2011年10月31日月曜日

窒化チタン製マイクロバネ、東京理科大が大量合成

20111031日刊工業新聞18
 アクチュエータやセンサーへの応用が期待できる、セラミックスで出来たマイクロメートルサイズのバネを大量合成する技術を東京理科大の阿部正彦教授らが開発した。バネはセラミックスの一種の窒化チタン製で、直径0.54マイクロメートル、融点が3000Cと高く、電気伝導率が金属並みで強度も高い。バネに交流電流をかけると右巻き/左巻きに応じて伸縮する。

2011年10月30日日曜日

2014年までに圧力センサがMEMSデバイスのトップに:iSuppli

海外産業動向
http://www.digitimes.com/news/a20111028PR203.html
 圧力センサはMEMSデバイスとして初めて実用化された古典的なデバイスで、最近は加速度やジャイロの増大が注目されていたが、ここにきてアプリの展開が進み、2014年にはデバイス別で再びトップになりそうである。
 主なアプリは車載、医療、産業機器に加え、モバイル機器用も増加の見通しである。この伸びは加速度、ジャイロを上回りそうである。要因として車載、医療、産業機器における圧力センサは単価を高く維持できること、用途がさらに広がっていることがあげられる。例えば車載用途では、自動変速機のほか、タイヤ空気モニタ、ダブルクラッチシステム等新用途が確実に広がっている。しかも民生機器用と比較して価格を高く維持できる。
 また民生用途も広がっており、天気予測、スポーツウォッチ、水圧、高度等枚挙にいとまがないほど広がってきている。このように今後の拡大が期待できるデバイスである。

 

2011年10月25日火曜日

MEMS事業加速、気圧センサーやマイクロヒーター(北陸電工)

20111025電波新聞3
 北陸電気工業がMEMS事業を加速している。既に3軸加速度センサーや圧力センサーなどを量産しているが、小型圧力センサーや超小型MEMSマイクロヒーターを開発した。圧力センサーは高度計、気圧計、天気予報などの用途が見込まれ、マイクロヒーターはメンブレン構造の高耐久性で長寿命設計の低熱容量特性である。圧力センサーでは各種ニーズに応え、水位検知ではミリメートル単位の高精度で洗濯機等家電製品に適す。

2011年10月24日月曜日

MEMSマイク、スマホ向け拡販、月産500万個(新日本無線)

20111024日刊工業新聞8
 新日本無線がMEMSマイクロフォンを市場投入し、スマートフォン向けに拡販する。MEMSマイクロフォンは、音を電気信号に変える集音チップと、信号を処理するアナログ信号増幅用アンプで構成している。従来から使用されているエレクトレット・コンデンサー・マイクロフォン(ECM)に比べて耐熱性に優れ、自動車部品搭載やはんだ付けなどリフロー装置で実装できる。モバイル端末等の製造工程の短縮につながるため採用が進んでいる。

2011年10月21日金曜日

IMEC:ポリSiGeプロセスを応用したCMOS積層型圧力センサを開発

海外技術動向
http://www.pddnet.com/news-cmos-integrated-poly-sige-piezoresistive-pressure-sensor-demonstrated-101311/  
 IMECはポリSiGe薄膜及びピエゾ抵抗を用いたCMOS積層型圧力センサ素子を開発した。130nmCMOSの最終工程にpolySiGeを応用したMEMSプロセスを組み込んでいる。
 polySiGeは低温形成で(約400℃)機械的な特性に優れるため、MEMS/CMOS積層型素子の開発に適している。これまで最終AlプロセスCMOSでMEMSの積層化を行って来たが今回は、積層化により適した(電気抵抗、信頼性)最終CuプロセスCMOSとpolySiGeMEMSの積層化に成功した。この結果は今後、CMOS/MEMS集積デバイスの発展に大きく寄与するであろう。
 具体的な構造はCMOS上にエアギャップを介してpolySiGeメンブレンが形成されタングステンTSVでCMOSと圧力センサ部は配線されている。圧力センサ部のプロセス温度は最高455℃、メンブレンの面積は0.25mm□である。感度は2.5mV/V/barだがCMOSで増幅後、158mV/V/barになる。

