2010年8月27日金曜日

マイクロナノ記事クリッピング2010/8/22-27

20100824 日本経済新聞 38面:匂いかぎ分けるロボット(東大)
東京大学の竹内昌治准教授と神崎亮平教授らは特定の匂いをかぎ分けられるロボットを開発した。ロボットの口に取り付けた板に、匂いをとらえる蛾のたんぱく質をつけ、におい成分の入った液体を板に流すと、たんぱく質と匂い成分がくっつき、電流が流れる。実験では4種類を区別できた。食品の鮮度検査や室内の異臭の検知など、幅広い応用が期待できる。

20100824 日刊工業新聞 22面:3次元計測装置、ナノからミリまでカバー(東工大)
ナノメートルからミリメートルまで100万倍もの広い範囲で長さを計測できる3次元計測装置を東京工業大学新野秀憲教授らが開発した。走査型トンネル顕微鏡(STM)の測定原理を使っている。従来の精密計測ではプローブ(探針)の斜め方向からレーザー光を当て、反射方向の変化で形状を読み取るが、広域計測では精度維持が難しい。本装置ではプローブの真上からレーザーを当て、プローブの揺れを上下の動きで感知し、精度を維持した。対象物を置く計測台は上部から吸い上げて、摩擦による振動の影響を受けない非接触にし、精度を維持した。横方向にはリニアモータで移動し、レーザー光で位置のズレを感知する。繰り返し精度は1.2ナノメートルとの実験結果だった。

20100825 電波新聞 4面:水晶とMEMS技術を融合、新デバイス創造(日本電波)
日本電波工業はこれまでの水晶をベースとした技術に加え、MEMS技術を組み合わせた技術ブランド「AQMEMS」を立ち上げる。シリコン半導体の微細加工技術をベースとするMEMSでは、微小な構造体を作れるとともに半導体集積回路と一体化しやすい。水晶、シリコン、ピエゾという異種材料を組み合わせための技術も蓄積し、新たなデバイス開発を目指している。

20100825 電波新聞 5面:MEMS産業最前線(三菱電機、富士電機システムズ)
三菱電機はMEMS技術によるエアフローセンサー、圧力センサー、加速度センサーといった各種車載センサーを開発・製造している。
富士電機システムはMEMSファウンドリサービスを提供しており、フォトリソグラフィー、薄膜形成、エッチング、マイクロブラスト、陽極接合、ダイシング、測定評価などを受ける。



20100825 日刊工業新聞 9面:測定精度±30パスカル、小型圧力センサー開発(エプソントヨコム)
MEMSを水晶に応用した「QMEMS」技術により、小型で高性能な圧力センサーをエプソントヨコムが開発した。センサー素子に水晶を使用し、外部温度の影響を受けにくく、水晶振動子の計測技術を活用した「周波数カウント方式」によりノイズの影響を受けにくい。気圧測定装置、水圧による水位の測定装置等、従来装置の小型化に対応した。

20100825 日刊工業新聞 24面:全光ナノスイッチ、室温動作に成功(NEDO)
室温で動作する全光ナノスイッチの開発をNEDOと東京大学大学院大津元一教授が発表した。ガリウム・ヒ素半導体にインジウム・ヒ素を埋め込み、スイッチの動作温度を300ケルビンまで高めた。シリコンと光技術を融合するシリコンフォトニクス技術に比べ、全光型の光回路は小型で高性能な回路を作ることができる。2020年をめどに、CPUやサーバー、ルーターなどに組み込み、全光型の回路の実用化を目指す。

20100825 日経産業新聞 5面:センサー部品開発加速(エプソントヨコム)
エプソントヨコムはセンサー部品の売り上げを現在の1割以下から5割に引き上げる目標を立て、親会社のセイコーエプソンから技術者を移管し、センサー部品開発を加速する。ジャイロセンサー、ジャイロと加速度センサーを組み合わせた6軸センサー、圧力センサーなどを強化する。同社のセンサー部品は水晶片をMEMS加工することで、耐衝撃性や温度変化などに強いという特長がある。

20100825 日経産業新聞 11面:市場広がる車載用電子部品(広告特集)
センサーは自動車用電子部品として重要さが増している。アクセルとスロットルポジションセンサー、ステアリングと舵角センサー、吸排気温度と温度センサー、吸気量とエアフローセンサー、空燃比とジルコニア式酸素センサー、ブレーキと車輪回転速度センサー、サスペンションとピエゾ圧力センサー、車体の姿勢制御と加速度センサー、エアバッグとGセンサー(衝撃加速度)など。振動ジャイロは回転角速度を検出し、Gセンサーとともに横滑り防止装置に、カーナビでは車の進行方向の確認に使われる。

