2011年7月29日金曜日

MEMSが拓くスマート生活の未来-下-、環境・医療で商機を開く

20110729日経産業新聞3面
 MEMS技術により感度を従来の5倍に引き上げたフロー(風量)センサーを開発したオムロンでは、温度センサー、湿度センサーや人感センサーを組み合わせ、室内の状態を監視してエアコン等を制御するシステムを仕上げようとしている。フローセンサーは50cmの距離で蝶の羽ばたきを感知できるという。
 オリンパスがMEMS技術により先端を7ナノメートルに仕上げた針を使った生物顕微鏡は、電子顕微鏡では確認が難しかった超微細な細菌やDNAの動きを観察できる。針を毎秒150万回の速さで細菌やDNAに打ち付け、針の反応や抵抗から物質の有無や形を測定する。0.1ナノメートル単位の物質も検知できるという。
 つくばの産総研の研究センターではNEDOの音頭で17企業・機関の技術者が結集し、11年度から4年間で省エネシステムを開発するプロジェクトが立ち上がった。温度や光、二酸化炭素を検知するセンサーをMEMS技術により小型化し、無線機能も盛り込み“ばんそうこうサイズ”にまとめるのが目標。クリーンルームなどに設置して、人の出入りに応じた空調制御による省エネ化を目指す。
 デジカメや自動車、スマートフォンといった既存の最終製品の小型化・高性能化に貢献してきたMEMSは、これまで考えられなかったシステム開発に道を開き、新領域への進出も可能にしようとしている。

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