2012年7月29日日曜日

富士フィルム:高性能PZT圧電薄膜開発

海外技術動向
http://techon.nikkeibp.co.jp/english/NEWS_EN/20120724/230051/
 PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)現在最も使われている圧電材料である。各種アクチュエータや加速度センサ、ジャイロセンサの歪検出部に用いられている。富士フィルムはSi基板上に従来比2倍の圧電性能を有する圧電薄膜を開発した。
 スパッタリングを用いた製膜法でニオブを13%添加することによって高い性能を実現した。バルクPZT材料では分極処理が必要だが、この圧電膜は製膜しただけで高い配向性の膜ができており分極処理が不要になる。
 本年度中には8インチウェハに製膜して出荷対応の予定で面内ばらつきは±5%に抑えている。

2012年7月27日金曜日

1mm角の超小型モーター、脳梗塞治療に「チカラ」(豊橋技術科学大)

20120727日刊工業新聞1面

 1mm角の超音波モーターを豊橋技術科学大学の真下智昭テニュアトラック助教が開発した。駆動部分を覆うステーターは金合金製、この周囲に圧電素子を張り付けた構成で、圧電素子を含めると幅は1.5mm。圧電組織に2種類の交流電圧をかけると素子が伸縮運動を行い、ステーターが振動し力を発生する。回転動作や直動をする。カテーテルに組み込み脳血管疾患での検査や治療を見込むが、内視鏡やカメラ、携帯電話などへの応用も見込む。

2012年7月26日木曜日

「ガラスリボン」開発進める微小化学分析システム用マイクロチップ部材に理科研が採用(日本電気硝子)

20120726電波新聞4面

 理化学研究所で開発を進めている微小化学分析システム用マイクロチップのストップバルブに日本電気硝子のガラスリボンが採用された。マイクロチップ上の細胞や溶液を送液制御するストップバルブにガラスが初めて採用された。ガラスリボンは樹脂に比べて優れた耐久性を持ち、厚さ5-50マイクロメートル、幅0.5-5ミリメートル、長さ100メートル以下の精密な寸法精度を持つ。

2012年7月24日火曜日

体積世界最小の電子コンパス(旭化成エレクトロニクス)

20120724日経産業新聞4面

電子コンパスで、体積が同社の従来製品の半分、縦横1.6ミリメートル、高さは0.5ミリメートルという、世界最小の製品を旭化成エレクトロニクスが開発した。同社は世界シェアの8割を占めている。

2012年7月23日月曜日

ガラス表面、自由に加工、レーザー使う(産総研、YEデータ、埼玉県産業振興公社)

20120723日経産業新聞13面
 レーザーを使いガラス表面を微細に加工する方法を産総研、ワイ・イー・データ、埼玉県産業振興公社が開発した。従来の砂で削る、化学的な加工に比べ、短時間で精密な加工ができる。「LIBWE法」と呼ぶ新たな方法は、加工するガラス表面にレーザー光を吸収する食紅色素の溶液を入れたプールを置き、加工面と反対側からレーザーを照射すると、溶液にレーザーが反応し、ガラス表面に1マイクロメートルの深さの溝を彫りこむことができる。

2012年7月22日日曜日

オムロン:スマートフォンにも使える非接触熱画像センサ開発

海外技術動向
http://www.slashgear.com/omron-develops-super-sensitive-thermal-detector-for-smartphones-13238502/
 オムロンはMEMS構造を使った赤外線式温度画像センサを開発した。民生用途としては、部屋の中の人体の位置を検出して空調や照明を制御する使い方がなされる。
 他の用途としてスマートフォンへの応用をデモンストレーションした。これによって自分の身の回りの温度分布を知ることができる。例えば熱い飲み物の温度を知ってやけどをしないようにといった使い方ができる。(猫舌センサ)

2012年7月20日金曜日

マイクロスキャナー、小型化・高解像度を両立、必要な駆動ミラー一つだけ(独ファラウンホーファー)

20120720日刊工業新聞20面
 一つのMEMSミラーを2方式で制御し、小型化と高解像度を実現するマイクロスキャナーを独フラウンホーファー研究機構のフォトニック・マイクロシステム研究所が開発した。1方向には通常のミラー共振振動を。もう1方向は静電アクチュエーターで共振させずに動きを止める純静的駆動を使った。800x600画素(SVGA)程度の解像度が出せる。

2012年7月17日火曜日

1.2メートル角のタッチセンサー、自動織機で織り込む(NEDO、BEANSプロジェクト)

20120717電波新聞
 1.2メートル角のタッチセンサー、自動織機で織り込む(NEDO、BEANSプロジェクト)
 導電性高分子を塗布したナイロンファイバを自動織機で織り込み、1.2メーター角のタッチセンサーの製造プロセスを、異分野融合型次世代製造技術開発(BEANS)プロジェクトが確立した。通常のナイロンファイバの間に5センチメータ間隔で前述のファイバーを織り込んだ。立ち位置の検出には5センチメートルほどで十分で、アプリケーションによりファイバーを織り込む間隔を変えればよい。位置検出は人体と導電性高分子膜の間の静電容量を検出し、縦糸と横糸で人が触った場所を特定する。介護用品や体感型ゲーム用センサーなど幅広い分野での利用が期待される。

