。この電子回路はトランジスタ、ダイオードで構成され、用途はMEMS,Microfluidics,NEMS,ナノロボット等のシステムで必要とされる電子回路として用いられる。このデバイスの駆動力は、機械的な動作であったり、流体の力、筋肉の曲げ伸ばし等が考えられる。
通常のFETはゲート電圧によってスイッチング動作をさせるが、ナノワヤは2本の電極間に配置され、機械的変位により電荷の発生、電圧の発生が起こる。このデバイスを組み合わせることによって、演算処理回路を構成することも可能である。Wangはこれをpiezotronicsと名付けた。 
Wangらは同じZnOナノワイヤを用いて振動発電デバイスやナノワイヤセンサを試作している。ZnOナノ構造作製プロセスで回路一体型機能デバイスも実現できることになる。Wangらはポリマー基板上にZnOナノワイヤトランジスタを用いて集積回路を作製し、動作を確認している。また同研究室ではポリマー基板の両面にZnOナノワイヤ回路を形成し、インバータ動作をさせることに成功している。これらは機械変位によって電子回路として動作させた世界で初めての開発例である。フレキシブル基板に形成した場合、変位の方向には圧縮と引張りがあるが、その方向によってナノワイヤの極性が変わるという特徴もある。制約として変位の周波数は人の動きのように低い領域で用いられる。
同研究室では、ZnOナノワイヤとメタル電極のコンタクト抵抗を低減させるプロセスの開発にも成功した。コンタクト部に紫外レーザを照射すると、ZnO内で電子が励起され電極に注入されることによってコンタクト性を向上させることができる。このようにZnOは紫外光による光伝導性を備えるので、機械的変位と光、両方によって物性が変化する圧電光デバイスとして機能させることも考えられる。


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