2011年8月30日火曜日

MEMSデバイス事業拡大、需要増で生産能力を倍増(STマイクロ)

20110830電波新聞4
 民生向けMEMSデバイスで世界トップシェアのSTマイクロエレクトロニクスは、生産能力を11年末に向け10年末比2倍、日産150万個から300万個へ増強中である。同社のMEMSビジネスは06年に任天堂のゲーム機に加速度センサーが採用されてスタートした。1012月期の同社売上35千万ドル超の2割強は日本という。民生機器向け加速度センサーシェア50%、ジャイロセンサーで30%と世界トップシェアのさらなる拡大を目指している。新たに目指しているのは健康管理関連用途だ。緑内障診断用に圧力センサ内臓使い捨てコンタクトレンズやインシュリンナノポンプを開発している。

2011年8月29日月曜日

光リソグラフィー技術、数ナノメートルの加工分解能(北大)

20110829日刊工業新聞21  北海道大学電子科学研究所の上野貢生准教授、三澤弘明教授らは近赤外線を光源に使い、数ナノメートルの分解能で加工できる光リソグラフィー技術を開発した。加工分解能は露光用の光源の波長に依存し、真空環境下で真空紫外線(EUV、波長13.4ナノメートル)を光源とする露光装置を使えば20-30ナノメートルの加工ができるが装置が高額だった。今回、金や銀などの金属のナノ構造体が光と相互作用する性質を利用し、数ナノメートルの加工分解能でレジストパターンを形成する「プラズモンンリソグラフィー」と呼ぶ技術を開発した。通常の大気中で使える近赤外光を使い、高額な装置を使わなくても精密な加工ができる。

技術立社特集、MEMS部品、医療分野も有望

20110829日経産業新聞20
 MEMS部品が脚光を浴びている。オリンパスは生物顕微鏡向けに先端7ナノメートルの針を開発した。この針を1秒間に150万回の速さで細菌やDNAに打ち付け物質形状を0.1ナノメートル単位で検知できる。パナソニックは医療機器向けに血圧を測る圧力センサーや血流を測るマイクロポンプを年内に実用化する。オムロンは風量、温度、人感センサーを半導体クリーンルームに設置し、空調最適化による消費電力半減を目指している。日本企業は技術力があるので、欧米大手との価格競争に対抗するための量産投資に出遅れないことが重要だ。

2011年8月26日金曜日

STMicroelectronics:Microtech2011@韓国でMEMS技術PR

海外技術動向
http://www.azonano.com/news.aspx?newsID=23258
 韓国でマイクロ/ナノテクノロジに関する展示会(NanoKorea2011、Microtech2011)が開催される。(2011年8月24~26日) その中でSTMicroelectronics(ST)は現在取組んでいるMEMSの主要技術をPRする。STは車載、モバイル、ヘルスケアをMEMS重点3分野としている。
 車載用新加速度センサの応用として減速度合いによってブレーキランプの点灯状態を変化させるg-Brake lightsを展示する。
 STのモーションセンサはすでに幅広く応用されているように、リモコン、デジカメ、ゲーム、タブレット、スマートフォン等の民生機器を革新していくであろう。
 STがiNEMOと呼んでいるソフトウェアはセンサヒュージョンに関するもので、具体例としてに、多軸の加速度、ジャイロ、電子コンパスからの信号を総合的に処理して正確な挙動を出力するソフトウェアがある。またSTのMEMSマイクは、電磁場、温度変化の影響をキャンセリングする。
 ヘルスケア分野ではMEMSインシュリンポンプを展示する。またコンタクトレンズに装着できる眼圧センサはワイヤレスで24時間モニターができる。

2011年8月24日水曜日

クールデバイスの実力(下)永久稼働へ「電源なし」追求、振動や熱、圧力で発電

20110824日経産業新聞1
 東日本高速道路の子会社のネクスコ東日本エンジニアリングはオムロンと共に、振動発電素子を開発し、高速道路に一定間隔でこの発電部品を組み込んだシステムを設置することを目指している。発電部品は電極基盤を2枚対にして仕込み、振動により生じた基盤のズレで静電気を発生させ電気を取り出す。現在のところ発電能力は最大で30マイクロワットで、常時100マイクロワットを目指す。システムは地震の揺れや振動情報を蓄積し、無線で送信し、高架橋や道路の傷み具合を割り出す計画だ。
 村田製作所は温度差で発電する部品の開発に取り組んでいる。ボイラーに部品の片方を取り付け、もう片方を空気にさらして発電する。10度の差で100マイクロワットの発電が可能。工場内の環境監視センサーの電源として需要を見込んでいる。
 エネルギーハーベスティングコンソーシアムはNTTデータ経営研究所が立ち上げた団体で加盟社数は50社を超えそう。電子部品メーカーをはじめ自動車メーカー系研究機関が加わっている。各社は共同で発電部品を活用した車内配線の無線化を目指している。高級車では150以上のセンサーを搭載し、電源ケーブルは長さが1㎞にも達するが、発電部品により自力で電力を賄えればこのケーブルが不要となる。
 「電気を使わない技術」はさらに次の「使う電気は自分で作る技術」に、「永久稼働」の新製品に向かっている。