20100826 日刊工業新聞 1面:化学チップデバイス、ガラスに40ナノ幅の溝(東大)
ガラスに最少40ナノメートル幅の溝を掘った「拡張ナノ化学チップ」を東京大学の北森武彦教授、田中陽助教らが開発した。シリコン樹脂性の同種チップでは有機材料が使えないという課題があった。半導体加工で使用するフォトレジストをガラスに塗布し、電子線を照射、その後にフッ素系プラズマを照射し溝を作る。さらに高温高圧化でガラスを張り合わせチップを作る。様々な化学反応をチップ内で起こし、ナノ領域での物性現象を観察できる。

20100826 日刊工業新聞 9面:EUV露光装置投入15年以降に、液浸に資源集中(ニコン)
ニコンは半導体露光装置として、当面はフッ化アルゴンエキシマレーザー(ArF)を光源とした液浸方式の技術改良に集中し、極端紫外線(EUV)露光装置は15年以降となることを明らかにした。EUVは光の波長がArFの10分の一以下で、シリコンウエハー上の回路の線幅を細くでき、半導体メーカーからの要望が強い。露光装置で1台50億円以上といわれる先端装置開発を手掛けるのはオランダASMLとニコンの2社、ASMLは10年にEUV露光装置の試作量産機、12年に量産機を出荷する計画で、ニコンは差をつけられている。ニコンはArF露光装置のニーズがまだ強いことと、技術改良による回路線幅微細化に期待をかけている。

20100827 日経産業新聞 11面:わずかな温度差で発電、衣服・家電に応用へ(九州工業大)
室温レベルのわずかな温度差による発電に有望な熱電変換材料を、九州工業大学の宮崎康次准教授らが九州大学と共同で開発した。ビスマス・テルル合金に直径数十ナノメートルの穴を多数あけると、熱が伝わりにくくなり、材料の両端の温度差を保ちやすくなり、熱電変換効率が高まる。実験では新材料は効率が2.5倍になった。熱電変換素子は温度差が大きい個所に取り付け発電していたが、新材料が実用化すれば衣服や携帯電話等様々な製品に応用が期待できる。

20100827 日刊工業新聞 8面:3軸加速度センサー、厚さ1㎜実現(大日本印刷)
大日本印刷はファウンドリ事業の一環として、厚さ1㎜で樹脂パッケージによる低コスト化した3軸加速度センサーを開発した。制御ICとMEMSチップをスタックしている。携帯電話やゲーム機の需要を見込んでいる。MEMSファウンドリサービスでは圧力センサーやジャイロセンサーの受注実績を上げているが、生産能力拡充のため6インチウエハーから8インチラインへシフトを推進している。

20100827 電波新聞 10面:MEMSファウンドリ事業、月次売上3億円計画(日立原町電子工業)
日立原町電子工業(茨城県日立市)は日立製作所向け半導体が売上の8割を占めるが、12年にMEMSファウンドリ事業で月次売上3億円を目指す。耳式体温計用赤外線センサー、血液の状態観察用シリコンチップ流路に加え、MEMSミラーやスキャナなど光デバイスを目指す。

20100827 電波新聞 10面:MEMS産業最前線(大日本印刷、オリンパス)
大日本印刷はMEMSファウンドリ事業を展開し、試作・プロセス開発・量産検証サービスを提供している。シリコン貫通電極形成技術にも注力している。
オリンパスはファウンドリサービスと並び、走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーの開発製造に注力している。東京大学とパナソニックが共同開発した3軸触覚センサーの用途開発にも取り組む。

2010年8月20日金曜日

マイクロナノ記事クリッピング2010/8/16-20

20100818 日経産業新聞 5面:シリコン発振器販売、車載電源など向け(リニアテクノロジー)
シリコンを微細に加工した発振器をアメリカ半導体メーカー、リニアテクノロジーの日本法人が発売する。水晶発振器に比べて、高温・低温、振動の大きな環境に耐え、車載や産業機器に適す。