EUV露光15ナノメートルパターン形成(JSAなど)

20111021日刊工業新聞11
 化学増幅型の感光性材料を使用し、極端紫外線(EUV)露光による線幅15ナノメートルのパターン形成にJSRと米国半導体製造技術組合(SEMATEC)が成功した。これまで非化学増幅型レジストで15マイクロメートルパターンに成功した例があったが、光の感度が低く実用化に向かなかった。化学増幅型レジストは現在一般的に使われており、課題であった酸の拡散を制御する材料を設計し、成功した。次世代半導体微細化技術のEUV露光実用化に貢献が期待される。

2011年10月17日月曜日

3軸角速度センサー量産(パナソニック)

20111017日経産業新聞4
 MEMS技術を使い3軸で物体が回転する速度を検知する、スマートフォンやタブレット端末に使う角速度センサーの量産を、パナソニックエレクトロニックデバイスが10月より開始する。

工場の空調省電力、オムロンなど新センサー

20111017日本経済新聞11
 半導体工場などで温度や湿度を測り、無線で空調制御システムに送信する小型の環境測定センサーを産総研、オムロン、日立製作所などが試作した。センサーはMEMS技術を使い気圧や加速度も測れる。今後4年間で機械の微振動や空気中の電波から電源を得られるように改良し、実用化を目指す。実用化のためNMEMS技術研究組合設立し、産総研、オムロン、日立、セブン-イレブン・ジャパン、ダイキン工業、東京工業大学等14社・3機関が参加している。

2011年10月14日金曜日

Knowles社:MEMSジョイスティックがタブレットや携帯ゲーム機に搭載

海外産業動向
http://www.engadget.com/2011/10/07/knowles-electronics-mems-joystick-for-samsung-galaxy-tab-ninten/
 MEMSマイクで圧倒的シェアを誇る米Knowles社で開発されたMEMSジョイスティックがタブレット(サムソン・Galaxy、Motorola・Atrix)や携帯ゲーム機(任天堂3DS)、パソコンに搭載されることになった。CEATECで展示されたが、また販売はされていない。これまでの携帯ゲーム機用XYジョイスティックや、ノートパソコンでのコントロールパッド、スマートフォンのタッチスクリーン式と比較して格段に操作性に優れており、消費電力や形状も小さく、今後需要の拡大が予測される。

2011年10月13日木曜日

民生用3軸角速度センサー、世界最小で最薄(パナソニックデバイス)

20111013電波新聞3
 シリコン基板の音叉型振動子上に圧電体のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT) を製膜した3軸検出素子を採用し、3.63.60.75ミリメートルという業界最小・最薄サイズの3軸角速度センサーをパナソニックデバイスが開発した。

革新的センサー、NEDOが開発プロジェクト立ち上げ

20111013電波新聞13
 NEDOは今年度より4年間の「グリーンセンサー・ネットワーク技術開発プロジェクト」をスタートさせている。小型、無線通信機構、自立電源機能及び超低消費電力機能を付与した革新的センサーを開発するのが目標。グリーンMEMSセンサーとして、電流・磁界センサー、塵埃量センサー、ガス濃度センサー、赤外線アレイセンサーなど、店舗・製造現場・オフィスのグリーン化を推進する小型MEMSセンサーを開発する。さらに無線通信機能及び自立電源機能を搭載したグリーンセンサー端末を開発し、これらを使用した実証実験を行う。これらの実施のため本年7月に技術研究組合NMEMS技術開発機構が設立された。

2011年10月12日水曜日

銅使い超微細配線、インクジェット方式確率(SIJテクノロジなど)

20111012日刊工業新聞21
 銅ナノ粒子を使いインクジェット方式による超微細配線技術をSIJテクノロジ(東京都)、イオックス(大阪府)、日本特殊陶業、大阪市立工業研究所、産業技術総合研究所が確立した。ガラス基板上に線幅5マイクロメートル、配線抵抗8.1マイクロオームセンチメートルの配線を作成できた。これまで線幅10マイクロメートル未満の金属配線は蒸着などで金属薄膜を作りエッチングなどで削っていたが、大掛かりな装置とコスト高が課題であった。本技術は銅ナノ粒子インクを使い、インクジェットで配線し、同時に酸素濃度を下げて熱処理を行い、金属表面の酸化を防ぎながら抵抗率を向上した。

