2012年12月28日金曜日

熱電発電部品、出力10倍超、排熱を利用、実用化実験(昭和電線)

20121228日経産業新聞9面

 炉などの排熱を活用する熱電発電の実証実験を昭和電線が始める。従来品に比べて単位面積当たり出力を10倍に高めたデバイスは、15センチメートル四方で厚さが数ミリメートル、最高出力48ワット、年間発電量は340キロワット時を見込む。実証実験は三重事業所の電線製造設備の炉の壁面に熱電発電デバイスをタイル状に張り付け、出力や耐久性を試験する。13年中にも製鉄所などにサンプル出荷を始める。

無線センサーネットワーク、新型10機種追加、環境情報を見える化(セイコーインスツル)

20121228電波新聞5面

 セイコーインスツルの無線センサーネットワーク「ミスター省エネ」は、温度、湿度、照度、CO2などの各種センサーを内蔵したノード(子機)と、ノードの測定データを受信するベース(親機)、中継に使うルーターで構成されている。特定小電力無線をデータ送受に使用し配線が不要。新製品10機種を来年2月から出荷する。

2012年12月25日火曜日

タンパク質・DNAで部品、混ぜるだけで微小機械(情報通信研究機構など)

20121225日経産業新聞7面

 情報通信研究機構と東京大学は、DNAとたんぱく質を混ぜて、DNAが接着剤の役割を果たし、部品となるたんぱく質の並べる順序や間隔を調節し、分子サイズの微小機械を組み立てる技術を開発した。実際に生物の細胞でモーターの役割をしているたんぱく質を複数つないで微小機械を作り、たんぱく質が複数集まってお互いが活発化し、モーターとして能力が高まるタイプがあることが分かった。

高純度SiC微細加工、光学素子金型に応用(理研・慶大・日進工具)

20121225日刊工業新聞1面

 耐熱性が高いが非常に硬く、加工が困難だった高純度炭化ケイ素(SiC)を、高精度に微細加工する技術を、理化学研究所の片平和利研究員、慶応義塾大学の小茂鳥潤教授、日進工具が開発した。多結晶ダイヤモンドを使った直径0.2マイクロメートルの微小切削工具と、ナノメートルの精度で位置決めできる加工機の技術を組み合わせた。直径500マイクロメートル、深さ50マイクロメートルの穴を加工できる。ガラス製の微細光学素子向けの金具などへの応用が期待される。

2012年12月24日月曜日

STMicroelectronicsとPNI社のモーションセンサ:任天堂新製品Wii UTMに採用決定

海外産業動向
http://www.i-micronews.com/news/STMicroelectronics-PNI-Sensors-are-selected-Nintendo’s-Wii,9841.html
  STMicroelectronics(STM)とPNI社は任天堂の新製品Wii UTMのモーションセンサに同社の加速度センサ、地磁気センサ、信号処理ASICが採用されたことを発表した。ゲーム機の動作検出に地磁気センサが用いられたのは初めてで、さらに精度の高い動き検出が可能になる。
 任天堂の役員は言った。「さらに楽しいゲームができるような先端センサの開発をSTMと共同で行った。その結果従来にない革新的なゲームが行えるようになった」
 STMの副社長は言った。「任天堂との共同開発によりさらに画期的なゲームの開発に貢献できた」

米Qualcom社:MEMSディスプレイでシャープと提携

海外産業動向
http://www.i-micronews.com/news/Qualcomm-subsidiary-Pixtronixdisplay-agreement-Sharp,9862.html
 QualcomはMEMSディスプレイを担当する子会社PixtronixとシャープがMEMSディスプレイの商品開発で提携すると発表した。QualcomのMEMSディスプレイは高画質、低消費電力を特徴とする新しいMEMSデバイスで、これにシャープの酸化物半導体(IGZO)技術と液晶工場の活用を合わせて、MEMSディスプレイの早期事業化を図ろうとするものである。さらにQualcomはシャープに資本参加を行い、シャープの株主となる。
 Qualcomの副社長は言った、「シャープは電子技術、生産技術に優れている。MEMSディスプレイはモバイル機器向けに優れた性能をしめすので、両社にとって実ある事業になるだろう。シャープの取締役は言った「シャープはこれまでIGZOをはじめディスプレイで画期的な技術を生み出してきた。シャープはディスプレイの新技術に注力する。MEMSディスプレイとIGZOを組み合わせたディスプレイの商品化を加速させたい。