2011年8月23日火曜日

触覚センサー量産、介護分野に提案(タッチエンス)

20110823日刊工業新聞29
 埋め込み型の柔軟触覚センサー「ショッカクキューブ」の量産モデルをタッチエンスが発売する。ショッカクキューブは2センチメーター角の立方体型センサーで、電子回路をウレタンで包んだ構造、センサー自体を柔軟に変形できる。本体底部の発光ダイオードの光を本体上部のセンサーが検知する仕組みで、3次元方向の変位、「つねる」、「なでる」動作も読み取る。介護用品向けに引き合いがあり、民生用ロボット市場を目指す。今後はMEMS3軸触覚センサー「ショッカクチップ」を発売する予定。

3軸加速度センサー、直交性を高精度検査(東工大)

20110823日刊工業新聞4
 東京工業大学の伊能教夫教授、木村仁助教らの研究グループは3軸加速度センサーの直交性を1000万分の1度レベルで検査校正する技術を開発した。検査装置は、センサーが一定方向を向いたまま円運動をし、各軸の出力サイン波を分析して、軸からずれた角度を位相差から、感度を振幅からそれぞれ算出する。センサーの各軸を運動面からずらして設置し、角度を変えて2回測定し、3軸の方向と感度が求められる。3軸センサーは組立や実装の際に軸がずれることがあり、1軸毎に測定すると高精度測定が難しかった。地震計など高精度測定が求められるセンサーの校正技術として期待される。

磁性材料、音で発電、新型素子実現目指す(東北大)

20110823日経産業新聞10

 磁性材料に音を当てて直流電圧を取り出す技術を東北大学の斉藤英治教授と大学院生の内田健一さんが開発した。日本原子力開発機構、ドイツ・カイザースラウテルン工科大学との共同成果。イットリウム・鉄酸化物単結晶の平板試料の表面に超音波発生器を張り付け、周波数5メガヘルツの音で表面が5ナノメートルの振幅で振動し、約100ナノボルトの電圧を取り出した。磁性材料の内部で電子の自転でできる微小磁石(スピン)が動く「スピン流」が生じて発電する。試料の面積を10センチメートル四方に拡大すれば計算では乾電池並みの23ボルトの電圧が発生する。スピン流は音以外にも温度差や光でも生み出せ、壁や屋根に取り付けて複合的に発電できる新型素子が実現する可能性がある。

2011年8月19日金曜日

次世代電子皮膚(Electronic Skin):イリノイ大学

海外技術動向
http://the-scientist.com/2011/08/17/next-generation-electronic-skin/
 イリノイ大学は薄くてフレキシブルで、生体センサ機能と筋肉状態検出機能を備える電子皮膚(Epidermal electronic system: EES)を開発した。電子皮膚は通信機能も備える。また電磁誘導コイルを備えエネルギーをワイヤレスで受電することも可能である。
 これまでの睡眠モニタや心臓モニタは電池やセンサとの配線があり、人体に負荷を与えていた。新しいデバイスは、7ミクロン厚のシリコーンとポリエステルフィルムに薄膜Si、GaAs回路が組込まれている。これらの開発内容は雑誌サイエンスに掲載された。
 このデバイスが可能にする分野として、例えば発声機能が失われた人でも、のどに装着すると、筋肉の動きから発声を検出し、音響システムへ転送すると声になって出てくる。手足の運動機能を無くした人の、可動可能な筋肉部に装着することによってコンピュータを操作することが可能になる。将来的には脳波を検出して、人の考えを言葉に変換することも考えられる。
 この技術の特許はすでにベンチャー企業に移管されている。

2011年8月12日金曜日

MicroGen System社(米)、Cornel大学:高出力振動エネルギーハーベスタ開発

海外技術動向
http://www.rdmag.com/News/Feeds/2011/08/general-sciences-startup-company-drawn-by-cornell-expertise/
 MicroGen System IncはCornell大系研究機関Cornell NanoScale Science and Technology Facility (CNF).から生まれたベンチャー企業だが、同社が開発した振動発電素子は、2~3年以内にほとんどの車や衣類乾燥機に搭載されるかもしれない。
 最初の応用は現在電池で駆動しているタイヤ空気圧モニターを目指している。同社の振動発電えお使うと20年間の使用と低価格化が見込める。
 構造はMEMS構造に圧電板を組み合わせたもので、出力は200μW、MEMSエネルギーハーベスタの初めての商品化となる予定である。さらに将来は、現行の車載用センサであるエアバッグ用センサや湿度センサなど、多くのセンサがワイヤレス化され、その電源となり得る。
 これらの成果はCornellの設備、人材を生かした成果であることも強調されている。

