2014年6月29日日曜日

病気 半導体で早期発見、微量な原因物質検出可能に

20140629日本経済新聞19面

 半導体技術が医療を変えようとしている。わずかな電気信号の変化から病気の原因物質を捉える研究、体に貼ったチップで日々の健康状態をチェックする構想が進んでいる。豊橋技術科学大学の沢田和明教授は半導体センサーを使って、簡単に自宅で血液からアルツハイマー病の原因物質を検出できる技術を開発している。早稲田大学の逢坂哲哉教授らも半導体センサーを使って同様な検知やインフルエンザの検知を研究している。酸性・アルカリ性を示す水素イオン濃度(PH)を測るセンサーも開発し、歯に貼って虫歯の治療に生かす計画もある。皮膚に半導体を貼り、無線装置との組み合わせで、血圧や脈拍、血糖値などのデータをスマホに送信すれば、インターネットを通じて病院に送り主治医の指示を仰げる。医療機関の期待は高いが、実用化には血液の成分を流れやすくするほか、病気の原因物質と結びつきやすい抗体の開発が必要である。

2014年6月27日金曜日

触覚ディスプレイー、静電気で指にざらざら感(NLTテクノロジー)

20140627日経産業新聞6面

 産業機器用液晶メーカーのNLTテクノロジーは、画面の特定部分に触れると、静電気の振動により、ザラザラした感触が得られる触覚ディスプレーを開発した。通常の液晶パネルにITO(酸化インジウムすず)を使った透明電極基板を重ねた構造で、縦横方向に電極線を配置し、縦と横の電極に異なる周波数の電流を加えることで、周波数の差分によりうなり現象が起きる。200ヘルツ近辺の周波数が最も触感が得られる。視覚障害者向けや車載向けを目指している。

2014年6月26日木曜日

関西積乱雲プロジェクト、センサーネットワークシステム、一貫サービスを提供

20140626電波新聞3面

 関西に本社を置く5社(東亜無線電機、日新システムズ、ベルチャイルド、木幡計器製作所、ニック)とカナダのコージェントリアルタイムシステムズの6社が集まり、センサーで取得した情報をクラウドにあげるセンサーネットワークシステムの開発を共同で推進している。既に燃料電池、風力・潮力発電、ボイラー保守などの遠隔監視に採用されている。各社の技術を持ち寄り、センサーからM2M、クラウドサーバーまで一貫したサービスを提供している。

2014年6月23日月曜日

センサー、3大市場で需要伸ばす、信頼性や高機能化高精度化などに向け、新製品開発が加速

20140623電波新聞4面

 自動車、スマホ・タブレット、環境・エネルギーの3大市場でセンサーの需要が伸びている。自動車では、温度センサーとして吸気温センサー、燃料噴射センサー、燃焼圧センサー、油圧センサー、排気温センサーが搭載されている。カーエアコンでインカー、アンビエント、ダクト、アオウトドア、エアポレータ等でサーミスタが使われている。HEV、PHEV、EVではモーターの加熱保護用や電池保護用など新たな需要が生まれている。スマホ・タブレット用では電子コンパス用3軸地磁気センサー、加速度センサーと組み合わせたモジュールセンサー、近接センサー、照度センサーが。エネルギー用では、HEMS・BEMSに向けセンサーが検知した情報をネットワークで送信するシステムの開発が進み、太陽光発電システムでは、ホール素子による電流センサーの開発が活発。

2014年6月20日金曜日

低コスト簡易測定、半導体センサーで高精度(東京大学、広島大学)

20140620日刊工業新聞27面

 東京大学大学院工学系の坂田利弥准教授、広島大学大学院の柳瀬雄輝助教らは、半導体バイオセンサーによりアレルギー反応を簡易に調べられる測定手法を開発した。アレルギー患者では、抗原のアレルゲンを見つけた肥満細胞がヒスタミンを分泌するが、ヒスタミンが半導体表面の水酸基から水素イオンを奪う性質を利用し、半導体表面の電荷状態の変化で検知する。精度が高く定量測定に適している。

2014年6月17日火曜日

弾性振動を電気制御、MEMS技術利用、フォノニック結晶作製(NTT)

20140616日刊工業新聞15面

 NTTはMEMS技術を使ったフォノニック結晶を作成し、弾性振動、いわゆるフォノンの伝搬を電気的に制御することに成功した。フォノンの制御により、MEMSセンサーの検出感度を高められるほか、熱の流れを電圧で変調する熱機能人工材料などの開発に役立つ。振動特性の電気的制御が可能なMEMS共振器をフォノニック結晶の基本素子として使い、フォノンの伝搬を電気的に制御した。移動通信端末で使われる表面弾性波フィルターなどの高周波信号処理システムなどの多機能化、高性能化が期待される。

ナノインプリント、原子大の加工に成功、アクリル樹脂に型押し(東工大など)


20140616日刊工業新聞15面

 東京工業大学大学院の吉本護教授らはナノインプリントでアクリル樹脂に原子サイズの加工を施すことに成功した。段差が0.3ナノメートルと微細化、電子ビームなどに比べて安価に加工でき、大面積にも対応することから、フレキシブル電子デバイスや有機太陽電池などで幅広く活用できる可能性がある。

2014年6月12日木曜日

シリコン半導体発振器、周波数精度「水晶」並み、CMOSに変動補正回路、3分の一に小さく(東芝)

20140612日刊工業新聞19面

 既存の水晶発振器に匹敵する精度のシリコン半導体発振器を東芝が開発した。水晶発振器に比べて約3分の一の小型化が見込め、他の部品との一体集積化が可能となる。開発したのは既存の半導体プロセスで作れるCMOS半導体発振器で、温度による周波数特性変動に対応するため、出荷時に素子の温度をテストするためのオンチップヒーター、温度計、周波数特性を補正するためのそれぞれの回路を構成した。温度領域毎に細かく特性を補正する事で水晶発振器並みの100ppm以下の周波数精度を持ち、2メガから40メガヘルツの周波数領域に対応し、40ヘルツ刻みで周波数を設定できる。現在発振機市場は年3400億円規模で水晶発振器が90%以上を占める。水晶発振器は水晶の物理的な大きさで発信朱端数が決まり、5立方ミリメートル程度が小型化の限界とされている。MEMS発振器やセラミック発振器も小型化の要求を満たしきれていない。CMOS発振器は1平方ミリメートル以下の小型化が見込める。

2014年6月8日日曜日

橋のボルト、緩み検知センサー開発、点検費用、大幅抑制(ミネベア)


20140608日本経済新聞7

 橋の部材をつなぐボルトの緩みを検知し、劣化の進行を監視するセンサーをミネベアが開発した。センサーの計測値は無線で送信し、点検費用を大幅に抑制する。金属の歪を検知する環状のセンサーを、橋の建設時にボルトに挟み込む。締り具合を日々定期的に計測し異常を見つける。橋関連センサーで2017年度に5億円の売り上げを目指す。