20100820 日本経済新聞 1面:携帯・医療・車向け先端電子部品、日本勢14社共同開発
日立、オムロン、パナソニック電工、三菱電機、大日本印刷など14社は、産業技術総合研究所が設置するシリコンウエハーを微細加工する先端生産設備を使い、高性能電子部品としてMEMSを共同開発し、製造ノウハウを蓄積する。MEMSはセンサーとして用いられ、需要が拡大しているが、製造技術では欧米勢が先行し、生産コストが5割以上低いとみられる。日本企業の生産ラインは直径100㎜のシリコンウエハーを使っているが、欧米と同様の200㎜ウエハーに移行し、生産コストを互角とする。

20100820 電波新聞 4面:工業用インクジェット向け、タムラが絶縁材料
基板へ直接描写可能な工業インクジェット向け絶縁材料をムラタ製作所が開発した。インクジェット技術はフォトリソグラフィプロセスと比較して、材料使用量が少なく、薄く小さなものへも印刷が可能、工程数が少なくエネルギー消費も少ない等、メリットが多いため、絶縁材料の需要伸びに期待している。新たに開発した樹脂により、150度で硬化し、70度の加熱で粘度を保持できる。20μメートル程度の膜厚の絶縁膜を形成できる。

20100820 日経産業新聞 1面:GPS活用、近くの友人と交流、年内に日本語版(米、フォースクエア)
位置情報を使った交流サイト、フォースクエアが年内に日本語サービスを開始する。フォースクエアはGPS搭載の携帯電話を活用し、自分がいる場所を登録すると、近隣の友人の携帯にその場所を表示する。近くにいる友人が集まりやすくなる。利用者は世界で260万人という。企業連携も活発になっており、立ち寄る場所に指定されることによる集客効果を狙い、フォースクエア利用者に特典を与えるなど、活用されている。

20100820 日刊工業新聞 4面:レーザー加工でテーパーなし、穴あけ直径40μ(レーザージョブ)
レーザーによりテーパーなしで直径40μmの穴あけ加工技術をレーザージョブ(埼玉県戸田市)が開発した。直径100μ以下の穴あけはドリルなどの機械加工が主だが、レーザー加工では歩留まりの良さや脆弱材の加工にメリットがある。しかし、穴にテーパーができ、仕上がり調整が課題だった。

2010年8月13日金曜日

マイクロナノ記事クリッピング2010/8/9-8/13

20100811 日経産業新聞 4面:センサー拡充、産業機器向け、小型で安く(東京計器)
東京計器は産業機器向けのセンサーを拡充し、低価格・小型のジャイロセンサーや加速度センサーを投入する。ジャイロセンサーは高性能化・小型化に向く光ファイバー方式を用い、価格は従来の半額程度という。道路や上下水道管の掘削という建設機器の需要を見込む。加速度センサーもMEMS技術により小型化し、価格も10万円程度とした。中級の地震計などに向けて売り込む。

20100813 日経産業新聞 3面:100億分の1メートルまで精密計測、米社製センサー発売(東陽テクニカ
東陽テクニカは100億分の1メートルレベルまでの精密測定ができる非接触変位センサーを発売する。アメリカのMTIインスツルメントの製品で、電子機器や自動車など幅広い分野の研究や検査の需要を見込んでいる。2種類あり、静電容量式は半導体ウエハーや自動車のブレーキロータの厚みの測定に、光ファイバー方式はガラスや複合材、液体の測定に対応する。

20100813 日経産業新聞 5面:高齢者の安否をセンサーで感知(法政大学ほか)
寝具の下やトイレの床マットに設置したセンサーが人の動きを感知し、一定時間反応がない場合に家族や病院に自動音声で電話連絡する、高齢者の安否確認システム「”見守り“くん」を法政大学工学部渡部嘉二郎教授とデンケン(立川市)が開発した。

2010年8月6日金曜日

マイクロナノ記事クリッピング2010/7/28-8/6

20100728 電波新聞 5面:第21回マイクロマシンMEMS展、今日から3日間、東京ビッグサイトで開催
第21回マイクロマシン/MEMS展が7月28~30日に東京ビッグサイトで開催される。「ROBOTECH-次世代ロボット製造技術展」「SURTEC2010」も同時開催され、305社が出展する。MEMSに係る広範な分野の技術・製品が展示される。今年3年目を迎える研究開発事業「BEANSプロジェクト」の成果発表が注目され、就活応援プラザも設置される。MEMS市場は車載用センサー、HDDの落下検知用センサー、MEMSマイクロフォン等民生分野が拡大している。製造技術ではデバイス接合技術で多様化が進む一方、シリコン貫通電極が注目されている。