2011年10月8日土曜日

ソニー、米国のヘルスケアMEMSのベンチャー企業であるMicronics社を買収

海外産業動向
http://www.vadvert.co.uk/business/17945-sony-acquires-micronics-inc-us-diagnostic-device-development-venture-acquisition-to-accelerate-development-and-commercialization-of-point-of-care-diagnostic-products.html
 ソニーは米国のヘルスケアMEMSのベンチャー企業であるMicronics社を買収すると発表した。Micronocsはポイントオブケアで求められている診断機器、バイタルモニター、血液検査等で用いられるMEMSデバイスのベンチャー企業である。ソニーは医療・ヘルスケア用MEMSデバイスの開発を重点分野と位置付けており、同事業の加速化のために買収に至った。

2011年10月7日金曜日

今年のMEMS会議(MEMS Executive Congress)のテーマは「MEMSは主流デバイスに」

海外産業動向
http://www2.electronicproducts.com/_MEMS_is_mainstream_says_MEMS_Congress-article-olrc01_oct2011-html.aspx
 米MEMS Industry Group(MIG)が毎年開催しているMEMS Executive Congressの今年のテーマは「MEMSは主流デバイスに」である。
「MEMSの市場動向」のパネルディスカッションでは、Yole、iSuppliの重役が参加する。「MEMSファンドリーのビジネスモデルは何が最適か」についてMicralyneの社長が講演する。
 また最近トレンドになっている「センサネットワーク」ついて最新開発例の紹介と今後の動向が議論される。 
 他に本年より始まったイベントととして「MEMS Showcase」があり、主なMEMS企業が最新のMEMSデバイス及びアプリを紹介する。

最小の熱電対を開発、タングステン・レニウム合金で(物材機構)

20111007日刊工業新聞19
 高い応答速度で2000度以上の高温を測れる熱電対を物質・材料研究機構の今野武志主幹研究員らが作成した。線径50マイクロメートルのタングステン・レニウム合金細線を使い、日本の合金細線を二酸化炭素を流しながら数キロボルトの電圧をかけてグロー放電して溶接する。近年、材料やMEMS開発の現場ではサンプルサイズが小さくなり、測定面積が小さく温度変化や放熱が速く、応答性に優れた熱電対のニーズが高まっていた。

細胞の立体化技術相次ぐ、産業用ロボを活用、臓器再生一歩前進

20111007日経産業新聞10
 産業用ロボットを活用し、部品を組み立てるように細胞を積み上げて立体的な組織を作り、再生医療に使う移植材料を作る研究が進展している。東京大学の竹内昌治准教授らは、電子部品の基板に接着剤を塗るロボットを活用し、接着剤の代わりにコラーゲンの粒子の表面に細胞をつけたものを注射器に入れ、3次元データに基づいて注射器から細胞隗を一個ずつ押し出して立体組織を作った。佐賀大学の中山功一教授と渋谷工業は、細胞の塊(スフェロイド)を自動的に積み上げるロボットシステムを開発した。血管細胞から作成したチューブは、動脈として動物実験を経て数年内に臨床試験を行う。

2011年10月6日木曜日

組み込み型超小型加重センサー、スマホパネル表現多彩に(アルプス電気)

20111006日経産業新聞7
 スマートフォンのタッチパネル向け超小型加重センサーをアルプス電気が開発した。加重を検知する圧力センサーはMEMS技術により、ピエゾ素子(圧力と電気を相互変換)を小型チップに収めた。チップ表面の突起に加重がかかるとピエゾ素子で構成したMEMSの測定回路が変形し、05ニュートンの強さに対し1.55.2ボルトの電気を出力する。スマートフォンの液晶パネルとタッチパネルの間に14個のチップを組み込み、指の押す強さを検知する。圧力の大きさに従って文字を太くする機能を付加する。同社は指操作に向く静電容量方式と、ペン操作に向く抵抗膜方式のタッチパネルを手がけており、新センサーは静電容量方式との組み合わせを想定している。

