2013年10月30日水曜日

スイッチ、待機電力ゼロ、動き検知、小型1.8ミリ角、車などに活用(SII)

20131030日経産業新聞1面

 セイコーインスツル(SII)は超小型で待機電力ゼロの、動きを検知すると電流が流れる加速度スイッチを開発した。MEMS技術を活用し、上下のガラス基板がシリコンを挟む構造で、シリコンの中央部と周辺に電極を形成し、振動を受けて周りの電極が中央の電極に接触すると電流が流れる。通常の加速度スイッチは常に振動を検知するため微弱電流が流れているが、本製品では静止時には電流が流れず消費電力を大幅に抑えられる。自動車のエアバッグ等安全制御や建物の地震甲地などの用途を見込む。

非接触センサー、数メートルの距離から心拍や呼吸補足、見守りなどに的(パナソニック)

20131030日経産業新聞4面

 パナソニックはミリ波電波センサーを活用し、ベッドで就寝中の人の心拍や呼吸回数などを数メートル先から把握できる非接触型生体センサーを開発した。24ギガヘルツの信号を送信し、反射して戻ってきた電波の到着時間や波形の変化を捉え、生体などの微小な動きを推定する。電波の送受信ICと増幅器、アンテナ等を1つのパッケージにモジュール化した。人の動きからジェスチャーを捉える事も可能で、家電製品のリモコン操作も想定。価格は5000円以下に設定。

磁気センサー向け素子、量産技術確立(ローム)

20131030日刊工業新聞11面

 ロームは愛知製鋼との業務提携により、磁気センサーに用いる高性能磁気検出素子の量産技術を確立した。非晶質金属にコイルを巻いた特殊なアモルファスワイヤを使ったMI素子と呼ぶ高性能磁気検出センサーで、現在主流のホール素子を使うセンサーに比べて感度が1万倍高い。2014年秋に月産100万個で生産を開始し17年中に2000万個に拡大する。

2013年10月29日火曜日

複雑操作を非接触で、3Dモーションセンサー開発(シャープ)

20131029電波新聞1面

 シャープは複雑な操作を非接触で制御できる3Dモーションセンサーを開発した。赤外線LEDを手や指の対象物に照射し、イメージセンサーで反射光の光量重心を検出し、左右のXY座標軸に置き換えた位置を検出する。赤外線LED、画像処理DSPを内蔵した900画素CMOSイメージセンサを7.9x3.9x3.4ミリメートルサイズにパッケージ化した。新製品は数百円程度、タブレット端末、ノートPC、さらには家電、FA、アミューズメント、カーナビ、スマホの市場を目指している。

3マイクロ配線を基盤に、銅インク吹きつけ(NEDOなど)

20131029日経産業新聞9面

 NEDOと産総研などの共同研究グループはインクジェット方式で超微細配線をICパッケージ基板に描く装置を試作した。銅ナノ粒子インクを使い世界最小の3マイクロメートルを実現した。銅の表面に酸化膜ができる課題を、酸素が無いガス中で熱処理して酸化膜を取り続ことで解決した。

2013年10月25日金曜日

世界最小電子コンパス、スマホ搭載用(旭化成エレクトロニクス)

20131025日刊工業新聞13面

 旭化成エレクトロニクスは大きさが1.2mm角で高さが0.5mmと従来比半分、世界最小サイズの3軸電子コンパスを発売する。同社は電子コンパスの世界シェア約8割。2014年の電子コンパス世界市場規模は前年比2割増の12億個の見通し。

2013年10月24日木曜日

”室内ナビ”提案を開始、GPS電波が届かなくても現在位置を確認(アルプス電気)

20131024電波新聞3面

 アルプス電気はデジタル気圧センサー、角速度センサー、3軸地磁気センサーを複合的に組み合わせ、GPS電波が届かない建物内でも現在位置が確認できる”室内ナビ“提案を開始した。同社のデジタル気圧センサーは高度換算で0.5m相当の高精度を実現する。

2013年10月22日火曜日

エレクトレット振動発電素子、エネルギーロスを電気で回収

20131022日刊工業新聞19面

 エネルギーはかなりの部分が振動や音、熱、光や電磁波とという形でロスとなっている。エネルギーハーベスティングのなかで注目されている低周波振動の効率的な電力変換技術にエレクトレットを用いる静電誘導方式がある。エレクトレットとは「電荷を半永久的に保持する絶縁体」である。東京大学鈴木雄二教授は04年高性能エレクトレット材料としてアモルファス・フッ素樹脂(旭硝子製「サイトップ」)に高い電化保持性能があることを発見し、エレクトレット振動発電素子の実用化、高性能化を実現している。