20100728 電波新聞 4面:最小クラスのRF-MEMSスイッチ、次世代携帯電話用(オムロン)
オムロンは次世代携帯電話やモバイル機器の高周波回路に使用される、世界最小クラスのRF-MEMSスイッチを開発した。高Q値を実現し、ノイズやバンド間干渉を低減したフィルター切り替えが可能。

20100728 日経産業新聞 1面:MEMS圧力センサー、高さ計測、精度2倍(オムロン)
オムロンは高さの測定精度を2倍に高めたMEMS圧力センサーを開発した。上下1mの位置変化を判別でき、カーナビに搭載して自動車が坂を上って高速道路に入るのを検知、セキュリティ機器に搭載し人が建物の何階にいるのか検知する等の需要を見込む。圧力センサーは砂粒大のチップの中に真空の空洞部分を形成し、圧力変化を圧電素子で検知する。

20100728 日刊工業新聞 9面:方位誤差60%減、スマートフォン用電子コンパス開発(愛知製鋼)
愛知製鋼は方位誤差を60%低減し0.6度としたスマートフォン用電子コンパスを開発した。集積回路やソフトウェアの性能向上により実現した。

20100730 日刊工業新聞 1面:国際電気標準会議を日本招致(2014年)
経済産業省は国際電気標準会議(IEC)の2014年大会を東京に招致する。安全・安心、環境・エネルギー、社会インフラの三つをコンセプトとし、東京国際フォーラムを主会場として開催する。日本はIEC大会を65年、83年、99年に開催している。

20100730 日経産業新聞 1面:手首センサーで行動判別、高齢者の見守りサービスに応用(NTT)
NTTはブレスレット状の装置を手首につけ、人の行動を判別する技術を開発した。装置には加速度、照度、方位などのセンサー、カメラ、マイクを備える。センサーで手の動きを、カメラで手に持つ物体を、マイクで道具の出す音を捉え、コンピュータに送り、あらかじめ蓄積した普段の行動データと照合する。実証実験では15種類の行動を8~9割の精度で判別できた。まず高齢者の見守りサービスで実用化を目指す。

20100804 日本経済新聞 11面:米ナノテクVB買収、液晶用素子安価に(帝人)
帝人はアメリカ・ナノテクベンチャーのナノグラム(カリフォルニア州)を完全子会社化した。ナノグラムはシリコンをインク状に加工する技術をもち、インク状シリコンは印刷により薄膜太陽電池や液晶ディスプレー向けの半導体素子の安価製造が期待される。従来の半導体素子はガラス基板にシリコンの薄膜を焼いて定着させるが、印刷だとシリコン薄膜を作る真空装置が不要となる。また、ポリカーボネート製の樹脂基板にインクを印刷して半導体を製造でき、重量減少とフレキシブル型が可能となる。

20100805 日経産業新聞 4面:電子顕微鏡分解能1.3ナノ、メモリー回路向け(日立ハイテク)
分解能が1.3ナノメートルの走査型電子顕微鏡を日立ハイテクノロジーズが開発した。倍率は100倍から200万倍まで。同一パターンが繰り返されるメモリー回路の観察で、画像処理により対象領域を絞り込むソフトウエアも開発した。

20100805 日経産業新聞 4面:エネルギーハーべスティング、振動や熱、微小電力に変換
振動や熱などを微小な電力に変換するエネルギーハーべスティング技術を活用した電子部品の普及が始まった。この技術の応用先は無線でデータを送るセンサーやスイッチで、電池が不要となり、自由な位置に設置できることから活用分野の拡大が期待されている。5月に村田製作所やパナソニックエレクトロニックデバイスなど国内10社以上が参加するコンソーシアムが設立されたが、普及活動では海外が先行している。ドイツ・シーメンス系のベンチャー企業エンオーシャンは2008年にエネルギーハーべスティングを利用した無線機器の普及を図る団体を設立し、欧米の企業150社が参加している。エンオーシャンが提供するのは振動を利用した発電部品だが、同社の狙いはスイッチやセンサーのデータ交換の信号情報や手順の標準化で、世界各国の市場を開拓している。今後、電子部品の開発力を発揮して、日本が標準化の加速や普及戦略を高める事が期待されている。