2012年5月30日水曜日

2011年MEMS企業別売上高世界TOP30 by Yole

海外産業動向
http://www.i-micronews.com/upload/pdf/IR_avril2012.pdf
 Yole社は2011年のMEMS企業別売上高をまとめた。MEMS全体市場は2010年比17%アップの10.2B$(約8200億円)となった。増大分はスマートフォン用MEMSが牽引した。好業績で終えた企業の好調要因をいくつかピックアップする。
 STMicroelectronics(ST)は売上高の伸びは最大で前年比+250M$(42%)と驚異的な伸びを達成した。これはスマートフォン、タブレットへの採用率が高く、それらの機器の売上げ増大が寄与した。
DMDを中心とするTexas Instruments(TI)も前年比+7%を伸びを示しTopの位置を守ったが、STはTIとほぼ肩を並べるに至った。大手4強ではHPが前年比-5%と伸び悩んだ。主力のインクジェットが成熟領域に入ったことを示している。Boschは主力の車載と民生用が好調で前年比+16%と大きく伸びた。
 MEMSマイクを主力とするKnowlesが前年比+150%と驚異的な伸びを示し第5位にランクされた。
スマートフォンで高いシェアを保持し、スマートフォンの伸びを享受した。
同様にスマートフォン用電子コンパスでトップシェアを占めるAKMは前年比+46%増と大幅躍進。
 その他大きく伸ばした企業は、Triquint、Kionix、Analog Devices、Sony等があげられる。
上記売上増に寄与したデバイス技術を上げると、モーションセンサ系では複合化、多軸化、センサフュージョン(アルゴリズム)があげられる。またボロメータ型赤外線センサも一部の企業の売り上増に寄与した。


2012年5月28日月曜日

超精密加工・MEMS技術融合、高機能レンズなど試作(山形工技センター)

20120528日刊工業新聞28面 超精密加工技術とMEMS技術を融合し、防犯などに用いる人体検知センサー向け高機能レンズと、新たな金型技術によるスピーカーハウジングの開発に、山形県工業技術センターが取り組む。これまで蓄積した要素技術を企業に移転し、県内企業の競争力向上につなげる。同センターは10年度に「超精密等技術融合プロセス開発事業」を始動し、14年度末まで4テーマが進行中。

2012年5月25日金曜日

将来有望なモバイル機器用MEMS(Yole社)

海外産業動向
http://www.electroiq.com/articles/stm/2012/05/10-mems-applications-top-100-million-in-2017.html
 携帯電話やタブレットには1台あたり5~10個のMEMSデバイスが内蔵されている。これらのNew MEMSは、将来、モバイル機器の伸びとともに出荷が大幅に増大すると予測される。(Yole社)
モバイル機器は今後ますますその機能が拡大する見通しである。音楽やビデオの取り込み、ネットワークの広がり、ユーザや使い方の広がり等とどまるところを知らない。これらの新機能の創出をささえるのがMEMSと考えられる。
 現在モバイル用主要MEMSはモーションセンサ(加速度、ジャイロ、地磁気)とRFMEMSである。
これに対して近い将来大きく伸びるとされているのは、MEMS発振器、圧力センサ、RFMEMSスイッチ、自動焦点レンズ、9軸集積型モーションセンサ等である。
また将来大きな市場を占めるであろうと予測されているのは、マイクロディスプレイ、環境センサ(温湿度他)、MEMSスピーカー、マイクロ燃料電池、エネルギーハーベスタ、MEMS-RFID、サーモパイル、ジョイスティック、タッチスクリーン等である。
 企業別ではSTMicroelectronicsがモバイル用モーションセンサで好調で。Apple、Samsung他大手機器メーカの受注を広げている。地磁気センサでは旭化成が好調で260M$/年の売り上げを、RFMEMSではAvago社が244M$を売り上げている。
上記の将来MEMSにつていてはベンチャー企業の動向も目を離すことができない。
一方大手半導体メーカが好調なMEMS市場を狙っておりFairchild社はM&A戦略を練っている。

2012年5月23日水曜日

インクジェットプリンタトヘッド、6割含有の鉛もゼロに、圧電セラに微細構造導入(東芝テックなど)

20120523日刊工業新聞21面
インクジェットプリントヘッドは組成比で6割の鉛を含む圧電セラミックスを使用している。東芝テック、堺化学工業、富士セラミックスは鉛を使わないインクジェットプリントヘッドを開発した。ニオブ酸アルカリ系の無鉛圧電セラミックスを微粒子化し、微粒子中に電位の切り替わる単位であるナノドメインという微細構造を導入し、特性を高めた。水熱合成法で直径1マイクロメートル以下の均一な微粒子を作成し、穴上の欠陥を減らす焼結技術を開発した。開発したヘッドは従来品と同等の性能を持ち、鉛の廃棄コストを含めたトータルコストでは従来品と同程度と見込まれている。

2012年5月22日火曜日

薬物送達型のがん治療薬、3物質に7億円投資(ナノキャリア)

20120522日刊工業新聞13面 薬物送達システム(DDS)技術を用いるがん治療薬研究開発で、有望な3種類にナノキャリアは資金を重点投資する。すい臓がんを対象とする「シスプラチン誘導体ミセル」、固形がん対象の「ダハプラチン誘導体ミセル」、乳がん対象の「pH応答性エピルビシンミセル」。表面の親水性が高い「ミセル化ナノ粒子」のカプセルで抗がん剤を包み、カプセルが血流に乗ってがん周辺の毛細血管化の隙間から漏れ出し、患部に抗がん剤を放出する。

フラットパネル基板”断線”微細回路を高速修正、インクジェット式装置(NTN)

