2013年7月31日水曜日

次世代半導体製造向け露光装置、生産効率高め巻き返し(ニコン)

20130731日経産業新聞4面

 次世代半導体製造向け露光装置でニコンが競合するASMLとは異なる技術で受注を獲得している。ニコンが手掛けるのは「Arf液浸露光」という技術で、波長が193ナノメートルの光源「Arf」を使用し、回路原版(フォトマスク)の回路をレンズで集光しウエハーに転写する際に、レンズのウエハーの間を純水で満たして集光性を高めるもの。純水を使う事で屈折率を1.44まで高める事が出来、微細な回路をウエハーに焼き付けられる。ニコンはこの技術による露光装置をインテルなどから受注。現在主流の直径300ミリから450ミリへの大型化に対応し、2015年に試作機、17年には量産機を出荷する。ASMLは波長が13.5ナノメートルとArfの10分の一以下の極紫外線(EUV)を使った装置の開発に力を入れているが、まだ次世代ウエハー用の装置では受注していない。ニコンは1990年代にウエハー大口径化への移行時に技術面でASMLに後れを取りシェアを大きく落としたが、今回は奪還を狙っている。

2013年7月29日月曜日

EmiSense Technologies社(米):自動車用PMセンサ開発、実用化へ期待


米ベンチャー企業EmiSense Technologies(カリフォルニア州)は、米VC9th Street Capitalによる6.5 million US$の投資を受けて、すすなどの粒子状物質をリアルタイムで探知するPM-Trac® センサを開発した。これまで、灰が電極に蓄積することにより、PMセンサの耐久性が課題となっていた。低コスト化や、応答速度、精度、耐久・耐衝撃性の向上が進んだことで、排ガス規制が強まる自動車等の分野での実用化が期待される。同社は、商業化に向けたパートナーを2014年春先までに選定する。

 





2013年7月25日木曜日

MEMS技術でセンサー開発へ(山形県工業技術センター)

20130725日刊工業新聞35面

 山形県工業技術センターはMEMS技術を活用した二酸化炭素濃度や風量を測定するセンサーの開発に着手する。電子回路を含めた小型にも取り組み、工場の空調管理の最適化を目指し、2015年度末までの計画で進める。

羽毛より軽い半導体センサー、東大が開発

20130725日本経済新聞38面

 東京大学の染谷隆夫教授らは、羽毛より軽く、厚さが2マイクロメートルで、ラップフィルムのように柔らかな半導体センサーを開発した。特殊溶液に浸した1マイクロメートルの高分子フィルムに電気を流し、2層の絶縁層を均一に形成した。肌に貼り付けても装着感が無く、体温や心拍数、血圧などの測定器への応用が期待される。

2013年7月24日水曜日

MEMSディスプレー、動画滑らか、IGZO技術で量産へ(シャープ)

20130724日経産業新聞4面

 シャープがクアルコムと共同開発するMEMSを使った新しいディスプレーの実用化にめどを付けた。得意のIGZO技術を応用し、動画表現力に優れており、5月に試作品を完成させた。MEMSディスプレーはバックライトに発光ダイオード(LED)を使い、バックライトの順次発光する3原色の透過量を0.1~0.2ミリメートル角のシャーターで微調整して、表現したい1色を作り出す。液晶は60ヘルツの電流で駆動しており動きの速い動画では映像がぶれるが、シャッターは1秒間に1000回以上開閉し、液晶を300ヘルツで駆動するのに相当する。シャッターを制御する回路の材料に半導体酸化物であるIGZOを使用し、シャッターの高速制御と大画面化を実現した。試作したディスプレーは7型のサイズで1280x800の約100万画素。同社は量産技術を2014年末をめどに確立する。

2013年7月23日火曜日

高精度地磁気・加速度センサー、モジュール化、小型に、米VBに出資、開発(アルプス電気)

20130723日経産業新聞4面

 アルプス電気は米ベンチャー企業エムキューブ(カリフォルニア州)に約1億円を出資し、自社の地磁気センサーとエムキューブの加速度センサーをモジュールにして小型化した新製品を開発した。6軸の検知で移動方向の精度を高めた。これまでは各センサーを組み合わせるケースが多く、開発工程が複雑だった。

2013年7月22日月曜日

慣性計測ユニット2種、検出範囲など向上(セイコーエプソン)

20130722日経産業新聞4面

 セイコーエプソンは産業向け慣性計測ユニット2機種を開発した。M-G352はジャイロセンサーで1.5倍、加速度センサーで2倍の検出範囲を実現し、無人探査機や飛行機、自動車など大きな動きを伴う機器の姿勢制御に役立つ。M-G362は安定性を2倍に高め、ブレや振動の少ない安定した静止状態が要求される業務用カメラや地上設置型アンテナに向く。

