2010年9月17日金曜日

A*STAR(シンガポール)CMOSプロセスによる熱電変換素子開発

2010.09 海外技術動向
 A*STAR:シンガポール国立研究機関

電子デバイスには必ず電源が必要である。しかしワイヤレスセンサや人体埋め込みデバイスでは電池の交換が必要になってくる。熱電発電は電池の交換を不要にするエナジーハーベスティングデバイスとして有望視されている。特に温度差が取れるよう設計された熱電デバイスでは、体温やわずかの温度差で発電することができる。これまで熱電変換材料は主としてビスマス/テルルが用いられてきたが、これは標準的なCMOS工程では使えない。そこでA*STARではCMOS工程にマッチさせるためにポリシリコンを用いた熱電変換素子を開発した。1cm□チップの中に125,000個の熱電対を集積化させた。またより高い温度差が得られるよう、真空断熱された部分と、Siを残して熱伝導を高めた部分の上に熱電対を形成した。この素子の熱電変換能は、5℃の温度差で16.7V、1.3μWの発電を確認した。この素子はCMOS完全コンパチプロセスで作製可能であり、自己発電付きCMOS素子への道を切り開くものである。

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