2012年7月16日月曜日

オムロン:高精度低消費電力 絶対圧圧力センサ開発

海外技術動向
http://www.i-micronews.com/news/Omron-release-MEMS-absolute-pressure-sensor-world-class,9309.html
 オムロンはわずか50cmの高度差を気圧の変化として捉える高精度圧力センサを開発した。
構成はCMOS回路一体型でチップサイズは1.9x1.9x0.5mm、パッケージは3.8x3.8x0.92mmと超小型である。消費電力は0.5~9.5μAと低消費電力で電池駆動に向く。
 アプリケーションは、スマートフォン向け高度検出。その人がいる場所の高度やビル内の何階にいるかがわかる。カーナビ用の高度表示にも適す。またセキュリティセンサとしても有用で、例えばドアが開いたり、窓が開いたりした時の気圧の変化を捉えられる。

2012年7月12日木曜日

米ADIが10自由角度のMEMS慣性測定ユニット、ナビや計装分野で正確な方向感知

20120712電波新聞14面
 3軸ジャイロスコープ、3軸加速度計、3軸マグネットメータ、圧力センサ、自社プロセッサーを一体化したMEMS慣性測定ユニット(IMU) のシリーズを米Analog Devices(ADI)が開発した。3品種(ADIS16480、16448、16485)はいずれも量産中で、それぞれ1545ドル、459ドル、1095ドル。16480には複雑な操作でも正確な位置付が可能なカルマンフィルターを搭載している。

カプセル内視鏡、身近に、小腸検査で保険適用(ギブソン・イメージング)

20120712日刊工業新聞11面
 ギブソン・イメージングのカプセル内視鏡「PillCam SB2plus」を使用した小腸検査が保険適用になった。カプセルは消化管を8時間で通過し、その間に8万枚の画像撮影を行い、医師は画像情報から治療方法を検討する。また、事前検査用に開発したカプセル「PillCamパテンシーカプセル」は11x26ミリメートルの錠剤タイプで、飲み込むことによりカプセル内視鏡検査の妨げとなる消化管の狭窄・狭小濃霧の判定ができる。

MEMS印刷・射出成形で製造、真空装置不要、コスト1/100(産総研)

20120712日刊工業新聞22面
 印刷技術と射出成型技術だけで低コストにMEMSを製造できる技術を産総研が開発した。これまでは半導体製造設備が必要だったが、真空装置が不要でコストを1/100程度まで下げられる。MEMSデバイスを動作する電気配線パターンや機能性材料を印刷技術で形成し、これを射出成型の金型に取り付け、構造体の成型時に配線などを転写する。一辺が数ミリメートル以上の大面積MEMSデバイスの製作が可能。

2012年7月10日火曜日

半導体描画技術を開発、探針、500倍の耐久性、作成コスト大幅低減(東芝など)

20120710日刊工業新聞23面

 プローブ(探針)を使い、回路線幅50ナノメートルの微細加工ができる半導体フォトマスク用露光技術を、東芝、BEANS研究所、東京大学が開発した。次世代以降の半導体フォトマスクの描画・修正技術として3-5年後の実用化を目指す。プローブ先端に庇部とシリコン基板に接する接触部を設け、接触部は保護部となるマイクロメートルスケールの機械的接触部とナノメートルスケールの電気的な接触部に分離し、これを同時に基板に接触して描画する。プローブの耐久性を従来比500倍とした。プローブによる露光技術は電子線より微細なパターンを描画でき、コストも安いが、時間がかかりプローブの先端が摩耗するという面があった。

2012年7月4日水曜日

STMicroelectronics:超小型電子コンパス

海外産業動向
http://www.i-micronews.com/news/Digital-compasses-STMicroelectronics-lead-way-tiniest-phones,9255.html
 STMicroelectronics(STM)は超小型、高性能電子コンパスをMEMSセンサのラインに加えた。
 STMは位置検出のためのモーションセンサと電子コンパスの集積型センサを3x3x1mmの超小型パッケージに収めた。
 STの新電子コンパスは人、車の方位検出精度に優れ幅広いアプリケーションが期待できる。歩行者ナビゲーション、デイスプレイの方位、現在地からの行きたい所への道順検索等。また容積も従来品60%の削減を図った。
また温度出力やプログラム機能も備える。本デバイスは今後携帯電話、タブレットの標準と成り得るもので他にデジカメ、ゲーム等の民生機器にも採用されるであろう。
 価格は1000個発注の場合、$1.8/個である。

2012年7月2日月曜日

振動計測装置を小型化、MEMSを活用(富士電機)

20120702日経産業新聞15面

 MEMS技術を活用したセンサーにより、建物などの振動を感知し、揺れのレベルを診断できる装置を富士電機が開発した。水平2方向と垂直の揺れを感知し、付属のシステムにより揺れのレベルを診断する。装置の小型化と安価な導入費用を実現した。

圧電素子、変換効率高く、従来の10~20倍、発電に特化、鉛を含まず(大阪府立大)

20120702日経産業新聞11面

 大阪府立大学の吉村武准教授は発電用途に特化し、変換効率が従来の10~20倍、有害物質の鉛を含まない圧電素子を開発した。ビスマスと鉄などの酸化物で構成し、化学的気相成長法(CVD)を応用した。今年度中に従来型の素子と同じ1%ほどの発電効率に、不純物を混ぜることで3年後には10%程度、最終的には20%を目指している。