2013年7月19日金曜日

針でつつくと結晶構造変化、高感度センサーに応用(北海道大学)

20130719日経産業新聞10面

 北海道大学の伊藤肇教授らは、結晶の一部を細い針でつつくと結晶構造全体が変わる現象を発見した。高感度センサーへの応用が期待される。金と窒素を含む新しい有機化合物を合成し、有機溶媒に溶かした後に溶媒の一部を蒸着させて化合物の結晶を作った。結晶を直径0.1ミリメートルの針でつつき刺激を与えると、紫外線で青く光っていた結晶が黄色く光り始め、黄色の領域は徐々に広がった。結晶中の一部の変化が連鎖的に広がった。この現象を使い、分子1個の変化を読み取る超高感度センサーの開発が期待される。

微弱振動⇒電気に変換、技術普及に組織(東大など)

20130719日刊工業新聞21面

 東京大学大学院鈴木雄二教授、オムロン、旭硝子など6者は、半永久的に電荷を保持できる絶縁体(エレクトレット)を用いて微弱振動を電気エネルギーに変換する技術の普及を目指したコンソーシアム「エレクトレット環境発電アライアンス」を設立した。東大が基礎研究・機構解析を、オムロンが設計・製造を、旭硝子が材料の製造を、他3者が電子回路の製造や生産を担当する。

2013年7月12日金曜日

運動エネルギーのハーベスティング(収穫):日常の人間の動きがモノのインターネット(IoT)のエネルギー源になるかもしれない

http://www.extremetech.com/extreme/161079-kinetic-energy-harvesting-everyday-human-activity-could-power-the-internet-of-things
 
 コロンビア大学の研究チームが日々のありふれた動き(歩く、鉛筆で書く、棚から本を取る、ドアを開けるなど)から運動エネルギーを収穫する研究を行った。驚くべきことに、座ったままの生活を送っている人々を除いて、日常生活の動作からノートPCやスマートフォンとの無線ネットワークを接続するのに十分なエネルギーの収穫が可能であることがわかった。
 エネルギーハーベスティングは将来のウェアラブルコンピューティングとモノのインターネット(IoT)において重要なエネルギー源になると予想されている。基本的な構成として、重りをばねに取り付けて、圧電物質やMEMSにより機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する。人間の動きが周期運動の場合、上下、前後、内外といった反復的な動きからエネルギーを収穫することができる。鉛筆で書く、引き出しを開けることにより5マイクロワット、歩くことにより100~200マイクロワット、モノを故意に振ることで3000マイクロワット(3ミリワット)のエネルギーを取り出すことができる。
 将来は運動エネルギーの収穫と電波エネルギー収穫が協調する形で、電池レスのモノのインターネットが驚くほど適用され始めるであろう。
(調査研究・標準部 出井敏夫)

シリコンで超小型レーザー(大阪府立大や京大など)

20130712日経産業新聞10面

 シリコンで出来た超小型レーザーを大阪府立大や京都大学、科学技術振興機構(JST)が開発した。米インテルが試作している最先端シリコンレーザーと比べて大きさと消費エネルギーを1万分の1以下とした。光を閉じ込めたり増幅するフォトニクス結晶をレーザーの発生装置に使い、シリコン基板に穴を開けるだけで作れる。これまでのシリコンレーザーは消費電力が大きかったが、実用化には消費電力を下げる必要があった。

電流センサー小型化、磁性コア材不要(アルプス電気)

20130712日刊工業新聞8面

 アルプス電気は磁気素子を搭載し、磁性コア材を不要とし小型化した電流センサーを発売する。サイズは13.4x15.7x7.2ミリメートル、重さが3グラム、サンプル価格は1500円。インバーター、パワーコンディショナー、サーバー用電源用途を目指している。

2013年7月9日火曜日

圧縮空気流量センサー、低価格品投入(オムロン)

20130709日刊工業新聞8面

 オムロンはコンプレッサーの空気使用量や空気漏れを計測するエアー流量センサーを発売する。MEMS素子を搭載しエア流量が毎分50リットル以上で±2%、50リットル以上で±0.5%の精度で計測可能。エア流量200リットルタイプで価格は3万4千円。

小型・高精度気圧センサー(オムロン)

20130704日刊工業新聞11面

 オムロンは50センチメーターの高低差を気圧変化で測定できる「絶対圧センサー」を発売する。CMOS回路とMEMSセンサーを1チップに集積した。活動量計やスマートフォン向け需要に期待している。