2012年12月20日木曜日

STマイクロがMEMSマイクなど新製品開発加速

20121220電波新聞8面

 MEMS応用モーションセンサーの世界トップメーカーであるSTマイクロエレクトロニクスはモバイル機器向け新製品開発を加速している。モーションセンサーの出荷は累積20億個を超え、カメラの手振れ防止とモーションを1つのデバイスで検知するジャイロセンサー、センサーの精度向上と消費電力削減、3軸加速度センサーと3軸ジャイロセンサーを一体化した6軸モーションセンサー、3軸の電子コンパスを組み合わせた9軸センサーを展開している。MEMSマイクロフォンではオムロンと協業し、センサー部はオムロン、制御回路やパッケージングはSTマイクロの技術を活用している。

体積4分の一電流センサー、電力管理向け、重さも9割減(アルプス・グリーンデバイス)

20121220日経産業新聞7面

 「GMR(巨大磁気抵抗)」素子の採用により体積を競合品の1/4とした電力管理向け電流センサーをアルプス電気子会社のアルプス・グリーンデバイスが開発した。一般的な電流センサーのホール素子は電線周囲を磁性体で囲む必要があるが、GMR素子ではU字型の溝に電線を挟んで測定する。GMR素子はハードディスク駆動装置の磁気ヘッドに使われている。住宅内の電力監視を行うHEMS向けでは20アンペアから80アンペアまで測れる品種を、産業用蓄電システム向けでは数十ミリアンペアから300アンペアまで1%未満の誤差で測定できる品種を用意する。

2012年12月14日金曜日

マイクロ流体チップ開発、ライフサイエンス分野参入(朝日ラバー)

20121214日刊工業新聞15面

 たんぱく質や血液など流体の分析に使うマイクロ流体チップを、産業用ゴム製造の朝日ラバーが開発した。既にNECのDNA解析装置し採用され、微小化学分析システム(マイクロTAS)向けに2014年量産開始を目指す。独自の分子接着技術により産業用ゴムを流路に合わせて表面改質し、接着剤なしで接合した。金型によるチップ生産に比べて試作の納期短縮ができる。

2012年12月13日木曜日

高齢者見守り、動き検知、家族にメール通知、文具市場縮小で新事業育成急ぐ(セーラー)

20121213日経産業新聞21面

 赤外線センサーを家屋に設置し、人の動きを検知して家族などの携帯電話やパソコンにメール通知する、一人暮らしの高齢者見守りサービスをセーラー万年筆が始める。

センサー、スマホ内蔵用の需要拡大、端末高機能化で新用途創出、各社、超小型・高精度品開発に力


20121213電波新聞1面

 スマートホン内蔵用のセンサー需要が拡大しており、電子部品メーカー各社はMEMS技術による開発を強化している。主要なスマホ内蔵センサーはCMOSイメージセンサー、3軸加速度センサー、電子コンパス、ジャイロセンサー、手振れ防止センサーなどで、気圧センサー、湿度センサー、紫外線センサー、RGBセンサーなど。アルプス電気は3軸地磁気センサー、湿度センサー、気圧センサー、紫外線センサー、RGBセンサー。TDKは薄膜サーミスタの温度センサー。パナソニックはMOSイメージセンサー、3軸加速度センサー。ミツミ電機は近接・照度センサー、気圧センサー、温度センサー、電流センサー。ロームは近接センサー、照度センサー、加速度・ジャイロ・地磁気を組み合わせた9軸センサー。北陸電気工業は3軸加速度センサー、気圧センサー、フォースセンサー、ガスセンサー。オムロンは気圧センサー。