MEMS関連新製品開発絞込み、住友精密が選択と集中

20131022日刊工業新聞7面

 住友精密工業はMEMS関連デバイス事業で、新製品開発を絞り込み、8種類ある製品ごとに3-5年の売り上げ目標を設定した見直しを行う。MEMS製品は新規事業を担う創事業部が手掛け、産業機械用ジャイロセンサーやコンパス、色彩検出デバイスなどを製品化しており、売上高は燃料電池を含め2012年度で3億円。今後の開発はMEMS単体ではなく、出口となる完成品の市場性を評価する。

2013年10月21日月曜日

指輪型のウエラブル、指のジェスチャーで家電・スマホ操作、VBのログバー開発

20131021日経産業新聞3面

 ベンチャー企業のログバーは指輪型のウエラブルコンピュータを来夏に発売する。センサーと無線通信機能を備え、指の動きで家電やスマホを操作できる。ボタンやタッチパネルは搭載せず、指で空間に文字を描く、指を曲げる、手首をひねるというジェスチャーと機器の操作を対応させ、ブルートゥースなどを使って通信する。価格は1~2万円とみられる。

センサー併用小型感震器、価格4分の1以下に(大阪ガス)

20131021日刊工業新聞15面

 大阪ガスは機械式とMEMS式の加速度センサーを併用する、鉄道・電力など社会インフラ事業所の設備向けの小型感震器を開発した。感震器は建築物が地震で被害を受けるレベルの指標となる加速度と継続時間の積「SI値」をMEMSとCPUで算出する。大阪ガスはガス管を保全する感震技術のノウハウを生かし、小型で高性能なMEMSによる感震器開発に取り組んでいた。技術供与先のニシヤマが、多摩川精機にOEM生産委託し、従来品に比べ4分の1以下の20万円と価格を抑え、16年に年間1000台の販売を目指す。

2013年10月18日金曜日

1細胞生物学、半導体技術が寄与、再生医療・がん治療に期待

20131018日経産業新聞10面

 半導体製造の微細加工技術による微小流体流路により、細胞を集団ではなく一つ一つの細胞ごとに解析し、再生医療やがん治療に貢献する可能性が出てきた。新たな学問領域「1細胞生物学」が生まれつつある。米フリューダイム社の微小流体流路は直径10マイクロメートル程度の細胞が通る極細の流路を96個チップ状に形成し、96個の細胞を一つ一つ補足できる。さらに、補足した細胞を別の流路に流し込み、DNAやmRNAを解析し、細胞のゲノム変異や遺伝子発現を検出できる。1細胞ごとの培養の経時的な変化を捉えることによりダイナミックなプロセスを明らかにできる。

2013年10月17日木曜日

TSV形成、1剤で、銅メッキ添加剤(ADEKA)

20131017日刊工業新聞11面

 ADEKAは3次元実装技術向けに銅メッキ用添加剤を開発した。シリコン貫通電極の形成に使うもので、現在の2~3種類の配合に比べて作業効率向上や品質安定化につながる。

2013年10月14日月曜日

3軸200gデジタルMEMS加速度センサー、クラス最高の帯域幅、超低消費電流、米ADIが量産

20131014電波新聞3面

 米アナログデバイセズは3軸200gデジタルMEMS加速度センサーを発表した。単価は1000個受注時で4.79ドル。主に衝撃検出や資産追跡、突発的に衝撃が発生するような用途で使用される。

曲面や凹凸形状でも搭載できる3次元形状静電センサー開発進める(アルプス電気)

20131014電波新聞3面

 曲面形状や凹凸形状へ搭載が可能な3次元形状静電センサーをアルプス電気が開発している。樹脂とフィルムセンサーを一体成型したもので、腕時計型端末、ゲーム機やマウス、AVアクセサリ、ヘルスケア関連製品などを見込んでいる。

2013年10月11日金曜日

虫などの脚の構造に注目、省エネ製品開発に応用

20131011日経産業新聞9面

 昆虫や甲殻類の脚の構造に着目し、省エネ製品につなげようとする研究が進んでいる。昨年から始まった5年間のプロジェクト「生物規範工学」は東北大学の下村正嗣教授を中心に全国から100人以上の研究者が加わる。ハムシやテントウムシは、足裏に生えている無数の太さ数マイクロ、長さ数十マイクロメートルの毛の間の空気により濡れた葉の上でもすいすい歩ける事が分かった。この仕組みを参考に引っ張る方向によりはがれやすさが異なる材料を開発しており、接着剤を使わない固定方法を目指している。フナムシの脚は側面に幅数十マイクロメートル、厚さ数マイクロメートルのヘラのような突起が生えており、この間をくぐって水が上昇する。この仕組みを工業利用すれば、電機を使わないポンプが実現すると期待している。半導体加工技術による微細構造を再現しており、ポンプの実現を目指している。