20120522日刊工業新聞8面 フラットパネルディスプレーの基板生産工程で発生する回路断線の修正用途を想定し、高価で複雑な機構のレーザーCVD装置からの置換を目指す「微細パターン描画装置」を開発した。試作基板開発やバイオ、MEMSでの活用も想定。導電性インクなどの吐出に静電インクジェット方式を採用し、微細パターンの高速描画を可能とした。

インクジェット印字ヘッド、印刷技術活用(リコー)

20120522日経産業新聞4面 印刷技術を使い、従来の4倍の解像度のヘッドを5分の一コストで製造できるという技術をリコーが開発した。印刷技術により、材料をインクにしてシリコン基板の上に塗布、焼結し、圧電素子の薄膜を形成する。従来方式は圧電材料を機械加工しており、微細化・量産化に限界があったが、新方式はヘッドの製造に半導体製造技術を応用でき、微細化と低コスト化が実現できる。企業向けインクジェットプリンターに採用を計画している。

患部に薬届ける薬物送達、微粒子、磁場かけ発熱、がん細胞死滅狙う(横浜国大)

20120522日経産業新聞9面
表面に多くの薬品成分を載せ、外から磁場をかけると発熱する、薬物送達システム(DDS)に使う微粒子を横浜国立大学の一柳優子准教授が開発した。微粒子は酸化鉄の化合物で、表面をアモルファスのシリカで覆った構造。様々な薬品成分を化学結合できるので、抗がん剤を付ければ薬で治療できる。抗がん剤が効きにくいがん細胞については、微粒子に磁場をかけると20℃高くなりがん細胞を死滅できる。微粒子を磁力で操る方法も検討している。

2012年5月18日金曜日

食品の成分がわかるセンサをスマートフォンに(Fraunhofer)

海外技術動向
http://www.gizmag.com/mems-food-analysis-device/22495/  
 料理人や食に気を使う人にとって食べ物の美味しさや成分が事前にわかると有難い。
Fraunhofer IPMSの研究者は食品中の水分やたんぱく質の量がわかる小型のスペクトルセンサを開発した。これによって例えば果物で見かけが良くて買ったが中は腐っていたという失敗をしなくて済むようになる。
 開発されたMEMSスペクトルセンサの原理は赤外分光分析で蓄積された食品の吸収スペクトルデータと比較することによって、どんな食べ物であっても、非破壊で成分を知ることができる。
この分析原理は既に知られているがIPMSはこれを超小型のシリコン素子で実現した。これによって例えばスマートフォンに搭載して買い物の時に簡単に使えるようになる。
 商品化は3~5年先を予定している。最初は単体の測定器から始めて、次にスマートフォンへの搭載が考えられる。センシング対象として食品以外に、薬、化粧品、様々な偽物の分析にも応用可能である。

2012年5月10日木曜日

ウェラブル脈波センサーの研究開発

20120510電波新聞14-15面 ロームではウェラブル脈波センサーの研究開発を行っている。緑光をLEDより体内に照射し、生体内を通過・反射した光をPhoto-diode等で計測する。光源と受光部を同一平面上に配置している。生体内に照射された光は、動脈血中のヘモグロビンで吸収されるため、反射光量のセンシングにより脈波形を検出できる。脈波データからは脈拍数、自律神経の活性度等様々な解析が可能である。ゲーム機への応用では臨場感の盛り上げに活用可能である。生体リズムに合わせた音楽提供も考えられる。

駐車支援システム用超音波センサー

20120510電波新聞12-13面 圧電セラミックスと金属体を貼りあわせた振動子に電気信号を加えると超音波が放射され、超音波振動が加わると電子信号が発生して超音波センサーとなる。駐車支援システムは、センサーから超音波を放射し、反射波が返ってくるまでの時間計測により障害物等との距離を計算する。村田製作所はピン端子タイプの防滴型超音波センサーを商品化した。

センサーワイヤレスモジュール活発な製品・技術開発

20120510電波新聞9面 スマートハウス向けセンサーネットワークシステムは、センサー検知情報をZigBee・Gatewayで収集しネット送信するシステムの開発が進んでいる。地震対策の圧電振動センサーは高感度で人の脈、機器の異常、防犯、建物・水道管の摩擦ひび割れ検知も可能。焦電型赤外線センサーは人の動きを検知し、家電や照明の節電に貢献する。
 ワイヤレス通信は様々な技術が規格化され、小型モジュール化が進展している。

伸縮自在のナノカプセル、薬剤放出速度を制御(物材機構)

20120510日経産業新聞11面 カプセルの中に取り込む薬剤の量や、放出する薬剤の速度を調節できる、伸縮自在のナノサイズカプセルを物質・材料研究機構が開発した。「フレークシェルカプセル」は、無機物のシリカのナノ粒子をやや高温で放置し、粒子が溶けると同時にできるフレーク状のものが集まり中空のカプセルとなったもの。そのカプセルは加熱により縮小でき、酸やアルカリの処理によりフレークの隙間を調整できる。抗がん剤の液体で実験したところ、従来のシリカカプセルに比べて90%以上内部に取り組む量が多く、取り込み後の処理により穴を小さくすることにより薬剤放出量を10倍程度長くできた。

2012年5月3日木曜日

超小型光スイッチ試作、光導波路と相変化材組み合わせ(慶大と産総研)


0120503日刊工業新聞13
 細長いシリコンの中に光を通す「シリコン細線光導波路」と、特定の光を当てるとアモルファスや結晶になる「相変化材料」を組み合わせ、長さ15マイクロメートル、幅2マイクロメートルの超小型光スイッチを、慶応義塾大学理工学部津田裕之教授と産業技術総合研究所ネットワークフォトニクス研究センターの河島整研究チーム長らが試作した。従来の導波路型光スイッチの10分の一の大きさで、400ナノ秒以下の高速スイッチを実現した。