2012年12月11日火曜日

LSI集積度100倍、回路に原子3個分の膜(東大など)

20121211日経産業新聞9面

 東京大学のイエ・ジャンティン特任講師と岩佐義宏教授らは理化学研究所と共同で、大規模集積回路(LSI)の集積度を100倍以上に高める技術を開発した。電子の通り道に二硫化モリブデンを用いたトランジスタを開発したが、二硫化モリブデンは電子3個分で出来た厚さ0.6ナノメートルのシートが重なった構造をしている。新材料の薄膜を使えば電極間を1ナノマイクロメートルに狭められ、LSI集積度を高められる。

2012年12月6日木曜日

セミコンジャパン開幕、半導体製造装置-立体構造対応勢ぞろい

20121206日経産業新聞7面

 セミコンジャパン2012が開幕した。海外メーカーの出展が少ないが、国内メーカーはTSVと呼ぶ回路を積み重ねて形成する3次元構造半導体向けの装置を揃えた。東京エレクトロンは、TSVで積み重ねた回路に【ビア】と呼ぶ穴を開け電極を通すためのメッキ装置を展示する。アドバンテストはTSV半導体の検査装置を試作した。ディスコはTSV半導体製造効率化に向けた「TAIKO」と呼ぶウエハの中心部を薄く削り周囲を固定することによりたわみを防ぐ技術の実用化を目指す。半導体回路の微細化の限界が近づき、半導体を重ねる3次元化により処理能力を高める技術の開発を、世界の半導体メーカーが急いでいる。3D半導体の代表的技術がTSVだが、約1千個もの穴を開けるため、従来に比べてより精密な加工が必要となる。米インテルなどは既にTSV半導体の生産を始めている。

MEMSフローセンサー、空調システムの電力消費低減(オムロン)

20121206電波新聞4面

 空調システム向けに風速と風向きを検出できるMEMS2軸フローセンサーをオムロンが開発した。風速検出範囲±1.0メートル/秒、風速精度±3%FS、風向検出範囲0‐360度、風向精度±15度、サイズは直径60ミリメートルで高さが34.7ミリメートル。無駄な方向に風が吹いていないか監視し、空調効率を最適化する。このセンサーを2台使用して90度向きを変えて計測し、3次元で計測できる。

2012年12月5日水曜日

クアルコム子会社とMEMSディスプレイの共同開発契約、出資も受け入れ(シャープ)

20121205電波新聞1面

 シャープはMEMSディスプレイの共同開発契約をクアルコム子会社ピクトロニクスと、クアルコムから最大99億円の出資を受け入れる契約を結んだ。シャープのIGZO技術とピクトロニクスのMEMSディスプレイ技術の統合を目指し、シャープ米子にある液晶パネル工場に実用化に向け開発を行う設備を導入する。MEMSディスプレイは微細加工を利用したディスプレイで、液晶を使わず、バックライトの利用効率が高く、優れた色再現性と低消費電力が特徴、また既存の生産インフラを活用できる。

2012年12月4日火曜日

振動感知装置、ビル需要開拓、建設会社と連携(富士電機)

20121204日経産業新聞13面

 MEMSによる振動感知センサーと、計測データを収集する装置で構成するビルの振動感知装置を、富士電機が建設会社と連携した販売を始める。国土交通省が2015年までにビルの耐震調査を義務化することに対応し、建設会社の揺れを診断するシステムと組み合わせてビル所有者に売り込みを図る。ビルの実証実験を進めており、収集データをもとに耐震性を診断する仕組みも開発している。これまでのビル向け振動感知センサーは20階建ての規模の場合2000万円ほどかかっていたが、富士電機のシステムは高層ビルで発生する周波数の低い振動まで感知でき、設置コストも5分の一程度。