2013年2月25日月曜日

肌にペタッ体温発電、シート開発、医療機器などに応用(富士フィルム)

20130225日本経済新聞夕刊1面

 人間の体温と外気との温度差で発電する、導電性高分子の樹脂性シートを富士フィルムが産業技術総合研究所と共同で開発した。厚さが0.4ミリメートルと薄く、柔らかいので体は服に張り付けて携帯機器の補助電源として使える。ハガキほどの大きさで数ミリワットの発電能力だが、改良してさらに高める。心拍や血圧を24時間測る健康メーターの電源を有望な用途としている。テレビの熱、浴室の蒸気、日があたるカーテン、自動車なども発電源となる。5年以内の製品化を目指す。

2013年2月21日木曜日

血中がん細胞、プラ基板で簡単検出、肺がん患者で実証(産総研など)

20130221日刊工業新聞27面

 プラスチックの基板に微細な穴を開け、血液中のがん細胞を検出する手法を、産総研バイオマーカー解析研究グループの片岡正俊研究グループ長と名古屋大学が開発した。基板は直径100マイクロメートル、深さ50マイクロメートルの穴を約2万個配列し、基板表面は疎水性、穴の底は親水性に処理してある。血液から白血球を取出して基板の上に流し込み、次いで生理食塩水で表面を洗浄すると、穴の底に細胞が単層に配列される。単層配列によりがん細胞を見分ける染色作業が簡単になり、コスト面で有利という。がんの新たな診断法への応用、ウイルス感染を調べる血液検査への応用も期待される。

2013年2月18日月曜日

永久磁石動かさず発電、模擬実験、センサー向けに期待(原子力機構)


20130218日経産業新聞11面

 永久磁石を置くだけで発電できるという新原理を、コンピューターシミュレーションで日本原子力研究開発機構が突き止めた。シミュレーションによれば、磁性材料のそばに永久磁石を置くと、磁性材料の中にある原子の磁石(スピン)の向きが上下で入れ替わる「磁壁」が動いて交流電圧を生む。狭い領域内で磁性材料を渦巻き状や短冊状に細長くすれば数十分間発電できる。磁性材料の近くに200~4000ガウスの永久磁石を置くと、電圧数十マイクロボルト、0.05ギガヘルツの交流の電気を発生する。1立方センチメートル代の素子で、数十マイクロボルトで数十分、数十ミリボルトで数秒発電できると見積もっている。

2013年2月17日日曜日

Second Sight Medical products(米):世界で初めて埋込み型人工網膜がFDAから承認される

海外産業動向
http://www.nature.com/news/fda-approves-first-retinal-implant-1.12439
 米Second Sight Medical Products社(SSMP)の開発した人工網膜Argus ⅡRetinal Prosthesis System (Argus)は網膜の病気で失明した人の目へ埋め込んでカメラからの外界情報を送信して外界を見れるようにするシステムである。今回日本の薬事に相当する米FDAから認証されたので実用できることになった。
 Argusの構成は図にあるようにカメラが内蔵されたメガネと送信システム、目の裏に埋め込む人工網膜は受信アンテナと神経に接触する電極アレイ(60電極)から成る。カメラが捉えた画像情報は人工網膜へ送信され電極から視神経へ送られ脳が画像情報を認識するというシステムである。
 現行システムは外付けカメラを用いているが、次世代Argusでは、埋め込み人工網膜の中に1500個のフォトダイオードが形成され、カメラつまり外部の装着部品が不要になるタイプで、現在臨床試験中である。


2013年2月9日土曜日

BodyMedia社(米):アームバンド型活動モニター開発

海外技術動向
http://www.engadget.com/2013/01/06/bodymedia-core-2-fitness-armband/
 BodyMedia社はウェアラブル活動モニターを扱うベンチャー企業である。既に2012年腕に巻き付けるアームバンド型の活動モニターを開発した。2013年のCESではさらに小型でセンシング機能、通信機能を充実させた活動モニタを発表した。
内蔵されるセンサは、体温、体から発する熱流束、発汗状態、3軸加速度、心拍(アタッチメント要)で、これらを連続モニターし、データをブルートゥースでスマートフォンへ送る。これらのデータから活動状態、健康状態を判定、あるいはアドバイスを送るアプリケーションがあり、使用者はそれに基づいて日常生活を改善する目安を知ることができる。
同社によると糖尿病予防のための生活習慣改善やダイエット促進にも、高い効果が期待できるとのことである。


