2012年11月24日土曜日

エネルギーハーベスタ市場2017年に200億円へ(Yole)

海外産業動向
http://www.i-micronews.com/upload/pdf/ACMEMStrendsOct%202013.pdf
 エネルギーハーベスターの市場は、ここ5年の内に約200億円のレベルに成長すると考えられている。これを牽引するのはビルや工場向けのワイヤレスセンサネットワークシステム(WSN)の成長である。低消費電力の回路や通信技術の発展が従来のバッテリーをエネルギーハーベスタに置き換えることを可能にしている。ビル向けのWSNでは光発電、熱発電が主に用いられるのに対し、工場向けでは振動発電、熱発電が用いられている。タイヤ空気圧モニタ(TPMS)に関してバッテリー搭載型が当分続くであろうが、最終的にはMEMS振動型に置き換わると考えられる。
 出力が数十マイクロワットから数十ミリワットのエネルギーハーベスタの当面の市場予測がなされた。主要なアプリケーションはビル用WSNで特に配線不要のメリットを生かした既築ビルへのWSNの設置が伸びると考えられる。
エネルギーハーベスタといえども2次電池は必要である。新しい2次電池として薄膜2次電池やスーパーキャパシタが開発されており、その他の低消費電力用電子部品の開発も盛んで、代表的な企業としてEnOcean社はいち早くエネルギーハーベスターの事業化に先行して、さらに事業を拡大している。
 最初に実用化されたエネルギーハーベスタは電磁発電である。押しボタン式のスナップ動作で電磁誘導発電を行い、数メートル先へ電波を送ることができる。続いて商品化されたのは光発電、熱発電で配管や窓に取り付けるタイプである。
 2011年にはビル向けに200万個のエネルギーハーベスタが出荷された。ここ5年以内に出荷は10倍に増えると予想される。EnOceanはビル向けに継いで家庭用WSNの需要が増えるろみている。かつてMEMS振動発電型エネルギーハーベスタの最初のアプリと考えられたTPMSは現在のバッテリーで用をなすため、当面MEMS振動発電の出番はなさそうである。現在はTPMSはリムに取り付けられるため、自動車会社が取り付けているが、将来はさらに機能を高めてタイヤの中に取り付けられる見通しである。そうなるとTPMSはタイヤメーカが取り付けることになる。この時圧力以外に温度や他のセンサも加わってスマート化される予定で、ここでMEMS振動型のチャンスが生まれる可能性がある。また車載ではTPMSの他にエンジンの燃料消費率モニタが開発中で、ここでもエネルギーハーベスタのチャンスがある。他のアプリでは、医療用人体埋め込みデバイス、特にペースメーカーへの搭載が期待される。
 ビル向けに継いで需要が確実視されているのが、工場用WSNである。製造設備には大きな振動、高温プロセス装置が多くエネルギー源が豊富である。代表的な企業として熱電発電のMicropelt社があり、薄膜で微細加工された熱電変換素子を武器に市場拡大を図ろうとしている。伸び率という面では熱電型が最も大きいと考えられる。

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