 

2011年8月9日火曜日

オムロンのMEMS技術を応用、高耐圧パワーMOSFET(米アイモス)

20110809電波新聞3

 オムロンのMEMS製造技術を応用し、高耐圧パワーMOSFETを米アイモス・テクノロジー社が開発し、同市場に参入する。高耐圧パワーMOSFETは、従来、縦長のN/P層を形成するため、成膜を繰り返し多段に積み重ねる「多層エピ」による製造が一般的だった。アイモス社は厚い単層に深い溝(トレンチ)を掘り、トレンチの側面からイオン注入、拡散する方法で縦長のN/P層を形成する。このトレンチによる製造法は、性能向上とコスト面で有利という。深いトレンチの形成にオムロンがMEMS製造で培ったディープエッチング技術を使用している。第1弾製品としてソースドレイン電圧最大650V、ドレイン電流最大20A で、オン抵抗0.170オームなど4種を出荷した。

2011年8月8日月曜日

MEMSで回転・傾きセンサー(STマイクロエレクトロニクス)

20110808日経産業新聞4
 MEMS技術により3軸の加速度と角速度センサーを1チップ化したセンサーをSTマイクロエレクトロニクスが開発した。加速度は最大16G、角速度は1秒間に最大2000度の動きを検知できる。価格は13.8ドル。

3軸地磁気センサーIC,56%小型化(ヤマハ)

20110808日刊工業新聞8
 縦横1.5ミリメートルと世界最小サイズの3軸地磁気センサー集積回路をヤマハが出荷する。地磁気を感知し携帯端末の方向を検出するもので、サンプル価格450円、年間1億個の販売を目指す。

2011年8月5日金曜日

STMicro社:3軸加速度+3軸ジャイロ集積型センサ発売

海外産業動向
http://www.eeherald.com/section/new-products/nps201108042.html
 STMicroelectronics(STM)は新型モーションセンサLSM330DL(3軸加速度+3軸ジャイロ集積型)を発売した。LSM330DLの計測範囲は加速度:16g、角速度:2000度/secに及ぶ。また温度変化や機械的衝撃にも耐性のある高い信頼性も特長とする。低消費電力に寄与する機能(オートOFF、断続出力)も備える。
 ターゲットとするアプリは、高性能ナビゲーションシステム、低消費電力落下検知、ポインター動作検出等幅広く使える。これまでのSTMの加速度、ジャイロ一体型とパッケージ、出力仕様に互換性があり、容易に交換できる。
 価格は、1000個注文時、$3.80である。

2011年8月4日木曜日

小型赤外線センサー、携帯機器向け量産(旭化成エレ)

20110804日刊工業新聞11
 携帯機器向けの小型赤外線センサーを2012年度から量産すべく、旭化成エレクトロニクスが設備増強する。センサーは大きさ3ミリメートル未満、厚さ0.4ミリメートルと小型で高速応答が可能、静止した人や物も検知できる。携帯電話の画面と使用者の距離に応じた着信音や画面上の文字の大きさを変化させたら、人の体温や哺乳瓶の温度を非接触で測定できる。自動車に搭載すれば車内の二酸化炭素(CO2 濃度を検出し、CO2濃度を抑えて眠気防止に役立てられる。

2011年8月2日火曜日

水晶振動子4割小さく、スマホ向けに出荷、ガラス封止で最少(大真空)

20110802日経産業新聞1
 ガラス封止により体積を4割減少した水晶振動子製品を大真空が開発した。水晶振動子は携帯電話など通信機器の電波制御やパソコンの電気信号の安定に必要不可欠な部品で、「産業の塩」と呼ばれている。GPSやジャイロセンサーにも活用され、スマートフォンでは57個が搭載されている。日本勢は水晶振動子の世界シェアの6割程度を握っている。

血糖値に応じて光る繊維状センサー(東大・テルモ)

20110802日経産業新聞10
 体内に埋め込みでき、血糖値に応じて光る繊維状センサーを東京大学の研究チームが開発した。血糖値の高低により発光強度が変わる蛍光性のポリアクリルアミドを開発し、直径0.7ミリメートル、長さ5ミリメートルの線維状に加工し、マウスの耳に埋め込んだ。体外から青い光を当てると青緑の蛍光を発し、血糖値により光の強さが変化した。4カ月以上埋め込み、正確に測定できた。持続的に血糖を測ることが重要な糖尿病治療に役立つこと期待される。