2013年2月8日金曜日

たためる「布製」電子機器、ハンカチのキーボード、IC入り敷物

20130207読売新聞夕刊7面

 産業技術総合研究所の実験室、ハンカチのような布をキーボードとしてパソコンにつないでいる。布には圧力センサーの糸が格子状に織り込まれ、上から押すとセンサー糸の断面がゆがみ、その部分の静電容量が変化することで位置を検出する。糸の表面には導電性ポリマー塗ってある。センサー糸を機織り機を使って布を織ることができる。
 福井県工業技術センターでは、ICチップ塗装受信アンテナ、回路等で出来たICタグを織り込んだ布を作成し、介護支援の実証実験を行っている。床に敷いたICタグ入り布と車いすに付けた小型装置(リーダー)との間で信号を送受信し、入所者の動きを検知する。布を敷くだけなので簡単に設置できる。

2013年2月7日木曜日

車載向け電流センサー、薄く小型に、来秋めど出荷(アルプスGD)

20130207日経産業新聞7面

 アルプス電気の子会社アルプス・グリーンデバイスは、磁気ヘッド技術を活用し、GMR(巨大磁気抵抗)素子を使った電流センサーを開発した。体積は従来の1/6以下となり、HEMS(住宅エネルギー監視システム)や産業用蓄電システムに加え、車載向けを1014年10月から出荷する。矢野経済研究所によると世界の車載向け電流センサー市場は2020年に548億円の見通し。

シルバー市場に挑む、歩行支援、ロボ寄り添う、腰に装着アシモの技(ホンダ)、二輪車にジャイロ転倒防ぐ(村田製作所)

20130207日経産業新聞1面

 社会の高齢化が進む中で高齢者向け市場が生まれつつあり、センサーを活用した介護・福祉関連機器が開発されている。ホンダはアシモの技を生かし、リズム歩行アシストは、ベルトの様に腰に巻く「腰フレーム」と膝上に装着する「太ももフレーム」で構成し、センサーで足の動きを検知し、必要な力を計算してモーターを制御し、太ももに力を与えている。村田製作所が試作した電動歩行アイスト車は、モーターを内蔵した二輪車から伸びたハンドルを両手で握って歩く。組み込まれたジャイロセンサーが角度や速度を認識し、タイヤを自動回転させてバランスを取り、転倒を防ぐ。

2013年2月5日火曜日

オリンパスのカプセル内視鏡、欧州など20カ国超で新型、8時間で画像6万枚撮影

20130205日経産業新聞16面

 オリンパスは飲みこんで小腸の動きを記録し、撮影画像を無線で飛ばして診断する、カプセル型内視鏡の新製品を欧州など20か国で発売する。直径11ミリメートル、長さ26ミリメートルのカプセルで、カメラや照明を内蔵し、小腸内で1秒間に2枚、約8時間で6万枚の画像を撮影する。患者はアンテナなどの受信機を体に取り付ける。日本では薬事申請中で発売日は未定。

磁気センサー開発・生産、愛知製鋼と提携(ローム)

20130205日刊工業新聞9面

 ロームは愛知製鋼と提携し、「MI素子」と呼ぶ高性能磁気検出センサーの技術供与を受けて自社生産し、モバイル機器向けなど次世代複合センサーも共同開発する。MIセンサーは特殊なアモルファスワイヤを使い、現在主流のホール素子に比べて感度が1万倍高い。MEMSセンサーの米国子会社であるカイオニクスの技術と組み合わせ、複合センサーを開発する。

2013年2月4日月曜日

磁気抵抗センサー事業、NECから買収、車載向け活用(村田製作所)

20130204日経産業新聞4面

 村田製作所はNECから磁気抵抗(MR)センサー事業を買収する。NECのMRセンサーは折り畳み式携帯電話の折り畳みを検知するのに使われているが、村田製作所はセンサー事業強化の中で車載や産業機器向けに活用する方針。