2011年10月5日水曜日

角速度センサー小型化、スマホ向け開拓(パナソニック)

20111005日刊工業新聞9
 パナソニックは角速度センサーを小型化し、スマートフォン向けの用途拡大を進めている。同社の角速度センサーはカーナビ向けでは8割、デジカメの手振れ補正で6割のシェアだが、スマートフォン向けで事業拡大を狙う。同社の角速度センサーはシリコンを微細加工した音叉上にチタン酸ジルコン酸鉛(PZT) の薄膜を形成したもの。小型化のため構造そのものを改良し、異なる方向の角速度を1チップで同時検出する。さらに加速度センサーを同一パッケージに搭載すれば、モーション検知をスマートフォンで実現できる。

微小ブロックで神経組織、組み合わせで複雑な形に(東大)

20111005日経産業新聞9
 東大の竹内昌治准教授らは神経細胞のブロックを形成し、ブロックを組み立てて複雑な神経組織を作る技術を開発した。再生医療や身体障害者向けの機械操作装置の実現につながるという。大きさが100マイクメートル程度の微小円形ブロックの上でマウス由来の神経細胞を培養する。ブロックは生体適合の特殊高分子製で、周囲に14個の腕を持ち、ブロックの外には細胞が根付きにくい別の特殊高分子を張り付けた。神経細胞から樹状突起が伸び14個の腕を持つ形に成型する。今後はブロックを立体的に組み合わせ、神経組織を作る実験を進める。この新技術と万能細胞などにより新たな神経組織を作れば再生医療につながる。脳に電極を取り付ける方法と組合せれば頭で考えて機械を動かす「ブレイン・マシン・インターフェース」につながる。

2011年10月4日火曜日

トンネル磁気抵抗技術、電子デバイス開発に応用、第1弾角度センサ(TDK)

20111004電波新聞3
 TDKTMR(トンネル磁気抵抗)技術の電子デバイスへの応用開発を本格化し、第1弾として自動車のEPSモーター用角度センサーを開発した。TMR効果は極薄の絶縁膜を挟んだ二つの磁性層の磁化方向が同じときに抵抗値が下がり、逆の時に抵抗値が大きくなる。開発した角度センサーは、測定範囲0-360度、1.5V/3Vの高出力、角度誤差は0.2度の高精度で小型パッケージ。同社は引き続き電流センサーや回転センサーの開発を行う。

2011年10月3日月曜日

毛細血管3次元構造再現、フォトレジストをレーザー露光(名大)

20111003日刊工業新聞17
 名古屋大学工学研究科の新井史人教授らの研究グループは、直径2500マイクロメートルの毛細血管の3次元モデル製作技術を開発した。ガラス基板にフォトレジストを成膜し、フェムト秒レーザー露光で血管をかたどった後、ポリマー樹脂で周囲を固めて長方形を作製、フォトレジストを溶かすことで長方体内部に血管と同様な微細中空空間を作る。本技術の応用でマイクロ流体チップの局所的な形状変更が可能となる。3次元モデルと細胞を組み合わせれば動物実験代替シミュレータになり得るため、血管内治療法の開発につながる。

熱電変換素子、発電能力1.5倍以上(産総研)

20111003日刊工業新聞17
 カーボンナノチューブを樹脂中に分散させることにより発電能力を1.5倍に高め、柔らかい基板に印刷でき熱電変換素子を産総研が開発した。熱電能は1K(絶対温度)当り0.13ミリボルト。幅0.5ミリx長さ0.8ミリx厚さ0.3ミリメートルの素子を1000段重ねたフィルムは曲げても壊れず、10Cの温度差で発電した。

焦電型赤外線センサー、小型で高感度(NECトーキン)

20111003電波新聞4
 小型で高感度の表面実装タイプ焦電型赤外線センサーをNECトーキンが開発した。人体などから発生する赤外線を圧電セラミックスが吸収し、その温度変化により電荷を生じる焦電効果(パイロ効果)により人などの動きを検知する。焦電材料の開発により高感度を実現した。