マイクロ振動発電デバイス、空調ダクトなどの振動利用、電池なしで無線通信(ミツミ電機)

20131011電波新聞3面

 ミツミ電機は電磁誘導発電による振動発電デバイスを開発している。CEATEC2013で参考出品したもので、空調ダクトなどの振動から発電し、各種センサーとRFチップを一体化させた。ビル、ホール、工場など施設内の様々な場所に追加部品不要で設置でき、RF方式はZigBee Green Powerに対応。

2013年10月10日木曜日

微小カプセルで薬剤を送り込む、脳腫瘍狙い撃ち、増殖抑制、東大が新手法、ナノテク生かし欧米を追撃

20131010日経産業新聞11面

 東京大学の片岡一則教授と三浦裕助教らは、治療が難しい「グリオーマ」と呼ぶ脳腫瘍向けの薬剤送達システム(DDS)を開発した。抗がん剤であるプラチナを「高分子ナノミセル」と呼ぶ直径30ナノメートルのカプセルでくるんだ。カプセルの表面には脳腫瘍の血管の内側に多いたんぱく質「インテグリン」に結合する分子を配置、カプセルが脳腫瘍に集まりやすくなり、患部の奥深い場所まで届いて薬が放出される。正常細胞の近くの血管にはカプセルが集まりにくく、副作用が出にくい。
 がん治療の主な治療法は手術、放射線、抗がん剤。DDSでは日本が得意とするナノテクノロジーを生かす。

血液循環測る光センサー、指先装着型を開発、まず胎児用(静岡大)

20131010日刊工業新聞23面

 静岡大学大学院工学研究科の庭山雅嗣准教授らは指先に装着して使用できる血液循環計測用光センサーを開発した。近赤外線を生体に照射し、体内を伝搬した光を解析することで、血液量や酸素濃度を測定する「近赤外線ヘモグロビン濃度計測」を応用した。従来品と比べて100分の1で、分娩時の胎児の健康状態把握や心臓手術での利用を見込む。

抵抗温度センサーの種類と動向

20131010電波新聞13面

 温度センサーには輝度や色・赤外線強度などで温度を測定する非接触式と、熱起電力や電気抵抗・磁気の変化を利用する接触式がある。最も多く利用されるのが電気抵抗変化を利用した「抵抗温度センサー」である。
 「抵抗温度センサー」には、サーミスタとリニア抵抗器及び白金測温抵抗器がある。サーミスタには一定の温度で急激に抵抗値が大きくなるPTCタイプと、温度上昇に対して指数関数的に抵抗値が減少するNTCタイプがある。PTCタイプは半導体の熱暴走時の過電流保護に使用され、NTCタイプは温度に対する抵抗変化値が大きいことから通常サーミスタというとNTCタイプを指す。リニア抵抗器は温度上昇に対して抵抗値が直線的に増加し、モーター巻線や高周波回路やディスプレイの温度補償に使用される。白金測温抵抗体はリニア抵抗器より温度特性の直線性がよく、長期安定性に優れている。

2013年10月8日火曜日

MEMSマイク事業拡大、累計出荷、近く50億個(米ノウルズ)

20131008電波新聞3面

 米国Knowles(ノウルズ)社はMEMSマイク事業の拡大が続いており累計出荷数量は近く50億個に達する見込みで、スマホ/携帯電話用MEMSマイクロの世界シェアは6割前後に達する。同社のMEMSマイクは、スマホやノートPC分野で複数マイクによる音響処理が進展する中で、優れたノイズ処理、リフローや温度・湿度、電源電圧の変化にも感度変動が無い均一性能が高く評価されている。製造は中国・蘇州工場やマレーシア・ペナン工場で行っており、両工場で設備投資による生産能力増強を行っている。

2013年10月7日月曜日

ゴム振動シート開発、圧力センサーなど適用目指す(豊田合成)

20131007電波新聞3面

 豊田合成は誘電ゴムを伸縮製電極で挟んだ構造の、電機で伸び縮みするゴムシート(e-Rubber)を開発した。振動シートとして、従来のモーターを用いた振動発生シートに比べスペース、消費電力、重量が半分以下で済み、電圧制御により伸縮用の調整が可能、形状の自由度が高いという特徴を持つ。携帯電話のバイブレーション、平面スピーカー、圧力センサーなどへの適用を目指す。

2013年10月4日金曜日

微生物の付着防止、マイクロ流体チップ向け成膜技術を開発(太陽化学工業)

20131004日刊工業新聞8面

 太陽誘電の子会社、太陽誘電化学はマイクロ流体チップ向けに細胞や微生物などの付着を防止する成膜技術を開発した。電子部品事業で培った成膜技術を活用し、プラズマ化学気相成長(CDV)法により、硬く滑らかで傷がつきにくく、摩擦抵抗が少ない膜を、金属やガラス、フィルム、樹脂、シリコンなど材質を問わず様々な機材に製膜できる。

