2010.10 海外産業動向
http://www.micromanufacturing.com/showthread.php?p=1032
MEMS市場は2010年、不況から立ち直りそうである。Yoleの予測では2010年の市場は$8B(約7千億円)、2015年には$16.4B、年成長率15%が見込まれている。一方iSuppliの予測は2010年$6B、2014年$10B、2020年$20B、年成長率11.6%としている。この二つの予測を比較すると2015年で$5.5Bもの差が生じている。この原因は、iSuppliが対象をシリコンMEMSに限っているからである。
iSuppliによると、高機能MEMSの伸びが大きくなると予想され、アプリケーションは産業機器、ビルオートメーション、エナジーハーベスティング、燃料電池、医療機器、軍事用、航空機、ワイヤレス機器等が有望視されている。高機能MEMSの市場は2014年まで年率19.7%が期待されている。中でもビルオートメーション、半導体製造装置が大きく伸びると予想され、オムロンがこれを証明するであろう。
MEMS第3の波
Analog Devices社の副社長Martinは今年の初めに、慣性力MEMSセンサを代表とする高機能品市場は第3の波を迎えるであろうと予想した。第1の波は1990年代の車載用センサで、第2の波は2000年代のゲーム等民生機器用センサである。第3の波は、高機能、高価格品へのニーズが高まり、アプリとして産業機器、自動工程モニタ、携帯医療器具、ナビゲーションシステム向けのニーズが増加するであろう。
高機能型モーションセンサの需要が広がる見込みである。2011年の予測では、車載用の高機能型の市場は減少するが、民生機器用は増加し、分野別ではNo.1になりそうである。MIGのKaren Lightmanは高機能型の構成としてオール in 1パッケージをあげている。複数のMEMSとICが1パッケージ化され、チップ間の通信もその中で行なわれる。代表例が加速度、ジャイロ、電子コンパス、回路を1パッケージ化したモーションセンサである。
またDixon-Warrengも今後のMEMSは単機能から多機能へ、さらにネットワークに繋がる機能も重要になると予測している。HPのHartwellは、これからはセンサネットワークが重要になると言っている。食料管理、建築物モニター、スマートビルディング、生体モニター、エネルギー管理、自動車、交通システム、倉庫管理、モバイル機器等枚挙にいとまがない。
Freescale社は多機能集積型センサと一体化される制御回路チップに関する特許を積極的に出している。同社の集積型モーションセンサは、スマートフォン、医療機器、ナビゲーションシステム等で評判が高い。
MEMSにファブレス時代がやってきた
MEMS全体の売上におけるファブレスメーカのシェアは急増しており、現在は33%に至っている。Lightmanによると、新製品を市場に出すまでのスピードはファブレスが早く、しかもコスト競争力も強い。しかもここ数年TSMCのように能力の高いMEMSファンドリーが増えている。SVTCのように中規模の量産受託やアイデア段階から共同で開発する企業も出ている。SVTCによると、現在なおMEMSプロセスはカスタマイズされたものが多いが、各工程を標準化できれば、さらにスピードアップと低コストが図れる。今後MEMSメーカとファンドリーによって工程の標準化が進めば、さらにファブレス方式のビジネスが盛んになると予想される。
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