2013年10月3日木曜日

東北大の三次元LSI拠点、半導体の立体構造に挑む

20131003日経産業新聞11面

 東北大学三次元スーパーチップ試作製造拠点(GINTI)は回路を積層して立体構造のLSIを試作して企業などに提供する。三次元LSIはウエハの表面を加工した後に固定用のガラス基板を接着し、裏面も加工した回路基板を積層する。回路1個に3000~5000個の穴を開け、銅を流し込んで基板間の配線を行う。実用化への課題は回路間の接合法で、現状では量産に向かない。東北大は多くの企業に試作品を出して新たな用途を切り開くことをめざしている。

日立がCNTを探針に用いた光学顕微鏡を開発

20131003電波新聞13面

 日立製作所はカーボンナノチューブをプローブに用いたNSOM(近接場光学顕微鏡)を開発し、波長850nmのレーザー光を用いて、幅5nmの金のパターンの画像化に成功した。NSMOは走査型トンネル顕微鏡や原子力間顕微鏡など操作プローブ顕微鏡ではできない微小部分の組成や分子構造を知ることができるが、微小な光スポットを作ることが課題であった。先端を4nmに尖らせたCNTのプローブにより実現した。

2013年10月2日水曜日

新技術でヘッド小型化(セイコーエプソン)

20131002日刊工業新聞9面

 セイコーエプソンはインクジェットプリントヘッドの新技術「プレシジョンコア」を開発した。ヘッドを小型化できるためプリンターへの搭載台数を増やし、高速化、高精度化できる。圧電素子の材料改良やMEMS製造技術を組み合わせて実現した。

スマホで着信、香りで通知、機器装着で成分噴霧(シフト)

20131002日経産業新聞1面

 嗅覚をコミュニケーション手段と組み合わせる仕組みをITサービスのシフトが商品化する。ピエゾ素子を内蔵した専用機器をスマホのイヤホンジャックに差し込み、メール着信時に香り成分を含む液を噴霧する。嗅覚と結びつけた仕組みを企業の販促活動に応用することを狙っている。

2013年10月1日火曜日

CEATEC2013、スマホよりロボカー、次世代車は宝の山


20131001日経産業新聞22
 
 CEATECでは最先端のデジタル技術を活用した次世代車が登場。次世代車は電子業界にとって”宝の山“、国内部品各社が得意とする認知システムのしのぎを削っている。ミリ波レーダーの富士通テン、デンソー、ホンダエレシス。ミツミ電機はMEMSミラーを使いレーダー投影範囲の拡大を目指している。超音波センサーでも村田製作所、パナソニック、日本セラミックスなど日本勢が強い。全自動運転実用化の鍵となる画像認識用のチップはルネサスエレクトロニクスや東芝などが供給。これまで、スマホ部品に力を入れてきた電子部品業界は、車載用センサーや通信モジュールの開発に力を入れている。

シリコン深堀高速で直径均一、3次元半導体・MEMS用(サムコ)


20131001日経産業新聞4
 
 半導体製造装置メーカーのサムコは、MEMS3次元構造半導体向けに、シリコンを高速で精密に深堀出来る加工装置を販売する。シリコンにフッ素プラズマを照射し、化学反応で穴を深く掘る装置で、毎分10マイクロメートルの深さで掘ることができる。ボッシュ特許を活用し、表面から少し掘って穴の壁にポリマー膜を塗布し、それ以上広がらないようにという作業を繰り返す。量産用に直径8インチウエハーを自動で出し入れできるカセット機器を取り付け、自動運転で1日数百枚加工でき、生産能力は従来の約5倍となる。

iPS細胞を自動培養、100子同時、手作業の10分の1(東京大学)

20131001日本経済新聞17面

 東京大学の生田幸士教授と池内真志助教らはiPS細胞を自動培養する実験器具を開発した。1センチ角のチップ上に直径1ミリの穴を100個開け、柔らかい膜が底を覆う。くぼんだ膜が微小な試験官となり、iPS細胞の塊を骨や脂肪のもととなる細胞に育てた。手作業は従来の10分の1以下になる。様々な薬を垂らし、効き目を10種類同時に調べる実験にも使える。

歩行姿勢判定、スマホで確認、オムロンが新商品

20131001日刊工業新聞17面

 オムロンヘルスケアは腰の後ろに装着し歩行姿勢を判定する「ウォークスキャン」を発売する。10歩の歩行で姿勢をチェックする機能と3~10分間の歩行で日常の歩行姿勢をチェックする機能を搭載、測定結果はiPhoneアプリで確認できる。